中古車購入
更新日:2018.12.02 / 掲載日:2016.04.22
ONE MAKE MARKET RESEARCH 日産セレナ(2017年08月)

実用性と運転しやすさのバランスに優れた中型サイズミニバンは、発売以来ファミリー層の「あったらいいな」に応えた1台だ。
4th 後期型(生産期間:2013年~)
ハイブリッドと自動ブレーキがキモ
セレナはいわゆる「5ナンバーボックスタイプ」と呼ばれるジャンル。大きすぎない車体サイズながら、1列目から3列目まで大人でもきちんと座れる居住空間を備えているのが特徴だ。直接のライバルはトヨタのヴォクシー&ノアとエスクァイア、ホンダ・ステップワゴン。いずれもモデルチェンジのたびに切磋琢磨しながらパッケージングを磨き上げてきたので、居住性の高さは甲乙つけがたいレベルにある。どれも魅力的なミニバンだ。
そんな状況において、あえてセレナを選ぶ理由。それは大きくふたつある。ひとつは「Sハイブリッド」と呼ぶシンプルなハイブリッドシステムの存在。トヨタ勢のライバルはより本格的で燃費のいいハイブリッドシステムを積んだ仕様を用意しているが、それらは燃費が優れるものの車両価格も高額。比べるとセレナのSハイブリッドは燃費では届かないものの、燃費向上効果の割にリーズナブルでコストパフォーマンスに優れているのが魅力なのだ。
もうひとつは自動ブレーキの状況。たしかにセレナだけでなくライバルも新車の現行モデルには採用しているが、ステップワゴンは2015春に発売した現行モデルから、トヨタ勢も今年1月に改良した仕様からの採用となっている。対してセレナは2013年12月から全車(レスオプション選択時を除く)に標準装備している。該当する中古車を買う際には、ライバルに対する大きなアドバンテージといえる。
日産セレナはこんなクルマ
日産のなかではエルグランドに次ぐ居住スペースを持つミニバン。3列目まで無理なく乗車できるのも特徴だ。大きなスライドドアを持ち、3代目以降は低床フロアのおかげで乗り降りもしやすい。
INTERIOR インテリア
ハイブリッドは専用メーターを採用
ハイブリッドモデルはメーター表示が専用タイプとなる。加飾パネルが変更されたことで、後期型のインパネは高級感がひときわ高まっている。1列目や2列目はもちろん、3列目でも大人がきちんと座れる居住スペースだ。


後期モデルになり、「ハイウェイスター」でも黒以外の明るいインテリアが選べるようになった。
SAFETY セーフティ

先進安全技術の採用でライバルをリードする
約10 ~ 80km/hの範囲で作動する自動ブレーキは前方車両だけでなく歩行者まで検知可能。約30km/h以下で衝突回避の能力がある。車線を認識し、車両がふらつくと警告する車線逸脱警報も装備。

車両を真上から見下ろすような画像で安全確認や車庫入れをサポートする機能は、歩行者の警告もおこなう。
HISTORY ヒストリー
商用バンから派生したがいまでは完全に乗用車設計
ルーツは商用バンに快適装備を組み合わせた「バネット」。初代セレナはバンと車体を共用していたが、2代目以降はバンを廃止した乗用車専用設計となり快適性が大きく向上。3代目からパッケージングも完成の域に入った。
1st
1991年6月2nd
1999年6月3rd
2005年5月4th
2010年10月
RIVAL ライバル
トヨタ ノア

新車価格帯:228万4691円~322万9200円(全グレード)
先代よりも車体が大きくなり、居住性はセレナと同水準だ。2列目を後方に下げて足元を広くするアレンジも特徴。力強いモーターを積んだハイブリッドもある。
ホンダ ステップワゴン

新車価格帯:228万8000円~308万1400円(全グレード)
横開きにもなる後部ドアが便利で、3列目が床下格納式になっているなどライバルにはない実用面の特徴を持つ。1.5Lのターボエンジンは力強く燃費も優れている。
マツダ ビアンテ

新車価格帯:234万3600円~291万600円(全グレード)
マツダでライバルに相当するビアンテはセレナより車幅が広く、室内は横方向のゆったり感がある。低い床も乗り降りしやすい。個性的なフロントデザインも特徴だ。
世代別中古車物件比率

