中古車購入
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2016.10.17
中古車選びの新常識
世のなかのスピードはますます早くなり、昔のやり方、知識が通用しなくなっています。それは中古車選びについても同じ!今回の特集では、ユーザーアンケートや業界の最新事情を踏まえた「新常識」をお伝えします。
中古車に関する常識をアップデートする必要性
中古車を取り巻く環境やユーザーの意識が大きく変化している。
かつての中古車には、新車に対して安価ではあるが信頼性に欠けるというイメージがあった。それは、自動車自体の信頼性が低く、長く愛用する前に寿命を迎えてしまったこと、そして中古車流通の主役であったのがディーラー系ではなく独立系業者で、一部の悪徳業者が不正な販売方法でユーザーの信頼を裏切っていたことなどが背景にあった。
だが、ご存知のとおりその後クルマの品質は驚異的な進化を遂げ、使用年数は普通車で12年以上と、1970年代の倍近くまで伸びている(自検協2016年のデータ)。そして、中古車販売についても消費者保護の流れが加速し、メーターの巻き戻しや修復歴の有無などを明記するなど、業界全体が健全化の方向へと動いている。
つまり、2016年のいま、中古車を買うならば、その常識をアップデートする必要があるということ。
そこで今回の特集では、Goo読者への自主調査のデータを元に、中古車選びの新常識を新たに定義。いったいどのようなところに注目し、何を大切にするべきなのか、あなたを満足させる中古車選びのヒントがここにある!
中古車を購入する際になにを大切にするのかという非常に重要な質問に対して、「価格」よりも「自分自身が納得できるクルマであればよい」との回答が圧倒的に多い。値段だけではなく、購入体験全体のなかでも満足度を重視するという志向を見ることができた。
中古車購入における支払い総額のボリュームゾーンがわかる調査。50万~150万円で全体の約半数をカバーしていることが見て取れる。100万~200万円未満で全体の3割強となり、価格の上昇傾向がある。
こちらは現在所有しているクルマのボディタイプを聞いたもの。実用的で経済性に優れるクルマが多いことが見て取れる。一方、新車販売台数で上位を占めるハイブリッドカーの比率が少ないことに注目。
上図は、中古車購入の際にユーザーが関心を持つキーワードをクラスター分析でまとめたもの。ここから、クルマ選びの重要なファクターとして「品質」「価格」「店舗」という3つのキーワードが浮かび上がる。これを総合的に判断することが「ユーザーなりの納得」につながるのだ。
中古車市場をとりまく現状 「ユーザー分析でわかった」ほんとうにほしい中古車
実用性だけではなく新しい価値を求めている
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」というのは孫子の兵法。ということで、まずは中古車ユーザーの分析から新常識をスタートさせる。
Goo読者を対象にした調査で描き出されたのは、どのようなひとが、どのようなニーズを持っているか。そして、そこから導き出されるのは、ユーザー自身もまだ明確となっていない本当のユーザーニーズだ。
そして、アンケートからわかったのが、多くのユーザーが、新しく購入する中古車に対して、現在乗っているクルマの延長線上ではなく、新しい価値を求めているということ。実用性だけではなく、知的好奇心・所有する喜びを提供してくれるモデルにユーザーの目が集まっている。
ひとつの世帯に3人以上で住んでいるユーザーが7割近く(東名阪地域で)という結果があらわれた。当然、クルマにも同居するひとびとが快適に過ごせる性能、居住性が求められることがわかる。
年収は全国平均と同様。「お金がないから中古車」ではなく、中古車をクルマ購入におけるひとつの賢い選択肢としていることがわかる。
ほんとうにほしいのはこんな車種
SUV・クロカン ビジュアルモデル:レクサス RX
ハイブリッドカー ビジュアルモデル:トヨタ プリウス
スポーツカー ビジュアルモデル:スバル WRX STI
電気自動車 ビジュアルモデル:日産 リーフ
燃料電池自動車 ビジュアルモデル:トヨタ ミライ
高くていいのは当たり前 安もの買いはしたくない 納得のボーダーはココ!
