徹底分析中古車相場
更新日:2020.01.17 / 掲載日:2020.01.17
【トヨタ ヴィッツ】ヤリスの登場でさらに安く買える!? 最終型ヴィッツの買い方指南
昨年末にトヨタ ヴィッツ改め新型「ヤリス」が発表され、2020年2月に発売される。コンパクトカー向けTNGAプラットフォームを採用し、先進の安全、運転支援技術を導入。ハイブリッドモデルも同時に設定し、魅力ある1台に仕上がっていそうだ。ちなみに従来型のヴィッツの月別販売台数は、モデル末期の昨年でも上位にランクインするほどの人気モデルである。以前から値落ちがしにくいモデルだったが、新型が登場した現在、今後の中古車動向は気になるところ。今回は最終型ヴィッツに注目し、狙いの年式、グレードを探って行きたい。
トヨタ ヴィッツってどんなクルマ?
スターレットの後継として1999年に登場したコンパクトカーがトヨタ ヴィッツ。ヨーロピアンで洗練された外観と広い室内空間は、それまでのコンパクトカーとは一線を画すもので、1999~2000日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞した。取りまわしがよく燃費も良好で、カローラを超える販売台数を記録している。2005年には2代目が登場し、ボディがひとまわり大きくなるなど、正常進化を果たした。当時はホンダ フィットやマツダ デミオ、さらにはスズキ スイフトのような強力なライバルも登場しているが、身近な実用車として多くのひとに愛された。
そして、2010年12月には今回のテーマである3代目ヴィッツがデビュー。全幅は1695mmと5ナンバーサイズをキープしつつも、全長は3.9m弱にまで延長。アイドリングストップ機能を新採用し、燃費向上を図ったのも注目のポイントだ。デビュー当初は1.0L、1.3L、1.5Lの3タイプのエンジンが搭載されたが、後にJC08モード燃費34.4km/Lを実現した待望のハイブリッドも追加され、バリエーションを拡大。グレードも多岐にわたり、初代から続くスポーティ仕様「RS」はもちろん、GAZOOレーシングが手がけたG’sシリーズ(後にGRシリーズへと変更)も登場。WRCのベース車にも選ばれたことで、今まで以上に走りのイメージを高めて行ったことも、この世代の大きな特徴と言えよう。
トヨタ ヴィッツの年式別中古車価格相場は?
3代目ヴィッツが登場してから今年で丸9年が経過した。この長いモデルライフのあいだに、度重なる仕様変更が行われ、見た目も大きく移り変わっている。まずは改良遍歴を振り返ってみたい。
デビューしたのは2010年12月のこと。前述のとおり1.0L~1.5Lの3タイプのバリエーションに加え、それぞれ個性を強調した「F」、「ジュエラ」、「U」、「RS」という4つのグレードを設定。とくに「ジュエラ」は、専用のメッキ加飾を施したのが特徴。トランスミッションは「RS」では5速MTも選べたが、それ以外はCVTを採用。また、多くのグレードで2WDと4WDから選べる。なお、グレードによって選べるエンジンが異なり、同じグレードでも複数のエンジンが設定されることに注意したい。2012年5月には一部改良を実施。「F」を除くグレードのセンターレジスターノブにメッキ加飾を施したほか、「F」と「ジュエラ」のメーターにシルバー加飾を追加し、インテリアの質感を高めている。
登場から3年が過ぎた2014年4月、初の大掛かりなマイナーチェンジが行われた。この改良における目玉は、新開発1.3Lエンジンが採用されたこと。アトキンソンサイクルをはじめとする高効率化により、JC08モード25.0km/Lの低燃費を実現。あわせて1.0L、1.5Lエンジンも改良を受け、エコカー減税対象モデルとなった。ボディには、スポット溶接の増し打ち、床下補強材の大型化などの強化が施され、ショックアブソーバーも改良を受けるなど、走りの面でも大きく進化した。また、「キーンルック」と呼ばれる新しいデザインが導入され、トヨタファミリーであることも強調された。さらにスポーティな「G’s」も設定され、走り好きにもアピールする布陣となった。2015年6月の一部改良では、一部グレードを除き衝突回避軽減ブレーキを含む「トヨタセーフティセンスC」も標準装備されている。
