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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06
シトロエン C6 そんなにいいのか?
評価は相当高い
デザインも走りも個性的!
【本記事は2006年12月にベストカーに掲載された記事となります。】日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーの1台にシトロエンC6が選ばれた。この10ベストカーは得票数の公式発表はしてないが、BCが調べたところ、シトロエンC6は総合で4番目、輸入車では一番多い50票を獲得。今年の選考委員は63名だから満票は63票なのだが、そのうちの50票、つまり50人も投票したのだからこのC6の評価は相当高いものだといえよう。そんな、C6は’89年に発表されたXMの後継車となるシトロエンのフラッグシップモデルで、日本では今年10月に発売されたばかり。215psを発揮するV6、3Lエンジンを搭載し、新ハイドロニューマチック・アクティブサスペンションと呼ばれる最新サスペンションを採用。長いフォルムが特徴的なボディは全長が4910mmとベンツのEクラスよりも90mmも大きいのだが、そのEクラスやBMW5シリーズが同じクラスという位置付け。価格は681万円。それにしても、シトロエンC6ってそんなにいいクルマなのか? C6を試乗した2人の意見は次のとおり。
とてもいい雰囲気
C5用のV6DOHC、3Lエンジンを5ps出力アップさせて搭載し、215ps/30.5kgmを発揮
ベンツとは対照的でとてもいい雰囲気 三本和彦シトロエンC6と対照的なのが、ベンツEクラスの5.5Lモデル、もしくは3Lのディーゼルターボ。これらはすごいクルマですよ。非常に合理主義で固められたようなクルマでパワフルだからビックリするようなスピードで走る。威圧感があります。クルマとしての落ち度みたいなものももちろんない。いっぽうのシトロエンC6は威圧感などはまったくなくて、デザインを含めてふんわりした雰囲気のいいクルマに仕上がっている。乗り味もベンツのようなドイツ車ならではのガッチリとした強かな乗り味じゃなくて、C6の新ハイドロニューマチック・アクティブサスペンションによる乗り味はとてもいい雰囲気を持っている。それでいて高速域の走りは、3Lで同じ排気量のベンツ300Eと比べても180km/hくらいまでならC6も負けてない。最高速も200km/h以上出ますが、ベンツのようにアクセルを踏んだ時にグワァっと涌き上がるような凄みのある力ではなくて、例えていうなら、非常にしつけのいいバーテンがカクテルをトレーに乗せて持って歩くような乗り味。何から何までベンツとは対照的です。
品のいい上等なクルマ
水平基調のデザインで落ち着きのあるインパネ。メーターはデジタル式を採用
それに、インテリアもゴテゴテした感じがC6にはまったくない。メーター類もスピードメーター、タコメーター、燃料計といった重要なメーターはしっかりと見せていますが、そのほかはワーニングランプで済ませるようにしているなど、クルマとしてしっかり作られています。とにかくC6はしゃれていて粋なクルマですよ。ベンツのパワーのあるモデルに乗るとクルマに負けないように飛ばしてやろうと思うけど、C6には、そんな気持ちを煽るようなところはない。そんな雰囲気のクルマは日本車にもアメ車にもない。悔しいけど日本では作れないだろうね。品のいい上等なクルマという意味では、C6はこのクラスで一番じゃないかな。1955年にDSという宇宙船みたいなクルマが登場したけど、そのDSをイメージさせるデザインもいいですね。
乗り心地とハンドリングを高い次元で両立
日本仕様は本革となるシートは包み込まれるような座り心地
機能だけでは語れないタッチのよさ 本誌・宇井何がいいって、やっぱりフランス車ならではの乗り心地。これがシトロエンC6の最大の魅力。乗り心地がいいというと、ひと昔前でいえば、フカフカで広い道をゆったり走るのはいいけれど、コーナーが続くワインディングではヨレヨレの古いアメ車のようなイメージを思い浮かべるだろうが、フランス車、特にシトロエンの場合、ロールは大きくても、コーナーでけっこう粘ってくれる。つまり乗り心地とハンドリングを高い次元で両立しているのがシトロエンの伝統で、今回のC6でそれが鮮明になったということなのだ。昔はハイドロニューマチックを使ったシトロエンの乗り心地については、“夢の乗り心地”とか“雲の上に乗っているような”という表現を使ったものだが、なんともフラットライドで気持ちいい。
優しい女性のようなクルマ
リアビューもクーペのようで斬新!! クーペのようなリアビューだが、ハッチバックではなくセダンタイプのトランクになっている
直線は矢のようにまっすぐしかも滑らかに走り、ワインディングではしなやかにヒラヒラと動く、そして市街地ではフカフカの上等な椅子に座りながら移動する、という感じだろうか。こうした乗り心地は頼りなさ過ぎることもあり誤解を受けやすい。ドイツ車のように、カッチリ、キッチリ動き、ステアリングを1センチ切ったら1センチだけタイヤが応答してくれると、それは頼もしいし、正確さに関心するだろう。多くの日本人はそうしたはっきり感を好むからそうして作られたドイツ流というか、機械の正確さが好きなベクトルに向かう。だからといって、シトロエンC6がクルマとしての機能が劣っているわけではなく、1センチステアリングを動かせば、ちゃんと応答するが、そのフィーリングがソフトといえばいいだろう。鈍いわけではなくソフトなのである。機能だけでは語れないタッチのよさが、シトロエンC6にはあるのだ。それが全体的に統一されていて新しいシトロエンを完成させている。日本風にいえば柳の枝のように、風に逆らわず、なすがままに受け流してくれるような、というのがわかりやすいだろうか。いや“優しい女性のようなクルマ”という表現が適切かもしれない。