自分の求める品質の高さが価格に反映すると考えよう
中古車購入でもっとも大きな要素となるのが価格。どんなにいいクルマでも予算オーバーでは問題外。逆に、値段の安さだけを求めていったときに、リスクが高まるというのも中古車選びの本質だけに、バランス感覚が要求される。
Goo読者へのアンケートでも、購入価格が「納得」へ及ぼす影響が大きいことは、そのコメント内容から伺うことができた。
クルマを購入するという行為は、多くのひとにとって数年に一度のことであり、簡単に慣れるものではない。どんなに冷静を努めても、どこか上ずってしまい、本当に冷静になれたのは、納車されてからという経験を持つひともいるだろう。
そして、ここで改めて伝えたいもっとも大切なことは、購入を後悔しないということ。中古車には相場が形成されており、あるクルマが特別に安いというケースは存在しないと考えるべき。相場よりも安いならば、そのクルマの価値は相場のものよりも低いのが当たり前。平均よりも価値が低いものを選んでしまった多くの場合、その買い物を後悔することになる。
もしも、予算オーバーならば、車種やグレードを妥協するという勇気も必要になってくるのだ。
「年式は古いけど、安い割にきれいで装備が充実してた」
「走行距離、年式、価格など、自分のなかの理想が見つかった」
「新車では買えなかったクルマが中古車だから手に入る!」
「相場より安かったクルマは、購入後に事故車だと発覚した」
※データは、2016年4月 Goo利用者による自主調査。
「これが新常識!」価格に対して価値が高いクルマとは
価格だけではなく価値とのバランスで考える
「バリューフォーマネー」という言葉がある。もともとはアメリカの経済用語で、公共サービスに対して、支払われた対価に近いサービスを提供しようという運動が民間にも広まった言葉だ。そして、この言葉こそ価格というカテゴリーで「納得」に近づくためにもっとも重要となる考え方。価格の高い安いではなく、その商品が提供する価値と価格がバランスがとれて、ユーザーは「納得」を得ることができるのだ。そして、品質を求めるならば、ある程度の出費もいとわないという傾向がユーザーアンケートでもわかってきた。
「中古車のチェックポイント」 新車と違い1台1台のコンディションが異なる中古車は、現車確認が絶対に必要
価格相場
価格相場
「掘り出しモノ」はないと考えよう
これは残念なことだが、中古車における「お宝」とは希少価値のことで、相場よりも安くて状態のいいクルマというのは存在しない。現在の中古車マーケットは高度に情報化されているからだ。だからこそ、中古車相場をしっかりとチェックし、相場勘を養うべし。
内外装の汚れや破損
内外装の汚れや破損
目に触れる部分の汚れや破損は大きなマイナス
これから数年の期間自分の愛車となるクルマだけに、内外装のコンディションは満足度に大きく影響する。汚れや破損のほとんどは、じっくりと観察することで初心者でも見抜くことができる。だが、板金や再塗装の跡を見抜くにはそれなりの経験が必要だ。
メカおよび修復歴
メカおよび修復歴
電気系統や異音などは現車でチェック
中古車を購入する心理的な負担の大部分を占めるのが、メカのコンディションとボディの修復歴について。どちらも見抜くにはプロ並の知識と経験が必要だ。そして、メカの故障については、プロでも予見はできない側面もある。現車確認でじっくりと見るしかない。
ニオイの有無
ニオイの有無
あとからケアしようとすると費用がかかる
中古車選びで意外とおろそかにしがちなのがニオイの有無。ニオイはひとによって感じ方に差があることもあり、購入後になってから問題となるケースが多い。とくに本人ではなく、家族からクレームとなった場合は、高額のクリーニングが必要になることも。
自分で見極めるのが心配なひとは
履歴のしっかりとしたクルマを信用できるお店で
販売店によっては、第三者機関によって物件のコンディションをチェックし、その内容を提示しているところもある。また、自社で管理していた車両ならば、修理や点検整備などの詳しい履歴を把握しているというメリットも。
