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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06

40年目の進化を検証する! 新型のカローラアクシオは平凡なのか?それとも凄いのか!?

個性派五人衆がカローラを一刀両断

【本記事は2006年11月にベストカーに掲載された記事となります。】個性派五人衆がカローラを一刀両断!初代カローラが登場してから40年の歳月が流れた。その間日本のモータリゼーションにおいて中核として、紆余曲折を経ながらもベストセラーモデルとして君臨。そのカローラの最新モデル、10代目が10月10日に、セダンは今回から新たにアクシオのサブネームが冠せられ、ワゴンのフィールダーとともにデビュー。カローラセダンの購入者の平均年齢は63歳(フィールダーは40代前半とグッと若返る)。そう、俗に言うオヤジセダンだ。若者やクルマ好きをピクリとさせたり熱狂させるキャラのクルマではない。アクシオというサブネームをつけたり、木村拓哉をCMに起用したりしてもセダンが猛烈に若返ったワケでもでもない。そんなことはBCとしては百も承知だ。知りたいのは、新型カローラは周りのクルマに埋もれてしまうような平凡なキャラなのか? それとも凄いのか? という点だ。それぞれこだわりを持った5人の自動車評論家が、その疑問に答える!

走り、ハンドリング、乗り心地の質感は平凡なの? 凄いの?

ハンドリングは面白さ、楽しさを追求したモノではないが、ワインディングを走らせてもスタビリティは高く、これが安心感につながっている

ハンドリングは面白さ、楽しさを追求したモノではないが、ワインディングを走らせてもスタビリティは高く、これが安心感につながっている

走り、ハンドリング、乗り心地の質感は平凡なの? 凄いの? 瀬在仁志アクシオ/フィールダーの1.8L新エンジンは、やみくもにパワーを追求したものではなく、下からスッと力が盛り上がりもりもり感がそのまま上までつながっていく。心をくすぐる元気な音はないぶん、力にムラがなくてすっきりとしたパワーフィール。ちょこっと踏んでも、ガバッと踏んでもしっかりとパワーはついてきてくれるし、だらしなく流れに乗っていても力がフッと抜けるようなこともないからボロが出にくい。CVTゆえアクセルを開けると回転を即座に上げていったり、逆にエンジンのおいしいところだから上げずに粘り強く加速させたりと、小技が入っているので街乗りから高速やワインディングまで走ってみても「力がある!」と感じやすい。新エンジンの扱いやすさもさることながらCVTとの組み合わせによってうまく料理している。もっとも50km/h前後で流しているとエンジンとミッションの音が重なってうなり音や振動が脈打っている感じがあったり、加速時には普通のATより全体にちょっとうるさめ。走行中の外からの音がけっこうシャットアウトされているのに前からは意外と聞こえてくる。サスも以前のようにボールの上に腰掛けているようなふわふわした感じはなく比較的ガチッとした感じで強さを感じる。ステアリングの落ち着きは相変わらずないが速度を上げていっても姿勢の乱れは少なく安定感は高く、ボディも強い印象だ。これがレンタカー仕様のような1.5LのXになるとステアリングの座りが明らかにフラフラと軽くなるし、サスのしっかり感はゴツゴツと荒い感じ。加速をさせるとウィーンとCVTが元気な音を出す。素のカローラはやっぱり普通だけど、力を込めると1.8Lモデルのように世界基準並みによく走る。世界基準の本物にきわめて近いけれど実は調理次第。世界戦略車らしくいかようにも味わいを感じられる奥の深さに新型カローラの「非凡」さをみた。ホントは調理品なんだけどカニのおいしさを教えたかにかまぼこのよう。それだけにうまみは少少足りない面もあるが……。

新型カローラのメカニズムや作り込みの質感は平凡なの? 凄いの?

