メルセデス・ベンツ Eクラス／気になる中古車【試乗判定】

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、輸入車を代表する高級セダン、メルセデス・ベンツ Eクラスです。お借りした車両は2018年モデルで、グレードは「E 200 アバンギャルド」、走行距離は3万5000kmとなっています。
九島●いいねぇ。色も好み。前にも言ったことがあるけど、Eクラスは俺にとって「アガリのクルマ」なのよ。
竹岡●ステイタスもあるし、内容は当然その時代の最先端。いわゆる間違いのない選択でしょ。でも、個人的にはどうしても自分のクルマっていうイメージがないの。旦那さんのクルマに乗ってる感じ(笑)。
編集部●そこでセダン以外にも、ワゴン、クーペ、カブリオレ、オールテレインとたくさんのボディタイプが用意されています。
九島●カブリオレをモナコで見たことがあるんだけど、まさにぴったり。すごく似合ってたなぁ。
竹岡●今日のクルマは現行モデルでしょ。日本導入は2016年だっけ。
九島●そう、10代目なんだって。すごいね。先代モデルはいろいろとデザインでトライしていたけど、今回のモデルは日本でもヒットしたW211の延長線上にある。
編集部●基幹車種だけにパワートレインにも力が入っています。2016年に導入されたのが、ガソリン仕様では2L直4ターボの「200」(184馬力・FR/4WD)、同高出力版の「250」(211馬力)、3.5LV6ツインターボの「400」(333馬力・4WD)。ディーゼル仕様が2L直4ターボの「220 d」(194馬力)です。
九島●このディーゼルはいいよね。
竹岡●同感!　トルクがあるから加速にも余裕があるし、すごく静かでEクラスともマッチングいいと思う。
編集部●その後、2017年には2L直4ターボにモーターを組み合わせたPHEVの「350 e」(システム全体で286馬力)を追加しています。2018年には「400」を3LV6ツインターボに変更し「450」(367馬力・4WD)へ。2019年にはガソリンエンジンを一新、1.5L直4ターボが「200」(184馬力)、2L直4ターボが「300」(258馬力)となりました。
竹岡●この1.5Lエンジンって、48Vシステムを採用して、発電機でクランクを動かす「BSG」を使ったマイルドHV……だっけ?
九島●そう。欧州勢がこぞって採用している電動化ソリューションだね。
竹岡●アイドリングストップからの再始動が洗練されたし、低速域をモーターがサポートするから、エンジンは小排気量でも大丈夫。このボディサイズで排気量1.5Lは驚き!
編集部●さらに改良は続きます。今年の2020年9月にマイナーチェンジが実施され、デザインにも手が入りました。従来のアバンギャルドに変わってAMGラインエクステリアが一部グレードを除き標準となり、よりスポーティな印象になりました。
九島●W210から続いてきた「アバンギャルド」ともお別れかぁ。
竹岡●MBUXも採用されたよね。それと安全装備や運転支援のアップデートもお約束。
編集部●では試乗をお願いします。


九島「あらゆる項目が標準以上まさに完璧な実用車」

竹岡「高級車らしく乗るなら頑張ってＶ６モデルを！」

編集部●試乗の感想を伺いたいのですが、いかがでしたか?
竹岡●個人が乗る最高峰のクルマだと考えると、パワートレインにはもうちょっとゆとりが欲しいかな。
九島●エンジン単体としてはとてもよくできているし、パワーが足りないということもない。でもたしかに、ディーゼルのほうがいいかもね。
竹岡●でもそれ以外はさすが。2枚のモニターが並ぶインパネも最初はインパクトが強かったけど見慣れたし、先進安全装備もデビューした年を考えたら充実してる。
九島●そこはクルマを発明したメーカーという自負があるからね。中古車相場はどうなの?
編集部●セダンの相場でいえば、ガソリンが330万円から、ディーゼルは370万円から、V6モデルは400万円からといった状況です。
竹岡●物件は多そうだけど、ボディカラーは白黒シルバーばっかり?
編集部●現行モデルに限っても370台ほどあるのですが、白黒シルバー以外は10%以下で、その多くがヒヤシンスレッドです。
九島●若いときは興味なかったけど、歳を取るとグリーンとかバーガンディがいいんだよね。
編集部●どちらもいい色なのですがレアですね。最後に、お二人のパーソナルチョイスを教えてください。
竹岡●私はオールテレインかな。ほかのクルマにない個性があるし。
九島●俺は黒のセダン。AMG43がいいね。V8よりも控えめでしっとりと。やっぱりアガリの1台(笑)。
竹岡●Eクラスのオーナーって、いいものを好きで乗っている雰囲気がある。その時代の流行があったとしても、そこは変わらないよね。

　12.3インチのディスプレイを２枚使ったインテリアは先進的かつ高級感にあふれる。ステアリングにはタッチ操作に対応するスイッチを世界初採用。さらに2020年の改良でMBUXを搭載した。運転支援システムも充実しており、高速道路ではステアリング操作もサポートする。

　エグゼクティブクラスのクルマだけにベーシックグレードでもインテリアは高品質で、LEDを使った調光可能な照明システムも採用。シート形状は人間工学に基づいたもので、長距離走行での快適性とサポート性能を両立。2018年８月の改良から全モデルで本革シートを標準装備する。

　ダウンサイジングターボ、クリーンディーゼル、そしてPHEV（プラグインハイブリッド）と多彩なパワートレインを用意しているのが特徴。特にディーゼル版PHEVは日本初の採用だ。2019年の改良で、ガソリン車は48Vシステムと「BSG」を使ったマイルドHV化へと進化している。

　セダンのラゲッジ容量は540L。開口部は大きく、また出っ張りの少ない形状とすることで使い勝手にも配慮している。リアシートは４対２対４の分割可倒式でトランクスルーにも対応する。プラグインハイブリッド車についてはバッテリーを搭載するため容量は370Lとなる。