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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

SUVチャンピオン戦 日産NEWフォレスター独占試乗

存在感絶大!! 迫力を増したデザイン

ミドルサイズSUVとしては抜群の完成度を誇り、高い人気を博しているX-トレイルとの2ショット。見てのとおり、新型フォレスターはX-トレイルと並べても見劣りしないボディサイズへと生まれ変わった。ボディサイズは全長4560mm、全幅1780mm、全高1675mmで旧型よりもふた回りは大きくなった印象だ。新旧比較は左下の写真を見てください

ミドルサイズSUVとしては抜群の完成度を誇り、高い人気を博しているX-トレイルとの2ショット。見てのとおり、新型フォレスターはX-トレイルと並べても見劣りしないボディサイズへと生まれ変わった。ボディサイズは全長4560mm、全幅1780mm、全高1675mmで旧型よりもふた回りは大きくなった印象だ。新旧比較は左下の写真を見てください

【本記事は2008年2月にベストカーに掲載された記事となります。】従来型フォレスター最大の弱点が「押しの強さに欠けるエクステリア」だった。言うまでもなくSUVの魅力って「乗用車よりタクましいこと」。弱々しく見えるフォレスターは、存在感を失いつつあったと思う。加えて「車高を下げたモデル」などラインアップしたものだから、余計にワケわからんクルマになっていた次第。スバルの開発陣も「こらマズいかもしんない」と考えたらしい。新しいフォレスターを見て驚く! ふた回りくらい大きくなっていたのだ。45mm広くなった全幅1780mmもさることながら、なんと全高は85mm高くなっている。最低地上高もクラス最大の225mm(ターボ)でランクル200と同じときた。これだけ背高になれば存在感絶大!! 迫力を増したデザイン(相変わらずフロントグリルがイマイチ。ただアウトバックのような決定的カッコ悪さではない)も好ましい。加えてプライスリスト見たら低めに決まる直球!! う~ん! 妙に魅力的であります。

4ATのネガはないのか!?

新型フォレスターの最低地上高はNAモデルが215mm、ターボモデルが225mmで、NAが205mm、ターボが200mmだった旧型に比べて大幅にアップ。X-トレイルの200mm、RAV4の190mmなどと比べても最低地上高の高さが目立っている。ワゴンタイプSUVから一気に、オフロードにも強い本格派SUVへと変身した。最低地上高に関しては、ランクル200が225mm、パジェロも225mmでフォレスターターボと同じ

新型フォレスターの最低地上高はNAモデルが215mm、ターボモデルが225mmで、NAが205mm、ターボが200mmだった旧型に比べて大幅にアップ。X-トレイルの200mm、RAV4の190mmなどと比べても最低地上高の高さが目立っている。ワゴンタイプSUVから一気に、オフロードにも強い本格派SUVへと変身した。最低地上高に関しては、ランクル200が225mm、パジェロも225mmでフォレスターターボと同じ

前置きはこのあたりにして試乗といきましょう。新型フォレスター、懸念していたことがひとつある。イマドキ4速ATなのだ。発表会の際、チーフエンジニアの市川さん(見た感じお相撲さん)に聞いてみたら「とにかく乗ってみてください。悪くないです」と言ってたが……。Dレンジをセレクトして走り出すと、使い慣れた4速ATとあり素直かつ滑らか。シフトショックも気にならないレベル。速度域を上げていくと「んんんっ?」。4速ATと思えないくらいエンジンの常用回転数が低いのだ。なんと「ロックアップ制御」をフルに利用してるじゃありませんか。一般的な4速ATは、3速で高い回転数まで引っ張って4速に入る、というもの。されどフォレスターの場合、3速の回転上がると3速ロックアップに入って回転下がり、続いて4速。4速のロックアップという多段ATのような制御を行なってます。4速100km/h巡航状態での回転数をチェックしたら2200回転。こらもう5速ATやCVTと変わらない回転数だったりして。ちなみに4速2200回転の状態で軽くアクセル踏むと、3速に落ちるのでなく4速のロックアップが解除され回転上がるのだけれど、5速ATのキックダウンやCVTの変速比を変えるタイムラグより短い。これが市川さんの言う「究極の4速AT」だったのね。 本当のトコロは「5速ATやCVTの開発が遅れているためやむを得ず4速ATで」なのだろうが、このくらいの完成度に達していれば「5速ATより軽い」というメリットも生きてくる。おっと書き忘れました。今回の試乗車、新開発のヘッドを採用する148psのノンターボモデル。230psのターボモデルとまったく同じギア比を持つ。ターボモデルの100km/h巡航回転数も同じだと考えていい。

新型フォレスターの乗り心地はGOOD!!