新開発の1.8Lは136ps/17.9kgmというスペックで110ps/14.3kgmの1.5Lと差別化

新開発の1.8Lは136ps/17.9kgmというスペックで110ps/14.3kgmの1.5Lと差別化

新型カローラのメカニズムや作り込みの質感は平凡なの? 凄いの? 鈴木直也平凡というのが「世の中の多数派」という意味だとすれば、カローラはきわめて平凡なクルマだろう。世界中で累計3000万台以上も売れた量産車なんだから、これを平凡じゃないとするならいったい何が平凡なんだ? まぁ、クルマ社会でカローラは水か空気みたいなあたりまえの存在といっていい。だけど、これほど大量の台数を均質で高いクォリティで生産し、しかもリーズナブルな価格で販売するというその仕事っぷりは、非凡そのもの。世界中どのメーカーも真似のできないトヨタだけの職人ワザだ。A~Bセグメントのクルマは最近ではコストダウンが主要な関心事で、技術的な進化にはあまり熱心でないように見受けられるが、トヨタだけはエントリークラスでも手を抜く気配なし。新型カローラもエンジン/ミッションを完全新設計。以前のZZ系だって別に見劣りするエンジンじゃなかったのに、燃費と環境性能で世界トップを狙うには新ユニットが必要という決断をし、後続をさらに引き離しにかかる勢いなのだ。もっと専門的な話をすれば、内部フリクションを徹底して低減した新型ZRエンジンは、CVTによって常にベスト燃費ゾーンをキープすることで、実燃費を10・15モード燃費にかなり近づけたし、中速域のトルク特性向上によって実用ドライバビリティもすごくいい。旧来エンジンを引き継ぐ1.5Lと比べると、新エンジンのよさを強く実感することができる。また、シャシー面では形式こそ変わっていないが、乗り心地面の質感向上を実感。微小ストローク時にしなやかなフィールが出たほか、操舵とロールの関係に適度なダンピングがあって、ロールの揺り戻しでピョコピョコしたりする落ち着きない挙動がメッキリ少なくなった。それ以外にも、進化した電動パワステはステアフィールがより自然になったほか、インテリジェントパーキングアシスト(IPA)みたいな便利な応用技術を生み出しているのもいい。かくのごとく、技術的には見どころの多い今度の新型カローラなのだが、乗ってみるとア~ラ不思議、特別アッと驚くようなところはまったくない。旧型から直接乗り換えたりすれば、中速域の太ったエンジンのトルク特性、違和感のないCVTのドライバビリティ、質感の高まった乗り心地、向上した静粛性など、ほとんど全方位にわたる進化を実感するのだが、それらがパッケージになった“新型カローラの走り”というのは、実に違和感のないフツーのファミリーカーそのものなのだ。クルママニアにとっては平凡なファミリーカーに見えるが、それを実現するためにはおそるべき非凡なバックグラウンド技術が必須。簡単に出来そうに見えて、その実誰にも真似のできない偉大なファミリーカー。それがカローラの凄いところ。

新型カローラの魅力と気になるネガについて正直に答えてください

ヴィッツで初お目見えしたボンネット、グリル、バンパーをキャラクターラインでつなぐという手法をカローラも採用。引き締まった印象を与える

ヴィッツで初お目見えしたボンネット、グリル、バンパーをキャラクターラインでつなぐという手法をカローラも採用。引き締まった印象を与える

新型カローラの魅力と気になるネガについて正直に答えてください 鈴木誠男最大のライバル、日産のサニーがその名を捨て、ファミリアも消滅。アンダー2Lクラスのセダンのビッグネームとしてシビックは生き残っているが、ボディサイズなど大型化されたため実質カローラのみとなった。そのカローラもかつてはエントリーカーという位置づけだったが、チープな感じはまったくしないし、カローラより小さいベルタなどの登場もありそのイメージはない。ただカローラの下のクラスのセダンが時代に迎合し、流行を追っているのに対し、カローラは常にニュートラル。この一貫したコンセプトを踏襲している点は凄いこと。その半面、プレミオ/アリオンとの差別化が難しく、カローラの存在意義が希薄になっているのも否定できない。堅実なクルマはおもしろみがないものだが、新型カローラも運転していてワクワクするようなクルマではない。しかし信頼性の高いゲタグルマとしていっさいの手抜きがなく、実用性の高さは折り紙つき。そういう意味では今話題のレクサスLS460と比べると、違うのは付加価値だけで、基本的には同じだと言える。携帯に多機能ではなく、ベーシック機能の充実を求める世代にはウケるハズ。エンジンは1.5Lと新開発の1.8Lをラインアップしているが、1.5Lでなんの不満もなくこれで充分。欲を言えばきりがないが、カローラのイメージからすると価格が高いのであと20万円くらい安ければなおいい。下のクラスの価格アップ、装備の充実、質感の高さ追求などによるコストアップは理解できるが、乗ってみないと価格の説得力がないというのも事実。それからエクステリア。デザイン云々よりも、アピールの仕方がヘタ。これはLS460にも言えることだけど。

新型カローラはライバルと比べて平凡なの?

