徹底分析中古車相場
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2018.06.22
【ランエボ vs インプレッサ STI】中古車相場を比較!

どちらもコンパクトセダン界のスーパーカー!
ランエボとインプレッサSTI
ランエボとインプレッサ WRX STIの2台、最初にデビューしたのはランエボの方である。1992年9月に登場した初代ランエボは、WRCを頂点とするラリーのベース車両として開発された。小型セダンのランサーに2.0L 4気筒ターボ+4WDのパワートレーンを与え、最高出力250psを発揮。それから遅れることおよそ1年、1994年1月にインプレッサ WRX STiバージョンが登場。こちらもWRC参戦を見据えて開発され、ランエボと同じく2.0L 4気筒ターボを搭載し、最高出力も250馬力とまったく同じ値を誇った。最大トルク値も、両者とも31.5kgmと同じ数値だったから、両者はモータースポーツ、市販車ともに真のライバル関係にあったと言えよう。
ランエボ、インプレッサSTIはともにロングセラー
以降、ランエボとインプレッサは毎年改良が加えられ、ランエボはII、III…とナンバリングされ、インプレッサはSTiバージョンII、STiバージョンIIIと言う具合に進化し続ける。ランエボは1995年、2000年、2007年にベース車がモデルチェンジ。ちなみに2007年以降はギャランフォルティス(海外名ランサー)がベースとなったが、車名はランサーエボリューションXと、ランエボブランドは継続された。インプレッサ WRX STIは2000年、2007年にベース車が一新され、2014年からはインプレッサのネーミングが外されて「WRX」という独立車種となる。
ランエボ、インプレッサSTIは市販スポーツカーへ変遷
もともとWRCのグループAという規定に則って設計されたランエボとインプレッサ WRX STIだが、WRCの競技規定が改定され、このような高性能車の生産が不要になった後も2社は生産を継続。2000年代以降は、両車ともWRC参戦の目的ではなく、純粋なロードゴーイングスポーツというポジションにシフトしていったことも注目したい。競技車両のベース車からスポーツカーへ。こういった変遷を持つクルマは、スカイラインシリーズのスカイラインGT-Rを除けば、世界でもあまり例がない。つまり、それだけランエボとインプレッサWRX STIはユーザーからのラブコールが強いクルマだったのである。
圧倒的パフォーマンスが人気の秘密
三菱 ランサーエボリューションX
スバル WRX STI
ランエボとインプレッサが支持される理由は、その並外れた動力性能にある。250馬力~300馬力というパフォーマンスは、今でこそ珍しくないものの、これらが登場した当時は高性能スポーツ級。90年代半ばのポルシェ911カレラ(タイプ993)は、排気量が3.6Lで272馬力だったのだから、ランエボとインプレッサがどれほどのパフォーマンスを実現していたか推し量ることができるだろう。
新車時は300万円前後という手が出しやすい価格だった
しかも、両者が優れているのはパワーだけではない。卓越した4WDシステムを搭載し、あらゆる路面で速く、安全に駆け抜けることができた。小型軽量、ハイパワー、4WDを兼ね備えながら車両価格は300万円前後という手が出しやすい価格が、多くのスポーツカーファンの心をガッチリと掴んだのである。またラリーに参戦するWRカーと同じルックスのクルマが手に入るということも、モータースポーツファンを沸かせた要因だろう。
歴代ランエボの相場をチェック

まずは、歴代ランエボの相場から見ていこう。
モデル | 中古車平均価格 |
ランサーエボリューションII | 172万円 |
ランサーエボリューションIII | 157万円 |
ランサーエボリューションIV | 83万円 |
ランサーエボリューションV | 126万円 |
ランサーエボリューションVI | 119万円 |
ランサーエボリューションVII | 104万円 |
ランサーエボリューションVIII | 169万円 |
ランサーエボリューションIX | 236万円 |
ランサーエボリューションX | 285万円 |
※ランサーエボリューションIIは物件数が少なく、リンク表記は省略。
この表から分かるのは、新しい=高額ではないこと。現在グーネットにはエボIは流通しておらず、エボIIは172万円が相場。この数字は、エボV~VIIIよりも高額である。全体的に言えるのは、現在は全世代のランエボにプレミアが付いており、世代間の価格差はそれほど大きくないということだ。中古車価格は、基本的に車両コンディションに強く依存している。
ランサーエボリューションI~IIIの中古車相場は?
もう少し具体的に掘り下げてみよう。エボI~IIIは、4代目ランサーがベースで、エボIがCD9A型、エボII~IIIがCE9A型という型式名となる。これらの世代は物件ボリュームが極端に少ないが、コンディションの悪い物件は淘汰され、現存しているのは比較的状態がよいものが多い。そのため相場が高くなっており、200万円を超える物件もある。しかしフルノーマル車は希少で、標準ホイール装着車は皆無だった。
ランサーエボリューションIV~VIの中古車相場は?
エボIV~VIは5代目ランサーがベースとなっており、エボIVがCN9A型、エボV~VIがCP9A型と呼ばれる。この世代から最高出力は自主規制いっぱいの280馬力を達成し、AYCなど後のエボシリーズに受け継がれる電子制御システムが初めて採用された。物件数は従来型より多いが、8万km以上の多走行車が中心となる。こちらも完全なるフルノーマル車はほぼ皆無で、改造範囲は車高調、ホイール、マフラーなどは社外品のケースが多い。5万km以下で比較的状態のよいものは、たとえ改造車でも200万円超となっている。
ランサーエボリューションVII~IXの中古車相場は?
エボVII~IXは、車両型式がCT9A型となる。この世代以降はワゴンやAT仕様も設定され、ユーザーの間口が広くなったのが印象的だ。前世代のエボと比べると物件数がグンと増え、フルノーマルの極上個体もわずかだが流通するのを確認できた。ただし、コンディションのよい車両は300万円以上と、相場も高め。とは言え、物件数が多く幅広い予算で相応の車両が入手できるので、エボを買うならもっともオススメの世代と言えるだろう。物件はVIIがもっとも多いが、コンディションを加味するとVIII以降が買いやすい。
ランサーエボリューションXの中古車相場は?
最後に、2007年に登場したエボX(CZ4A型)は、高年式が非常に豊富で、フルノーマル車も十分残っている。無改造車にこだわるなら前世代よりも安く手に入るのが魅力だが、全体の平均価格はそれなりに高め。それでも200万円の予算があれば、状態のよい車両が入手できる。ちなみに2015年8月に登場したファイナルエディション(国内1000台限定)は、ランエボの20年以上に及ぶ歴史の終止符となる記念すべき1台で、状態のよいものは600万円前後で取引される。スポーツカー史に残るクルマゆえ、今後も価値が上がっていく可能性が極めて高い。
歴代インプレッサWRX STIの相場をチェック

