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更新日:2024.12.10 / 掲載日:2024.12.06
あのクルマまだ買える? 歴代COTY受賞車の中古車事情をリサーチ

先日、2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤーが「ホンダ フリード」に決定した。小さなボディに広い室内を持つフリードは身近な存在で、デザイン性やハイブリッド技術なども高く評価されている。そんな日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下、COTY)は今年で45回目の開催となり、過去に数多くの名車を称えてきた。そこで今回は、過去のCOTY受賞車を年代順にピックアップし、その中古車事情をリサーチ。物件数や相場が現在どうなっているかを紹介していこう。
第1回 1980-1981「マツダ ファミリア 3ドアハッチバック」

1980年に始まった第1回目の日本カー・オブ・ザ・イヤー。この時代は日本でも自家用車の普及が進み、この年は日本の自動車生産台数がアメリカを抜き1000万台を突破した。そんな時代に創設されたCOTYだが、最初に受賞したのはマツダ ファミリア 3ドアハッチバック(5代目)だった。ファミリア初のFF方式を採用し、エッジの効いたボディデザインと広い室内は高く評価された。軽快な走りと実用性は、まさに国民の足ともいえる存在。
そんなファミリアの中古車を調べてみると、2024年12月3日現在、グーネットに登録されている3ドアのファミリアはわずか1台のみで171.2万円。同世代の5ドアは2台登録されているが、価格帯は148万円~173万円。希少車ゆえ入手難易度は高いが、意外と手頃な価格で販売されていた。
第2回 1981-1982「トヨタ ソアラ」

1981年の第2回目では、トヨタ ソアラが受賞している。この年はマツダ コスモ/ルーチェ、トヨタ セリカ、日産 スカイラインなどスペシャルティ色の強いクルマがノミネート車として顔を揃えていたが、COTYに輝いたのはトヨタ ソアラ。当時、自動車は一家に一台が当たり前で、より豪華で贅沢なクルマがステータスになりつつあった時代だ。そんなハイソカーブームに乗ったのが、この初代トヨタ ソアラ。マイコン式オートエアコン、2.8L 直6ツインカムエンジン、「スーパーホワイト」でペイントされた鮮やかなボディなど、ハイエンドな国産車の魅力をこの上なく放っていた。ただの高級クーペという枠を超え、明るく豊かな未来への希望が詰め込まれた1台だったのだ。
そんな初代ソアラは現在でも中古車がわずかに残っている。価格帯は170万円~820万円とピンキリだが、純正フルノーマル車も入手可能なようだ。歴史的な名車がほしいなら、検討してはいかがだろうか?
第5回 1984-1982「トヨタ MR2」

80年代は高級車だけじゃなく、身近なクルマも粒揃いだった。なかでも1984年6月に登場したトヨタ MR2は、日本車の量産モデルとして初のミッドシップレイアウトを採用したことが話題となり、見事COTYを受賞。当時ミッドシップといえば、フェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーかレーシングカーが中心。そんななか、トヨタは全長4mを切るコンパクトなボディの中心にエンジンを横置きで搭載。スタイルも小さなスーパーカーという佇まいで人気を呼んだ。
デビュー当時の価格(東京地区)は139万5000円~179万5000円という手頃な価格もヒットした要因。そんな初代MR2だが、グーネットには30台弱登録されている。価格帯は170万円~480万円。いずれも走行距離が伸びており、状態のよい個体やフルノーマル車は極めて少ない。
第9回 1988-1989「日産 シルビア」

