中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05
トヨタ ヴィッツファミリーから出家 新プレミアムコンパクト発進
全幅1700mmオーバーの3ナンバーサイズ

近くで実車を見ると質感の高さにビックリ! 評論家の山口京一氏がトヨタFF車開発の元締め、河上清峯常務役員に「△△istのステッカーを作ったら好評だと思うよ。それぞれ自分のイスト像ができる」と熱弁をふるっていた。な~るほど、“いいアイデア”と、いうことでここで少し紹介してみよう
【本記事は2007年9月にベストカーに掲載された記事となります。】イストはNBC(ニュー・ベーシック・カー)として登場したヴィッツ、プラッツ、ファンカーゴに次ぐ第4のコンパクトカーとして’02年5月に登場し、40万台近くを販売する大ヒットモデルとなった。そのイストは自民党が歴史的敗退を喫した参議院選挙の翌日、7月30日にデビュー。ダウンサイジングを図ったマツダデミオとは対称的に大型化、全幅1700mmオーバーの3ナンバーサイズで登場した
トヨタのコンパクトカーのなかで異彩を放つ存在

高いウエストラインが個性 コンパクトカーとSUVのクロスオーバー的エクステリアは旧型のコンセプトを踏襲。ワイドトレッドと16インチタイヤでドッシリ感が増し迫力倍増
・トヨタのコンパクトカーのなかで異彩を放つ存在新型イストのボディサイズは、全長3930(3885)×全幅1725(1695)×全高1525(1530)mm。カッコ内の旧型イストのサイズと比較すると、全幅が3ナンバーサイズとなったほかは大きく変わっていないのに気づく。「3ナンバーサイズの全幅といっても、旧型に比べて30mm幅広くなっただけなので、運転しやすさという点では変わらない。それよりも3ナンバーサイズの全幅に4m未満というサイズにこだわったため、独特のスタイルが実現できた」と、トヨタは自信満々。そのエクステリアデザインだが、ユーザーから好評だった台形フォルムに張り出したフェンダーという旧型のデザインコンセプトを受け継ぎながら、16インチの大径タイヤとワイドトレッドを採用。実車を目の前にすると、旧型イストよりも明らかにアクティブな印象に仕上げられているのがわかる。甲虫類を思わせるフロントマスクの造形も個性的だ。
ボディの大型化に合わせて1.3Lエンジンは廃止

エンジンは1.5Lと1.8Lの2種 1.5LはFFが109ps/14.1kgm、4WDが103ps/13.5kgmをマーク
・ボディの大型化に合わせて1.3Lエンジンは廃止旧型イストは1.3Lと1.5Lの設定だったが、新型イストに搭載されるエンジンは、1.5Lと1.8Lに変更。1.5Lは109ps/14.1kgm(4WDは103ps/13・5kgm)、1.8Lは132ps/17.5kgmをマーク。特に1.8Lはコンパクトカーとしては最高のスペックを誇る。トランスミッションは1.5Lがスムーズさで定評のあるスーパーCVT-i、1.8Lが4ATとなり、10・15モード燃費は、1.5Lが18.0(4WDは16.6)km/L、1.8Lが15.4km/Lとなる。装備の差により、グレードは150X、150G、180Gの3種類。1.5LにのみスイッチによりFFと4WDが切り替えられるアクティブトルクコントロール4WDが設定され、排ガスレベルは全車★★★★ながら、グリーン税制が適用されるのは1.5LのFFのみ。
エクステリアに負けず劣らず個性的なインテリア

スピードとタコの両メーターの指針が同心円に集約されたコンセントリックメーター(右)と複雑な造形の操作部(左)
・エクステリアに負けず劣らず個性的なインテリア新型イストに乗り込んでまず驚かされるのは、レーダーをイメージしたというコンセントリックメーター。スピードメーターとタコメーターの指針を同心円に集約したデザインが斬新。オプティトロンなので視認性もバッチリ。コンセントリックメーターの横には、瞬間燃費、平均燃費、平均車速、航続可能距離、外気温などを表示するマルチインフォメーションディスプレーを全グレードに標準装備している。そして滑らかな曲線を描きながら浮き上がったように見せるフローティングセンタークラスターがカッコいい。特に下部のエアコンなどの操作スイッチが配置されているところなどは、若者が好みそうなオーガニックで複雑な造形となっている。
サイズ以上の快適な空間

ダッシュボードから浮き上がったような造形のフローティングセンタークラスターが特徴的。室内スペースは、前後席間距離、足元スペースの左右幅がそれぞれ30mm拡大しているが、それよりもフラットフロアの採用により、室内の快適性は格段にアップしている。リアシートは全車6:4分割可倒式を採用し、FFはチルトダウン格納、4WDはダブルフォールディングと方式は異なるが、左右個別にフラットにできるのは共通で、長尺物も楽々収納できる。ラゲッジは旧型より拡大し、ラゲッジの下にも収納スペースが確保され使い勝手を向上
パッケージング面での進化も見逃せない点で、前後席間距離を旧型よりも30mm長くし、足元スペースも左右30mm拡大。寸法としては特筆すべきほどでもないが、乗り込んでみるとフラットフロア(旧型は違っていた)の採用により、サイズ以上の快適な空間になっている。リアシートは、前方へ最大150mmスライドすると同時に、リクライニングは5段階、10度まで可能で、6:4分割可倒式を採用し、FFはチルトダウン格納で、4WDはダブルフォールディングとなる。ともに左右個別にフラットにすることができるため、クラスナンバーワンの快適性と使い勝手を誇る。
装備はひとクラス上

・装備はひとクラス上新型イストの装備では、SRSサイドエアバッグ(運転席&助手席)、前後席のカーテンシールドエアバッグが全グレードに標準装備されるなど、既存のコンパクトカーにはない充実ぶりを見せる。
価格はちょっと高め

ターゲットユーザーは団塊ジュニア。つまり30代前半。なかなか難しい世代を突いてきたゾ。このクルマはアメリカではサイオンxDの名称で販売するが、「最初から米国市場を意識して開発した」(岡本副社長)という点が気になる。アメリカでは小さくても日本では大きいのだ イストのエクステリアデザインは、SUV的で目立ち度抜群。曲面とエッジが絶妙にミックスされた男っぽいデザインを採用。フロントマスクは甲虫類を彷彿とさせる迫力がある。真正面、真後ろのアングルは台形フォルムが強調される
・価格はちょっと高め価格は150Xが165万9000円、150Gが178万5000円、トップグレードの180Gが189万円で、1.5Lモデルに設定される4WDはそれぞれ21万円高。コンパクトカーと思えば少々高めの価格設定となっている。新型イストはコンパクトカーであって単なるコンパクトカーではないという微妙なポジションにあり、プレミアム性を大々的にアピールしている。新型イストのターゲットは団塊ジュニアだという。この世代は、横並び意識が低いため、新型イストの新コンセプトはバッチリはまる。果たして、ちょっと高めの価格設定ながら旧型同様にユーザーから絶大な支持を得ることができるか注目したい。