初代はほとんど流通しておらず、ターゲットは2代目以降。しかし、コンディションを考慮すると3代目以降がねらい目だろう。
※すべての価格は参考価格です

実用性と運転しやすさのバランスに優れた中型サイズミニバンは、発売以来ファミリー層の「あったらいいな」に応えた1台だ。
パワーユニットを一新してクルマとしての魅力を高めた4代目
このクラスではじめてのハイブリッドモデルが登場したのが、4代目の前期型。広いガラスエリアによって開放感あふれる室内など、ファミリーカーとしても魅力がある。
いまが買い時!
登場から年数も経ちお買い得感は上昇中
現行モデルとなる後期型とは異なり、前期型は新車登録から5年が経つ車両もあってリーズナブルな価格をつけている個体も多く見かけるようになった。とくにハイブリッドではないスタンダードなモデルは割安感が高い。
4th 前年型(生産期間:2010年~ 2013年)
中古車参考価格帯:100万円~270万円(10年~ 16年 ※4代目全年式・全グレード)
主要諸元
2010年式 日産 セレナ 20G(CVT)
全長×全幅×全高:4685×1695×1865mm
ホイールベース:2860mm
トレッド前/後:1480/1485mm
車両重量:1630kg
総排気量:1997cc
エンジン:直4DOHC
最高出力:147ps/6000rpm
最大トルク:21.4kgm/4400rpm
JC08モード燃費:14.6km/L
サスペンション前後:ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ前後:195/65R15
ライバルより広い室内空間が注目点
4代目はこのクラスでもっとも大きな車体で設計されて、同時期のライバルに比べると室内が広い。とくに差がついているのが3列目で、座ってみると膝まわりのスペースがノア/ヴォクシーやステップワゴンに明らかに勝っているのが分かる。まず3列目を多く使うひとにとって、セレナはライバルよりも実用面での魅力が高いといえる。
ハイブリッドモデルが追加されたのも、この4代目前期型の途中からだ。2012年8月の改良で加わった「Sハイブリッド」は、発電機を発展させて減速時にエネルギーを回収するとともに走行時には駆動力をアシストするモーター化。また補助バッテリーも搭載し、簡易的なメカニズムながらハイブリッドを成立させている。当時のライバルに比べて室内が広く、燃費も良好。それは大きな魅力である。
セレナ (4代目)性能チャート
広い室内と乗降しやすさで実用性がきわめて高い
広くて開放感あふれる室内や大きなドア開口部と低い床による乗り降りのしやすさなど実用性の高さはだれもが認めるところで、チャートにもそれが反映されている。いっぽう動力性能や操縦性など走行性能は「可」の水準だ。
エンジンバリエーション(4代目・全年式)
1997cc 直列4気筒DOHC(MR20DD)
最高出力147ps/最大トルク21.4kgm(2WD/10年~)
最高出力144ps/最大トルク21.1kgm(4WD/10年~)
1997cc 直列4気筒DOHC+モーター(MR20DD + SM23)
エンジン:最高出力147ps/最大トルク21.4kgm(2WD/12年~)
エンジン:最高出力144ps/最大トルク21.1kgm(4WD/12年~)
モーター:最高出力2.4ps/最大トルク5.5kgm(12年~)
ボディタイプ
5ドア
乗車定員
8名
INTERIOR インテリア
個性的なインパネ形状と独特のシートアレンジ
前方との視線移動を最小限としハンドルに遮られることなく表示を見られるように考えたメーターの位置が独特。シートは2列目中央部分が独立して前後にスライドできる機構で、状況に応じて2列目は左右独立シートにもなる。


1列目背もたれに備える折りたたみ式テーブルや2列目サイドウインドウのサンシェードなど快適装備も充実。

2列目と3列目を畳めば自転車が2台積めるほどラゲッジルームは広い。サンルーフも設定している。
MECHANISM メカニズム

モーターの出力はわずか2.4馬力ほど。しかしながら燃費はJC08モードで最大15.2km/L(前期型)を達成する。
ハイブリッドシステムはコスパに優れたタイプ
一般的なハイブリッド車のように強力なモーターは積まず、エンジンの脇にある発電機を発展させた小さなモーターによる簡易的な仕掛けでハイブリッド化。燃費向上効果はわずかだが、コストパフォーマンスに優れる。
VARIATION バリエーション

ハイウェイスターを中心に豊富なモデルを用意
好みに合わせて選べる数タイプのバリエーションを持つ。基本仕様は標準タイプとエアロモデルの「ハイウェイスター」があるが、市場ではハイウェイスターの比率が高く、中古車の流通台数も多い。
HYBRID ハイブリッド

後期型のほとんどのグレードはハイブリッドとなるのも特筆すべき点。メーターやエンブレムなどが標準モデルとの識別点。エコモデルらしいデザインだ。
RIDER ライダー

