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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06
日常&非日常 絶妙のバランス!三菱コルト
1.5Lターボエンジンを搭載、コルトラリーアートバージョンR

【本記事は2006年7月にベストカーに掲載された記事となります。】三菱から興味深いニューモデルが登場した。コルトラリーアートバージョンR。154馬力、21.4kgmを発揮する1.5Lターボエンジンを搭載し、ボディ、サスを強化した走りを楽しめるモデルだ。全日本ラリーを戦うサラリーマン、田口幸宏選手の目に、コルトバージョンRはどのように映ったのか!?
ノスタルジーと新しさが融合したエクステリア!!

・ノスタルジーと新しさが融合したエクステリア!!最初に目に飛び込んでくるのが黒い樹脂製のオーバーフェンダー。1970年代のハイパフォーマンスモデルの象徴だった「オバフェン」がバージョンRの印象を決定づけているといっても過言ではない。TE27レビン/トレノ、240ZG、スカイラインGT-R、ギャランGTO……。オジサン世代にはたまらないアイテムがこの樹脂製オーバーフェンダーなのだった。オーソドックスな手法なのだがこの古典的オーバーフェンダーがなんともそそるし、このクルマの性格を端的に表わしていると思うのだ。さらには、ランエボルックともいえるエンジンフードのエアスクープもいい。バージョンRには、レトロと現代の融合が感じられるのだ。そしてリアビューは黒いディフューザーで引き締め、コルトプラスラリーアートより15mmローダウンされているのだが、それ以上に低く見える。外観を眺めただけでも充分に走りを期待させてくれた。
センスのいいなかにも走りをイメージさせる予感

田口幸宏選手は都内広告代理店に勤務するサラリーマンにして全日本ラリー’04年シーズン2位の実力者
・センスのいいなかにも走りをイメージさせる予感オプションのレカロシートに乗り込みステアリングを握ってみる。このシートはランエボVIII MRで標準装備されているものと同じで、ほどよい硬さでホールド性もよくワインディングロードでドライバーのみならずナビゲーターも満足させるレベルにある、だからといって長距離ドライブでお尻が痛くなるような硬さではない、ちょうどいい硬さってこんなシートのことを言うんだろうと思う。オプション価格は16万8000円ということだが、これはとってもお買い得。ぜひとも装着することをおすすめします。
インテリア

ステアリングは本革巻きで握りの太さ、タッチともにスポーティ。MT仕様はホワイトメーターでスピードメーターは240km/hスケールとなる
5速MTモデルに標準装備されている240km/hまで刻まれたホワイトメーターもスパルタンな雰囲気をよりいっそう膨らませ、走ることの楽しさを期待させてくれた。ステアリングもレザー製で適度な太さでこのままでも競技に使えるレベルにある。とはいっても、すべてがスパルタンなのではなく、ドアとセンターコンソールにドリンクホルダーが、ルーフにはサングラスホルダーなど普段乗りでの使い勝手をスポイルすることはないのでご安心ください。
フラットトルクで、大人のエンジン?

赤いヘッドのエンジンは1.5Lターボで最高出力154馬力、最大トルク21.4kgmを発揮する
・フラットトルクで、大人のエンジン?バージョンRに搭載されるエンジンは1.5Lターボ。最近では貴重な存在となってしまったターボエンジンを手軽に楽しめるのがうれしい。最高出力154馬力、最大トルクは21.4kgmを発揮する(CVT仕様の最大トルクは18.3kgm)。エンジンを始動してアクセルを踏み込んだが、昔のホットハッチであったようなドッカンターボではなく低回転からフラットな出力特性をもっているのが特徴的。2000回転を超えたあたりから効きはじめるターボは、2LクラスのNAに近いフィーリングで太いトルクを発生する。普段乗りではとても使いやすいエンジンに仕上がっている。これまで売られていたコルトターボは147馬力でゼロヨン15秒31をマークしていた。これよりあきらかに速く、ゲドラグ製5速ミッションをうまくミートさせれば、14秒台突入の可能性もあるほど速い。
シャープなフットワーク、これは楽しい!

トラクションコントロールが絶妙で、あたかもLSDが入っているようなトラクションを発揮してくれるのであった
・シャープなフットワーク、これは楽しい!アドバンの最上級スポーツタイヤ、ネオバの205/45R16をおごられたバージョンRは、スポーツタイヤを履いた時に感じる野蛮な動きを見事に足回りとボディで打ち消している。箱根の荒れたワインディングロードでの試乗では、ボディ剛性アップ、高性能タイヤ、足回りの設計変更とクィックステアリングでしなやかにラインをトレースし、ドライバーに素直なインフォメーションを与えてくれる。またスポーティカーにありがちなゴツゴツとした突き上げ感はなく快適なドライブを約束してくれる。この乗り心地のよさはちょっと意外だった。サスペンション取り付け部の剛性などが高められていて、キッチリとサスが仕事をしているといった感じだ。ランエボだったら凹凸に敏感に反応し神経を尖らせる必要があるが、こんなのんびりした気持ちではいられないだろう。特筆すべきはタイトターンでのASC(アクティブスタビリティコントロール)だ。見事にトラクションを制御してイン側のホイールスピンを誘発することなく、あたかもLSDが入っているかのようにグングンとクルマを前に進めてくれる。LSDを入れるとスポーツドライビングでは有効であるが普段乗りではちょっといただけない。そんなシステムがACSなのだ。見事な制御だ!!また、止めることに関してもかなりのこだわりを持っている。欧州専用のターボモデル「コルトCZT」と同様のフロント15インチベンチレーテットディスク、リア14インチディスクを採用し、乗り出してすぐは効きすぎるのではと思われたがハードな走行になると頼もしい相棒になる。前後のバランスもよく、峠のハードドライビングでも充分に耐え、フェード性も高いことが容易に想像できる。
・あれ!? 5MTだけじゃなく6速スポーツモードCVTも使えるぞ!!