2017年1月、2度目のマイナーチェンジを実施。フロントバンパーやグリル、ヘッドランプ形状が見直され、より洗練された顔立ちになったのが見どころ。インテリアは落ち着いたブラック基調となり、ひとクラス上の質感となった。また、1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドが新設定されたのもトピックである。2018年5月、「トヨタセーフティセンス」に昼間の歩行者も検知対象に加えた「プリクラッシュセーフティ」が採用され、安全性がさらに高められた。以上を踏まえ、年式別中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2011年式 | 50万円 |
2012年式 | 57万円 |
2013年式 | 67万円 |
2014年式 | 73万円 |
2015年式 | 83万円 |
2016年式 | 97万円 |
2017年式 | 122万円 |
2018年式 | 138万円 |
2019年式 | 141万円 |
100万円以下で買うなら2015年~2016年の中期型がオススメ
ヴィッツの大きな特徴として、物件数が膨大であることが挙げられる。価格帯は20万円~200万円とピンキリで、年式、走行距離によって価格差が大きい傾向だ。とくに2014年4月以前の前期型は、50万円前後の物件が中心となっており、現在非常に安く購入可能。物件数が多いので、ボディカラーやグレードを絞り込んで選ぶことも可能だ。しかし、今回オススメしたいのは2014年4月~2017年1月までの中期型である。デザインが今風のキーンルックとなっているのに加え、2015年6月以降からは「トヨタセーフティセンスC」が標準装備される(F系グレードを除く)。安心と安全を重視するならこれ以降のモデルを探したい。
トヨタ ヴィッツのグレード別中古車価格相場は?
次にグレード別の中古車平均価格を見ていこう。前述のとおり、「F」、「ジュエラ」、「U」、「RS」の基本モデルに加え、「G’s/GRスポーツ」が用意されている。なおエンジンは、「F」と「ジュエラ」は1.0L/1.3L/ハイブリッド、「U」は1.0L/1.3L/1.5L/ハイブリッド、「RS」と「G’s/GRスポーツ」は1.5Lと、グレードによって設定が異なる。
グレード | 中古車平均価格 |
F | 83万円 |
ジュエラ | 76万円 |
U | 83万円 |
RS | 87万円 |
G’s/GR スポーツ | 117万円 |
物件豊富な「F」や「ジュエラ」がオススメ
「G’s/GRスポーツ」を除き、グレードごとの価格差はそれほど大きくない。ただし、物件数はベーシックな「F」がもっとも多く、「ジュエラ」がこれに続く。装備充実の「U」は「F」の半分程度に留まるほか、スポーツ系の「RS」や「G’s」はさらに少ない。探しやすいのは「F」や「ジュエラ」だが、上級グレードを狙うほうがお得感があるのはたしかだ。
エンジン別に見ると、たとえば「ジュエラ」の場合は1.3Lのほうが多い反面、ハイブリッドが少ないのが難点。ハイブリッドをねらうなら、「F」が物件豊富で買いやすい。ただしハイブリッドは2017年に追加されて高年式が中心のため、平均価格は130万円と、相場は高めである。
トヨタ ヴィッツの中古車価格相場のまとめ
以上をまとめると、現行型ヴィッツは100万円以下の予算でも購入できる魅力的なコンパクトカーである。安全装備と価格がバランスした2015年式以降の中期型がターゲットゾーン。グレードは「F」や「ジュエラ」が豊富で買いやすい。一方、ハイブリッドを選ぶなら100万円以上の予算は必要だが、ヤリスの登場で今後相場は下がる可能性があるので、もう少し様子見するのもありだろう。