ハイウェイスターよりもさらに個性を際立たせたいひとのための仕様。グリルなど外装にクロームを飾り、内装も上質なシート素材などで質感を向上。
MARKET DATA マーケットデータ
マイナーチェンジを境に相場が異なる
「20S」などのベーシックなモデルは100万円前後の予算からねらえるが、ハイブリッドは依然人気で170万円の予算が必要。2013年の改良を境に相場が大きく異なるのも注意。価格重視なら前期型だ。
グレード×年式別相場(4代目)
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20S / 20X / 20G | 95万円 | 138万円 | 148万円 | 161万円 | 190万円 | 217万円 | – |
20X / 20G Sハイブリッド | – | – | 176万円 | 162万円 | 175万円 | 220万円 | – |
ハイウェイスター | 170万円 | 168万円 | 184万円 | 220万円 | 259万円 | 230万円 | 201万円 |
ハイウェイスター Sハイブリッド | – | – | 189万円 | 195万円 | 222万円 | 237万円 | 227万円 |
走行距離×年式別相場(4代目)
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1万km未満 | – | 184万円 | 205万円 | 212万円 | 235万円 | 236万円 | 224万円 |
1万km~3万km | 186万円 | 180万円 | 196万円 | 202万円 | 218万円 | 217万円 | – |
3万km以上 | 142万円 | 157万円 | 171万円 | 188万円 | 173万円 | – | – |
年式
もっとも豊富なのがデビュー翌年の2011年式。2015年式も21%と多め。前期、後期ともに十分な物件がある。走行距離
登場から5年が経つが、1万km未満の低走行車が3割以上存在する。全体的に状態がよい車両が豊富である。
グレード
ハイウェイスターの割合が非常に多く、全体の8割を占めている。途中で追加されたHVも4割近く存在する。
ファミリー層のニーズにフォーカス親しみやすいデザインが魅力の3代目
2代目に比べてパッケージングが大幅に進化したことで、室内が抜群に広くなった3代目。ファミリーミニバンとして高いポジションを築いたのもこのモデルからだ。
3rd(生産期間:2005年~ 2010年)
中古車参考価格帯:50万円~180万円(05年~10年 ※全グレード)
主要諸元
2007年式 日産 セレナ ハイウェイスター(CVT)
全長×全幅×全高:4740×1725×1840mm
ホイールベース:2860mm
トレッド前/後:1480/1485mm
車両重量:1610kg
総排気量:1997cc
エンジン:直4DOHC
最高出力:137ps/5200rpm
最大トルク:20.4kgm/4400rpm
10・15モード燃費:13.2km/L
サスペンション前後:ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ前後:195/60R16
走りも快適性も大幅にレベルアップ
3代目は先代からの進化が多岐におよび、その幅はきわめて大きい。たとえば居住性は、3列目に座ると違いが一目瞭然だ。スペースが大幅に広くなり、長時間乗ってもより快適に過ごせるようになった。またシャシーが全面的に変更されたこともあって、先代までは商用車に近かった運転感覚もずっとセダンライクになった。セダンから乗り換えても違和感がなくなったのは、この世代の大きなトピックである。
同乗者にとっては乗り心地が大幅にレベルアップしたことや、床が低くなって乗り降りしやすくなったのも見逃せない進化だ。
そしてだれもが驚いたのは3列目の格納方法。従来どおり左右跳ねあげ式ではあるのだが、アシスト機構を内蔵したおかげで手を添える程度の力で格納/展開できるようになったのだ。これは後にライバル勢も追従するが、先駆者はセレナである。
高い居住性は前期型も同様

前期型 2005年5月~2007年12月
前期型と後期型はフロント部のデザインが大きく異なるほか、前期型には「ハイウェイスター」が用意されないなどバリエーション展開における違いもある。ただ、広い室内による快適性は前期型も同様だ。
セレナ (3代目)性能チャート

実用性の高さが大きな魅力
広い室内とこの時代のライバルにはなかった「簡単に折り畳みできる3列目」が実用性の水準を大幅に引き上げている。趣味性が低いのは、かぎられたひとではなく大多数のユーザーに向けたクルマづくりであることの裏返しだ。燃費は標準的な水準といえる。
エンジンバリエーション
1997cc 直列4気筒DOHC(MR20DE)
最高出力137ps/最大トルク20.4kgm(2WD/05年~10年)
最高出力129ps/最大トルク19.1kgm(4WD/05年~10年)
ボディタイプ
5ドア
乗車定員
8名
INTERIOR インテリア

