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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

トヨタのハイブリッド戦略の集大成! 世界を驚嘆させるLS600hの20の凄録(すごろく) これでもまだ舶来ベンツ、BMWがいいですか?LS460との比較も

LS600h&LS600hL発表で騒然!

LS600h&LS600hL発表で騒然!

【本記事は2007年6月にベストカーに掲載された記事となります。】トヨタはゴールデンウィーク明けの5月9日に’07年3月期連結決算を発表。売上高はロシアの国家予算に匹敵する約24兆円、営業利益は日本企業として初めて2兆円を超える2兆2386億円と世界中にトヨタの凄さをアピールした8日後の5月17日にLS600h&600hLが正式発表された。本来予定ではLS600h&600hLは3月から4月にかけて発表される予定だった。しかし開発の遅れから2カ月弱遅れの発表となったのだが、これが奏功し世界一の自動車メーカーのトヨタが作る最高級の乗用車を発表するのにこれ以上ないタイミングとなったのは間違いない。注目度激高で、LS600h&600hLをひと目見ようと発表会には強烈な数のマスコミ関係者が顔を揃えた。その注目の発表会ではトヨタの渡辺捷昭社長自らが、「環境への対応なくしては地球と共存できない。そのためにもハイブリッドは経営の最重要課題のひとつとして取り組んでいて、今回発表するLS600h&600hLは、トヨタがこれまで培ってきたハイブリッド技術の集大成である。走りと環境性能を高いレベルで融合する世界で唯一の存在として、21世紀の高級車の新たな価値を提案するモデルである」と、LS600h&600hLを紹介したのだが、渡辺社長の誇らしい顔が印象的だった。それに続いて、「LS600h&600hLは日本を皮切りにアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど30を超える地域で販売するが、今年残り約半年で7000台の販売を見込んでいて、そのうちの4000台が日本用となる予定」と、販売についても言及。LS460がデビューして約7カ月の4月末の段階で全世界で約4万8000台を販売し、グローバルプレミアムブランドとしてレクサスの認知度が飛躍的に高まっているが、そのLS460よりもさらに高級で高価なLS600h&600hLの投入により、イメージ構築のダメを押そうとしているのは明らか。LS600h&600hLの開発コンセプトは、“すべての常識を一瞬にして抜き去り、唯一の存在であり続ける”ことで、比類のない走り、低燃費/CO2の削減、低エミッション、静粛性の融合が大排気量車の必須となると明言。既存の高級車、高性能車を過去のものとしてしまう素性のよさとパワーを持っているとトヨタは自信満々。すでにエクステリアはモーターショーなどで公開されているし、欧州仕様車とはいえ試乗記も展開しているので新鮮味はない、と高をくくっていた担当だったが、ナマLS600h&600hLは強烈な存在感だった。カッコいい! 特徴的な世界初のLEDヘッドライトによる精悍な顔つきは、明らかにLS460とは違う。LS600h&600hLはひと目見ただけでその凄さが伝わってくる強烈なオーラを発しているのだが、ここではその凄さをピックアップして『20の凄録(すごろく)』としてクローズアップしてみた。

凄クローズアップ(1)~(5)