「ID車両」とは、クルマのプロが厳しくチェックした車両の状態を開示している中古車物件のこと。グーネットではこの「ID車両」に適合する車両を探すことができる。
「きれい」の先にある選び方のテク 買いのグレードを見極める
グレード別の装備を知れば中古車選びに奥行きが出る
納得買いを考えた場合、「安い」「きれい」なのは当たり前。その先にある一歩踏み込んだ探し方が、さらなる納得を生む。それはグレード選び。
その一例が下のロードスター。走りの「RS」と量販仕様「Sスペシャルパッケージ」の間には、数十万円分以上の内容差がある。走り重視なら前者一択だ。このように、グレード別の装備を事前に把握することが、本当の納得買いに繋がる。
「これが新常識!」 こんなに違うグレード間の装備[たとえばマツダ ロードスターの場合]
RS
室内でもっとも異なる点は、「RS」ではシートがレカロになること。サーキットも視野に入れるならこちらを。さらにビルシュタイン、サスタワーバーも標準装備される。
+「ビルシュタイン社製ダンパー」「フロントサスタワーバー」「インダクションサウンドエンハンサー」
Sスペシャルパッケージ
走りと快適性を両立したシンプルなインテリア。「RS」の合成皮革とは異なり、センターコンソールやデコレーションパネルが樹脂製となるのが大きな相違点だ。
走りを重視しないなら標準仕様がリーズナブル
一見すると「RS」は魅力的に見えるが、街乗りメインであれば不要な装備も多い。中古車相場も「RS」は割高なので、自分の用途を考えて選ぶ必要がある。
「ジャンル別」注目グレードはどれ?
クルマごとに選ぶべきグレードが異なる。ここではジャンル別注目車種の「買い」なグレードを探ってみたい。
コンパクト
日産 マーチ 12X
日産 マーチ 12X
「アイドリングストップ」が標準装備
「X」と「G」に標準装備されるアイドリングストップ。この世代のマーチの新機軸であるため、中古車でもぜひ選びたいグレード。最上級「G」なら内装の仕立ても豪華だ。
軽自動車
ダイハツ ムーヴ X SA
ダイハツ ムーヴ X SA
「衝突回避支援システム」が標準装備
「SA(スマートアシスト)」の文字が付くグレードは軽ながらも最新の衝突回避支援システム、つまり自動ブレーキ機能を持つ。誤発進抑制制御も可能。最新版は「SAII」である。
※データは、2016年4月 Goo利用者による自主調査。
ハイブリッド
プリウス G ツーリングセレクションレザーパッケージ
プリウス G ツーリングセレクションレザーパッケージ
「HDDナビゲーションシステム+本革シート」が標準装備
プリウスのような量販HVはメカや機能の差は少ない。グレード選びで注目すべきは、快適装備の有無。「レザーパッケージ」ならナビ+本革が標準装備されるのでオススメ。
SUV
スバル フォレスター2.0i-L アイサイト
スバル フォレスター2.0i-L アイサイト
「アイサイト」が標準装備
フォレスターを買うなら、絶対にチョイスしたいのがアイサイト装着車。国産車のなかでは自動ブレーキの草分けで、クルコン、レーンキープなどが同時に盛り込まれている。
ミニバン
日産 エルグランド250ハイウェイスタープレミアムアーバンクロム
日産 エルグランド250ハイウェイスタープレミアムアーバンクロム
「ダイヤモンドキルトブラックレザー」が標準装備
エルグランドの快適性をさらに上乗せするのがレザーシート。グレード名に「プレミアム」と付くものは、ダイヤモンドキルトのブラックレザーを装備。
セダン
トヨタ マークX 3.5プレミアム
トヨタ マークX 3.5プレミアム
「レーダークルーズコントロール」が標準装備
ブレーキ制御付きレーダークルーズコントロールが付くのは3.5Lの「プレミアム」のみ。ちなみに通常のクルコンは「250G」以外は標準。快適性を求めるなら前者を。
中古車マーケットの現状 傾向&対策
安心感が大きくなりユーザーには追い風
中古車が買いやすくなった。そう感じるユーザーは多いのではないだろうか。その理由はいろいろあるが、何よりも「クルマのコンディション」と「アフターサービスの充実」の改善だろう。近年、認定中古車を中心に、良質車が増え、保証は長期化する傾向にある。これはメーカーや販売店の努力の表れといえ、ユーザーフレンドリーな中古車市場を生み出している。
