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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

百聞は一見にしかず 賛否両論のスバル新型インプレッサ 形以上に中身は激変!

内外装の質感はどうなの?

用品装着でイメージは激変! 純正の用品オプションとして用意されるフロントグリル、前後バンパーを装着することで、ノーマルとは違うイメージ。こっちのほうがスッキリ!

用品装着でイメージは激変! 純正の用品オプションとして用意されるフロントグリル、前後バンパーを装着することで、ノーマルとは違うイメージ。こっちのほうがスッキリ!

【本記事は2007年7月にベストカーに掲載された記事となります。】5ドアHB一本に絞って従来型とはかなり異なるデザインテイストで登場したスタイリングは新鮮。見方によってはBMW1シリーズ風にも見えるし、写真で見る以上に質感が高い。これで150万円からというのは意外にお買い得なイメージで、そういう意味でもエクステリアは成功していると思う。いっぽう、インテリアデザインはレガシィとの差別化を図る必要からか、クォリティ感でちょっと期待を下回った感じ。欧州車では現在このクラスの内装はソフトパッド化が常識となりつつあるし、国産でもプレミオ/アリオンはいち早くそのトレンドに乗ったが、インプレッサのインパネは従来どおり全面樹脂成形のままで表面はハード。2年後くらいになると今以上に内装品質で遅れをとっている印象が強まるおそれがある。インプレッサはシャシー面ではクラス平均よりだいぶ贅沢をしているだけに、内装にはあまりコストをかけられなかったのかもしれないが、クルマの売れゆきっていうのは意外にこういう細かいところで決まっちゃったりするもんなんだよねぇ

エンジンはどうなの?

2Lターボ、2L NAはともにマイルドだがパンチ力が違う! 同じ排気量ながら、NAとターボではキャラクターが違う。NAがやや非力に感じてしまうのに対し、ターボは250ps/34.0kgmのスペックどおり加速感抜群。ただしターボはマイルドで扱いやすいのでアクセル開度の小さい領域では大排気量NA的

2Lターボ、2L NAはともにマイルドだがパンチ力が違う! 同じ排気量ながら、NAとターボではキャラクターが違う。NAがやや非力に感じてしまうのに対し、ターボは250ps/34.0kgmのスペックどおり加速感抜群。ただしターボはマイルドで扱いやすいのでアクセル開度の小さい領域では大排気量NA的

ベーシックモデルたる15SのEL15型エンジンは、先代の末期にわざわざ追加搭載されたDOHCヘッドの新型だ。SOHCのEJ15に対してヘッドが異なるだけではなく、そもそもボアストロークからして全面変更。85×65.8mmの超ショートストロークから一転して77.7×79mmのロングストロークへ大変身。スペック的にはSOHCからプラス10psの110psだが、実際に乗った印象はそれ以上。非力だ非力だと言われ続けていたトルク感を改善し、ドライバビリティと燃費が大幅に向上。このエンジンは、吸気可変バルタイや等長等爆エキゾーストを備えるなど、現状の水平対向では「やれることはすべてやった」と評価できる力作。ヴィッツやティーダの1.5Lと比較してもほとんどの面でほぼ互角の走りっぷり。ただし、一般的な直4ならもっと楽にできるコトを、スバルの技術者が歯を食いしばって頑張ったという感じで、どう見てもコスト面では辛そう。150万円からというクルマには、ちょっと贅沢なメカニズムだね。これに比べると、20S用2LはSOHCの旧来型。パワーは140psと充分だが、レガシィのDOHC版が180~190psであるのを考えると非力。シリーズのなかではちょっと中途半端。50万円以上高いが、ターボのS-GTのほうがお薦め。そのターボだが、WRXの名をやめて、ややマイルド指向に方向転換したとはいえ、EJ20ターボは250ps/34kgmと強力。乗るとNAとは違った種類のクルマに感じられるほどの加速感が味わえる。ただし、ツインスクロールターボをもってしてもターボラグはそれなりで、最近の欧州車ターボ(例えばゴルフGTI)みたいに自然なフラットトルク感ではない。さらに、トップモデルのS-GTまで組み合わされるATがすべて4速のみというのも、今のご時世としては明らかなマイナス。燃費を考えたらいまや普通CVTだし、ファン・トゥ・ドライブなら6速DSGが業界のベンチマーク。率直にいって4ATでは2ラップ遅れ。スバルは独自の縦置きエンジンレイアウトを守り続けていて、それが独特のキャラクターと優れた走りを生む源となっているわけだが、それゆえに汎用横置きATが使えない。まぁ、独自のキャラを守り続けるのも楽じゃないぜというところかな。

サスペンションはどうなの?