凄(1)5L、V8エンジンが凄い!LS460に搭載される4.6L、V8をベースにロングストローク化された2UR-FSEは394ps/30.6kgmをマークするハイスペックエンジン。モーターと組み合わされるハイブリッドゆえに、エンジンの始動/停止が自動的に行なわれるのだが、排気量が大きくなるほど再始動時の振動が大きくなってしまうという難点を、吸気タイミングを遅らせて圧縮比を下げるなどにより克服。LS460以上の低振動、低騒音エンジンに仕上げられている。そして量産エンジンとは思えない組み付け精度による回転のスムーズさは別世界。凄(2)世界初のハイブリッドが凄い!渡辺社長自身がトヨタのハイブリッド技術の集大成と自慢するだけあって、FR+ハイブリッドのGS450hのシステムをさらに進化させた全輪駆動ハイブリッド。445psという想像を絶する強烈なシステム馬力をスムーズかつ安全に路面に伝える。自動車評論家の舘内端氏も、「開発段階では動きがバラバラでとても商品化できるシロモノじゃないと思ったが、よく短期間にここまで仕上げたものだ」とその出来映えを絶賛!●スタート時/低速走行時瞬時に高いトルクを発生するモーターの特性を生かしたモーターのみによる走行。●通常走行時通常走行になってエンジンが始動。必要な時に必要なだけモーターがエンジンをアシスト。●全開加速時アクセル全開時にはモーターが過給器的な役割を果たし、力強い異次元の加速を実現。●減速、制動時/停車時アクセルオフ時、ブレーキ使用時には回生によりバッテリーに蓄電と小難しいように感じるかもしれないが、ドライブフィールは至って普通。これが凄い!凄(3)ミッションが凄い!低速をカバーするローギアと高速をカバーするハイギアの2段変速リダクション機構を備えているのはGS450hと同じだが、LS600h&600hLには、シーケンシャルシフトを初採用。Sポジションで+、-のシフト操作をすることにより8段階のエンジンブレーキ力を選ぶことができるという優れもの。もちろんDレンジ固定でもスムーズな加速、減速を見せるが、シーケンシャルシフトによりドライバビリティにより幅が出る。それに加え、ノーマル、パワー、スノーの3モードが自在に選べ、常に快適で安全なドライブを楽しむことができる。凄(4)ヘッドライトが凄い!LS460との違いを全面にアピールするのが世界初採用となったLEDヘッドライトで、3眼プロジェクターの下にパラボラリフレクターを配置し、充分な光量を確保。太陽光に近いため、夜間の走行でも安心。タイヤの切れ角、車速に応じてロービームの照射軸を自動的に向けるインテリジェントAFSと組み合わされる最強かつ最新のヘッドライト。レクサスセンターLSチーフエンジニアの吉田守孝氏が、一番開発に苦労したという力作なのだ。凄(5)静粛性が凄い!’89年に登場したLS400以来、“源流主義”を掲げ、高級車の最も重要な資質のひとつである静粛性の分野において世界をリードし、ライバルをおおいに焦らせたLSシリーズだが、ハイブリッドによるアイドリングストップ、モーターのみでのEV走行に加え、エンジン、モーター、トランスミッション、トランスファー、タイヤに至るまで構造を見直し最適化。そのいっぽうで、全開加速時などは静かなだけでなく、気持ちのいい音にこだわり、意図的に室内にその音を入れることで、ドライバーの感性に訴えかけることを狙っているのでスポーティさも持っている。

凄クローズアップ(6)~(10)

凄(6)ブレーキが凄い!LS600h&600hLには、車重増、パワーアップに対応するために、LS460バージョンSに採用しているフロントφ357mm、リアφ335mmの大径のブレーキディスクが全車標準装備される。445psというシステム馬力だけにブレーキへの配慮は最大限。LS460同様に制動力を高める高摩擦ブレーキパッドを採用しているが、ハイブリッドは摩耗に対して優しく、LS460よりもライフは長くなる。凄(7)4WD性能が凄い!エスティマハイブリッド、ハリアーハイブリッドは前後にモーターを搭載するE-FOURを採用しているのに対し、LS600h&600hLは大パワーを的確に路面に伝えるためにレスポンスに優れるトルセンLSDを使ったフルタイム4WDを採用。そのトルセンLSDはデフケースを持たない超小型・軽量の世界初で、低振動、低騒音にもこだわった力作で、静粛性にも大きく貢献。通常は前後40対60の駆動配分ながら、走行状況に応じて50対50、30対70の駆動力配分を瞬時に選択することで、自然なドライブフィールを実現させている。凄(8)環境性能が凄い!6Lクラスに匹敵する動力性能を持ちながら3Lクラス並みの低燃費を最大のセールスポイントとしているLS600h&600hLの10・15モード燃費は12.2km/Lをマークし、燃費基準の+20%を達成。排ガスレベルは★★★★だからグリーン税制の適用車となり、既存の大排気量高性能サルーンの常識を覆しているのは凄い。一般道での実燃費でも10km/L前後をマークするのは確実で、ライバルはまったく寄せつけず別次元にいる。渡辺社長はこの点を強調していて、このクルマの存在価値とまで言いきるほど。ベンツSクラス、BMW7シリーズに対して約2倍の燃費で、最近クローズアップされているCO2の排出量は約半分というから驚き。このクルマを購入するオーナーで燃費を気にする人は少数派と思われるが、21世紀の高級車の新たな価値観として、一般へのアピール度は強烈に高い。「LS460が既存の高級車の路線にあるのに対し、LS600h&600hLは燃費、環境性能など、このクルマでしか味わえない魅力がある」と、津々見友彦氏も絶賛。凄(9)匠の技が凄い!いたるところに量産車とは思えないほど人間による工程が盛り込まれているが、その最たるものがLS600hバージョンU・Iパッケージと600hLに標準装備される本革インストルメントパネル。これに使われている本革は厳選された牛のもので、100頭中2頭くらいしか使えない貴重なシロモノ。その革を最初からインストルメントパネルの型や曲線に合わせて立体裁断し、革の縫製は熟練した匠が1台1台丹念に手作業を行なっているというから驚き。その効果は絶大で、高級感に溢れ、オーナーの満足度はさぞかし高いことだろう。凄(10)専用ボディカラーが凄い!LS600h&600hLには全10色がラインアップされているが、専用色はブラックオパールマイカのみ。この色は基本的にはヌメリを感じさせる黒なのだが、光のあたり方により紫にも発色するというもの。いっぽうインテリアは、専用色のブラック&メローホワイトをはじめとする全5パターン。