好景気の真っ只中にあった80年代後半、日本では多くのスポーツカーやスペシャルティカーが生まれた。そのひとつが1988年5月に発売された5代目日産 シルビア(S13)。5ナンバーサイズのコンパクトなボディとFRレイアウトを採用したクーペだが、その美しいデザインが高く評価されCOTYを獲得。当時はトヨタ セリカ、ホンダ プレリュードが国産スペシャルティカーの二大巨頭で、特にS13シルビアよりも1年早く登場した3代目プレリュードは、デートカーとして一世を風靡していた。そんなプレリュードへの対抗馬として登場したシルビアは、デートカーとしてのみならず、手頃なスポーツカーとして走り屋にも愛されたモデルだった。
販売台数が多かったこともあり、中古車は今でも手に入る。ただし10年~20年前と比べて相場が上がっており、価格帯は200万円~600万円と若干のプレミア価格に。以前はそこそこのコンディションでも50万円以下の予算で豊富に選べたが、今では敷居の高いモデルになってしまった。
第10回 1989-1990「トヨタ セルシオ」

1989年のCOTYは、トヨタ セルシオが受賞した。この年はスカイライン(R32)、ユーノスロードスター、レガシィ、フェアレディZ、インテグラなど、今でも名を残す名車が数多くノミネートされた年。そんな手強いライバルを抑えたセルシオは、存在感が頭ひとつ抜けていたモデルといっていい。当時はバブル経済の真っ只中であり、新開発4.0L V8エンジン、電子制御エアサスペンション、高品質な内外装など、コストを惜しみなく投入して開発されている。ライバルはもはや日本にはなく、メルセデスやBMWなど欧州プレミアムブランドを意識。その静粛性の高さや快適な乗り心地は世界でも高く評価された。また、北米市場ではレクサスブランドの最上級モデルとして発売。今に続くレクサスの祖として、歴史的にも重要な1台だ。
現在中古車はかなり減っており、グーネットに登録されているのはわずか20台弱。ただし中古車価格帯は120万円~360万円と手頃で探しやすい。ただしコンディションを維持したものは限られるだろう。
第11回 1990-1991「三菱 ディアマンテ」

元号が昭和から平成に変わった1990年は、まだバブル経済の余韻を残した時代。この年に発売されたモデルはいずれもコストをかけて開発された豪華なモデルが多く、三菱の高級セダン「ディアマンテ」がCOTYに輝いている。この年はディアマンテのほか、GTO、NSX、ユーノスコスモ、レジェンド、エスティマなどがノミネートされており、どれがCOTYでもおかしくない布陣。そんな強力なライバルを抑えてCOTYを獲得したディアマンテは、BMWを彷彿とさせる逆スラントノーズを採用するなど、ひと目みてカッコいいスタイルなのが高評価に。全長4740mm、全幅1775mmの堂々たるボディサイズながらも新車価格はスタートが199万8000円~と手頃だったことも好意的に迎えられた。ボディタイプは4ドアのピラードハードトップだが、後にワゴンモデルも登場。バブル景気の後押しもあって一世を風靡したディアマンテは、この時代を象徴したモデルといっていいだろう。
そんなディアマンテも、現在グーネットの登録台数(2024年12月3日時点)はわずか1台で価格は94.2万円。極めてレアなクラシックカーというポジションになってしまったのは寂しいところ。
第14回 1993-1994「ホンダ アコード」

1990年代、日本ではスポーツカーブームを迎えた。このブームはスポーツカーだけではなく、スポーツセダンに代表される高性能な乗用車の人気も後押ししたのだった。そんななか、1993年にCOTYを獲得したのがホンダ アコード。北米市場を意識して3ナンバー化した5代目アコードは、ホンダらしいスポーティなルックスと快適な室内を両立したことが高く評価された。なかでもVTECを備えた2.2L 直4を搭載する「SiR」グレードは最高出力190馬力を発揮し、スポーツセダンとしての魅力も放っていた。ちなみにこの年のノミネート車には、レガシィ、ランティス、スカイライン、ユーノス800、アスコット/ラファーガと個性的なセダンがずらりと揃う。またトヨタ スープラが特別賞を獲得しているなど、国産スポーツの盛況ぶりがうかがえる。
CD型と呼ばれる5代目アコードは、残存する中古車は極めて少ない。グーネット登録台数(2024年12月3日時点)はわずか4台で、40万円~140万円という価格帯。一時代を築いたスポーティセダンも、今では寂しい状況となってしまった。
第15回 1994-1995「三菱 FTO」

