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更新日:2019.09.04 / 掲載日:2018.03.30
【プジョー RCZ】ライバルと比較! RCZの買いor待ちをデータで判定します

写真は前期型。
プジョー RCZってどんなクルマ?
世界のプレミアムブランドは、以前にも増して高額&高性能なスポーツクーペを次々とリリースしている一方、アンダー2.0L級クーペは、日本にかぎらず数が少ない。クルマ好きにとってちょっと寂しい状況のなか、2010年にプジョーRCZというクルマが発表された。プラットフォームはプジョー308という実用車を流用しているものの、すべてが新設計となる専用デザインの外観は、まるで小さなスーパーカーと言ってもいいほど強烈な存在感を放っている。プジョーといえばスポーティな小型ハッチバックのイメージが強いが、専用設計のクーペボディには新鮮味あって、デビュー当時大きな話題となった。
もう少し詳しくRCZについて触れてみたい。このクルマで注目したいのは、「ダブルバブルルーフ」と呼ばれる、コブがふたつある特徴的な屋根だ。昔からスポーツカーなどに取り入れられたこの形状は、ヘッドスペースを確保しつつ、重心を下げるという機能的な役割もある。RCZはサーキットをハードに攻め込むタイプのクルマではないが、プジョーのスポーツマインドが具現化された、ひとつのチャームポイントと言っていい。また、プジョーは歴史的に数字3桁もしくは4桁の車名がプジョーの慣わしだったが、RCZに与えられたのはアルファベット3文字というイレギュラーなネーミング。これも、プジョーのラインアップのなかで特別な存在であることを示している。
エンジンは1.6L 4気筒直噴ターボが搭載され、最高出力は6速MTが200馬力、6速ATが156psを発揮した。また、高性能バージョンとして「R」と呼ばれる2.0L 4気筒直噴ターボ(270ps)がモデルライフ後半に追加されている。
RCZの基本となるメカニズムは308ゆえ、走行感覚はほどよくスポーティな2+2クーペという印象で、決してリアルスポーツカーという趣ではないものの、リヤシートは荷物置き場と割り切れば、日常の範囲で気持ちのよい走りが楽しめるクルマである。なによりMTが選べるのも魅力で、クルマ好きからの評価は高い。
RCZの最大のライバルはVWシロッコ

同時期に登場したコンパクトクーペにVWシロッコがある。こちらはゴルフをベースとした2+2クーペだから、その成り立ちはRCZとよく似た存在。シロッコのエンジンは、1.4L 4気筒直噴ターボ+スーパーチャージャー(160馬力)と2.0L 4気筒直噴ターボ(200馬力)に加え、より高性能な「R」バージョン(256馬力)を設定。高性能バージョンがあることも、RCZとキャラクターが重なる。このほか、新車時の価格帯はひとクラス上になるが、アウディTTクーペなどもRCZのライバルになりそうだ。今回は、それぞれの中古車平均価格をチェックし、RCZと比較してみたい。
モデル名 | 中古車平均価格 |
プジョー RCZ | 236万円 |
VW シロッコ | 192万円 |
アウディ TTクーペ(先代) | 180万円 |
上の3モデルのなかでもっとも物件豊富なのが、先代のアウディTT。小型クーペとしての知名度が高く、走り、デザインともにハイレベルなので、このクラスとしては鉄板の選択肢となるだろう。平均価格は180万円と控えめだが、2006年デビューゆえ生産期間が長く、走行距離が伸びた個体も含んでいるのが影響している。
一方RCZは平均価格が高めだが、フランス製クーペとして考えると物件は決して少なくない。この相場は高価な「R」モデルを含んでいるので、素のRCZのみならば100万円台後半の予算からねらえるだろう。一例を挙げると、2010年式で走行距離2.5万km(AT車/車検なし)が169万円(2018年3月20日現在)。車検費用と合わせると、およそ200万円の予算があれば、オシャレなスポーツクーペライフを送れるというわけだ。
ちなみにライバルのシロッコを見てみると、こちらはRCZよりも物件が少な目となっている。平均価格はRCZよりも低めなので、こちらも手が出しやすい。RCZは200万円前後の予算が望ましいが、シロッコは150万円前後でOK。RCZと競合する上で、かなり手強いライバルと言えそうだ。
ただしクーペというジャンルは、実用車とは違って単純に高いか安いかで決めるものではないので、どちらがベターなのか一概に決められない。ひとつ言えることは、この手のスポーツクーペは、時間とともに良質な物件がどんどん減ってしまうこと。RCZはまだコンディションのよい個体が入手可能だから、ほしいひとは在庫が揃っているいまが買い時だと言えよう。
フォルクスワーゲン シロッコ(2009年5月発表)
アウディ TTクーペ(2006年7月発表)
MTorAT、どちらがオススメ?

先にも述べたが、RCZは大きく分けると200馬力/左ハンドル/MT仕様、156馬力/右ハンドル/AT仕様が存在し、これに加えて270馬力/左ハンドル/MT仕様の「R」が用意されている。それぞれの中古車平均価格は以下のとおり。
グレード | 中古車平均価格 |
ベースグレード(MT) | 210万円 |
ベースグレード(AT) | 228万円 |
R | 382万円 |
MTとATの物件比率はほぼ同程度。価格はATのほうがやや高めとなっているが、そこまで極端な差はない模様。一方「R」は高価格をキープしており、平均価格は382万円。強力なエンジンはもちろん、サスペンション、ブレーキが強化され、シートなどもサーキット走行が可能なバケットタイプとなっている。標準のRCZとRCZ Rでは、ターゲットとなるユーザー層が少し異なっていることも知っておきたい。
オススメは、ほどよくスポーティな走りを楽しめるベースグレードのMT仕様。左ハンドルだが、ドライビングポジションはナチュラルだ。
ハイパフォーマンス仕様の「RCZ R」。標準車とは一線を画する動力性能が自慢。「R」は後期型のみとなる。
年式別の相場をチェック

写真は前期型。
RCZは、モデルライフのなかで大きなマイナーチェンジが1度行われている。2010年7月に発表されたRCZは、2013年6月の改良でエクステリアをリニューアル。ヘッドライト、フロントバンパー形状が大胆に変わり、新世代プジョーデザインが与えられることになった。基本的なラインアップは以前と同じだが、6速MT車の最大トルクが増強されるなど、エンジンにも手が入っている。年式別の中古車平均価格は次のとおり。
年式 | 中古車平均価格 |
2010年式 | 176万円 |
2011年式 | 181万円 |
2012年式 | 207万円 |
2013年式 | 246万円 |
2014年式 | 321万円 |
2015年式 | 313万円 |
どの年式も偏りなく物件が揃っているが、後期型になる2013年式以降、相場が大きく上がっている。ただし、前期型と後期型は見た目の違いが主となっているから、好みで選んでもいいだろう。価格を含めて手に入れやすいのは前期だから、ここでは2013年以前の前期型フェイズをオススメしておこう。
まとめると、希少な小型スポーティクーペのなかで、RCZはVWシロッコと並ぶ有力な選択肢。シロッコは伝統的ハッチバック風のスタイルだが、RCZは個性が強いモダンなデザインで、街中での注目度は高い。およそ200万円の予算があれば、多くの物件がターゲットになるはずだ。