凄クローズアップ(11)~(15)

凄(11)バッテリー冷却システムが凄い!LS600h&600hLはハイブリッドの宿命で、バッテリーをリアシートとトランクの間に搭載しているのはGS450hと同じだが、GS450hがバッテリーの冷却をファンによって強制的に行なっているのに対し、リアクーラーと協調制御することにより、常に最適な冷却ができ、バッテリーの安定した性能と耐久性に大きく貢献している。この細かな配慮が、トップレンジの高級車たるゆえんで凄いところなのだ!凄(12)加速性能が凄い!これは言わずもがな。ヨーロッパ仕様のLS600h&600hLを試乗ずみの国沢光宏氏によれば、高出力モーターのレスポンスのよさを生かし、100km/hから200km/hの加速ではポルシェ911に匹敵するほどというから尋常じゃないレベル。ヨーロッパ仕様はリミッターが250km/hなのに対し、日本仕様は180km/hだが、日本で使うには充分すぎる以上の加速性能を持っている。トヨタが実用上、クルマの加速データとして重視している40~70km/hの中間加速は2.5秒とグーの音も出ません……。凄(13)安全装備、技術が凄い!これはLS460にも共通して言えることなのだが、パッシブセーフティ、アクティブセーフティの両面で世界最高水準の安全性能を持っている。メカニカル4WDとしては初めてVDIM(統合制御)が組み合わされたし、プリクラッシュセーフティも充実しリアからの衝突にも備える。さらには衝突安全性能に加え、歩行者傷害軽減にも配慮したボディ構造を採用している。全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール(レーンキープアシストは装着されず)などのドライバーの運転支援装置も充実。まさに至れり尽くせりのクルマなのだ。凄(14)エアバッグが凄い!これも安全装備の充実の一環ではあるのだが、LS600h&600hLには前後席に合計10個のエアバッグが標準装備され、特に注目なのは、600hLのセパレートパッケージには後席左側にシートクッションエアバッグを採用し(そのためLだけエアバッグは11個となる)、万一の衝突の際にはシート座面の前方を持ち上げることによって乗員が前方に投げ出されるのを防ぎ、シートベルトの動きと合わせ、体全体の保護効果を高めるという優れもの。凄(15)リアシートが凄い!LS600hは今後渡辺社長も購入する予定というドライバー重視の600h(標準ボディ)とリアシート重視の600hL(ロングホイールベース)の2タイプがあるが、L仕様はホイールベースの120mmの延長分がそのままリアシートの居住スペースに充てられている。そのためタダでさえ充分に広い標準ボディよりもさらに余裕満点で非常に心地いい。エクステリアからは標準ボディとロングホイールベースモデルの識別は難しいが、リアシートに実際に座ってみるとその違いは歴然。個人タクシーに採用されれば一般人も経験することができるのでそれを願いたい。

凄クローズアップ(16)~(20)