1994年といえば、初代プレイステーションの発売や関西国際空港の開港、イチローが史上初シーズン200安打を達成した年。そんな年のCOTYに輝いたのが三菱FTOである。三菱にはGTOというミドル級スポーツカーが存在していたが、FTOはその弟分という存在。当時はスポーツカーブームとはいえ、GTOやNSX、RX-7のような高性能車は高嶺の花で、シルビアやセリカ、ロードスターのような手頃な価格で買えるモデルに注目が集まっていた。FTOはそんなニーズに応えたモデルで、当時の新車価格は166万円~239万7000円とリーズナブル。それでいながら1.8L 直4または2.0L V6を搭載し、走りもなかなか優秀だった。また、欧州車のような流麗で美しいデザインも高く評価され、この年のCOTYを受賞するに至っている。
現在の中古車平均価格は100万円~200万円。プレミア価格ではないものの、物件数は限られているため入手難易度は高い。修復歴ありの個体も目立ち、状態のよい車両を探すのは難しくなっている。
第19回 1998-1999「トヨタ アルテッツァ」

1998年は、まだまだセダンやスポーツカーの勢いがあった時代。その年にトヨタは久々のFRセダン「アルテッツァ」を送り出した。コンパクトなFRモデルということもあり「ハチロクが帰ってきた!」なんて評する人も出てくるほど後輪駆動が持て囃されてたのは、この時代の乗用車の大半がFFを採用していたから。FRセダンといえばメルセデスのCクラスやBMW 3シリーズなどの輸入車が主流で、アルテッツァはしばしばこれらのモデルと比較された。さすがにメルセデスやBMWと比較されると分が悪いものの、それでも軽快なハンドリングや若々しいデザインが評価されCOTY受賞へと繋がった。なお、スポーツセダンということもあり、ワンメイクレースやモータースポーツで愛用していたひとも少なくない。
そんなアルテッツァだが、中古車物件はまだ豊富に残っている。価格帯は50万円~300万円と幅広く、高価格帯にあるのはチューニングパーツが盛られた個体が中心。中古車は多かれ少なかれ社外品パーツが装着されているものが大半なので、良コンディションのフルノーマル車を探すのは苦労しそう。走行距離5万km以下の個体もまだ残存するが、ねらうなら最低でも200万円の予算は確保しておきたい。
第31回 2010-2011「ホンダ CR-Z」

2010年代に入ると、エコカーという言葉がしきりに使われるようになった。国土交通省は2009年に「エコカー減税」の概要を発表し、ハイブリッドカーや電気自動車などの電動化モデル、クリーンディーゼルなど、環境性能に優れたモデルに優遇措置を取ったのである。時代はエコ一色、そんななか2010年のCOTYを獲得したのはホンダ CR-Z。ハイブリッドのスポーツクーペという組み合わせは、まさにホンダならではの独創性。というのも、かつてホンダは同様なコンセプトのインサイトを世に送り出しているから。しかしCR-Zは走りも楽しめるクルマとして仕上げられ、モータージャーナリストのみならず一般ユーザーにも高く評価され販売は好調だった。この年の10ベストカーには、ポロ、スイフト、マーチなどの環境志向のコンパクトモデルが目立ったことも時代を感じさせる。
そんなCR-Zの中古車だが、新車販売が好調だったため中古車もまだ豊富で買いやすい。中古車価格帯は40万円~250万円と手頃で、コンディションの良い個体も十分手に入る。また、ハイブリッドカーながらも3ペダルMTが設定されているのも美点。このクルマも将来価格が上がる可能性があるので、楽しむなら今だ。