輸入車
更新日:2025.09.11 / 掲載日:2025.09.11
【メルセデス・ベンツ CLE】の歴史といま買いの中古車 受け継がれる美しき2ドアの血統

メルセデス・ベンツ CLE クーペ/カブリオレ|語り継がれる名車の系譜 vol.57|
文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ
※中古車参考価格はすべてグーネット2025年8月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年10月号の内容です)
メルセデスは、長年にわたり高級クーペとカブリオレを作り続けてきた。CLEクーペはそのDNAを受け継ぐ最新作だ。
エレガンスを極めた歴史と伝統のクーペモデル
メルセデスが継承する美しき2ドアの血統
クーペの歴史は古く、その起源は18世紀にまで遡ると言われている。始まりは二人乗り用の馬車で、その姿がまるで切り取られているかのように見えたことから、フランス語の「クープ(切られた)」が語源となったという説が有力だ。
1910年代、車体をコンパクトに切り詰め、ドアを2枚だけとした自動車版クーペが登場。メルセデスも戦前から2ドアモデルを手がけており、とりわけ540Kは象徴的存在といえるだろう。全長5.3mを超える贅を尽くした2シーターだ。スポーツカーとは一線を画す、究極のグランドツアラーであった。
戦後になってから、メルセデスは伝統を継承した豪華な2ドアモデルを送り出している。それらは4ドアのセダンのバリエーションとして設計され、よりスタイリッシュなデザインと上質なインテリアを特徴としている。
特にEクラスをベースにしたクーペとカブリオレは、実用性と趣味性の絶妙なバランスが多くの輸入車ファンを魅了。スポーツカー的なイメージの強いSLクラスとはまた違う2ドアの名品として名を馳せた。
2024年、メルセデスはCLEクーペを発表。エレガンスとスポーティネスを高次元で両立させた最新世代の2ドアモデルである。そのスタイルはまさに、戦前から変わらないクーペの模範となる美しさだ。
メルセデス・ベンツ CLE クーペ/カブリオレはこんなクルマ

従来、EクラスとCクラスに分かれていたクーペとカブリオレを統合。新たにCLEクーペ/カブリオレが誕生した。ボディサイズは全長4850mm、全幅1860mm、全高1420mmとCとEの中間。

センターディスプレイは、人間工学に基づき斜めに設置。上質かつスポーティな空間とした。

AMGモデルを除くと唯一のオープンとなるCLEカブリオレ。ソフトトップは60㎞以下であれば走行中にも開閉可能。後部座席用にもエアバッグを搭載し安全性を高めている。
[メルセデス・ベンツ CLE クーペ/カブリオレが名車になった理由]洗練を極めた大人のためのラグジュアリーカー
セダンのメカニズムを活用して作られたエレガントなクーペ

メルセデスにとってクーペはSLに代表されるスポーツモデルと、セダンをベースにしたエレガントなモデルとに分けられる。1960年代のW111クーペ/カブリオレはまさに後者の草分け的存在だった。
徹底的な作り込みと上品でクラス感を漂わすインテリア

セダンのメカニズムを使いながら、より上質な室内空間とパーソナルな雰囲気によって独自のポジショニングを築き上げてきた。その歴史は現代においても受け継がれ、特にEクラスクーペは高い人気を誇った。
同じメルセデスでもセダンにはないパーソナルな世界観

セダンの威厳ある雰囲気とはまた違うファッショナブルなムードを漂わす。ドイツでは、セダンはカンパニーカーとして会社から支給されることもあり、クーペやカブリオレは個人所有車として豊かさの象徴でもあった。
クーペモデルに共通する伝統のデザインルール

メルセデスのクーペモデルにはデザイン上のルールがある。それが、サッシレスドアとアーチを描くルーフライン。CLEにもその伝統が受け継がれている。伸びやかなスタイリングはクーペモデルならではの美しさ。
テクノロジーの進化で快適性と走行性能を両立

クーペ、カブリオレともにスポーツサスペンションを装備。これは通常走行時はしなやかで快適な乗り心地を提供し、コーナリングなどで一定以上の負荷がかかった場合には瞬時に減衰力を高める。二律背反を実現した装備だ。
オープンカー作りのノウハウが詰まったCLEカブリオレ

オープンカーを長年作り続けてきたノウハウを凝縮。風の巻き込みを抑える装備や乗員の首元を温めることで快適性を高める機能も搭載する。ソフトトップは静粛性に優れ、太陽の熱を低減するコーティングが施されている。
新車といま買いの中古車たち
メルセデス・ベンツ CLE クーペ

CLEは、美しいスタイルに先進的な装備や上質な素材を盛り込んだ贅沢なクーペ。2024年に追加された「スポーティスタイル」は、装備を見直すことで戦略的な価格を実現させたモデル。
新車価格:830万円~1305万円(CLEクーペ 全グレード)
メルセデス・ベンツ CLE カブリオレ

メルセデスの現行ラインアップで唯一のオープンモデルとなるCLEカブリオレ。風の巻き込みを低減するためのエアキャップや首元を温めるエアスカーフも装備。一年にわたり快適に楽しめる。
新車価格:963万円~1412万円(CLEカブリオレ 全グレード)
メルセデス・ベンツ Eクラス クーペ

2ドアクーペでありながら、乗員が快適に移動できるスペースと装備を備えたラグジュアリーカー。現在のところ最終モデルとなったW213は安全運転支援システムを標準装備している。
中古車参考価格帯:240万円~780万円(16年〜24年 Eクラスクーペ 全グレード)
メルセデス・ベンツ Cクラス クーペ

Cクラスをベースとしながらも、Aピラーから後ろを専用設計としたことで美しいプロポーションを実現。サスペンションもセダンより低く設定しスポーティなテイストを与えている。
中古車参考価格帯:170万円~400万円(16年〜22年 Cクラスクーペ 全グレード)