中古車購入チェックポイント
更新日:2023.09.29 / 掲載日:2022.01.26
4年落ちの中古車は節税に有利!減価償却の求め方や注意点を覚えておこう
節税のことを考えて車を購入するのであれば「4年落ちの中古車」がいいと聞いたことがある方もいるかもしれません。
4年落ちの中古車の購入費用は1年で一気に減価償却費として計上できます。しかし、実際に計上するには取得金額を確認して耐用年数を計算したり、償却率を割り出して定額法か定率法を選んだりと、多少煩雑なプロセスを踏まなければなりません。
ここでは、減価償却の考え方と実際の計算方法、そして注意点などをまとめました。
しかし、なぜ社用車を購入するのに中古車の、しかも4年落ちが適しているのでしょう?
これには「減価償却」という税制上のルールが大きく関係しています。
この記事では、経費で中古車を購入することを検討している方向けに、減価償却を中心とした節税の仕組み、計算法、そして注意点などを説明していきます。

なぜ4年落ちの中古車を購入することで節税になると言われているのでしょう。そのポイントは「減価償却」にあります。
減価償却とは、経理上の仕組みのことで経費で買った設備や機器を法律で規定されている年数に分割して計上するものです。こうすることで、購入経費によって損益が赤字になったり利益が減少したりするのを防ぐことができます。
この計上を行う際、勘定科目として使うのが「減価償却費」です。減価償却費の額が大きければ大きいほど、節税効果も高くなります。
4年落ちの中古車は「定率法」という計算式を使用すると1年でまるまる全額償却ができ、節税できる額も大きくなります。
以下でさらに詳しく説明していきます。
減価償却費は購入した機器や設備を規定の耐用年数で分割して経費として計上するもので、この場合の「耐用年数」は対象の機器や設備が何年使えるものか、という観点で設定されています。
つまり、その機器や設備を使っている間は「減価償却費」として経費に計上できるということです。
大規模な機器や設備の費用をまとめて計上しないことで、損益が赤字になったり利益が減少したりするのを避けられます。
これは経理上の扱い方の話で、実際には購入した費用を販売先に支払います。いわゆるキャッシュフローとは別の捉え方です。
また、減価償却費は支払った費用を必ずまとめて一気に計上するとは限らず、規定の耐用年数の分だけ経費として計上し続けることができるので、その年数分だけ節税効果を持続させられます。
例えば、長い期間、財産価値が持続する固定資産は利益を生むために使われた分だけ費用として計上されると言えます。
ただし、経営状況によっては減価償却費が継続することでかえって負担になり、赤字が深刻化するといったデメリットもあります。

ここまでで減価償却の仕組みと、減価償却費の扱いについて説明しました。では、なぜ4年落ちの中古車だと減価償却費の額が大きくなるのでしょう?
4年落ちの車は「定率法」という計算方法を用いると、1年で購入費用の全額を償却できます。そのため、今年は大きな利益が見込めるから一度に計上したいという場合は、4年落ちの中古車が使えることになります。
これが4年未満だと使用年数によって耐用年数が変わるため、金額にぶれが生じてしまうのです。
古ければ古いほど償却できる金額が大きくなり、費用の全額償却が可能になるラインが「4年」ということです。
次は、車の経過年数による減価償却費の違いをもう少し詳しく説明します。
この時「定額法」という計算方法を使うと、300万円の中古車なら150万円ずつに分けられ、全額計上には2年かかるということです。
一方「定率法」という計算方法では、300万円全額を一気に経費として計上することができます。
定額法と定率法はこの点が大きく異なっており、定率法の率は定額法の率の2倍にする「200%定率法」というやり方があります。
2年の耐用年数に対して定額法で計算すると、年間の償却額は購入にかかった費用の半分です。一方、定率法ではこの率が2倍になるので1年で100%となり、一気に購入費用の全額を償却して節税に役立てることができます。
300万円の新車を購入したとして定額法で計算すると、300万円÷6年=50万円です。6年間は毎年50万円を減価償却費として、損金に計上することになります。
この計算結果をどう扱うかは、経営方針によって異なります。
「今年は大きな利益が見込めるので一度に計上して節税する」あるいは「今からしばらく経営が苦しいのでできるだけ経費を抑えるために新車にする」となるでしょう。
つまり、車の購入の予算が300万円として、購入年に1度で経費として計上したいなら4年落ちの中古車を買うほうがいいと言えます。
一方、何年かに分けて経費に計上するなら新車で買うのが適切です。
例えば、3年落ちの中古車なら新車の6年から3年をマイナスして求めることになり、耐用年数は3年となります。すると300万円の中古車の場合、300万円÷3年で1年ごとの減価償却費は100万円です。
このように、中古車の場合は使用期間によって償却できる金額に差が出て、古い車ほど償却できる金額が大きくなると言えます。

ここからは減価償却費、つまり「経費として計上できる金額」を算出する具体的な計算方法を説明します。
基本的な数式は「取得金額(取得価額)×償却費」ですが、まずはこの2つの値を割り出さなければなりません。
取得金額(取得価額)とはどの金額のことで、償却率はどう算出することになるのでしょう?
