輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2019.09.04

フォルクスワーゲン ティグアン/気になる中古車【試乗判定】

2017年モデル フォルクスワーゲン ティグアン TSI ハイライン

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年10月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

使い勝手に磨きをかけた都市型SUVの第2世代

フルモデルチェンジで先進安全装備などが充実

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、フォルクスワーゲンのコンパクトSUV、ティグアンの登場です。お借りした車両は2017年モデルで、グレードは「TSI ハイライン」、走行距離は2万kmとなっています。
九島●初代ティグアンは世界的に売れたし、日本でも人気になったモデルだったね。
竹岡●ゴルフV世代(2003年~2009年)のVWは、小型ミニバンのゴルフトゥーランやゴルフプラスとかいろいろ挑戦していたんだけど、2008年にコンパクトSUVとしてティグアンが出てきたんだよね。それまでは家族のクルマといったらワゴンかミニバンだったんだけど、ゴルフベースのSUVってこともあって人気が出た。
編集部●当時のSUVはまだどれも大きくて高価だったので、300万円台というティグアンの価格は非常にインパクトがありました。
竹岡●そうだそうだ。輸入SUVでいちばん安いって話だった。
九島●じつは、初代と2代目では微妙にコンセプトが違うんだよ。初代は本格的なクロカン性能を持つトゥアレグの弟分といった位置付けだったのが、2代目はSUVとミニバンの中間的な、ピープルムーバー寄りのキャラクターになった。
竹岡●いま本当にたくさんのメーカーからSUVが出ているけど、こうしてあらためてティグアンを見ていると、室内もラゲッジも広くてパッケージングは優秀。とくにラゲッジはこのクラスだと狭い傾向にあるから目を引くね。これは広い。ユーザーの声をちゃんと聞いてる。
九島●そう、けっしておしゃれではないけど、道具として優れているというのがデザインから伝わってくる。
編集部●ではここでティグアンの概要について紹介させて頂きます。2代目が日本に導入されたのは2017年1月で、パワートレインは1.4L直4ガソリンターボ+6速DSGの組み合わせで、全車前輪駆動。自動ブレーキや全車速追従機能付きACC、スマホ連携機能など充実した標準装備を誇り、「TSI ハイライン」以上では渋滞時追従支援システムやレーンキープアシストといった運転サポート機能も備わります。2018年8月の改良では、2L直4ディーゼルターボと4WDを組み合わせる「TDI 4モーション」が追加になりました。
九島●そうか、4WDはディーゼルモデルにしかないんだ。グレードはいつもどおり、標準が「コンフォートライン」で豪華版が「ハイライン」、スポーティなのが「Rライン」ね。
編集部●はい。この改良で「ハイライン」の装備が充実し、ヘッドアップディスプレイやパワーテールゲートなどが標準になりました。
竹岡●SUVのテールゲートは重いじゃない。女性にとってパワーテールゲートはマスト。
九島●「コンフォートライン」の新車価格は369万9000円だけど、これはあくまでスタートプライスで、装備を盛っていくと「ハイライン」の450万9000円にどんどん近づいてくる。そこが悩ましいね。
編集部●では、そろそろ試乗の方をよろしくお願いします。


九島「降雪地域でなければTSI、コンフォートラインで十分」
竹岡「道具としての使い勝手は抜群、荷室の広さはトップレベル!」

DETAIL CHECK

中古車価格はまだ高値で安定 購入時には装備内容を確認すべし

編集部●さて、試乗から戻ってきたお二人に感想を聞きましょう。
竹岡●ゴルフベースだけあって、すべてにおいて使いやすい。ただ気になったのがアイドリングストップからの再発進でショックが出るところ。
九島●小排気量化エンジンとDSGの組み合わせだとどうしてもね。走り出してしまえばパワーだって十分だし、快適性も高い。そこは初代に比べて大きく進化したよ。2万km程度じゃまったく劣化は感じなかった。
竹岡●前にプライベートでゴルフVに乗っていたときに、スルメじゃないけど、乗れば乗るほどよさがわかるクルマだったの。きっとティグアンもそんなクルマだと思う。
九島●それは素晴らしい表現。今日のクルマは18インチホイールだったけど、これって「ハイライン」だからだよね。ちょっと頑張ってる気がするから、個人的には17インチの「コンフォートライン」でもいいかな。中古車価格はいくらくらいなの?
編集部●2年落ちの「TSI コンフォートライン」が300万円程度、「TSI ハイライン」が330万円といった相場です。「コンフォートライン」の価格が新車と比べて割高に感じるかもしれませんが、ほとんどのクルマがナビをはじめとするオプションを装着しているからです。
竹岡●純正ナビはインフォテインメント機能も充実してるもんね。
九島●新車に比べてグレードによる価格差は圧縮されると。それでもコンフォートラインでいいな。ディーゼルは降雪地域の方向け。道具としてガンガン使ったら格好いいよ。
竹岡●最高の実用車だもんね。私は「TSI ハイライン」。パワーテールゲートは欠かせません(笑)。