左はターボモデルのXTのインパネだが、NAモデルのインパネも基本的には同デザイン。真っ先に感じるのは、質感の向上だ。ターボはメーターパネルのリング部が光る「スポーツルミネセントメーター」を採用する。ウイング状に広がりを感じさせるインパネデザインはインプレッサと同じテイストとなる

左はターボモデルのXTのインパネだが、NAモデルのインパネも基本的には同デザイン。真っ先に感じるのは、質感の向上だ。ターボはメーターパネルのリング部が光る「スポーツルミネセントメーター」を採用する。ウイング状に広がりを感じさせるインパネデザインはインプレッサと同じテイストとなる

「イマドキなんで4速AT?」問題は納得したので次にいく。これまた従来型フォレスターの弱点に「ツキ上げ感の強い乗り心地」があった。ここ数年「ナントカのひとつ覚え」と言われるくらい書いてきたショックアブソーバーに起因する症状なのだけれど、はたして今回試乗してみたら劇的に改善されてます。試乗後、すぐ問い合わせてみたら「新型からショーワ製を採用してます」。新型フィットにも言えることながら、アブソーバーのメーカーは乗り心地に決定的な影響を与える。これならザックス製を採用しているデュアリスと比べても真正面から戦えるレベル。韓国工場製のザックスを採用するX-トレイルとの勝負は、サスペンションの取り付け部剛性の差でフォレスターやや優勢といったイメージ(デュアリスにはエクストレイルに付いていない補強板が付く)。60km/hで10mmの段差を乗り越えた時の不快なツキ上げ感(ハーシュネス)は、驚くべきことに従来型フォレスターの半分になっているそうな。20%変われば誰でもハッキリわかるという人間のセンサーからすれば「圧倒的に違う」ということになります。良好な路面を走っているときのピョコピョコした挙動も大幅に改善されており、X-トレイルのモデルチェンジに感じたのと同じく、2ランクくらい車格が上がった雰囲気。

残念ながら「大きな穴やデコボコ」に代表される大きな入力で動かないというショーワ製ショックアブソーバー唯一の不安材料についちゃ今回チェックできず。悪路の評価がニガ手なホンダなど、3世代にわたってCR-Vを作ってきたにもかかわらず依然悪路に弱いし、インプレッサもSTIバージョンのみKYB製を使ってます。もし対応できているなら「文句なし!」と評価したい。フォレスターの魅力だったシャープなハンドリングは「車高上がった結果、鈍くなっちゃったのでは?」と心配していたものの、結論から書けば「まったく問題ありません」。新型インプレッサと共通のフロアを使っているのだが(ついでに書いておくと、インテリアも共通部品も多い)、ハンドル切った時の荷重移動量増えたためなんだろう。むしろ回頭性は上がっている。わかりやすく書くと「テールハッピー」なのだ。フロント荷重しながらハンドル切ると、気持ちよいくらいテール出るほど。上手なのは最廉価グレードにまで標準装備される姿勢制御装置VDCの使い方。ある程度テールの流れを容認しつつ、危険な領域に入るやガッチリ抑え込んでくる。前ページの写真のような姿勢となるのは、文字通り一瞬。楽しさと安定性を高い次元で両立できていると評価しておく。機会あればぜひグラベル路面も試してみたい。

最新SUVライバル比較の勝者は!?