耐用年数の概念や定額法と定率法という2つの計算式について、次の項目から説明します。
例えば、車両の本体価格、オプション関連などの付属品、納車費用などが挙げられます。中古車の購入や維持管理にかかる費用が全て取得金額に含められるわけではありません。
取得金額(取得価額)の費用の中には、経費で単年度(1年だけで)処理すべきものもあります。それは、自動車税、自動車取得税、自動車重量税などの税金です。また自賠責保険料、検査登録費用、車庫証明費用などの法定費用も単年度処理が必要です。
これらも購入時に関係してくる費用なので、一見すると取得金額に含められるように見えるかもしれません。しかし、本体の取得価格とは別物と考えられています。
耐用年数とは、経年劣化していく資産についてどれくらいで劣化するかという年数を法律で定めたものです。
例えば、木骨モルタルの住宅は耐用年数20年とされています。一方、鉄筋コンクリートの建物は個別に細かな違いがあるものの47年などと決まっています。
木骨モルタル住宅の場合で考えると、耐用年数は20年なので、1年で返却するべきとされる割合(償却率)は「1÷20=0.05」です。
2,000万円で購入した住宅の1年の減価償却費は「2,000万円(取得金額)x0.05(償却率)=100万円」なので、「2,000万円(取得金額)÷20年(耐用年数)=100万円」と同じことになります。
まず「耐用年数」ですが、ほとんど全ての耐久品にはこの耐用年数が規定されており、普通自動車の新車なら6年となっています。
この耐用年数を使いながら、2つの計算方法で計算していきます。
「定額法」の場合は、購入価格に減価償却率をかけて減価償却費を求めましょう。
「定率法」の場合は、取得価格に対して一定の率をかけて計算しますが、この率というのも耐用年数で決まります。
組織の利益に関わってくることなので、減価償却費を求めるにあたって定額法を使うか、あるいは定率法を使うかは経営方針次第です。
次の項目からは、この一連の計算の流れについてさらに詳しく説明します。
他の例を挙げるなら新築建物は11~50年で、私たちにとって身近なパソコンは4年です。
物は経年劣化によって価値が下がっていくことから、中古で購入した物については一定の式で計算した金額を費用から差し引いて、それを減価償却費として計上することになります。
では、中古の普通車を購入した場合の耐用年数はどう算出されるでしょう?