高い天井と広いガラス面積で開放感のある室内。フロアは先代に比べて低くなり、乗り降りもしやすくなった。
広くて快適な室内とシンプルデザインに注目
4代目に比べると3列目は狭いものの、ゆったりと座れる居住スペースを用意しているのだから実用的だ。インパネは4代目に比べると奇抜さのないオーソドックスなデザイン。シフトレバーは小型タイプだ。

インパネは助手席前のティッシュボックスが置ける大きなトレーも便利。シンプルなアナログメーターを採用。
MECHANISM メカニズム
電動テールゲートなど便利装備も用意する
2代目に存在した2.5Lエンジンは廃止されたが、CVTを組み合わせた2Lエンジン(全車に搭載する)は滑らかに加速する。もちろん4WDモデルも用意。プラットフォームが刷新されて操縦性も大幅に向上した。

電動スライドドアはもちろん、テールゲートにも電動開閉機構を採用。スイッチ操作で開け閉めできる。
RIDER ライダー

個性を求めるならコレを選びたい
アメリカンカスタムをイメージさせる大胆なメッキグリルを採用したのが、カスタムモデルの「ライダー」。専用チューニングのスポーティサスペンションやブラック基調のインテリアを備える「ライダーS」も存在する。
MARKET DATA マーケットデータ
50万円の低予算からねらえる先代モデル
登場から10年以上が経過した先代セレナは、相場はほぼ底値の状態。2007年までの前期型は50万円から60万円、後期型は60万円から110万円が予算の目安。ただし走行距離が伸びた車両が多い。
グレード×年式別相場(3代目)
2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
20S/20G/20RX | 46万円 | 47万円 | 60万円 | 78万円 | 96万円 | 112万円 |
ハイウェイスター | – | 72万円 | 80万円 | 103万円 | 124万円 | 138万円 |
走行距離×年式別相場(3代目)
2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
8万km未満 | 67万円 | 77万円 | 92万円 | 116万円 | 127万円 | 136万円 |
8万km~10万km | 45万円 | 58万円 | 67万円 | 78万円 | 97万円 | 114万円 |
10万km以上 | 36万円 | 40万円 | 46万円 | 58万円 | 72万円 | 90万円 |
IMPRESSION インプレッション
ユーザー口コミレビュー
シンプルでスマートなエクステリアはすごく気に入ってる。乗り心地はふわふわせず、適度な硬さ。シートアレンジのバリエーションも豊富で使いやすいです。ただし車体が重いせいか、ハイブリッドでも燃費はいまいち。
総合評価:4.3/5.0(4代目)
ドライバー歴22年/グレード:ハイウェイスター Sハイブリッド
同価格帯の他メーカーのクルマと比較すると,いちばん落ち着いた雰囲気のある内装です。緩やかな曲線を使ったインテリアデザインは、豪華ではないけれどもけっしてチープな印象は受けませんでした。
総合評価:4.5/5.0(4代目)
ドライバー歴17年/グレード:ハイウェイスター エアロモード
デザインや機能は申し分ありません。とくに子育て世代にはこの上なく便利なクルマ。2列目シートの使い勝手がよく、多彩なシートアレンジも魅力。人気車種なので社外オプション品も多いです。ただし燃費がいまいち。
総合評価:3.3/5.0(3代目)
ドライバー歴35年/グレード:20S ナビプラスステップセレクション
※口コミレビューは、Goo-netに投稿されたものを一部抜粋・改変して記載しています。総合評価は5点満点。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の○と×
GOOD
広くて快適な室内は使うひとを選ばない
なにより素晴らしいのは車体サイズが大きすぎないのに室内が広く、実用性が高いことだ。たとえば3列目シートの居住性は、いまでこそノア/ヴォクシー/エスクァイアが追いついてきたものの、これらの新型が登場する以前はセレナが大きくリードしていた。もちろんステップワゴンよりも広い。中古車を買う際にはそのあたりがセレナの最大の魅力となる。
BAD
街で見かける頻度が高くクルマの個性は薄い
もしクルマに個性を求めるのなら、残念ながらセレナは控えめだ。多くのひとをターゲットとしているので個性的な演出は少なく、「ひとと違ったもので個性がほしい」というニーズは満たしにくい。また、走行フィーリングはステップワゴンほど運転する歓びを感じにくいのも事実。あくまで実用性の高さが魅力の、同乗車のためのクルマだ。
※すべての価格は参考価格です
※中古車参考価格はすべてGoo-net2016年3月調べ。