充実した先進安全装備が2代目の大きな進化ポイント

 まさにゴルフかパサートがそのままSUVの姿になったというべきオーソドックスで高品質なインテリア。先進安全装備の充実も2代目の特徴で、Rラインやハイラインにはフルデジタルの「アクティブインフォディスプレイ」が標準装備。また、ドライビングモードの切り替えも用意される。

ピープルムーバーとしても使い勝手に優れるインテリア

 SUVらしく見晴らしに優れる前後シート。前席のシートバックには折り畳み式のテーブルが全車標準装備となる。クッションも適切で長距離ドライブにも対応。さらに後席には前後に180mmスライドする機能が備わり、シチュエーションに合わせてアレンジできる。

新型プラットフォームの採用でパッケージ効率はさらに進化

 MQBプラットフォームを採用したことでパッケージングはさらに進化。荷室容量は後席をもっとも前にスライドさせた状態で615L。この状態でも小柄な大人なら十分な膝前空間が残されていた。上級グレードにはパワーテールゲートが標準装備となり、さらに使い勝手に優れる。

2018年8月の改良で待望のディーゼル+4WDを追加

 パワートレインは2種類で、1.4L直4ガソリンターボ+6速DSG(FF)と2L直4ディーゼルターボ+7速DSG(4WD)。グレードが異なっても同一エンジンであれば、パワーはすべて同じ。スペックは、ガソリンが150馬力、25.5kgm、ディーゼルが150馬力、34.7kgmだ。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 【10点】このティグアンは、いろいろなニュースと重なってしまったせいで、大人しい印象があるけれど、じつはどんなシーンにもちょうどいい魅力的なモデル。最近のSUVは大型化が進んでいるので、この街中便利&ロングドライブもOKサイズが、意外と少なかったりするんです。キャラクター的にもシティリゾートからアウトドアまで幅広く似合います。

  • 【9点】いわゆる自動運転的なところはベーシックなものしかついていないけれど、普通に使う分には、まったく十分で物足りなさはありません。それよりも、チリがピシッと合った質感高い作りこみは、長く付き合えば付き合うほど、これを選んでよかった的な満足度が高まってくるハズ。デザイン的にもシンプルなので、直感的に使えるし、飽きがきません。

  • 【10点】Cセグメントの永遠のベンチマーク、ゴルフがベースとなったSUVなので、もはや性能はお墨付き。時を経ていてもしっかり感は変わらないし、パワー的にもストレスフリー、超満足度高いです。この世代以降のDSGは低速時のガタガタ感もほぼないですし、燃費も抜群にいいので、アウトドアを含めて本気でガシガシ使いたい人にオススメしたいですね。

九島辰也

  • 【10点】MQB世代に進化したティグアンはコンセプトもよりロードカー的になった。つまり、日常での使い勝手にも優れるということ。ベースとなっているのがゴルフなので実力は折り紙付き。中古車のボディカラーがシックなものばかりなのがちょっとものたりない。たとえばルビーレッドなんていい色だから、そういったところで遊び心を表現したいところ。

  • 【9点】フォルクスワーゲンは実用車の基本路線をしっかりと押さえるベーシックカーを得意とするブランド。しかしこのティグアンを見てお分かりのように、装備レベルはプレミアムブランドのそれにかなり近づいている。自動運転系の装備にしてもそう。これがイマドキのベーシックカーということなのだろう。個人的にはもっとシンプルでもいいくらい。

  • 【9点】試乗車は「TSI ハイライン」。150馬力のエンジンパワーに対して18インチはちょっとオーバースペックと思わなくもないが、ルックス面でのメリットは否定しない。やはりSUVには大きなホイールがよく似合う。オンロード路線としたことで、ダイナミクス性能や静粛性もハイレベル。まさにゴルフで感じた感動がコンパクトSUVで再現されている。

グーワールド 編集部

  • 【10点】これまで高級車にしかなかったSUVを身近にしてくれたのがティグアン。2代目は時代の要求をハイレベルで満たすべく、先進装備も満載。ボディサイズが初代に比べて少し大きくなりましたが、それでも街中で使うのに気を使わないジャストサイズ。中古車相場としてはまだこれからといった印象ですが、人気ゆえに大きな値崩れは期待薄です。

  • 【10点】自分だけでなく、家族や友人といった大切なひとを乗せることが多いクルマだけに、安全装備や快適装備の充実度合いは気になるところでしょう。そういう目線で厳しくみても、「ハイライン」以上であれば満足度は高いはず。新車時であれば乗り出し500万円クラスのクルマが2年落ちとはいえ350万円で乗れるのですから文句無しです!

  • 【10点】試乗車は1.4Lガソリンターボ車でしたが、大人3人と機材を載せてもまったく問題なし。乗り心地も快適で、会話をする際に声を大きくする必要がなかったのも好印象。少し気になるとすれば、ガソリン車に4WDが用意されないこと。ディーゼル車はまだ発売されて間も無いため、中古車はデモカーなどがメイン。まだ様子見がいいかもしれません。

フォルクスワーゲン ティグアンのモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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