「これが新常識!」 認定中古車を中心に進む「見える」化と保証の長期化
中古車販売店の現状&購入アドバイス
ひと口に中古車の「お店」といっても、その形態は多彩。まずはその違いを知って、自分に合うお店を訪ねてみよう。
ディーラー
ディーラー
新車時から、メーカーによる適切な整備を行い、履歴のしっかりとした車両から厳しい基準で選ばれたのが認定中古車。共通の基準で厳選、整備された車両は、一定のコンディションが期待でき、中古車ビギナーでも安心して選ぶことができる。手厚いサービスとローン購入がしやすいサポートも魅力。
大型店
大型店
数百台を超える車両を展示する大型店の魅力は、車種やブランドを超えて、多彩なモデルを現車確認できるということ。在庫台数が多ければ、当然気に入ったモデルの色違いや仕様違い、ライバルモデルとの比較検討もできる可能性が高くなる。独自のアフターサービスなども確認しておきたい。
買取販売店
買取販売店
これまで、ユーザーから買取したクルマをオークションや業販していたお店が、直接ユーザーに中古車販売を行うケースが出てきた。中間マージンをカットしているので価格面でのメリットが期待できるが、心配なのが品質と購入後のサポート。場合によっては「安物買いの銭失い」の危険もはらむ。
専業店
専業店
個性的なラインアップやサービスを展開している専業店は多い。あるブランドやモデルに特化したラインアップで、豊富な知識を誇ったり、ユーザー同士の交流をサポートする同好会的なお店もある。また反対に、整備や購入後のサービスなどを簡素化して「とにかく安く」というスタイルのお店もある。
ユーザー実例 私はこうして納得した後悔した
中古車の購入には、悲喜こもごものドラマがあり、彼らの「成功と失敗」にはつねに教訓が隠されている。
CASE 1「後悔」
中古車探しはクルマ探しとお店探し!
ずっとほしかったスポーツクーペ、相場よりも安く買えて満足だったのですが、乗りはじめるといろいろ気になる箇所がポロポロと・・・。ところがお店は「価格相応、こんなもんですよ」と冷たい対応に終始するだけ。もう悔しくて夜も眠れません。
茨城県 西山さん(29歳)
CASE 2「後悔」
「安さに囚われ本末転倒!?買い替え検討」
子どもが3人になったので、大きめのクルマを探すことに。お目当てのクルマは予算内だったのですが、お店で見つけたコンパクトミニバンの安さに驚き衝動買い。しかし、少々狭くて家族からは不評です。家族といっしょにお店に行けば・・・と後悔です。
長野県 保坂さん(48歳)
CASE 3「納得」
「プライスにはしっかりとした意味がある」
低走行で高価、距離そこそこで安価という2台で悩んでいましたが、低金利ローンで低走行なほうを購入しました。中古車とは思えないコンディションのよさに周囲から絶賛の声が絶えません。大事にメンテナンスもして、長く乗って行こうと思っています。
兵庫県 栗原さん(40歳)
CASE 4「納得」
「木よりも森を見ることで満足の購入」
お店で見たとき、ホイールのキズが気になったのですが、年式や走行距離の条件はよく、内装もキレイでした。細かいことには目をつぶろうと、購入を決心して大正解でした。ホイールは安くリペアして、とてもお得な買い物をしました。満足して乗っています。
福岡県 堀田さん(35歳)
長く所有できることでグレードアップが可能に
ところで、クルマのコンディションがよくなり、保証も長期化することで、ユーザーのクルマ選びにも変化が起きている。その最たるは「中古車のグレードアップ化」だろう。クルマとサービスのクオリティが向上することで、これまで以上にクルマに「長く乗れる」という認識が広がっている。そうすると、購入コストもいままで以上に多くかけやすくなり、より高価なモデル、ひとクラス上のモデルを購入しやすい状況になっているのだ。
そこで注意したいのは、予算がかけられるからと、購入する車格をただアップしないこと。意識を変え、そのモデルにとってのコストパフォーマンスを見極めたい。グレードアップするのはクルマではなく、クルマ探し、と心がけたい。