ハードな走りにも余裕で対応!
・あれ!? 5MTだけじゃなく6速スポーツモードCVTも使えるぞ!!ゲドラグ社製5速ギアはランエボほどクロスレシオになってはいないが、心地よいシフト感覚で小気味いい、スポーツ走行をするのであればもう少しクロスしていればより楽しい運転を提供してくれるだろう。もう一台のCVTは予想を大きく上回ってくれた。マニュアルモードを使えば4G15MIVECターボのおいしい回転をキープしつつ、左足ブレーキで速度を調整してやることも簡単で、スムーズにしかも速くクルマを動かすことが可能だ。これは侮れない存在だ。・そしてうれしい価格設定バージョンRの価格はMT、CVTモデルともに同価格の197万4000円。コミコミだと220万円程度といったところで、現実的なお値段だと思う。
Check Point 月産200台だからできたこと 開発(秘)ストーリー

ハードな走りにも余裕で対応!
Check Point 月産200台だからできたこと 開発(秘)ストーリーコルトバージョンRの月産台数は200台。メーカーのカタログモデルとしてはきわめて少量生産だが、月産台数が200台だからこそコルトバージョンRは世に出ることができたのであった。例えば5速MT。日本仕様のコルトにはMTの設定はなく、バージョンRのためだけにMT仕様を開発、生産することはコスト的に不可能。そこで開発陣は欧州コルトに目をつけた。オランダで生産される欧州コルトターボにはMT仕様が設定されており、こいつのMT本体(ゲトラグ製だ!!)、ドライブシャフトなどを輸入することでコストや生産性といった諸問題をクリアしたのだ。ほかにもサスペンションアーム類なども欧州コルトターボのパーツを輸入して使っているのである。特徴的なオーバーフェンダーも開発陣の知恵と努力で実現することができたのだという。フェンダー部をカットするのだが、そのままカットしただけでは剛性が不足してしまう。カットしたボディを折り返して厚みを持たせて剛性を確保するのだが、この工程は非常に手間がかかる。月産台数が200台と少量だったのでこの方法が可能となったのであった。ハンドリングのチューニングも開発陣の経験と試行錯誤が生み出したものだという。コンピュータを使った解析はもちろん活用しているが、これで得られたデータをもとに、最終的には補強材の材質や補強ポイントの調整などを実験部隊の走り込みで追い込んでいったのだという。バージョンRのプロジェクトが正式に承認される前から、手作りに近いかたちで開発を水面下で進行させていたのだという。こうした努力によって、走って実感できる「剛性感」を作り出すことができたのだ。剛性アップに効果的な、ボディのスポット溶接増し打ちは「打てる部分には徹底的に打ち込みました。こんなの生産できないと生産現場が悲鳴を上げても、こちらでできることを実証するなどしながら、なんとか説得してがんばってもらったんです」(開発とりまとめの古川直樹氏)というように、開発陣の意地と知恵と努力でバージョンRは誕生した。
Check Point 月産200台だからできたこと 開発(秘)ストーリー

ハードな走りにも余裕で対応!
Check Point 月産200台だからできたこと 開発(秘)ストーリーコルトバージョンRの月産台数は200台。メーカーのカタログモデルとしてはきわめて少量生産だが、月産台数が200台だからこそコルトバージョンRは世に出ることができたのであった。例えば5速MT。日本仕様のコルトにはMTの設定はなく、バージョンRのためだけにMT仕様を開発、生産することはコスト的に不可能。そこで開発陣は欧州コルトに目をつけた。オランダで生産される欧州コルトターボにはMT仕様が設定されており、こいつのMT本体(ゲトラグ製だ!!)、ドライブシャフトなどを輸入することでコストや生産性といった諸問題をクリアしたのだ。ほかにもサスペンションアーム類なども欧州コルトターボのパーツを輸入して使っているのである。特徴的なオーバーフェンダーも開発陣の知恵と努力で実現することができたのだという。フェンダー部をカットするのだが、そのままカットしただけでは剛性が不足してしまう。カットしたボディを折り返して厚みを持たせて剛性を確保するのだが、この工程は非常に手間がかかる。月産台数が200台と少量だったのでこの方法が可能となったのであった。ハンドリングのチューニングも開発陣の経験と試行錯誤が生み出したものだという。コンピュータを使った解析はもちろん活用しているが、これで得られたデータをもとに、最終的には補強材の材質や補強ポイントの調整などを実験部隊の走り込みで追い込んでいったのだという。バージョンRのプロジェクトが正式に承認される前から、手作りに近いかたちで開発を水面下で進行させていたのだという。こうした努力によって、走って実感できる「剛性感」を作り出すことができたのだ。剛性アップに効果的な、ボディのスポット溶接増し打ちは「打てる部分には徹底的に打ち込みました。こんなの生産できないと生産現場が悲鳴を上げても、こちらでできることを実証するなどしながら、なんとか説得してがんばってもらったんです」(開発とりまとめの古川直樹氏)というように、開発陣の意地と知恵と努力でバージョンRは誕生した。