輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2019.07.04

プジョー 208/気になる中古車【試乗判定】

2019年モデル プジョー 208 アリュール

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年7月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

コンパクトカーの原点に立ち返った意欲作

パッケージングを見直してダウンサイジングを実現

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、欧州の暮らしを感じさせてくれる小粋なコンパクトカー、プジョー208の登場です。お借りした車両は2019年モデルで、グレードは「アリュール」、走行距離は1000kmとなっています。
九島●もしかしてメーカーから広報車借りてきちゃったの?
編集部●勘弁してください(笑)。オーナーはディーラーで試乗した際に使われていたこのクルマを気に入り、そのまま購入されたそうです。
竹岡●「これください!」ってやつだ。クルマって相性もあるから、実際に乗るのは大事だよね、素晴らしい。
九島●なるほど。試乗するクルマは新しいけど、208はモデルチェンジしてからけっこう経つし、登場するのはまったく問題ないです。はい。
編集部●ありがとうございます。ではあらためまして、プジョー208が登場したのは2012年9月で、コンセプトは「RE-GENERATION」。特徴はダウンサイジングで、エンジンはもちろん、ボディサイズも先代207より小型化されました。
竹岡●モデルチェンジするごとにボディが大きくなるクルマばかりなのに、208はむしろボディサイズが小さくなった。それなのに、室内はむしろ広くできたんだからすごい!あと、小径ステアリングを採用したのもこの208からだったでしょ。私はこのステアリング好きだな。
九島●コンパクトカーを作らせたら、フランスのメーカーは昔からいい仕事をする。室内だって特別ゴージャスではないけど、乗っていて寂しい気持ちになることもない。最近は国産も頑張ってるけど、輸入車を選びたくなるのはそういうところなんだ。
編集部●そんな208のユニークなところは、一般的な5ドアに加えて3ドアやMTが存在することです。
竹岡●そうなのよ! しかもスポーティな「GT」の6速MTだけじゃなくて、普通のハッチバックにも5速MTがあるのがエライ!
編集部●208はラインアップがかなり豊富で、発売当初は3ドアの「アリュール」が1.2L直3(82馬力)の5速MT、「GT」が1.6L直4ターボ(156馬力)の6速MT。5ドアの「プレミアム」および「シエロ」が1.6L直4(120馬力)に4速ATという組み合わせでした。
九島●「GT」は途中で「GTi」(200馬力/6速MT)になった。205世代には嬉しいネーミング!
編集部●はい、2013年です。同時に156馬力版の「XY」も追加されました。続いて2014年の改良で5ドアすべてのエンジンが新型の1.2L直3NA(82馬力)になり、ATも5速(ETG5)に進化しました。そして2015年10月にマイナーチェンジを行いスタイリングを一新。5ドアAT車の1.2Lエンジンがターボ化されて110馬力になり、6速ATとなりました。グレード整理で3ドアは「GTi」のみになりましたが、辛口モデル「GTi by プジョースポーツ」が加わりました。
竹岡●それでも5ドアに5速MT(82馬力のNA)があるのは立派!
九島●プジョー、頑張ってるね。
編集部●それでは、そろそろ試乗の方をお願いします。


竹岡「疲れたときほどホッとする癒し系の乗り味が魅力」

九島「フットワークのよさにプジョーらしさを感じた」

DETAIL CHECK

おしゃれな見た目だけでなく小型車として優れている208

編集部●さて、試乗から戻ってきたおふたりに感想を伺いましょう。
九島●元試乗車だったというのもあるだろうけど、エンジンの感触が硬かったね。慣らしをすれば激変するよ。オイル交換した後にしっかり負荷をかけて回転させて、またオイル交換。これでバッチリ。
竹岡●このクルマ静かだね。
九島●声を張り上げなくても普通に会話できた。なにしろATが6速になったのは大きいよ。
竹岡●前のAL4(4速AT)はシフトチェンジのタイミングもちょっと変わってたしね。乗り心地もよかったと思わない?
九島●そうだね。シートクッションがしっかりしていたのと、サスペンションもしなやかに感じた。
編集部●後席も快適でした。
九島●僕の世代だと、プジョーといえば205が印象的だったんだけど、あのときと同じで、なんてことない小型車なのに乗り心地がよくて、運転していて気持ちいいんだ。
竹岡●癒やし系なのよプジョーは。元気にも走れるし、疲れているときにはクルマが優しく受け止めてくれる。
九島●20代にプジョーを経験しておくと、その後のカーライフが豊かになると思うな。
竹岡●中古車はいくらくらいなの?
編集部●今日、試乗していただいた新しいものだと200万円くらい。古ければ乗り出しでもアンダー100万円ですが、後期型は車両だけで100万円以上が相場です。
九島●なるほど。さすが中古車相場はよくできてる(笑)。
竹岡●もうちょっとお安くなると嬉しいけど(笑)、おしゃれでいいクルマなのは間違いありません!