サスストロークがタップリあるのでワインディングではロールが大きめになるが、スタビリティはかなり高い

サスストロークがタップリあるのでワインディングではロールが大きめになるが、スタビリティはかなり高い

普通のメーカーがこのクラスの価格帯のクルマの足をデザインしたら、まず十中八九前ストラット/後トーションビーム。いわばコンビニ弁当みたいなサスペンションを付けてくる。それに比べ、インプレッサのリアサスの贅沢なこと。実質的にレガシィと同じダブルウィッュボーンなんて、2ランク上の上等な足まわり。メカ好きならこれだけで感動の涙モノ。まぁ、それでも今のタイヤをもってすればコンビニ足でもソコソコの操安性は確保できるのだが、ハンドリングとか乗り心地の“クォリティ”を評価するレベルまでいけるかというと、これはなかなか難しい。150万円クラスの国産車で「コイツはちょっと見どころがあるゾ」と思えるのは、このインプレッサのほかには「スイフトくらいかなぁ?」というのが正直な印象。低価格クラスではインプレッサの足のクォリティは文句なしに際立っている。だけど、それを実感するシチュエーションというと、やっぱりある程度限界に近い領域でのお話になるんだよね。例えば、サーキットなんかを走ってみるとインプレッサ15Sのサスは素人でもわかるくらいスタビリティの高さを実感できるが、高速道路やそのへんの街中を走っているぶんには、残念ながらそれほど明確な差は出ない。平均速度の速い欧州ならそのよさもわかってもらえるだろうが、日本市場では一部のマニア層にしか評価されない虚しさがある。純粋に日本市場での商売に徹するんなら、例えばプレミオ/アリオンみたいに内装のクォリティに重点投資するようなクルマ作りのほうが賢いんだろうけれど、それができないのがよくも悪くもスバルなんだろうね。

ハンドリングはどうなの?

まず15S。1人乗車で市街地をトロトロ走るようなサスにとって負荷の軽い状態では、インプレッサの足はそれほど目立ってこない。嫌なブルブル感は少ないものの路面アンジュレーションは忠実に拾うほうで、悪くはないけど目立ってよくもないといった評価が相応。しかし、速度が上がったりかける横Gのレベルが高くなったりすると、しっかり粘ってバネ上をフラットに保つこの足の美点がだんだん見えてくる。低負荷域から操舵レスポンスの自然なことはトップレベルで、切ったぶん忠実に反応する素直なステアフィールだが、高G領域では操舵とロールの関連もイイ感じ。こういう“懐の深さ”みたいなハンドリング感覚は、なかなか低価格のコンパクトカーでは味わえないもので、攻め込めば攻め込むほどそのよさを実感するのはたいしたもの。まさにスルメみたいに味わい深い足まわりといった感じ。S-GTについては、低速域からかなり“別のクルマ”といった印象。タイヤの特性が違うこともあって、ステアリングもガッシリと手応えのあるフィールだしロール剛性もぜんぜん違う。ハンドリングのキャラは明確にコンパクトカーとスポーツセダンの違いを表現している。これまでのインプレッサは、WRXのキャラクターがSTIとかぶっていて、結果的にWRXの存在感が希薄になっていたが、S-GTの登場によってようやくSTIとは違った方向でスポーツハンドリングの表現方法を見つけたようにみえる。

乗り心地はどうなの?

2Lターボ搭載のS-GT 2L NAが194万2500円なのに対しS-GTは246万7500~259万3500円と50万円程度高くなるが、加速感、内外装の質感アップ、装備充実などを考えるとお薦め!

2Lターボ搭載のS-GT 2L NAが194万2500円なのに対しS-GTは246万7500~259万3500円と50万円程度高くなるが、加速感、内外装の質感アップ、装備充実などを考えるとお薦め!