インテリアもカローラらしいこだわりをみせるが、プラスチックの素材などが少々安っぽく感じるのは残念

インテリアもカローラらしいこだわりをみせるが、プラスチックの素材などが少々安っぽく感じるのは残念

新型カローラはライバルと比べて平凡なの? 凄いの 川島茂夫新型カローラは、大きいクルマにはかなわないが、1500ccクラスのクルマに要求されるあらゆるものを備えている。スムーズで扱いやすいエンジン、燃費の向上を念頭に入れたCVTの採用、トランクも広いし、後席の居住性もいい。インテリアではインパネ回りにソフトフェイシアを採用し、衝突時の衝撃軽減も考えている。どのメーカーも悪い所など作りたくない。でも見ると、「ここはちょっと手を抜いたな」という点がどうしても出てくるのだが、それが見あたらない。それどころか、電制スロットルとCVTを組み合わせて、より燃費を緻密にコントロールしたりするなど、今の時代にこんなことまでやっているの、と驚かされることも数多い。新型カローラは悪いところがないのが凄いのだ。燃費、環境性能など、カローラはハイブリッドのプリウスのように将来のスタンダードとはなり得ないだろうが、近い将来をシッカリと見据え、そのトビラを開いているのは確かだ。そしてカローラが採用した技術や装備などは、デビューした瞬間に普通になる。カラー液晶モニターを全車に標準装備したのはその最たるもので、液晶モニターが付いてないの? という時代が近い将来くるのは間違いない。カローラは見た目の派手さはないし、クルマ好きのニオイのしないクルマだから、クルマも見ずにイメージだけで魅力がないとか、興味がないと決め込んでいる人も多いが、クルマ好きを自認するなら、一生カローラは買わないだろうという人も、カローラをシッカリと見ておかなきゃダメ。こんなクルマは世界中のどのメーカーがよってたかってもできないだろうからね。

新型カローラの価格設定、お買い得感は平凡なの? 凄いの?

新型カローラの価格設定、お買い得感は平凡なの? 凄いの? 松下 宏カローラというと、とかく平凡なクルマと考えられがちだ。かつてのトヨタを象徴する80点主義とされるクルマ作りなども、多くの人に受け入れられるものの、特徴には欠けると指摘されてきた。今回のカローラは基本的には幅広いユーザーを対象にしているが、装備や仕様、あるいは価格の面から考えても、相当に意欲的に作られた凄いクルマであると思う。例えば、全車にバックモニターを標準装備したのをはじめ、インテリジェントパーキングアシストを標準または低価格(4万2000円)のオプションで用意するなど、扱いやすさを重視したクルマ作りを徹底させたのが凄い。バックモニターはカーナビを装着しないクルマも含めて全車に標準なのだ。あるいはスーパーCVT-iを4WDを含めた全車に一気に設定した点も見逃せない。ATに比べると価格アップになる要素だが、それを極力抑えての設定であり、ほかの車種では後回しにされがちな4WD車もスーパーCVT-iになったのは注目していい。今回のカローラの価格は、表面的にはやや高くなったようにみえるかもしれないが、こうした装備や仕様の向上分を考えると必ずしも高いとはいえない。実際に購入するにはカーナビや安全装備などをオプション装着することになるので総予算は200万円を超える例が多くなるだろうが、割高感を感じさせるものではない。もうひとつ、最上級グレードとなるラグゼール“αエディション”には、VSC、レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付き)、プリクラッシュセーフティ(ミリ波レーダー方式)などの最新の安全装備が標準で用意されている。VSCに関してはセダンのほかのグレードにはオプションでも設定されていないので、これは文句のひとつもいいたいところだが、高級車用の安全装備であるプリクラまで装備したのは相当に凄いと思う。そのために価格は230万円台にまで達してカローラの価格とは思えないくらいの水準になったが、これはカローラの新しい方向性を示すものとみることもできる。過去に多くの日本車が挑戦しては失敗してきた『小さな高級車』への道を、カローラが歩み始めたといえるからだ。充分な可処分所得があってクルマにお金をかけることができるが、大きなクルマは扱いにくいので欲しくない、と考える年配のユーザーは案外多い。そんなユーザーが選ぶ小さな高級車として、カローラが位置づけられるのではないか。高級車の条件のひとつに安全性の高さがあるとしたら、今回のカローラで採用された最新の安全装備や、操作性を高めることで安全につながるバックモニターやパーキングアシストなどの運転支援装備は、その条件を満たすものである。これも凄いことだと思う。カローラシリーズは3つの顔をもつアクシオは縦横2種類のグリルがあるが、1.8Lの縦グリルは、写真ではちょっとわかりにくいが、グリル奥に複雑な造形を盛り込んでいて、高級感が強調されている。いっぽうフィールダーのグリルは全グレード若向けにスポーティ感を強調したメッシュタイプ。顔でキャラ分けをしてるのです。