新車の普通車の耐用年数は6年なので、中古車の耐用年数は次の式となります。
(新車の耐用年数−経過年数)+(経過年数×20%)
例えば、2年落ちの中古車を購入した場合は以下の様に計算します。
6年−2年+(2年×20%)=4.4年
4.4年になりましたが、小数点以下は切り捨てなので結果は「4年」になります。
計算は簡単で、例えば300万円で新車を購入した場合、新車の耐用年数は6年なので1年の減価償却率は「1÷6年=0.167」となります。そして「3,000,000×0.167=501,000」となります。
定額法は、上記の計算方法以外にも「購入金額÷耐用年数」で調べることができます。例えば、300万円で購入した新車の場合、新車の耐用年数は6年なので「3,000,000÷6=500,000」となります。
ただし、四捨五入の影響で誤差が出るので、正確な数値を出すなら前者の計算方法を使うようにしましょう。
この「定率法の償却率」は耐用年数によって決まり、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で確認することができます。
例えば、300万円で購入した新車の場合、耐用年数は6年ですので、この省令の償却率表で確認すると償却率は0.333となり、以下のような計算式になります。
初年度は、減価償却費が「300万円x0.333=99.9万円」と求められます。あわせて残存価格も「300万円ー99.9万円=200.1万円」と算出できます。
2年目以降は、減価償却費が「200.1万円x0.333=66.6万円」となり、残存価格は「200.1万円ー66.6万円=133.5万円」です。
この計算方法を続けていくと、いずれ償却額は最低限確保すべきとされている「償却保証額」の額を下回ることになります。この償却保証額は取得原価に保証率をかけて求められるもので、この金額に達しなくなった段階で、翌年度からは「改定取得価額×改定償却率」という別の計算式を使用することになります。
減価償却費は経費に計上され利益に関わってくるため、利益が出ているので法人税を少しでも節税したいのなら、初年度の減価償却費が多く計算される「定率法」が適していると言えるでしょう。
一方、「定額法」は毎年の償却額が一定になるので、将来の計画を立てやすくなるメリットがあります。最近は資産の状況をより正確に財務諸表に反映させるために「定額法」を採用する企業も増えています。
また、償却期間中に方法を変更することも可能なので、必要なら変更の理由を明確にした上で税務署に申請しましょう。

実際に経費で中古車を購入する際に、経理処理上注意しなければならない点があります。
まず、減価償却費はあくまでも資産の使用期間に対応する分が経費になるため、計上の仕方によっては購入時期を調整する必要があるということです。
また、ローンで購入する場合は「経費として計上可能なのは毎月の利息分だけで、元金部分の返済額は経費として計上できない」という話を耳にしたことはないでしょうか。
実際のところ、返済額は直接経費として計上できませんが、減価償却費に変えてから経費として落とすことが可能です。
以上2点を解説します。
これは逆に考えることも可能で、赤字になりそうだけど購入したいものがあるという場合は、期末頃に購入することで減価償却費も少なく計上できます。
ただし、この場合は購入した資産が使われ始めていることが条件です。
例えば、4月に車を購入したものの、実際の納車が今年度の9月や10月頃だった場合、減価償却を始められるのは10月以降になるので、当年度は10~3月の間しか減価償却の効果が期待できないことになります。
ローンの場合は、車両代(元本)を減価償却費として経費に計上し、返済の利息分を経費として処理することが可能です。
4年落ちの中古車の購入費用は1年で一気に減価償却費として計上できます。しかし、実際に計上するには取得金額を確認して耐用年数を計算したり、償却率を割り出して定額法か定率法を選んだりと、多少煩雑なプロセスを踏まなければなりません。
ここでは、減価償却の考え方と実際の計算方法、そして注意点などをまとめました。
この記事の目次
なぜ経費で買うなら4年落ちの中古車がいいと言われるのか?
法人や経営者が経費を使って車を購入する場合、4年落ちの中古車が税金対策的に有利だとよく言われています。しかし、なぜ社用車を購入するのに中古車の、しかも4年落ちが適しているのでしょう?
これには「減価償却」という税制上のルールが大きく関係しています。
この記事では、経費で中古車を購入することを検討している方向けに、減価償却を中心とした節税の仕組み、計算法、そして注意点などを説明していきます。
ポイントは「減価償却」

減価償却とは、経理上の仕組みのことで経費で買った設備や機器を法律で規定されている年数に分割して計上するものです。こうすることで、購入経費によって損益が赤字になったり利益が減少したりするのを防ぐことができます。
この計上を行う際、勘定科目として使うのが「減価償却費」です。減価償却費の額が大きければ大きいほど、節税効果も高くなります。
4年落ちの中古車は「定率法」という計算式を使用すると1年でまるまる全額償却ができ、節税できる額も大きくなります。
以下でさらに詳しく説明していきます。
減価償却とは?
