輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2020.05.05

AUDI Q7/気になる中古車【試乗判定】

2016年モデル アウディ Q7 2.0 TFSI クワトロ

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年6月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年4月調べ。
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

3列大人7人分の快適空間を備えたフルサイズSUV

全長5m超のサイズを生かしたパッケージング

編集部●中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はアウディからQ7が登場です。お借りしたのは、2016年モデルの「2.0 TFSI クワトロ」で、走行距離は5万5000kmです。
九島●雨を避けて地下にきたけど、ちょっと海外ドラマみたいでカッコいいシチュエーションだね(笑)。
竹岡●それにしてもこのクルマ大きい! バックカメラがあるから助かるけど、切り返すのもひと苦労だ。
編集部●全長5070mm、全幅1970mm、全高1735mmですから、まさに堂々たるフルサイズSUVになります。
九島●2019年にQ8が登場するまでは、Q7がアウディにおけるSUVのフラッグシップだったからね。
竹岡●乗用車がAシリーズ、SUVがQシリーズ、そしてスーパースポーツがRシリーズ。
編集部●今回登場したQ7は2代目で、初代モデルは2006年に登場し、本国では2015年、日本では2012年まで販売されていました。2016年のフルモデルチェンジにともなって日本に再上陸しました。
竹岡●Q7は日本の道路環境にはちょっと大きすぎるよね。
九島●もともとこういったフルサイズSUVは北米や中東、中国がターゲットだから。でも、日本って不思議な市場で、非常に多様性があってユーザーにとっては恵まれている。こうした大型SUVだって欲しいユーザーが一定数いるし、フェラーリだって年間800台も売れるんだ。
竹岡●日本はすごく高いクルマと安いクルマの両方が売れるマーケットだっていわれているよね。
編集部●では改めて今回の試乗車について紹介します。Q7は5m超の全長に3列シートをパッケージング。2L直4ターボ(252馬力)の「2.0TFSIクワトロ」と3LV6ターボ(333馬力)の「3.0TFSIクワトロ」が導入されました。
九島●クワトロが4WDというのは言わずもがな。初代に比べて軽量化されたのが自慢だったはず。
編集部●はい。資料によれば、ボンネットやドア、フェンダーといった外板にアルミを多用することで、300kg軽量化されています。
竹岡●300kgはすごいね! それでも2トンオーバーだから、重量級であることには変わりないけど。
編集部●軽量化以外の特徴としてはどんなものがありますか?
竹岡●アウディの社是は「技術による先進」なんだけど、それだけに2016年デビューのわりに先進安全装備が充実しているよね。
九島●たしかに、フルデジタルメーター(バーチャルコックピット)、タッチ操作対応ナビ(MMI)、スマホ連携やステアリングまでアシストする先進安全装備(トラフィックジャムアシスト)まで標準なのは、価格を考えても充実しているといえるね。
編集部●ほかにも駐車時のステアリング操作を支援する「パークアシスト」や後方からの衝突に対して乗員の保護能力を高めてくれる「プレセンスリヤ」なども用意されています。
竹岡●このクルマって安全装備が充実しているから、ファミリーカーとしてもいいのかもね。
九島●Q7で送り迎えするのはかなりセレブ感あるね(笑)。僕はこのクルマはアウトドア的な趣味を持つ人にも勧めたいね。
編集部●ではそろそろ、試乗のほうをお願いします。


九島「先進装備が充実しているのはアウディらしいところ」

竹岡「フルサイズミニバンのライバルとしてもオススメ」

DETAIL CHECK

ハイクラスモデルだけあって中古車になっても魅力は色あせない

編集部●試乗から戻ってきた二人に感想を伺いましょう。
九島●いいんじゃない。2Lターボでも必要十分だし、さすがに上級モデルだけあって、クルマとしての実力は高いよ。オプションのエアサス仕様ほど乗り心地にフラット感はないけど十分快適。
竹岡●同じく。Q7はVWグループのいちばん大きいSUV用プラットフォームを使っているんだけど、ちゃんとアウディらしい乗り味に仕上がってる。プラットフォームを共有しているっていうと、「つい手抜きなのでは?」と誤解する人もいるけど、基となる素材からさらにボディ補強を加えたり、セッティングも独自なのでそこはご心配なく。ただ、高速道路で長距離移動するときには、ちょっとエンジン音が気になるかもしれない。
編集部●新車から4年落ち、走行距離5万5000kmというコンディションはいかがでしたか?
九島●まったく気にならなかった。レザーシートも傷んでいないし。初代に比べて質感はよくなったね。
竹岡●それで、Q7の中古車市場はどんな感じなの?
編集部●400万円台の半ばから500万円台半ばが相場で、同じような新車価格帯のA6やA8に比べたら値落ち率は低いですね。2Lと3Lはだいたい半々くらいでした。
九島●やっぱりそうか。SUVは中古車相場高いもんね。もともと新車がたくさん売れるタイプのクルマではないから、需要と供給のバランスが取れているんだろうね。
竹岡●新車のQ3と変わらない価格で買えるんだったら、価格に対して価値はあるんじゃないかな。

