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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.11.17
【日産】サトウキビで走るe-Bio Fuel-Cellとは

goo-net編集チーム
日産が2016年6月に「サトウキビ」などを原料にしたバイオエタノールを利用して走らせる、
燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」の技術を発表しました。
車から排出されるCO2の排出量と、
バイオエタノールの原料となる植物のCO2吸収量を相殺することで、
CO2の排出量をゼロに近づけることができる燃料電池システムです。
「e-Bio Fuel-Cell」の開発の背景
「e-Bio Fuel-Cell」は、日産が推進するクルマの効率化と電動化を追求する、
「ニッサン インテリジェント パワー」の一環として開発されました。
世界各国のエネルギー供給インフラに合わせて、
現在のガソリンなどの化石燃料から、新たな動力源へシフトチェンジするためシステムとして、
バイオエタノールを使う「e-Bio Fuel-Cell」を開発しました。
日産は、今後の自動車技術においてはさまざまな燃料を生かす多様性が、
エコの観点からも大気中のCO2の増加からも必須であると提案しています。
「e-Bio Fuel-Cell」のように、サトウキビやトウモロコシ原料にしたバイオエタノール車は、
北南米やアジアなどで開発され、実用化しています。
特にブラジルでは、100%エタノールを供給できるガソリンスタンドが既に数多く整備され、
新たにインフラの整備が不要な側面があります。
こうした背景もあり、
日産が「e-Bio Fuel-Cell」の開発・実用化に向けて、本格的に乗り出しました。
「e-Bio Fuel-Cell」の機能
「e-Bio Fuel-Cell」は、多様な燃料源を高効率で発電する「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」を、
世界で初めて車輌に搭載し、発電装置としたシステムです。
複数の燃料源に対応できるため、利便性の高いユーザーフレンドリーな日産の技術です。
対応できる燃料は以下の通りです。
・サトウキビやトウモロコシ
・天然ガス
・酸素との化学反応
「e-Bio Fuel-Cell」は、
補給されたバイオエタノール(エタノール混合水または100%エタノール)を利用し、
SOFCで発電した電力を車載バッテリーに供給し、動力モーターを駆動させるシステムです。
このSOFCは高い発電効率が特徴で、ガソリン車並みの600km以上の航続距離や、
エネルギー充てん時間の短さなど、実用性の高さが特徴です。
また、電気自動車(EV)のように、高い静粛性やリニアでスムーズな発進や、
加速フィールと低ランニングコストが特徴として挙げられます。
自家用以外にも宅配便の小型運送業者や公共のコミューターなど、
商用車に導入するメリットも大きくなります。
また、燃料電池の水素ステーションのような大がかりなインフラ整備を必要としない点が、
大きなメリットと言えるでしょう。
日産では「e-Bio Fuel-Cell」のプロトタイプをブラジルに持ち込んで、
さまざまな実証実験を行っています。
今後の実験結果を基に改良を重ね、市場への投入の機会をうかがいます。
気になるのは日本で実用化された場合の車両価格とインフラの整備です。
現在市販されている水素を動力源とする燃料電池自動車は、
まだまだ特殊な構造から、車両価格が割高です。
また、水素を補給する水素ステーションのインフラ整備が追い付いていない現状です。
日産の「e-Bio Fuel-Cell」は、
次世代の環境に優しいユーザーフレンドリーなエコロジー技術として、実用化が望まれます。