徹底分析中古車相場
更新日:2019.02.01 / 掲載日:2019.02.01
【ホンダ インサイト】予算50万円のクルマ選びなら、先代インサイトは鉄板チョイス

昨年末、ホンダ インサイトの新型が発表された。先代の生産終了から4年以上の時を経てのリバイバル。新型インサイトは1999年の初代から数えると3代目となるが、初代はクーペ、2代目は5ドアハッチバック、そして新型は上級4ドアセダンとボディタイプはまちまちである。ただしハイブリッド専用車ということだけが、初代から一貫した共通事項。新型はスポーティで洗練されたエクステリアが見どころで、室内も高級感を感じさせる仕上がり。JC08モード燃費は最大で34.2km/Lと現行型プリウスには及ばないものの、ハイブリッドではない一般的な同クラスのセダンと比較すれば、これは極めて優秀な値だ。しかし、価格は326万1600円からと、先代と比べて130万円ほど高額になり、セグメントがやや上にシフトしている。そこで今回のテーマは先代インサイト。フォーカスを当てるのは、中古車でもっともボリュームがある2代目である。もともとリーズナブルな価格を実現していた先代だが、現在さらに安くなっており、驚くほど低価格で入手することができるようになった。
ホンダ インサイトってどんなクルマ?
1999年11月、ホンダ初の量産ハイブリッドカー、インサイトが登場した。ハイブリッドカーと言えば、当時すでにトヨタ プリウスが話題になっていたが、それに続く第2のハイブリッドとして注目を集めた。プリウスと大きく異なるのは、個性的スタイルの2ドアクーペボディ。こちらの初代は、空力性能を考慮したスペシャルティカーというジャンルゆえ、プリウスの対抗モデルという意味合いは薄かった。
それから10年後となる2009年9月、2代目インサイトがデビューする。初代の生産終了から3年以上経過ており、中身もコンセプトも大きく軌道修正しての登場だった。2代目がターゲットとしたのは、ほぼ同時期にモデルチェンジを受けたトヨタ プリウス。姿形もプリウスに似ていたが、なにより189万円からと低めの価格に設定していたのが話題となった。排気量は初代の1.0Lから1.3Lに拡大され、出力面でもパワーアップを果たし、手頃な価格ながらも本格的なハイブリッドカーとして、プリウスと並び大ヒットした。
ホンダ インサイトの世代別中古車相場は?

ここで、2代目インサイトの遍歴を探ってみよう。2009年2月デビュー時は、「G」「L」「LS」という3グレードでスタート。全車CVTの前輪駆動で、グレードの差は主に装備内容によるもの。JC08モード燃費は最大で26.0km/Lと、同世代のプリウス(32.6km/L)と比べると劣るものの、当時のエコカーとしては十分な性能を持っていた。2010年10月には一部改良を受け、サスペンション特性が見直されて乗り心地がアップ。同時に内装の仕立てや装備内容も見直されている。
2011年10月にはマイナーチェンジを受ける。この改良におけるポイントは、1.5Lモデル「エクスクルーシブ」が追加されたことだろう。フロントバンパーを中心に専用のデザインが与えられ、室内は黒木目調パネルをあしらうなど、標準のインサイトよりもさらに質感をアップ。充実した装備が採用されていながら、JC08モード燃費は23.2km/Lと、まずまずの燃費を実現している。また、同時に1.3Lモデルも進化し、燃費は27.2km/Lへと向上。内外装の変更、リヤシート形状の見直しによる居住性の改善、遮音性能の改良など、さまざまな箇所に手が加えられた。2013年5月には最後の一部改良が行われ、ウォッシャー付き間欠リヤワイパーの全車採用など、装備内容が変更となっている。これを踏まえ、年式別中古車平均価格を見ていきたい。
年式 | 中古車平均価格 |
2009年式 | 43万円 |
2010年式 | 50万円 |
2011年式 | 57万円 |
2012年式 | 65万円 |
2013年式 | 71万円 |
※エクスクルーシブを除く
年式問わず、コンディション重視のクルマ選びを
全体の傾向として、低年式ほど物件が豊富で低価格な傾向がある。とくにデビュー初年度の2009年式が全体の7割以上を占めている状況だ。この年式は、走行距離7万km以下の修復歴なしという条件で絞り込むと、40万円が予算の最低ライン。しかし、なかには5万km以下の物件も多く、初年度式といえども多走行車ばかりではなさそうだ。
一方、後期型(2011年式以降)は物件がかなり乏しい。1.5Lモデルのエクスクルーシブも、全体の割合から考えたらかなり少なめである。しかしながら、相場は前期型とそれほど変わらないから、こちらを探してみるのも手。つまり、年式ごとの相場の差は少なく、極端に高額な物件はないから、年式にはこだわらず幅広く探したい。
ホンダ インサイトのグレード別中古車相場は?

次にグレード別の中古車平均価格を見ていこう。前述のとおり、先代インサイトでは「G」「L」「LS」という標準の1.3Lモデルに、1.5Lモデルのエクスクルーシブ系が選べる。もっともスタンダードな「G」では、パワードアロックスイッチ、ラゲッジルームランプなど一部の装備が省かれ、ヘッドライトはハロゲン式となっている。一方1.3Lモデルの最上級仕様「LS」では、パドルシフト、16インチアルミホイールを採用するなど、スポーティな仕立て。エクスクルーシブ系では、1.5Lエンジンの搭載に加え、室内はより豪華な仕立てで、吸音材をより多く使用することで静粛性も高められている。
装備充実の「LS」がオススメ
物件数は、エントリーグレード「G」が全体の半数以上を占め、もっとも豊富。上級グレードほど数が少なく、エクスクルーシブ系は全体の1割以下しか流通していない。エクスクルーシブ系は若干相場が高めであるが、それ以外はグレードごとの価格差はほとんど無視できる状況だ。だから、できれば装備が充実した「LS」を積極的に探すとよい。しかし、エントリーグレード「G」でも、オートエアコンなど基本的な装備は揃っており、ただの廉価版という位置付けではない。こちらは物件数が多いゆえ、コンディションのよい個体を探しやすいというメリットもあるから、それを考慮に入れたクルマ選びをしたいところだ。
先代トヨタ プリウスと比較すると?

先代インサイトを購入する際、気になるのは同時期にデビューした先代プリウスの存在だろう。性能面ではプリウスに軍配があがるから、同じ予算ならばプリウスも魅力的な存在となるはず。今回調査したところ、プリウスの中古車平均価格は105万円だった。もちろん、インサイトよりも長く生産されていたから、インサイトよりも相場が高めなのは当然である。しかしインサイトの2倍という平均価格は、できる限りの低予算で買いたいと考える人には厳しく映るかもしれない。ちなみに物件数は圧倒的にプリウスのほうが多いから、もし予算にゆとりがあるなら、プリウスもオススメの1台なのは間違いない。
なお、新型インサイトが発表されているが、先代の中古車相場への影響は少なそう。すでに底値に近い状態となっているから、新型が登場しても相場は緩やかな右肩下がりとなるはず。物件もまだ十分残っているため、当分のあいだ、先代インサイトはお手頃な価格で入手できるだろう。