経理上の勘定科目の一つに、「減価償却費」というのがあります。減価償却費は購入した機器や設備を規定の耐用年数で分割して経費として計上するもので、この場合の「耐用年数」は対象の機器や設備が何年使えるものか、という観点で設定されています。
つまり、その機器や設備を使っている間は「減価償却費」として経費に計上できるということです。
大規模な機器や設備の費用をまとめて計上しないことで、損益が赤字になったり利益が減少したりするのを避けられます。
これは経理上の扱い方の話で、実際には購入した費用を販売先に支払います。いわゆるキャッシュフローとは別の捉え方です。
減価償却費が大きければ大きいほど節税になる
減価償却費は経費という扱いで計上されるので「損金」となり、経理上は利益の減少となります。よって、その分だけ法人税の支払い分も減少します。つまり、減価償却費の金額が大きいほど節税効果も増すということです。また、減価償却費は支払った費用を必ずまとめて一気に計上するとは限らず、規定の耐用年数の分だけ経費として計上し続けることができるので、その年数分だけ節税効果を持続させられます。
例えば、長い期間、財産価値が持続する固定資産は利益を生むために使われた分だけ費用として計上されると言えます。
ただし、経営状況によっては減価償却費が継続することでかえって負担になり、赤字が深刻化するといったデメリットもあります。
なぜ4年落ちの中古車がいいのか

4年落ちの車は「定率法」という計算方法を用いると、1年で購入費用の全額を償却できます。そのため、今年は大きな利益が見込めるから一度に計上したいという場合は、4年落ちの中古車が使えることになります。
これが4年未満だと使用年数によって耐用年数が変わるため、金額にぶれが生じてしまうのです。
古ければ古いほど償却できる金額が大きくなり、費用の全額償却が可能になるラインが「4年」ということです。
次は、車の経過年数による減価償却費の違いをもう少し詳しく説明します。
4年落ちの中古車は「耐用年数が2年なので1年で減価償却できる」
4年落ちの中古車の場合、耐用年数は2年と決まっています。この時「定額法」という計算方法を使うと、300万円の中古車なら150万円ずつに分けられ、全額計上には2年かかるということです。
一方「定率法」という計算方法では、300万円全額を一気に経費として計上することができます。
定額法と定率法はこの点が大きく異なっており、定率法の率は定額法の率の2倍にする「200%定率法」というやり方があります。
2年の耐用年数に対して定額法で計算すると、年間の償却額は購入にかかった費用の半分です。一方、定率法ではこの率が2倍になるので1年で100%となり、一気に購入費用の全額を償却して節税に役立てることができます。
新車の場合は減価償却費として計上できる分が少ない
普通自動車の新車の耐用年数は、法律で6年と決まっています。300万円の新車を購入したとして定額法で計算すると、300万円÷6年=50万円です。6年間は毎年50万円を減価償却費として、損金に計上することになります。
この計算結果をどう扱うかは、経営方針によって異なります。
「今年は大きな利益が見込めるので一度に計上して節税する」あるいは「今からしばらく経営が苦しいのでできるだけ経費を抑えるために新車にする」となるでしょう。
つまり、車の購入の予算が300万円として、購入年に1度で経費として計上したいなら4年落ちの中古車を買うほうがいいと言えます。
一方、何年かに分けて経費に計上するなら新車で買うのが適切です。
「4年未満」の中古車も計上できる分が少ない
登録後4年未満の中古車の場合はどうなるかというと、使用年数によって耐用年数が変わってきます。例えば、3年落ちの中古車なら新車の6年から3年をマイナスして求めることになり、耐用年数は3年となります。すると300万円の中古車の場合、300万円÷3年で1年ごとの減価償却費は100万円です。
このように、中古車の場合は使用期間によって償却できる金額に差が出て、古い車ほど償却できる金額が大きくなると言えます。
減価償却の計算方法は「取得金額(取得価額)×償却率」

基本的な数式は「取得金額(取得価額)×償却費」ですが、まずはこの2つの値を割り出さなければなりません。
取得金額(取得価額)とはどの金額のことで、償却率はどう算出することになるのでしょう?