乗り心地は軽負荷では平均的だが、多人数乗車で大きな段差を超えたりするような状況で「アレ? まだ底付きしないのか」といったシタタカさを感じることがあった。つまり、ボトミング領域に近いところでは粘っこいストローク感があるということ。めったに実感しないが、車格以上に重厚さを感じさせるインプレッサの美点のひとつだ。●ブレーキはどうなの?ブレーキは限界近くまで酷使するような試乗シチュエーションじゃなかったからハッキリしたことは言えないけど、まぁ現代のクルマとしては平均的。ただし、サスペンション(特にリアサス)の粘りがクラス平均より上だから、ブレーキングで姿勢を乱すような状況にはハマリにくく、そういう意味ではブレーキングスタビリティは上々。●ライバルに比べてどうなの?ライバルを150万円前後の1.5L級コンパクトと見れば、エンジンは平均的、ATは2ラップ遅れ、逆にシャシーのキャパシティでは2ラップくらい先をいってるといった評価。走りにコダワルなら超お薦めだけれど、燃費のいいごく普通の足が欲しい人にはそのよさがあまりわからないといった感じかな。いっぽう、比較するレンジを200万円級の2Lセダンとすると、エンジンはまずまずだが4ATが決定的に弱く、燃費が心もとない。また、このクラスの標準から見ると内装のクォリティもややチープ。スバル党以外にはなかなかそのよさがわかってもらえそうにない。S-GTに関しては、実質的にライバル不在のクルマだと思う。わずかにマツダスピードアクセラあたりが性能/価格面でライバルとなりそうに見えるが、6MTのみのマツダスピードアクセラではかなり硬派のスポーツドライバーしか引きつけられない。この価格レンジでこのパフォーマンスを備えていてATが選べてしかも4WDというのは、まさにユニークなキャラクター。そういう意味では、S-GTが売れることがスバルにとって一番ハッピーなことといえるんだろうね。●旧型に比べてどうなの?従来型は先々代から受け継いだプラットフォーム。ブランニューとなった新型と比べるとやっぱりかなり古くみえる。比較するまでもなく新型のほうが圧倒的に魅力的でしょう。そこで旧型を100点として新型を採点してみたのだが、その差は歴然。●レガシィに比べてどうなの?内装のクォリティなどで意図的に差別化し、サスペンションアームやダンパー類など、個々のパーツについてはレガシィのほうが高品質なものが使われているけど、それはその気になればいつでも追いつけるレベル。中身に関しては実質的にほとんど差がなくなった感じ。ユーザーにとってみれば、そのぶんインプレッサはお買い得といえるわけだけれど、富士重工にしてみるとレガシィ並みのクォリティのクルマを150万で売らなきゃならない。このへんが商売上はつらいところ。見た目の変貌ぶりに驚く人、ためらう人は多いと思うけど、中身、キャラクターはもっと激変し、進化しているのが新型インプレッサと言えるだろう。

旧型インプは新車で買える?

主要諸元

主要諸元

クルマによってはフルモデルチェンジ後もかなりの数の売れ残りを抱えている場合があるが、インプレッサはデビューのかなり前から生産調整をしていたため、在庫はほとんど残っていない状態になっていた。ちなみにデビュー直前の5月末の時点でディーラー在庫は1400台だったが、6月18日の時点ではほとんどない状態。BC読者が一番気になるWRX STIの在庫ほぼゼロ。残っている車両のほとんどは1.5Lのワゴンだ。どうしても旧型インプレッサを新車でというなら、問い合わせる価値はあるが望み薄……。篠塚建次郎が新型インプに物申すこれがインプレッサかぁ……。新型インプレッサとの初対面での私の第一印象。デザインというかクルマの醸し出す雰囲気がスバルらしくない感じがしたからだ。クルマに乗り込んで街中で走り出してもその印象は変わらなかった。スバル車は作りは少々粗くても、トンがった部分が魅力的というイメージをもっていたが、それが影を潜め、非常にマイルドなトータルバランスに優れたクルマに仕上げてあった。音や振動もこのクラスの大衆車としては抑えられていて、質感が高い。質感が上がったことは歓迎すべきなのだが、その影響であの専売特許でもあるボクサーサウンドさえ聞こえない。個人的には好きだったんだけどなぁ。レガシィでもその兆候はあったけど、それに輪をかけてボクサーサウンドを消している。ちょっと寂しいよね。今回は250psターボのS-GTに試乗したのだが、ワインディングに持ち込めばそれまでのちょっと無機質な印象は消え、やっぱり新型インプレッサはスバルのクルマだと実感。軽快感のあるハンドリングは気持ちいい。クィックではないが、シッカリとトラクションがかかり、コーナーをオン・ザ・レール感覚で走れる。250psのターボエンジンは、いかにもハイパワーターボですというのではなく大排気量NAといったフィーリングなのだが、ひとたびアクセルを踏み込めば鋭い加速がいつまでも続く感じ。オートマのつながりもいいし、イージーで快適。BC編集部の担当によれば、STIは10月に登場するというから、過激なのはそっちに任せればいいよね。ノーマルインプレッサをスバル好きのマニアはどう評価するだろうか。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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