私にもひと言!

アクシオ1.5L アクシオは縦グリルと横グリルの2種類! 1.8Lが高級感のある縦グリルで1.5Lが軽快感のある横グリル

アクシオ1.5L アクシオは縦グリルと横グリルの2種類! 1.8Lが高級感のある縦グリルで1.5Lが軽快感のある横グリル

私にもひと言! 御掘直新型カローラを試乗して、アクシオ、フィールダーとも1.8Lの新開発エンジン+CVTという組み合わせが魅力的に感じた。燃費をよくするためにフリクションを低減し、滑らかで静粛性も高い。パフォーマンスで勝負するのではなく、質感を重視したエンジンだ。新型カローラで一番魅力的かつ凄いのはこれだと思う。いっぽう売れ筋の1.5Lは1.8Lがいいだけに少々ガサツに感じた。走ることに関するパフォーマンス的には1.5Lで充分だが、質感は1.8Lと大きな差がある。新型カローラは、旧型と全長、全幅とも同じだが、見た目の豪華さがある。ガンメタ、ブルーメタリックなどダーク系のボディカラーは引き締まった高級感もある。それから真正面、真横、フロント七三、リア七三、真後ろなど見る角度によってイメージが変わる。これはLS460にも感じたことだが、トヨタのデザイントレンドなのかもしれない。いっぽうインテリアは使い勝手などよく考えられてデザインされているが、内装素材などは少し安っぽい。ベージュ系とブラックのインテリアカラーがあるが、ブラックだとその安っぽさが目立たないという点をつけ加えておきたい。走りの面では、唯一足回りのセッティングが変えられている1.8Sエアロツアラーのダンピングの効いた走りが印象的で、スポーティで運転していて楽しいクルマに仕上げられていた。カローラシリーズで走りを重視するならこれがお薦め。質感も高く、液晶モニターを全車標準にするなどカローラの存在感をアピールする飛び道具も持っているが、“ニューセンチュリーバリュー”という新しい価値観を強調して登場し、これがカローラ? とビックリさせた先代のようなインパクトは残念ながらない。

編集部もNewカローラの質感チェック

フィールダーのリアシートのワンタッチダブルフォールディングはこれだけで買う価値あり!

フィールダーのリアシートのワンタッチダブルフォールディングはこれだけで買う価値あり!

編集部もNewカローラの質感チェック●アイドリング時の室内の静粛性が凄いLSと同じ、とは言わないが、音、振動ともほとんど感じさせない。この点では完全に旧型より上で、アコードクラスに匹敵。●ドアを締めた時の質感は平凡高級セダンがバシュッ、に対しパシュッ、と音は軽め。気密性は高そうだがこのクラスとしては平均的フィーリングと音で、特筆レベルではない。●パーキングアシストは超凄いトヨタの第3世代システムでLS460とまったく同じだけあり、超使える。これは凄い!●シートの質感は平凡長距離走行をあまり意識していないのか、シートクッションは柔らかめ。しかしシートの豪華さはクラストップレベル●フィールダーのリアシートは簡単収納で凄いワンタッチでダブルフォールディング。利便性ではライバルをまったく寄せつけない。これは買う価値のあるアイテム!

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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