輸入車
更新日:2024.02.26 / 掲載日:2022.04.04
ランドローバー ディフェンダー|語り継がれる名車の系譜 vol.16|

文●ユニット・コンパス
写真●ランドローバー
※中古車参考価格はすべてグーネット2022年3月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2022年5月号の内容です)
角ばったボディに丸いライトが印象的なディフェンダーは、本格オフロード車を揃えるランドローバー社の核となる重要モデルだ。
ランドローバーの本質をDNAに受け継ぐ
道無き道を突き進む本格オフロードモデル
唯一無二の個性を持つディフェンダーは、まさしく代わりのない存在であり、それゆえに名車と呼ばれた。
SUVの隆盛によって似たようなシルエットのクルマはたくさん登場したが、ディフェンダーが属する大型クロスカントリー車という目線でいうと、じつはライバルは多くない。ラングラー、ランドクルーザー、Gクラスくらいだろう。
これらのクルマに共通するのは、使用される環境の過酷さ。林道や河川、岩山、雪原といった荒れ果てた未舗装路を駆け抜けるタフネスが求められる。状況によっては命に関わるため、そのタフネスはリアルだ。
ランドローバー社が誕生するきっかけとなったランドローバー シリーズ1(1948年)は、米軍のジープを範とした本格クロスカントリー車で、その優れた悪路走破性から特殊部隊も愛用する名車であった。ランドローバーはその後シリーズ2、シリーズ3と進化を続けたのだが、そのバリエーションモデルはホイールベースの長さに由来して「90」、「110」と呼ばれていた。今日のディフェンダーはこれらの直系となる。
ディフェンダーという名称が登場したのは1991年。同年にディスカバリーが誕生したことによる混乱を避けるためだった。
つまり、ディフェンダーとはランドローバーのDNAそのもの。まさに名車の系譜を受け継ぐ存在なのだ。
ランドローバー ディフェンダーはこんなクルマ

オリジナルの価値を尊重しながら、新しいユーザーを獲得するべくデザインされた現行型。直線的な力強さとたたずまいに加え、塊感を大切にしている。

水平基調のインテリアはオフローダーとしての使いやすさを考えたもの。現行型は運転支援機能や高度なインフォテインメントを備える。

従来のディフェンダーと比べて大きく進化したのが室内の快適性。乗り心地や静粛性、シートの座り心地がよくなった。

ショートホイールベースの3ドアモデルは「90」と呼ばれる。悪路走破性が高いため、「90でなければ」という声も多い。
[ランドローバー ディフェンダーが名車になった理由]ブランド誕生から続く走破性への徹底的にこだわり
軍用車からスタートした多目的4WD

第二次世界大戦でジープが大活躍したことに刺激を受けたイギリスが、ローバー社に依頼し国産化を目指して開発したのが「ランドローバー シリーズ1(1948年)」。ボディにアルミを多用し、角ばったボディが特徴的だった。
元祖のシリーズ1が3つのモデルへと分裂して成長した

1970年に高級路線のレンジローバーが、そして1989年にバランス重視ディスカバリーが登場したことで、現在のラインナップの基礎が完成。ディフェンダーは、最もタフなクロスカントリー車という立ち位置になった。
最も過酷なアドベンチャーレースで活躍

1980年から2000年まで実施された「キャメルトロフィー」は、世界で最もハードなアドベンチャーレースとして話題を集めた。ディフェンダーはそこで類稀なる性能を発揮し、世界中にファンを増やしていくことになる。
機能性そのものが形となったデザイン新型は塊感を表現

ディフェンダーの魅力はオフロード性能を形にしたかのような独特のデザインにある。新型開発にあたってチーフデザインオフィサーのジェリー・マクガバン氏は、オリジナルを尊重しながら新たな塊感を表現したという。
オフロード性能に加え快適性や動力性能を向上

新型ディフェンダーでは車両構造が伝統のラダーフレームからモノコックへと変化。一部では悪路走破性の低下を心配する声もあった。だが、蓋を開けてみれば悪路性能は従来以上、燃費や動力性能、快適性は大きく向上した。
使い勝手を高める純正アクセサリーパックも用意

荒野を走り、キャンプを行う数多くのユーザーたちからのフィードバックが、ディフェンダーのDNAとなって受け継がれている。新型では使用用途に合わせて設計された、各種アクセサリーパックが設定されている。
いま買いの中古車たち
ディフェンダー 110

現行型ディフェンダーの5ドアモデルが「110」。デビューからそれほど時間が経っていないため、中古車物件はまだ少ない。流通しているものは低走行車が多く、品質も高い傾向がある。
中古車参考価格帯:760万円〜1200万円(19年〜22年 110全グレード)
ディフェンダー 90

こちらは現行型の3ドアモデル。中古車はディーラーのデモカーなどが多く、本格クロカン車のイメージとは真逆で走行距離は少なく内外装の状態もいい。新車と比較して納得できるなら買いだ。
中古車参考価格帯:780万円〜1490万円(19年〜22年 90全グレード)
ディフェンダー 90/110(先代)

1990年から2016年まで長年愛された先代ディフェンダー。正規輸入されたのは97年〜98年、02年〜05年と限られたタイミングだったが並行輸入車も数多い。良質車を見抜く目が求められる。
中古車参考価格帯:530万円〜1100万円(90年〜21年 全グレード)