次にインプレッサ WRX STIを見てみよう。
モデル | 中古車平均価格 |
インプレッサWRX STiバージョンIII(GC) | 67万円 |
インプレッサWRX STiバージョンIV(GC) | 89万円 |
インプレッサWRX STiバージョンV(GC) | 111万円 |
インプレッサWRX STiバージョンVI(GC) | 138万円 |
インプレッサWRX STI(GD) | 133万円 |
インプレッサWRX STI(GR/GV) | 184万円 |
WRX STI(VAB) | 374万円 |
※WRX STiバージョンIIIおよびIVは物件数が少なく、リンク表記は省略。
インプレッサWRX STiバージョン(GC型)の中古車相場は?
WRX STIは、大きく分けると4世代存在する。1994年から2000年まで生産された初代(GC型)は、同時代のランエボと比べて現存する車両が少なく、相場もかなり低め。とくにSTiバージョンII以前の車両が少なく、走行距離が8万km以下の車両は極めて稀。しかし、2018年6月15日時点の調査では低走行かつフルノーマルの個体を確認できた。価格はいずれも200万円オーバーとなっている。また、この世代には2.2Lエンジンを積む限定車「22B STiバージョン」がマニアのあいだで話題となるが、グーネットに登録される中古車を発見することはできなかった。
インプレッサWRX STI(GD型)の中古車相場は?
2000年に発表された2代目インプレッサのGD型は、グレード名から「バージョン」という表記がなくなり、「WRX STI(2005年以前はWRX STi)」に統一。2002年と2005年にそれぞれマイナーチェンジが実施され、フロントデザインが大幅に変更されたのもこの世代の特徴。なかでも2002年~2005年に生産された中期型(涙目型ヘッドライト)が多く、逆に前期型(丸目ヘッドライト)が少ない状況だ。全体の物件ボリュームは多いものの、低走行なフルノーマル車は少なく、300万円前後の高額で取引されているようだ。なかでもSTIが手がけたコンプリートカー「S203」や「S204」はプレミア価格となっている。
インプレッサWRX STI(GR/GV型)の中古車相場は?
2007年にはフルモデルチェンジを受けて新世代のインプレッサが登場。最初に登場したのがハッチバック(GR型)で、セダンのWRX STI(GV型)は2010年に追加される形となっている。この世代には2.5Lエンジンのマイルドな「Aライン」が追加されており、こちらの中古車相場は低め。人気はやはり4ドアで、3万km前後の低走行車なら、およそ300万円が相場となっている。物件数が多くフルノーマル車もまだ十分に残っているから、コンディションにこだわるなら、GR/GV型が第一選択肢となるだろう。
WRX STI(VAB型)の中古車相場は?
2014年にデビューしたVAB型は、車名からインプレッサの文字が消え、「WRX STI」が正式な車名となった。今も新車で買えるクルマだから平均価格は高めで、予算は最低でも250万円以上は必要となる新しいクルマゆえ、中古車の多くは3万km以下の低走行車が中心。物件のボリュームは先代、先々代ほど多くなく、たとえ新型が登場しても値崩れは期待できない。状態がよい車両が揃っている今のうちに押さえておくのもアリだ。
まとめ

ランエボとインプレッサWRX STIの相場に関しての大まかな傾向は、前者は古い世代の中古車が多く、後者は新しい世代が多いことが分かる。中古車相場の観点では、ランエボはどの世代のモデルも入手可能だが、インプレッサWRX STIは入手可能な世代に偏りがあることも分かった。とくに初期のGC型は入手困難で、状態のよい個体はなかなかお目にかかれない。相場は、同年式で比較すると概ね同程度。どちらがお買い得かを判断するのは難しいが、ランエボはすでに生産終了しているため、今後も価値が下がることはないだろう。
いずれにしても、クルマのEV化が推し進められている現在、内燃機関エンジンのマニュアルトランスミッション車は絶滅寸前だ。この手のクルマを楽しむなら、今がラストチャンスなのは間違いない。