徹底分析中古車相場
更新日:2018.10.19 / 掲載日:2018.10.18
【日産 スカイライン】4年落ちで半額にまで下がった現行型スカイラインは買い?

かつて一世を風靡したスポーツセダンがスカイライン。日本のモータリゼーション黎明期から存在するロングセラーモデルで、昨年(2017年)は生誕60周年を迎えた。以前はモータースポーツとの関係が密接で、レース好き、クルマ好きから大きな注目を集めるモデルだった。しかし時代は移り変わり、現在新車販売の中心となっているのはSUVやミニバンばかり。残念ながら現行型スカイラインは、新車販売ランキングの上位にその名を連ねることはない。しかしその一方で、グーネットの検索ランキングでは上位ランキング車種となっており、スカイラインに対する世間の関心はいまだ強い。そこで今回は、現行型スカイラインの相場動向を探ってみたい。登場から丸4年が経過し、かなり手頃な価格の物件が増えているのだ。
日産 スカイラインってどんなクルマ?
1957年、プリンス自動車(後に日産と合併)が生み出した乗用車に端を発するスカイライン。60年以上も同じ車名で生産され続けた、数少ない日本車でもある。初代スカイラインは当時のアメ車を思わせるラグジュアリーな見た目と性格だったが、2代目はスカイラインGTとしてモータースポーツに参戦し、大きな戦果を残している。3代目には日産のスポーツカーを象徴する初の「GT-R」が登場するなど、その後のスポーツセダンとしてのパーソナリティを決定づけた。
後輪駆動のスポーツセダン…半世紀近くも続いた、そんなイメージが大きく変わったのは、21世紀最初のスカイライン「V35」である。2001年6月に登場したこの11代目(V35)以降は海外マーケットを視野に入れたクルマづくりが行われ、事実「インフィニティ G35」という名称で北米市場に投入された。2000年代に入ると、日本のファミリーカー像はセダンからミニバンへとシフトしていき、スカイラインはグローバル市場に居場所を求めることになったのだ。ちなみに、スカイラインのアイデンティティである丸型4灯テールランプが廃止されたのもV35型からで、GT-Rは消滅し(後に独立モデルとして復活する)、日産ワークスとしてスカイラインによるモータースポーツ参戦も行われなくなった。2006年11月に登場した12代目(V36)も同様の路線を行き、スカイラインが持つ走りのDNAはそのままながらも、より大きく豪華なクルマとなっていった。
そして2014年2月、今回のテーマである13代目(V37)のスカイラインが登場する。この世代からフロントグリルのバッジが日産からインフィニティへと変わり、より一層グローバル色の強いモデルとなった。メカニズム面では、デビュー時のラインアップ全車がハイブリッド仕様となったことがトピックだ。3.5L V6エンジンにモーターを組み合わせることで、システム最高出力は364馬力と、ちょっとしたハイパフォーマンスカー級のスペックを獲得している。それでいながらJC08モード燃費は18.4km/Lと、排気量を考えたら十分すぎるほどの低燃費を実現し、時代の要求に応えたスポーツセダンに仕上げられた。姿形は変われど、走りのDNAは今も受け継がれているのである。
日産 スカイラインの年式別中古車相場は?

ここで現行型の遍歴を振り返ってみよう。2014年2月に発売されたV37型スカイラインはV6ハイブリッドからスタートしたが、同年5月に2.0L直4ターボを搭載した「200GT-t」が追加された。ちなみに、こちらのエンジンはメルセデス製で、最高出力は211馬力を発揮。V6はハイブリッドだったが、この直4はバッテリーを積まない恩恵により、トランクルームが広くなっているのが特徴。
2016年3月には自動ブレーキシステム(エマージェンシーブレーキ)が全車標準装備される。同年11月には、スカイライン生誕60周年を記念した期間限定車が登場。こちらはセミアニリン加工を施した本革スポーツシートを採用し、同時にウッドトリムの内装に仕立てるなど豪華な1台に仕立てられた。また、このタイミングでボディカラーの変更、「BOSEパフォーマンスシリーズ・サウンドシステム」をオプション設定するなど、全車が一部改良を受けている。
そして2017年12月にはマイナーチェンジが行われ、フロントグリルの大型化、バンパーデザインの変更など外観をリニューアル。インテリアはステアリンググリップを太くし、シフトノブのトリムなどがより高品質なものになっている。それらを踏まえ、年式別の中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2014年式 | 264万円 |
2015年式 | 274万円 |
2016年式 | 320万円 |
2017年式 | 370万円 |
2018年式 | 372万円 |
物件豊富で価格が安い2014年式がターゲット
2017年12月に行われたマイナーチェンジ以降の物件は非常に少なく、必然的に前期型がターゲットとなる。なかでもデビュー年の2014年式がもっとも豊富で、全体の半数近くを占めている。こちらの平均価格は264万円だが、じっくり探すと200万円を切る物件もあるから、以前と比べてかなり手頃な価格になったと言えよう。現在の新車価格帯は概ね400万円~600万円だから、この年式なら半額程度の予算で買えるようになった。ちなみに走行距離は3万~5万kmが目安である。
日産 スカイラインのグレード別中古車相場は?

スカイラインのグレード構成は、大きくわけて2タイプに分類できる。ひとつは3.5L V6+モーターの「350GT ハイブリッド」と2.0L 直4ターボの「200GT-t」。また、前者には4WDの「350GT FOUR ハイブリッド」も選べる。また、これらの基本グレードに応じて装備充実の「タイプP」、スポーティな最上級仕様「タイプSP」などが設定されている。とくに「タイプSP」はパドルシフト、アルミペダルが与えられており、かつてのスポーツイメージを押し出した仕様となっているから要注目。
グレード | 中古車平均価格 |
200GT-t | 284万円 |
350GT ハイブリッド | 280万円 |
350GT FOUR ハイブリッド | 304万円 |
ランニングコストが有利な「200GT-t タイプP」が狙い目
ふたつのエンジンが設定されるが、どちらも相場に大きな差はなく、物件数も同じ程度。スカイラインをパフォーマンスカーと捉えるなら選択肢はV6で決まりだ。しかし、走りを楽しめる上級セダンとしてのキャラクターを思い描いているなら、4気筒ターボでも十分期待に応えてくれるはず。V6はハイブリッドカーゆえ燃費が若干有利だが、排気量が3.5Lなので毎年およそ2万円ほど余分にコストが掛かる。そう考えると、オススメしたいのは「200GT-t」。こちらは標準仕様の平均価格が244万円、「タイプP」が281万円、「タイプSP」が296万円となっている。ちなみに物件数は「タイプP」がもっとも多く、探しやすい。例えば、グーネットで検索すると2014年式、5.3万kmの「200GT-t タイプP」で208万8000円という個体を確認できた(2018年10月12日現在)。この条件だと200万円台前半が予算の目安となるだろう。
日産 スカイライン中古車相場のまとめ

90年代終わり頃までのスカイラインは、若者たちが憧れるクルマの代表だった。そして、その若者たちがミドルエイジになった今もなお、スカイラインはかつてのファンの心の片隅にあるネームである。スカイラインは、そんな大人たちが乗るべきクルマなのだろう。たしかに新車価格は高額だが、コンディションが悪くない中古車でも200万円前後で探せる今、前向きに検討しうる状況と言っていい。こだわりのクルマ選びをするなら、ぜひ候補の1台に加えてみてはいかがだろう。