凄(16)後席セパレートパッケージが凄い!L仕様には5人乗りの標準と4人乗りの後席セパレートパッケージの2タイプが用意されているが、圧巻が4人乗り仕様。電動オットマン付きのリアシートを採用するモデルで、その快適性は飛行機のファーストクラスを超えた! アウトバーンでリアシートも体験した国沢光宏氏は、「世界で一番快適なリアシートで、ロールスロイスファントムを凌駕している!」とコメント。発表会場で津々見氏に座ってもらったのだが、津々見氏もその快適性にニンマリ。これはもうクルマの域を超えている!ニーズ次第では標準ボディの4人乗り仕様追加もあるかも!?凄(17)エアコンが凄い!運転席以外のエアコンの進化は今やミニバンが高級セダンを凌駕しているが、600hLのリアシートのエアコンはケタ違いの凄さ。4席独立で温度調整ができるのはまだ序の口で、リアのエアコンは、乗員の体の表面温度を測定し、風の温度を自動調整する超先進のエアコンで、いまだかつてこれほどのエアコンは存在しない。LS600hLのリアシートに鎮座するVIPも納得の超快適、おもてなし装置なのだ。凄(18)EV走行が凄い!これぞ、ロールスロイスファントムだろうが、マイバッハだろうが、ベンツS600だろうが、BMW760Liだろうが味わえないLS600h&600hLだけの独自の世界。平坦な道でアクセル操作に気を配れば発進から40km/h程度まで電気だけで走れる。その状態をキープできるのは1km程度とプリウスと同じだから、超絶進化しているとはいえないが、2tをはるかに超える巨大なクルマということを考えると凄い。早朝ご主人様は音もなくスルスルと家を出ていき、わずかな音でも迷惑になる深夜の住宅街を静かに帰ってくる。EV走行=住宅街モードと名付けたい。凄(19)価格が凄い!LS460の価格にも驚かされたが、ハイブリッドを採用したLS600h&600hLの価格はさらにその上をいく。1000万円をきっているのはLS600hの標準グレードのみで、トップレンジのLS600hL後席セパレートパッケージは分譲のワンルームマンションに匹敵する1510万円!凄(20)受注台数が凄い!渡辺社長が年内に日本国内で4000台の販売を予定しているというコメントしていたが、発表前にすでに3000台以上を受注。それにしても、実車も見ず、乗りもせずにこれだけの人がオーダーするのは、トヨタ&レクサスに対する信頼の高さの現われか?ただし、本革インストルメントパネルの生産が追いつかず、一部地域では発表前の段階ですでに納期が1年を超えるとも言われているという情報もあり。メーカーの広報発表ではないが、事前受注の約60%が600hLで、今後はLの比率が上がると予想する関係者もいる。発表後どこまで受注を伸ばすか?

日本の高級車番付

LS600h&600hLのデビューを機に日本の高級車番付を作ってみた。この番付を決定づける要素としては、価格がすべてではないが、一般人にとってかなり大きなウェイトを占めるのも事実で、ボディの大きさ、排気量の大きさなども重要なポイント。東の横綱はちょっと反則気味かもしれないが、センチュリーロイヤル。今年はじめに新御料車として納車された、日本が誇る最高の1台なのだ。そのロイヤルをのぞき、一般人が購入できるという点ではLS600hLが頂点となる。価格、性能、心意気、注目度とも文句なし。これはV12エンジンを搭載するセンチュリーをも凌駕。ちなみにBCがつかんでいる情報では、次期センチュリーはLS600h&600hLのコンポーネントを使って生まれ変わるとか。つまり次期センチュリーはハイブリッドになる。レクサスLS600hは高いのか安いのか? ズバリ、コストパフォーマンス970万~1510万円のLS600h&600hL。もちろん、日本で最も高い市販車だが、その価格に見合う価値はあるのか? そのコストパフォーマンスについて国沢光宏氏はこう捉えている。「リアシートに座ることを考えたら、600hLのセパレートタイプは最高にお買い得。大げさではなくロールスロイスのファントム(4305万円)よりも快適だと思うね。しかし、ドライバーとして考えたら買い得感は特別高くはないと答えます。確かに6L級のパワーはあるけど、日常の領域を超えていて、普通だったら3秒も全開にできないんだから、あまり意味がないよね。市街地ではEVモードで走れたりアイドリングストップもするけど、それはプリウスも同じだから。ただ、“新しいものを買える”という満足度ではコストパフォーマンスは高いかも。ベンツやBMW、アウディにはない魅力はそこなんだろうね。あと、運転していてもリアシートに乗っていても、ベンツやBMWより頭がよさそうに見える効果もあるかもしれない。とにかくこのクルマの最大の魅力はロングのセパレートシート。運転手付きで乗るこれは無敵。1510万円は安い」

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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