充実した先進安全装備 便利な渋滞支援アシストも

 2016年に発売開始されたクルマにもかかわらず、アウディらしく先進安全装備は充実。衝突被害軽減ブレーキに加えて、走行レーンを維持するレーンキープサポートや渋滞時(0km/h~65km/h)にアクセル、ブレーキに加えてハンドル操作をサポートしてくれる。

3列目まで大人が快適に過ごせる室内空間

 3列目までしっかりと大人が乗れる空間が用意されているのがQ7の特徴。Qシリーズの上位モデルだけあってインテリアの質感も高く、また全長5m、全幅2m近い巨体のおかげで、頭上や肩まわり、ひざ前、足もと空間にゆとりがある。長距離ドライブであっても快適だ。

全車クワトロ採用で道や天候を選ばない走破性

 パワートレーンは2L直4ターボ(252馬力)または3LV6ターボ(333馬力)で、全車8速ATとクワトロ(4WD)の組み合わせ。いずれのエンジンにもオプションでエアサス仕様が用意される。2018年にグレード名称が変更となったが、スペックについては変更はない。

人も荷物もたっぷり収納 趣味のポーターとしても優秀

 このクルマ最大の特徴とも言えるのが、広大なラゲッジルーム。写真では3列目を収納した状態だが、2列目も3列目と同じようにフルフラットにすることができる。その際には1955Lまで拡大する。3列目は電動格納式で、起こした状態でも295Lと十分なスペースを提供する。

試乗判定レビュー

※各項目に対して5点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 誤解を恐れずに正直に言いますと、日本で乗るにはやっぱりフルサイズSUVなので、やや敬遠気味ではあったんです。とはいえ、今はもっと大きなQ8が出ちゃいましたけどね……(笑)。だからこそ今、価値があると思いました。フルサイズミニバンとなら価格的にも十二分以上に対抗できちゃう。使い勝手を考えてもコレならアリだと思います!

  • ちょっと前までアウディSUVのフラッグシップだったわけですから、なんでもかんでも付いてます! バーチャルコックピットも付いてるし、3列目シートだって電動で操作できちゃう。使い勝手もなかなかグッドで、ラグジュアリーに過ごせること請け合いなんですよね。安全装備だって、当時の最新鋭テンコ盛りですから、十二分に通用します。

  • 毎日これで駐車場の狭いスーパーマーケットに行けと言われたら、少々つらいのは事実ですが、それはフルサイズミニバンだって同じこと。ロングドライブとなれば、視界のよさは文句なしだし、直進安定性もよくビシッと走ってくれます。距離のかさんだ個体でしたが、ヤレ感は皆無。4気筒2Lターボとは思えないほど、パワー感も十分です。

竹岡 圭の試乗判定(1件)
平均点 4.7
  • ポジショニング 4.5
  • 装備 5.0
  • 走り 4.5

九島辰也

  • 海外、特に北米などでは見慣れたサイズではあるが、いざ日本の路上で見ると圧迫感を感じるところはある。しかし、こういうクルマが輸入されているのは、当然マーケットからの要望があるから。そういう意味では、ユーザーニーズをしっかりと満たしたパッケージングとデザインと評価できる。スタイルもクリーンで美しい。

  • アウディが先進テクノロジーに積極的に取り組んでいるのはご存じのとおり。自動運転技術の開発にも積極的で、このQ7にもアウディだけでなく、当時の最先端レベルのものが採用されている。ACCも渋滞時にはハンドルまで支援するトラフィックジャムアシストという機能が備わる。コックピットデザインは最新ではないが、機能的には十分だろう。

  • 巨体ではあるものの、見晴らしがいいため、運転している限りはそれほど大きさを感じない。2Lターボのエンジンも、2トンの巨体に対しても必要にして十分なパワーをデリバリーしてくれる。ただし、長距離移動が多い使い方をするのであれば3Lターボがいいだろう。重心も低く、コーナリングでの身のこなしも軽やかで、ドライビングが楽しい。

九島辰也の試乗判定(1件)
平均点 4.5
  • ポジショニング 4.0
  • 装備 5.0
  • 走り 4.5

グーワールド 編集部

  • 欧州や北米では、スライドドアを持つワンボックス車に対して商用車的なイメージが根強く、多人数乗車用途の高級乗用車として大型SUVに人気があります。アウディQ7は、ライバルと比較して先進装備と軽量設計が魅力で、その実力は2020年の基準でも一線級。中古車市場でもその魅力が理解されていて、相場は高めで推移しています。

  • 上級モデルらしくふんだんに備わる装備はQ7の大きな魅力。たとえばナビゲーションは手元のタッチパッドで行え、日本語入力にも対応。案内表示はフルデジタルディスプレイのバーチャルコックピットで、視線移動を少なく確認できる。また、エアコンの温度は後席でもそれぞれ別々に調整できるぜいたくさ。ピープルムーバーとしても良質です。

  • 全長5mの堂々とした体躯に気圧されながらも運転席に乗り込みましたが、四方の視界のよさ、アイポイントの高さからくる見とおしのよさに驚きました。ステアリング操作に対する反応も素直で、大型セダンに近い感覚で運転できるのも嬉しいところ。静粛性が高いため後席との会話もしやすく、ファミリーユースでも喜ばれそうなクルマです。

グーワールド 編集部の試乗判定(1件)
平均点 4.7
  • ポジショニング 4.5
  • 装備 5.0
  • 走り 4.5

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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