アウトランダーも新型フォレスターの好敵手として名を連ねる。ボディサイズは全長4640mm、全幅1800mm、全高1680mmでアウトランダーがちょっと大きい。また、V6、3Lエンジン搭載モデルが最近加わり、車格がワンランクアップした印象

アウトランダーも新型フォレスターの好敵手として名を連ねる。ボディサイズは全長4640mm、全幅1800mm、全高1680mmでアウトランダーがちょっと大きい。また、V6、3Lエンジン搭載モデルが最近加わり、車格がワンランクアップした印象

さて。生まれ変わったフォレスターの登場で、このクラスの勢力図がどうなるだろう。現時点で人気No.1のX-トレイルは、VDCを全車標準装備するうえ、ザックス製ショックアブソーバーが付くし、実用燃費ときたら文句なしの一等賞。なのにオーディオ以外ほぼフル装備となる『20X』で237万3000円。ライバルを圧倒するリーズナブルなプライスで、売れて当然。X-トレイルの充実装備と価格設定、実用燃費、ブランドイメージに、RAV4もアウトランダーもCR-Vも苦戦。販売状況を見ると、今や一人勝ち。ちなみにRAV4は「趣味としてのクルマの楽しさ」を、アウトランダーの場合「実用燃費」を、CR-Vなら「SUVとしてのブランドイメージ」を磨けば光り始めると思います。すべて満足出来るのはX-トレイルだけでありました。新しいフォレスターはどうか。真正面からX-トレイルと戦える商品力を持つ。価格見てびっくり!! X-トレイル20Xと同等の装備+オーディオまで付いて220万5000円なのだ(2.0XS)。激安X-トレイルよりスペックを考えれば20万円も安い。4速ATだという引け目あっての価格設定なのだろうけれど、後席中央に3点式シートベルトを装備するなど手抜きもなし。スバルにとっちゃ久々のヒットになるかもしれない。

というわけで3代目フォレスター、いかがでしたでしょうか!?

X-トレイル 200mm:SUV各車の最低地上高を比較する ミドルサイズSUV各車の最低地上高を比較。アウトランダーの210mmが高いほうだが、フォレスターはさらに一歩リードするNAモデル215mm、ターボモデル225mmを実現

X-トレイル 200mm:SUV各車の最低地上高を比較する ミドルサイズSUV各車の最低地上高を比較。アウトランダーの210mmが高いほうだが、フォレスターはさらに一歩リードするNAモデル215mm、ターボモデル225mmを実現

初代~2代目と続いたワゴン的SUVから一転、今はやりのSUVへと変身したわけだが、フォレスターならではの強烈な個性が薄らいだとお嘆きの読者もいるだろうが、やはり「売れ筋」狙いで取っつきやすくなったことは事実。ボディサイズは旧型と比べて二回りは大きくなった印象。全長4560mm、全幅1780mm、全高1675mmというボディサイズはデュアリスよりもちょっと大きくて、RAV4やX-トレイルに近いサイズ。旧型に対して最も大きくなったな、と感じさせる全高は1675mm。実に85mmも高くなっている。このほか全長はプラス75mm、全幅はプラス45mmでホイールベースは旧型の2525mmから実にに90mm延長された2615mm。新旧並べてみると遠近法を間違えたか!? と思うほどサイズ感が違うのでビックリした。ボディは大きくなったけど使い勝手が大きくスポイルされることはない。例えば最小回転半径は旧型の5.3mに対して新型は5.2mで0.1m小さくなっているし、全幅に関しても、実際に一番飛び出しているドアミラー端の距離は2006mmと、旧型よりも10mm狭くなっているのだ。そんなこともあり、大きくはなったけど、取り回しなどで使い勝手の悪化を心配することはない。基本プラットフォームは昨年6月にモデルチェンジしたインプレッサと共通の「SIシャシー」でリアサスはダブルウィッシュボーン。縦置きされた水平対向4気筒エンジンとフルタイム4WDというスバルならではのシンメトリカルAWDももちろん受け継がれる。

搭載されるエンジンは最高出力230ps、最大トルク32.5kgmを発揮する2Lターボ(2.0XT)と最高出力148ps、最大トルク19.5kgmを発揮する2L NA(2.0X、XS)の2本立て。NAは従来のSOHCからDOHCに変更され、パワー、トルクが向上しているだけではなく、ドライバビリティも大幅に向上しているのがポイント。トランスミッションは全車に4ATと5MTが設定されている。4WDはインプレッサなどと同じく、AT車はアクティブトルクスプリットタイプのフルタイム、MT車はビスカスLSD付きセンターデフ方式のフルタイムで、全車にVDC(姿勢制御デバイス)が標準装着となっている。価格はNAの2.0Xが204万7500円、XSが220万5000円、ターボの2.0XTが257万2500円となっている。最廉価の2.0Xはオーディオこそオプションだが、オートエアコン、VDCが標準装着でライバルに対するお買い得感が強い。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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