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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.08.19
【ホンダ】エンジンの動きを止める技術、可変シリンダーとは

goo-net編集チーム
ホンダのエンジンテクノロジーに、走行状況に合わせて気筒数を変える「可変シリンダーシステム(VCM)」があります。
簡単に言うと、エンジンを止める技術です。
走行に支障がないように効率良くエンジンを止めて、ガソリンの消費を減らして低燃費を実現させるのが目的の技術です。
可変シリンダーシステムの特徴
可変シリンダーシステム(VCM:Variable Cylinder Management)のメカニズムは、走行状況によって、エンジンの「3分の1」もしくは「半分」を止めてしまいます。
止めるというよりも、休ませるという感覚の方が近いでしょうか。
止めるのはシリンダーの燃焼を停止するということです。
例えば、6気筒エンジンのうち、2気筒あるいは3気筒を停止させて燃料の消費を抑えます。
可変シリンダーシステム装着に対応できる車種は、気筒数の多い排気量が大型の車になります。
走行中に気筒数の3分の1や半分を止めてしまうため、エンジンの小さい車はパワー不足に陥り、性能やドライバビリティが著しく低下するからです。
可変シリンダーシステムは、コンピューター制御で常に作動します。
特に一定速度で走行する高速道などのロングドライブでは、燃料消費の減少に大きな効果が得られます。
可変シリンダーシステムの機能
可変シリンダーシステムは同社のV型6気筒エンジンを搭載する大型排気量車に採用されています。
V型エンジンは左右のバンクに3気筒ずつ、計6気筒のバルブが配置されています。
これが走行状況によって、緻密にバルブを制御して、シリンダーの燃焼の休止や再起動を繰り返します。
【可変シリンダーシステムの稼働状況例】
6気筒稼働:発進時、追い越しなどで瞬時の加速が必要な場合など
4気筒稼働:発進時に一定の速度に達した場合や一般道などでの巡行時など
3気筒稼働:高速道や一般道での巡行時など
アクセルのオン・オフの少ない巡行時では、6気筒のパワーはほとんど必要ありません。
加速時もゆっくりと車速を上げるなら同様に必要ありません。
6気筒や8気筒などの大型車は、常にハイパワーを出す目的ではなく、燃焼を平滑化し、滑らかなエンジン特性が特徴です。
ただ、燃費性能を向上させるだけでなく、高級車に相応しい走行性能を保ったまま、無駄なくエンジンをコントロール可能な技術が、可変シリンダーシステムと言えるでしょう。
可変シリンダーシステムは、多気筒エンジンを搭載する高級車に最適な省エネ・低燃費につながる技術です。
気筒休止システム技術は1981年に、米国のキャデラックが搭載するV型8気筒エンジンに世界で最初に採用されました。
他にもメルセデスベンツのV型12気筒/8気筒エンジンで採用されるなど、ハイブリッドカーが主流となる現在においても、多気筒エンジンを必要とする高級車では、重要な技術と言えるでしょう。
今後も高級車に限らず、同社の高性能スポーツモデルにも積極的に採用が期待される、コアな省エネ技術として進化することでしょう。