輸入車
更新日:2020.06.24 / 掲載日:2020.06.24
【アウディスポーツ特集】新車では手が届かない高性能アウディ、中古車ならば買えるって本当?

プレミアムブランドにおいて、今では欠かすことのできない存在が高性能モデルの数々。たとえばメルセデスではAMG、BMWではMがそれに当たる。これらは、メルセデスやBMWのラインアップの大半に設定されており、スポーティかつプレミアムなイメージを後押ししている。しかし、このような高性能モデルは一朝一夕で生まれるものではない。たとえばAMGは、60年代にモータースポーツ活動がその背景にあるし、Mは70年代にモータースポーツ参戦のために開発されたスポーツカー「M1」まで遡ることができる。つまり、長い歴史と実績に裏打ちされてこその高性能モデルと言うわけだ。
それではアウディの高性能モデル「RS」シリーズはどうなのだろうか。やはりこれも、かつてのモータースポーツ活動が根底にある。RSシリーズを手がけるアウディ子会社「アウディスポーツ」の前身となる「クワトロ GmbH」は1983年に設立され、現在までモータースポーツ活動を支えてきたと同時に、市販車をベースとした高性能モデルを数多くリリースしている。今ではメルセデスやBMWと並ぶポジションと言っていい。
今回は、そんなアウディスポーツ製高性能モデルの中古車を探っていきたい。
歴代RS 4アバントの中古車平均価格はどうなってる?

RSモデルの祖先と言われるのが、1993年のフランクフルトショーでお披露目されたアウディRS 2。これは80アバントをベースに、高出力化、サスペンションやブレーキの強化、専用内外装の採用など特別にチューニングした1台である。そして何より、開発にポルシェが関与したことが注目された1台だ。
この系譜にあるのが、アウディRS 4。これはA4をベースとする高性能モデルで、同じく高性能バージョンS4のさらに上を行くモデルである。初公開は2000年(国内発売は2001年6月)で、コスワーステクノロジー社がチューニングした2.7L V6ツインターボを搭載。最高出力は380馬力を誇った。ボディタイプは、RS 2に倣ってアバント(ステーションワゴン)のみとなる。
2代目が登場したのは2006年6月のこと。エンジンは4.2L V8を搭載し、最高出力は420馬力を発揮。トランスミッションは初代と同様6速MTで、当然こちらもクワトロ(4WD)を採用。V6だった初代から比べ、AMGを意識したマッシブな進化を遂げたのが特徴だ。なお、この世代のRS 4では唯一セダンボディも選べる。
2013年4月には3代目が登場した。エンジンは先代同様4.2L V8を搭載するが、最高出力は450馬力にまで高められた。トランスミッションは6速MTから7速Sトロニックに変更され、プラットフォームの一新と相まってパフォーマンスと走りの質感は飛躍的に向上した。
そして2019年1月、現行型となる4代目がデビュー。過去2世代に渡り大排気量V8を搭載していたが、新型は2.9L V6ターボを搭載する。最高出力は450馬力と先代から不変だが、最新のモジュラープラットフォーム「MLB evo」を導入。バーチャルコックピットの設定や「アウディプレセンスシティ」をはじめとする先進の安全装備が盛り込まれ、全方位的な進化を遂げている。ここでは各世代の中古車平均価格を見ていくが、RS 2や初代RS 4の物件はほとんど流通していないため割愛する。
モデル名 | 中古車平均価格 |
2代目RS 4アバント | 280万円 |
3代目RS 4アバント | 487万円 |
4代目RS 4アバント | 1125万円 |
※2代目は物件僅少のためリンクはなし。
全世代で数は少ないものの3代目ならば物件、予算ともに現実的
新車時は1000万円を超える高価なモデルゆえ、中古車市場に流通する数はそれほど多くない。ライバルのCクラス・ステーションワゴンのAMGと比べると、RS 4アバントのほうが少ないから、基本的にレアなクルマである。
世代別の物件数に注目すると、初代は今回の調査では発見できなかった。2代目も5~6台程度に留まり、コンディションのよい個体を探すのは苦労しそう。しかし、3代目(つまり先代)はそれらと比べて数が揃っており、少し探せば手頃な個体が見つかる状況となっている。平均価格は487万円だが、走行距離5万km以上の多走行な個体ならば400万円以下の物件も存在する。
最後に現行型は、発売から1年半程度ということもあり、中古車市場にはあまり流通していない。その大半は新車価格とあまり差がなく、新車と比較してメリットがあれば買い……という具合になるだろう。
コンパクトなRS 3やTT RSという選択もあり
RS 3スポーツバック(現行型)
TT RSクーペ(現行型)
アウディスポーツのなかでも、手頃な価格のエントリーモデルという位置付けなのが「RS 3」。その名のとおりA3がベースの高性能バージョンで、2015年10月に国内デビューしている。当初はスポーツバック(5ドア)のボディに367馬力の2.5L 直5ターボを搭載。これに7速Sトロニックとクワトロを組み合わせ、新車当時756万円の価格が掲げられた。また2017年にはセダンボディが追加されると同時に、最高出力が400馬力にアップ。小型なボディのおかげで、その走りっぷりは上位モデルよりも元気がよい。
そして、2010年3月に初登場したTT RSにも注目。クーペ/ロードスターのボディに2.5L 直5ターボを搭載した高性能スポーツで、2017年には2代目がデビュー。全長およそ4.2mのコンパクトなボディに、先代から引き継がれた400馬力のエンジンを搭載する。ここではRS 3スポーツバックとTT RSクーペの平均価格を見ていこう。
モデル名 | 中古車平均価格 |
RS 3スポーツバック | 605万円 |
TT RSクーペ(先代) | 306万円 |
TT RSクーペ(現行) | 689万円 |
先代TT RSは300万円台の予算で探せる
エントリーモデルといえど、RS 3やTT RSの現行型はまだまだ高価。中古車でも600万円以上の予算は必要だろう。しかし物件数という視点で見ると、RS 3スポーツバックが豊富で買いやすい。新車価格から150万円ダウンと考えれば、狙う価値は十分ある。なお、セダンの物件は非常に少なく探しにくい状況。
そんななか、比較的狙いやすいのが先代TT RS。200万円台の物件も目立ち、RSモデルとしてはかなりリーズナブルだ。ただしボディカラー、走行距離などの条件を指定できるほど物件がないのが難点と言える。
プレミアムスポーツカー「R8」は中古車でも買える?

