輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2019.12.04

アルファ ロメオ ジュリア/気になる中古車【試乗判定】

2019年モデル アルファ ロメオ ジュリア 2.0ターボ ヴェローチェ

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年1月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

ブランド復活をかけて生み出されたスポーツセダン

ジャーマンスリーと互角に戦えるFRセダン

編集部●中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はイタリアの名門ブランド、アルファ ロメオからスポーツセダンのジュリアが登場です。お借りしたのは2019年モデルの「2.0ターボ ヴェローチェ」で、走行距離は6000kmです。
九島●いいね。使い勝手も大切だけど、美しくないと。こういうクルマが増えると街の景観もよくなるよ。
竹岡●これって年式は2019年だけど一部改良前のモデルだよね。
編集部●そうです。これは元々ディーラーの試乗車だった認定中古車で、オーナーは、スタイルとFRという部分が気に入って購入したとのことでした。
九島●このジュリアという名前は1960年代の名車から受け継いだものなんだけど、実質的にはニューモデル。アルファ ロメオブランドの再スタート第1弾モデルという位置付けで、プラットフォームも工場ラインから刷新した意欲作。アルファがFRをラインアップしたのはおよそ25年ぶりのことなんだよ。
竹岡●私自身はFF育ちだから、みんながFR復活に喜んでいるのがあまりピンとこない(笑)。アルファって、ジュリエッタにしてもミトにしても普通にいいクルマを作っていたのに、厳しい意見が多かったじゃない。「もっといいクルマが作れるはずだ!」みたいな。
九島●それだけ歴史と伝統、数々の伝説を作ってきたブランドだからね。どうしてもファンの声が大きくなるのは仕方がない。
編集部●ディーラーで聞いた話では、初めてのお客さんが増えたのと、既存のユーザーからもドイツ勢に負けないクルマになって嬉しいという声を多く聞くそうです。
竹岡●ジュリアにクアドリフォリオってあるじゃない、ツインターボで1000万円以上する高性能版。あれを設計してからベースモデルを作ったってアルファのひとが言ってたのを思い出した。
九島●あれは別モノというくらいのハイパフォーマンスカーだけど、その基本が受け継がれているからクルマがしっかりしているんだね。スタイルのよさに定評のあったアルファ ロメオだったけど、パフォーマンスの面でも語れるように進化したのは見事だと思うよ。
編集部●では、改めて概要を紹介します。ジュリアは、いわゆるDセグメントのセダンで、2L直4ターボ+8速ATの後輪駆動が基本。ラインアップは、「ベースグレード」と豪華版の「スーパー」が200馬力、「ヴェローチェ」がハイチューンの280馬力、4WD、左ハンドルという内容。のちに「ヴェローチェ」にFRの右ハンドルモデルと「スーパー」に2.2L直4ディーゼルターボが追加されました。「ヴェローチェ」については、2019年7月に一部改良でさらに特別感をアップしています。今回は「クアドリフォリオ」については、別モデル扱いとさせていただきました。
竹岡●試乗するのは、改良される前の「ヴェローチェ」後輪駆動、右ハンドルってことだね。
九島●色といい、いいチョイス。
編集部●では、そろそろ試乗のほうをよろしくお願いします。


九島「ボディ色は赤か、赤以外か それが問題だ」

竹岡「男性はもちろん女性にも颯爽と乗りこなしてほしい」

DETAIL CHECK

理屈ではなく、心の声に従う そんなクルマ選びをしたい1台

編集部●試乗から戻ってきた二人に感想を伺いましょう。
九島●いいクルマだよジュリア。自分の買い物候補ベスト10に入る。ドライブモードを「D(ダイナミック)」にして毎日走りたい(笑)。
竹岡●そうだね。個人的にはFRよりも4WDのほうが重厚感があって好み。あと、私にはちょっとボディが大きいかな。でも、女性がこれを乗りこなしてたらカッコいいよね。サングラスしてさ。そんなひと見かけたら合流でも「お先にどうぞ!」ってしちゃうでしょ(笑)。
編集部●中古車市場の動きですが、まだ年式的に新しいことと絶対的な数が少ないため、Dセグメントのセダンとしては相場は高めです。
九島●わかってないね~。ライバルとか関係なくて、ジュリアはジュリアなんだよ。たまたまドアが4つあるというだけで、セダンとかそういうくくりに入らない。大切なのはアルファのある暮らしをしたいかどうか。
竹岡●機能とか性能だけで語れないところはMINIと似てるかもね。
編集部●グレード選びはどうでしょう? じつは「スーパー」と「ヴェローチェ」ではあまり大きな価格差がありません。
竹岡●今回の「ヴェローチェ」はスポーツレザーとアルミパネルの組み合わせでいかにもスポーツセダンって感じだったけど、「スーパー」の木目パネルもけっこうよかったよ。
九島●中古車は一期一会。そんなことより、ボディカラーをどうするかだよ。赤でいくのか、あえて赤を外すのか。それが問題だ!
編集部●感性のおもむくままに、運命の出会いを信じるということですね(笑)。ありがとうございました。