耐用年数の概念や定額法と定率法という2つの計算式について、次の項目から説明します。
中古車の取得金額(取得価額)とは?
中古車を購入する時の費用である取得金額(取得価額)には、どのようなものが含まれるでしょう。例えば、車両の本体価格、オプション関連などの付属品、納車費用などが挙げられます。中古車の購入や維持管理にかかる費用が全て取得金額に含められるわけではありません。
取得金額(取得価額)の費用の中には、経費で単年度(1年だけで)処理すべきものもあります。それは、自動車税、自動車取得税、自動車重量税などの税金です。また自賠責保険料、検査登録費用、車庫証明費用などの法定費用も単年度処理が必要です。
これらも購入時に関係してくる費用なので、一見すると取得金額に含められるように見えるかもしれません。しかし、本体の取得価格とは別物と考えられています。
償却率とは?
償却率とは、1年でいくらの減価償却費になるかの率を、耐用年数を用いて計算したものです。耐用年数とは、経年劣化していく資産についてどれくらいで劣化するかという年数を法律で定めたものです。
例えば、木骨モルタルの住宅は耐用年数20年とされています。一方、鉄筋コンクリートの建物は個別に細かな違いがあるものの47年などと決まっています。
木骨モルタル住宅の場合で考えると、耐用年数は20年なので、1年で返却するべきとされる割合(償却率)は「1÷20=0.05」です。
2,000万円で購入した住宅の1年の減価償却費は「2,000万円(取得金額)x0.05(償却率)=100万円」なので、「2,000万円(取得金額)÷20年(耐用年数)=100万円」と同じことになります。
償却率は「耐用年数」を使って「定額法」か「定率法」で算出する
次に、償却率の算出に使われる「耐用年数」と、2つの計算方法「定額法」と「定率法」の概要を説明します。まず「耐用年数」ですが、ほとんど全ての耐久品にはこの耐用年数が規定されており、普通自動車の新車なら6年となっています。
この耐用年数を使いながら、2つの計算方法で計算していきます。
「定額法」の場合は、購入価格に減価償却率をかけて減価償却費を求めましょう。
「定率法」の場合は、取得価格に対して一定の率をかけて計算しますが、この率というのも耐用年数で決まります。
組織の利益に関わってくることなので、減価償却費を求めるにあたって定額法を使うか、あるいは定率法を使うかは経営方針次第です。
次の項目からは、この一連の計算の流れについてさらに詳しく説明します。
耐用年数の計算方法
普通自動車の新車の耐用年数は6年と定められており、さらに軽自動車は4年、自転車は2年などと細かく規定されています。このように、耐用年数はほぼ全ての耐久品に定められています。他の例を挙げるなら新築建物は11~50年で、私たちにとって身近なパソコンは4年です。
物は経年劣化によって価値が下がっていくことから、中古で購入した物については一定の式で計算した金額を費用から差し引いて、それを減価償却費として計上することになります。
では、中古の普通車を購入した場合の耐用年数はどう算出されるでしょう?
