輸入車
更新日:2024.08.31 / 掲載日:2024.08.31

自分にプレゼントした赤いスパイダー【九島辰也】

スパイダー 1300 ジュニア(1967年モデル)

文●九島辰也 写真●九島辰也、アルファ ロメオ

 アルファロメオ・スパイダーを購入しました。自分の還暦祝いに。以前から60歳になったら赤いクルマを買おうと考えていました。モータージャーナリストですからね。赤いちゃんちゃんこもいいですが、こっちの方が実用的だし、まわりも納得かと。

 以前からこうした記念にクルマを買ってきました。40歳の時には2002年型ポルシェ911を、50歳の時には67年型トライアンフ・スピットファイアを愛車にしました。ポルシェ911は「911を所有してみたかった」、スピットファイアは「ビスポークでクルマを仕立てたかった」からです。すべて「自動車についての知見を深めるため」というのが名目ですが、好きなクルマに乗りたいだけとも言えます。

 「ビスポークでクルマを仕立てる」というのは、クラシックカーを自分好みに仕上げるという意味です。40代中盤くらいからクラシックカーにのめり込みましたから。最初はクラシックカーショップの社長のコドライバーとして、その後はクルマを借りて公道ラリーに参加していました。

 でも自分のが欲しくなり、どうせならゼロからつくろうと考えました。そこでボディとサブフレームしかないサフェーサー状態のドンガラを見つけ、ショップに組み上げてもらいました。ボディカラー、カーペットの素材や色、サイドミラーの形状、シートのカタチとカラーなどなどすべて自分好みにするのです。まるでスーツを仕立て屋さんに頼むように。まぁ、これはこれで話すと長くなるので、これくらいにします。レストア日記は当時カーマガジンで連載していたので、バックナンバーを見つけられれば写真で見ることが出来ます。

 話を戻しますが、アルファロメオ・スパイダーとの出会いはシンプルです。イタリア車専門ショップ「コレツィオーネ」代表の成瀬さんに、「九島さんが前に欲しがっていたスパイダーが入庫しますよ」と聞かされたからです。たしかゴルフのラウンド中でした。なので、入庫したという連絡があり、見に行ったときにはもう買うことを決めていました。だって、そもそも好きなクルマですから。

 ボクのクラシックカーの好みは変わりません。丸型ヘッドライト2灯の2シーターオープンロードスターです。スピットファイアもそうでしたし、その後に購入した69年型ダットサン・フェアレディ(SRL311)もそうでした。皆、同じボディタイプのモデルです。

 購入したアルファロメオ・スパイダーは80年型です。そういうと、クラシックカー乗りからは「新しめですね」という言葉が返ってきます。クラシックカーの世界では1920年のベントレーやブガッティに代表される戦前組と1950年代にミッレミリアで活躍していた戦後組が主流ですから。視点を変えれば60年代にモンテカルロラリーで戦っていたラリーカーなんかも羨望の的です。

 ですが、ボクが目指すのはもっとお気楽なクラシックカーライフ。ほとんどメンテナンスフリーで、気兼ねなく付き合えるモデル選びです。ただ、エンジンはキャブレターだったり、デザインは60年代だったりを求めます。クルマがエレガントでカッコよかったのは60年代までですから。

1750 スパイダー ヴェローチェ(1970年モデル)

 それじゃなぜ1980年型で満足しているかといえば、このクルマは1960年代の設計だからです。つまりデザインもそうなります。先祖となるデュエットの生産期間は1966年から69年、ボクのシリーズ2は1970年から1983年までの製造となります。つまり、設計&デザインは60年代で、それに手を入れモデル末期として熟成させたのがちょうどこの辺の年式となります。なので、エンジンはもちろんキャブ。馴染みのあるウェーバーが付いています。スパイダーはその後も続きますが、この2世代目が“最後のキャブ”ですね。テールエンドは“コーダトロンカ(coda tronca)”といいます。ほぼ垂直に切り落としたカムテールのイタリア語名です。シリーズ1のボートテールともども大好きです。

 しかも、機関良好なのでエンジンはほとんど一発でかかりますし、細かな気遣いは必要ありません。1週間に一度の好き者の集まりもノーストレスで参加できます。いやはや快適。思い返すとダットサン・フェアレディの方が手がかかりました。

 といった経緯で買ったスパイダーは、購入後すぐに雑誌「エンジン」で取材されました。60歳になって赤いクルマ買って、雑誌に取材されたのですからいい記念です。なんかクルマと共に生きているって感じですね。これからもそんな風に過ごせたからいいなと思います。このクルマに関しての愛車日記はいずれまた書きますので、ご期待ください。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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