アウディスポーツのイメージリーダー的存在のR8は、ポルシェやフェラーリをライバルとするリアルスポーツカー。初代が登場したのは2007年7月で、ミッドシップレイアウトのボディに4.2L V8を積み、クワトロシステムが組み合わされた。その後5.2L V10やスパイダーを追加するなど、年々進化していった。
2016年3月には2代目R8も登場。基本的な構成は初代から引き継いだが、先代よりもシャープで未来的なデザインは、アウディのフラッグシップスポーツに相応しい佇まい。なお、初代デビュー時の新車価格は1670万円、2代目は2456万円~2906万円と、アウディのなかでも飛び抜けて高価である。
先代R8の平均価格は1000万円を切っている
R8に限らず、この手の高性能スポーツカーは基本的に値下がりが渋い傾向にある。それどころか経年で相場が上がることも稀ではなく、低年式だからと言って手頃な価格で買えるわけではない。R8の場合はどうだろうか。基本的には高値傾向であるが、10年落ちの初代なら700万円前後の物件が存在する。新車時から1000万円ほどダウンしたと考えると、かなり現実的なゾーンに入ったと言えそうだ。また物件も揃っているから予算に応じて探しやすい。
しかし現行型は相変わらず高値で、平均価格は1806万円。新車時価格が2500万円超えであると考えれば、値落ちの幅は大きい。とは言えこちらは数が少なく、物件によって販売価格に開きがあるため、購入はケースバイケースという具合だ。なお、ボディタイプ別に見ると、先代現行ともにクーペが中心となる。
まとめ

アウディスポーツは、AMGやMに並ぶドイツ車トップクラスの高性能ブランド。多くのモデルでは、高年式は中古車でも高値だが、先代モデルならば現実的な予算で買えるケースが多い。とくに先代RS 4アバント、先代TT RSなどはアウディスポーツのマインドを堪能できながら、比較的低予算でも狙えるモデル。全体的に物件数は少ないものの、高性能モデルに興味があるなら注目したい存在だ。