新車の普通車の耐用年数は6年なので、中古車の耐用年数は次の式となります。
(新車の耐用年数−経過年数)+(経過年数×20%)
例えば、2年落ちの中古車を購入した場合は以下の様に計算します。
6年−2年+(2年×20%)=4.4年
4.4年になりましたが、小数点以下は切り捨てなので結果は「4年」になります。
定額法の計算方法
定額法では、「購入価格×減価償却率=減価償却費」となり、毎年同じ金額を償却していくことになります。計算は簡単で、例えば300万円で新車を購入した場合、新車の耐用年数は6年なので1年の減価償却率は「1÷6年=0.167」となります。そして「3,000,000×0.167=501,000」となります。
定額法は、上記の計算方法以外にも「購入金額÷耐用年数」で調べることができます。例えば、300万円で購入した新車の場合、新車の耐用年数は6年なので「3,000,000÷6=500,000」となります。
ただし、四捨五入の影響で誤差が出るので、正確な数値を出すなら前者の計算方法を使うようにしましょう。
定率法の計算方法
定率法は、経年による資産価値の低下を反映した計算方法で、「取得価格×定率法の償却率=減価償却費」で求めます。この「定率法の償却率」は耐用年数によって決まり、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で確認することができます。
例えば、300万円で購入した新車の場合、耐用年数は6年ですので、この省令の償却率表で確認すると償却率は0.333となり、以下のような計算式になります。
初年度は、減価償却費が「300万円x0.333=99.9万円」と求められます。あわせて残存価格も「300万円ー99.9万円=200.1万円」と算出できます。
2年目以降は、減価償却費が「200.1万円x0.333=66.6万円」となり、残存価格は「200.1万円ー66.6万円=133.5万円」です。
この計算方法を続けていくと、いずれ償却額は最低限確保すべきとされている「償却保証額」の額を下回ることになります。この償却保証額は取得原価に保証率をかけて求められるもので、この金額に達しなくなった段階で、翌年度からは「改定取得価額×改定償却率」という別の計算式を使用することになります。
定額法と定率法はどう使い分ける?
減価償却を行うにあたり、定額法と定率法のいずれを採用するかは会社の経営方針によって変わります。減価償却費は経費に計上され利益に関わってくるため、利益が出ているので法人税を少しでも節税したいのなら、初年度の減価償却費が多く計算される「定率法」が適していると言えるでしょう。
一方、「定額法」は毎年の償却額が一定になるので、将来の計画を立てやすくなるメリットがあります。最近は資産の状況をより正確に財務諸表に反映させるために「定額法」を採用する企業も増えています。
また、償却期間中に方法を変更することも可能なので、必要なら変更の理由を明確にした上で税務署に申請しましょう。
実際に経費で中古車を購入する際の注意点

まず、減価償却費はあくまでも資産の使用期間に対応する分が経費になるため、計上の仕方によっては購入時期を調整する必要があるということです。
また、ローンで購入する場合は「経費として計上可能なのは毎月の利息分だけで、元金部分の返済額は経費として計上できない」という話を耳にしたことはないでしょうか。
実際のところ、返済額は直接経費として計上できませんが、減価償却費に変えてから経費として落とすことが可能です。
以上2点を解説します。
決算期の翌月に購入する
購入した機器や設備などの資産を、減価償却費として初年度のうちに全額計上したいなら、購入は決算月の翌月末までに済ませておくことが必要です。そうしないと月割りの計算になるため、年間の償却額が減少します。これは逆に考えることも可能で、赤字になりそうだけど購入したいものがあるという場合は、期末頃に購入することで減価償却費も少なく計上できます。
ただし、この場合は購入した資産が使われ始めていることが条件です。
例えば、4月に車を購入したものの、実際の納車が今年度の9月や10月頃だった場合、減価償却を始められるのは10月以降になるので、当年度は10~3月の間しか減価償却の効果が期待できないことになります。
ローンは直接経費で落とせないが…
経費による車の購入を考えた場合、当座の資金に余裕を持たせるために、一括ではなくローンによる購入を選ぶ方もいるでしょう。ローンの場合は、車両代(元本)を減価償却費として経費に計上し、返済の利息分を経費として処理することが可能です。
まとめ
①節税するなら、4年落ちの中古車は1年で減価償却できるので有利
②新車や4年未満の中古車は、減価償却費として計上できる分が少ない
③減価償却費は「取得金額(取得価額)×償却率」で求める
④償却率は「耐用年数」を用いて「定額法」か「定率法」のいずれかを選択し、算出する
⑤節税のための中古車購入は決算期の翌月にするのがよい
⑥車は固定資産とみなされるので車両代(元本)は減価償却費に変えてから経費として落とすことが可能
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