斬新なコンセプトで設計されたインテリア「iコックピット」

 小径ステアリング、「ヘッドアップインストルメントパネル」、そして7インチのモニターによって構成される「iコックピット」。ステアリングホイールが小さいということは、ステアリングギヤ比が小さくなるのと同じで、小気味いいハンドリング性能をもたらしてくれる。インテリア全体の質感もよく、窓ガラスが大きいため視界も優れている。

ボディは先代より小さいのに室内空間は広くなった

 サイドサポートが充実したフロントシートが特徴的なコックピット。ステアリングが小径であるおかげで乗り降りもしやすい。後席のスペースも必要にして十分で、大人4人が快適に移動できる空間が用意されている。取材車両は5ドアだったが、3ドアでも室内は基本的に同じで、乗り込んでしまえば同じようにくつろげる。

後期モデルは待望の6速ATを採用

 「ヘッドアップインストルメントパネル」と名付けられたメーターは、ステアリングのリムよりも上に位置するのが特徴。そのねらいは走行中の視線移動を抑えることにある。取材車両のトランスミッションは6速AT。年式によって、4速AT、シングルクラッチ式5速ATの車両もあるため、購入時には必ず確認したい。

ベーシックグレードは3気筒 スポーティなモデルは4気筒

 パワートレインは時期によって内容が変化してきたが、1.2L直3NA、1.2L直3ターボ、1.6L直4ターボの3種類と分類できる。トランスミッションは前期が4速AT、中期が5速シングルクラッチ式AT、そして現行モデルが6速ATとなる。ベーシックモデルとスポーティモデルにMTが用意されているのも208の特徴だ。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 【10点】現行モデルのなかでプジョーのいちばん小さなクルマ。いわゆるエントリーモデルとなるので、わかりやすい豪華さはないですが、フランス車のデザインは機能性と美しさが共演していると言われるくらいで、やはりオシャレさがあるんですよね。いろんな意味で質感の高いコンパクトカーで、選んだ方のこだわりが感じられるのがいいところ。

  • 【8点】自由の国フランスは運転も自分スタイルというわけで、フランス車は長らく先進安全装備系には手を出してこなかったんですよね。208も然りなので、そういう装備にこだわる人には正直もの足りないと思いますが、このクルマのメインステージを考えたら、どうしても!という装備でもないかなという気もします。それよりシートヒーターがある方が嬉しい。

  • 【10点】小径ハンドルが特徴のコクピットは、ハンドルもまわしやすく、メーターも見やすい。とくに小柄な女性は運転しやすいと感じる方が多いハズ。ストップ&ゴーの多いパリが背景のモデルですから、キビキビと小気味よく走りますが、逆に疲れているときでも包み込んでくれるような温かみがあって、意外と遠乗りもラクだったりと、フレキシブル性の高さも魅力。

九島辰也

  • 【10点】昔からプジョーはこういうコンパクトカーを作るのが上手だった。スポーティといっても、ドイツ的な速さではなく、エンジンの力を引き出しながらしなやかに駆け抜けるタイプだ。そういった伝統は208にも受け継がれていて、爽やかさを感じさせるのがいい。大人が日常の足として使うのもいいが、若いひとにこそこの楽しさを味わってもらいたい。

  • 【8点】目を引くような派手な装備はないものの、実用車として求められるものはひととおり揃っている。今回試乗したのは中級グレード的な「アリュール」だったが、クロームを使ったエクステリアもなかなか似合っていた。インテリアもそう。クラスの水準はしっかりとキープしている。レザーシート仕様などもあるようだが、さらっと爽やかに乗るのがいい。

  • 【9点】いまやダウンサイジングは当たり前で、1.2L3気筒ターボエンジンの実力には何の不満もない。何より嬉しいのがトルコン式6速ATで、これによって室内の静粛性は大いに改善された。久しぶりの試乗で再発見したのが、乗り心地のよさ。コーナーではしっかりと粘るのに、道路の継ぎ目や段差は綺麗にいなしてくれる。これぞプジョーの足だ。

グーワールド 編集部

  • 【10点】いまやどんどんクルマの価格が上がるなかで、日本車とあまり変わらない予算で買えて、なおかつこだわりを感じさせる208の存在は希少です。日本仕様の設定も非常に意欲的で、徹底的にシンプルさにこだわった素のモデルからスポーティ仕様までよりどりみどり。毎年のように特別仕様車が販売されているので、中古車選びも楽しめます。

  • 【9点】フランス車はあまり装備が充実していないというイメージがありますが、素のグレードである「スタイル」以外はじつはなかなか装備が充実しています。後期モデルとなれば6エアバッグやクルーズコントロール、そして自動ブレーキは標準装備。オプションですが純正ナビゲーションも存在。まさに、必要にして十分な装備が備わっています。

  • 【10点】気がつけば登場から9年目のベテラン選手となっていた208。でもその走りは古臭さを感じさせない爽やかなものでした。とくに印象的だったのが路面の凹凸を軽やかにクリアするサスペンション。これなら毎日の通勤も週末のツーリングも、どちらも心地よく楽しめそう。小径ステアリングによるキビキビとした走りは、試乗してみる価値大いにアリです。

プジョー 208のモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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