上質になったインテリア衝突警報といった安全装備も

 従来のアルファ ロメオ車に比べてクオリティアップを感じさせるインテリア。インフォテインメントシステムはスマホ対応で、ナビソフトを利用可能。安全装備についても前面衝突警報など充実。走りの面では、12対1のステアリングギア比による切れ味鋭いハンドリングを実現している。

全グレードがレザーシート上位モデルはさらに高級

 美しく仕立てられたシートは、革工芸の国イタリアのブランドならではの魅力。運転席および助手席はサイドサポートもしっかりとしていて、スポーツドライビングでは身体を支えてくれる。FRであっても後席足元にも必要にして十分なスペースが用意されており、居心地もいい。

独立したトランクにより高い静粛性と高剛性を実現

 ラゲッジ容量は480Lで、この容量はセグメントのスタンダードである3シリーズのラゲッジ容量と同じ。3分割可倒式の後席背面を倒せばさらに拡大される。リヤシートを倒すためのレバーがトランク上面に用意されており、使い勝手もよく考えられている。

シリーズ上位モデルは280馬力 ディーゼルや4WDも用意

 エンジンは2L直4ターボでグレードによってパワーが異なる。ベースモデルとスーパーが200馬力でFR。ヴェローチェが280馬力でFRと4WD。さらに190馬力の2.2L直4ディーゼルターボ(FR)もラインアップ。トランスミッションは全グレードが8速ATを使用する。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 【10点】アルファ ロメオの超久しぶりのFRプラットフォームのクルマが、往年のジュリアの名前を冠して登場するということで話題になったモデル。実際は、アルファ ロメオ特有の色気を漂わせつつ、どんな年代の方が乗っても似合うスタイリッシュなセダンとして登場した感じがします。グレードによっては、アルファ ロメオ入門編としてもオススメできますね。

  • 【10点】「ヴェローチェ=速い」というモデルではありますが、上級グレードになるのでひととおりの装備は付いてきます。インテリアもオールレザーな感じで高級感たっぷりですが、もうひとつ下のグレード「スーパー」の木目インテリアも、温かみがあってなかなかオシャレです。個人的にはボディサイズが、あとひとまわり小さかったらいいのに……と、思います。

  • 【10点】ヴェローチェというグレードは、右ハンドルのFRか左ハンドルの4WDになるのですが、最初乗った時にいちばん気に入ったのは、どっしりした重厚感がある左ハンドル4WDでした。後から追加になった右ハンドルFRは、それをもう少しライトにした感覚で普段使いにもちょうどイイ感じ。もちろん攻めても応えてくれそうな手ごたえも感じます。

九島辰也

  • 【10点】アルファ ロメオの歴史を知るものにとっては、間違いなくグッとくるネーミングであるジュリア。オリジナルはレーシーな性格の持ち主でクラシックカーとしての人気も高い。新生ジュリアは、プラットフォームを新規開発したことにより、名前負けしないスポーティかつ大人な乗り味を備えている。ブランドのポジショニングを引き上げる役割を大いに果たした。

  • 【9点】すべてのスイッチがドライバーを向いたコックピットは、いかにもアルファ ロメオらしいもの。エンジンのスタートボタンがステアリングについているのも気分を盛り上げる。ブランドとしての意気込みはディテールにも現れていて、たとえばスイッチ類は押したときの剛性感がありしっかりしているなど、ディテールにまでこだわりが感じられた。

  • 【10点】鼻先が軽くステアリングの動きに気持ちよく反応する、いかにもよくできたFRといったハンドリング。200馬力のスーパーはバランスのよさが際立っていたが、280馬力のヴェローチェになると一気にスポーティさが高まる。一方で4WDモデルは重厚感が印象的。「DNAドライブモード」によって走りのキャラクターを場面に合わせて変えられるのものいい。

グーワールド 編集部

  • 【10点】長らくハッチバックが主力車種だったアルファ ロメオ。ジュリアは久しぶりにラインアップされた高級セダン、しかも後輪駆動ということで大きな話題になりました。中古車市場的には高年式の認定中古車が中心とあって価格は高め。しかし、これから初期モデルが初めての車検を迎え、中古車市場もにぎわってくるはず。そこからがいよいよ本番です。

  • 【9点】乗り込んでまず感じたのが室内の高級感。今回試乗したのが上級モデルのヴェローチェということもありますが、ブランドとして明らかにランクが上がったという印象がありました。それでいながら色気のあるデザインや質感といったイタリアらしさは健在。ナビが備わらないなど、装備に物足りなさを感じることはありますが、カッコいいから許せてしまいます。

  • 【10点】FRの新規プラットフォーム「GIORGIO(ジョルジオ)」第1弾というだけあって、基本性能の高さは同セグメントのなかでもハイレベル。クイックな設定のステアリングのおかげもあって、手首を軽く返すだけでスパッと向きが変わるのが気持ちいい。特等席は間違いなくドライバーズシートですが後席の乗り心地も十分快適であることを確認しました。

アルファ ロメオ ジュリアのモデル主要変遷やスペック情報はこちら

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