車の歴史
更新日:2021.05.25 / 掲載日:2021.05.24
Zの魂 フェアレディZ年代記 ~2代目から4代目~
2代目フェアレディZ(S130) ・販売期間:1978~1983年
初代モデルの好評を受け、デザインを踏襲しながらボディサイズを拡大。2トーンのボディカラーやTバールーフも追加された。280Zに積まれる6気筒2.8Lエンジンは、米国ではターボ仕様も販売され、スポーツカーらしい大パワーも手に入れた。TVドラマ「西部警察」ではTバールーフを改造したセミガルウイングドアのスーパーZも登場、人気となった。
3代目フェアレディZ(Z31) ・販売期間:1983~1989年
「パラレルライズアップ」と呼ばれる垂直にせり上がるセミリトラクタブルヘッドライトが特徴。エンジンは直列6気筒のL型から、V型6気筒のVG型へ移行(後に直6のRB型も追加に)、トップモデルの300ZXは最高出力230PSを誇った。プラザ合意による急速な円高で米国での価格は急騰、ターボが主力となり、割安なスポーツカーからハイパフォーマンススポーツカーへとキャラは変わっていった。
世界に誇る本格スポーツへ
1969年に生まれた初代フェアレディZは、北米市場で爆発的なヒットとなった。均整の取れたデザインや切れ味のいいエンジン、世界初の4輪ストラット式サスペンションによる機敏なハンドリングなど、スポーツカーと呼ぶにふさわしい内容を備えながら、1ドル360円という超円安・ドル高の固定相場時代だからこそ実現できた手ごろな価格が大きな要因だった。
発表当時の西海岸での価格は3596ドルから。スポーツカーとしては驚くほど安かったが、発売されると5000ドルのプレミアム価格でも飛ぶように売れた。日本国内でも、ベーシックな2L車は98万円からという戦略的な値付けで、高度経済成長下の若者たちの注目を浴びる。
S20型エンジンを積むZ432こそ185万円と高価だったが、セドリックのエンジンやスカイラインのトランスミッション、ブルーバードのストラットなど、量産車のパーツを流用した合理的な設計が、フェアレディZの武器となったのだ。
しかし、’71年に円が変動相場制に移行すると、為替は大幅な円高に振れた。おかげで値上げを余儀なくされた北米市場におけるZは、手ごろな価格の入門スポーツカーという当初の立ち位置を失う。
以後、上級の本格スポーツカーへと商品企画の上方修正を迫られたZは、代を重ねるほどに世界に誇れる動力性能と商品力に到達する一方で、若者に手の届く入門車ではなくなってしまったのだった。