輸入車
更新日:2023.03.24 / 掲載日:2023.02.23

【BMW i7】高級車の新しい世界を体験させてくれる電気自動車

文●九島辰也 写真●内藤敬仁、澤田和久

 昨年7月、日本においてBMWのトップエンドに位置する7シリーズが発表された。1977年のシリーズ登場以来7世代目となるフルモデルチェンジだ。が、その姿はご覧のようにかなりインパクトのあるものとなった。シルエット的には通常のスリーボックスセダンではあるが、ボディは厚く、フロント、リアエンドともに押し出しの強さはハンパない。

存在感たっぷりのデザイン

i7 xDrive60 Excellence

 特にフロントマスクの存在感は大きい。「これでもかっ!」というサイズのキドニーグリルとスワロフスキー製クリスタルヘッドライトのキラキラしたデザインは一度見たら忘れない。ラグジュアリーな装甲車のようだ。ライバル、メルセデスSクラスをも圧倒する。

 パワーソースは、クリーンディーゼル+マイルドハイブリッドとガソリンエンジン+マイルドハイブリッド、それと今回ステアリングを握ったBEVがある。BEVはi7(アイセブン)と呼ばれ、“i(アイ)シリーズ”の一員であることを表している。

i7 xDrive60 エクセレンス

近未来的なインテリア、リヤシートには8K31インチスクリーンも搭載

i7 xDrive60 エクセレンス

 そのi7に乗り込むと、新型7シリーズの新しさを目の当たりにする。12.3インチのメーターパネルと14.9インチのセンターに取り付けられたコントロールディスプレイが近未来的なのだ。それらは一体化され、さらに湾曲することでダッシュパネルにうまく馴染んでいる。出っぱったスイッチはなく、ステアリング上もセンターコンソールもスッキリしている。

 ディスプレイ話のついでに記すと、試乗車にはリアシート用にとんでもないサイズのディスプレイが装備されていた。その名は“BMWシアタースクリーン”。8K対応の31インチタッチスクリーンが天井から電動で降りてくるのだ。しかもそれと同時に連動でリアのシェイドが閉じる仕組み。Amazon Fire TVと契約することで、いろんな映画が映画館並みに楽しめるという演出だ。これに関しては言葉で説明するのは難しいので、興味のある方はディーラーで直接目にするといういいだろう。世界初だけあり、モニターの大きさにはちょっと驚く。

 ハードウエアは、フロントに258psを発揮するモーターとリアに313psを発揮するモーターを搭載する。つまり、xDriveの名がつくことからもわかるように前後に駆動力を与えるAWD。システムトータル出力は544psだから十分だ。大容量のリチウムイオン電池が生み出す航続距離はヨーロッパ仕様で約600キロになるらしい。

街中の喧騒からシャットアウトされる

i7 xDrive60 エクセレンス

 では走った印象だが、終始感じたのはキャビンの静粛性の高さ。走っている間中、それに感心した。専用道路での巡航や街中での走り、それに信号待ちでも「静かだなぁ」と口にしてしまう。もちろんエンジン音がないのだから内燃機関と比較すればそうなのだが、それ以上に外の音が入ってこない。風切り音やロードノイズと同時に街中の喧騒まで消されている。まさに外界から遮断された空間といえるだろう。なるほど、リアにシアタースクリーンを有するとはこういうことなのかもしれない。映画が始まると自分がクルマの中にいることを忘れてしまうに違いない。

 それと関連していると思われるのが、乗り心地の良さだ。エアサスペンションのセッテイングにさらに磨きがかかったように思える。キャビンは常時フラットで、路面からの入力はバネ下で上手に消されている。おヘソあたりを意識して乗っていると、身体が揺さぶられないのがよくわかる。四輪独立してエアの供給が行われている恩恵はここにありそうだ。

 思うに、こうした静粛性の高さや乗り心地の良さは同グループのロールスロイスからのフィードバックではないだろうか。もちろんそもそもはジャーマンテクノロジーではあろうが、ロールスロイスからの要求で磨き上げられた技術に他ならない。新型ではそれを積極的に取り入れている気がする。

 その根拠となるのが、7シリーズでは珍しい2トーンのボディカラー。数年前からロールスロイスユーザーたちの間で流行っているそれが採用されている。ボタンによるドアの自動開閉もそう。試乗車は4つのドア全てにそれが装備されていた。乗り込んでからボタン操作でドアを閉める感覚はなんとも言えない。素直に「高級車だぁ」という感想だ。

まとめ

 というのがi7とのファーストコンタクト。このレベルになるとハンドリングがどうとか、コーナーでのリアの粘りが高い、なんてことを綴る気にはならない。そういったフィーリングをキャビンにダイレクトに伝えないのが使命としてつくられているからだ。まさに雲上のクルマ。世界中のエスタブリッシュされたビーマーファンが注目するのはわからなくない。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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