中古車購入チェックポイント
更新日:2021.08.10 / 掲載日:2021.08.10
ダイハツ コペン/2014年~ 【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

工藤’sコメント「電動開閉のオープンだから気軽に屋根を開けられる!」 写真右から、丸いヘッドライトで初代コペンのイメージに近い「セロ」、中央は最初にデビューした「ローブ」、そして左の赤いモデルはSUVテイストの「エクスプレイ」。さらに、2019年10月に「GRスポーツ」も追加されている。
文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、ホンダ
(掲載されている内容はグー本誌 2021年8月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年7月調べ。
2シーターオープンの軽スポーツカー。今回注目するダイハツ・コペンは、人生を楽しむ人のために生まれてきたと言っても過言ではないだろう。
大人っぽさが漂う人気の軽スポーツ

あのライバルよりも気軽に付き合える
編集部●今回注目するのは、ダイハツ「コペン」です。軽自動車ですが、かなり特殊な車種ですね。
工藤●2人乗りのオープンカーで、日常の足というよりも、運転やドライブを楽しんで生活を彩るようなクルマだね。
編集部●キャラが強くて楽しいのは間違いありません。ところで軽自動車でオープン2シーターのスポーツモデルといえば、やはりホンダ「S660」が気になります。この「コペン」とはどう違うのでしょうか?
工藤●S660はもっと走りを重視したクルマだね。エンジン搭載位置は「ミッドシップ」といって乗員の後ろだし、駆動方式は運転を楽しむのに最適と言われる後輪駆動。一方で、天井の開閉は完全手動式でちょっと手間がかかるし、荷物を置くスペースはないに等しい。爽快に走りにこだわっているから、そのあたりは割り切られている。
編集部●ストイックですね。
工藤●そう。コペンは、一般的なエンジン前置きの前輪駆動。ルーフが電動開閉式だから開け閉めが手軽だし、開く面積も断然広い。だからオープンカーとしての魅力はコペンのほうが上だね。
編集部●たしかにS660は頭上部分だけしか開きませんから。
工藤●それに、ルーフを閉じた状態ならゴルフバッグが積めるくらい荷室が広い。だからS660に比べたらビックリするくらい実用的だ。
編集部●実用性を犠牲にして走りを追求したのがS660。一方肩ひじ張らずに気軽にドライブを楽しむキャラで、実用性も高いのがコペンと言えそうですね。
工藤●まさに。同じオープンスポーツカーでもキャラはかなり違うんだ。
編集部●もしもコペンかS660かで迷ったら、そういった違いをイメージするといいかもしれませんね。
Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
4つのコペン、どれが物件豊富なの?

中古車の状況をみると、最も多いのは「ローブ」で、その割合はかなり高い。次いで丸いヘッドライトの「セロ」となるが、最近の傾向をみると2019年に登場した「GRスポーツ」も流通量が増えている。
[モデルヒストリー]
2014年6月:コペンをフルモデルチェンジ

先代の生産終了から2年ほどのブランクを経た後、フルモデルチェンジした2代目が登場。デザインだけでなくエンジンもプラットフォームも刷新され、まずはシャープな顔つきの「ローブ」が発売された。
2014年11月:「エクスプレイ」を追加

第2のデザインとして「エクスプレイ」を発売。ヘッドライト/リアコンビネーションライトこそ同じだが、前後バンパーやフェンダーなどは「ローブ」とは異なる独自デザイン。SUVのような力強い雰囲気。
2014年12月:「ローブS」を追加

上級グレードで、通常の「ローブ」に対してスエード調のレカロシート、MOMO製の革巻きステアリング、ビルシュタインのショックアブソーバーなど運転に関わるアイテムがアップグレードされている。
2015年6月:一部改良

市場からのニーズを受け、丸いヘッドライトが特徴の「セロ」が追加された。初代をモチーフとしたデザインで、シリーズ中唯一ライトが異なるのがポイント。リアの灯火類も丸型となっている。
2015年12月:「セロS」を追加

「セロ」をベースとした上級グレード。「ローブS」同様にレカロシート、MOMO製革巻きステアリング、ビルシュタインショックアブソーバーなどを採用。インナードアハンドルなど一部内装をメッキ化。
2016年4月:一部改良

インパネをはじめ内装色を黒に統一する一方で、無償オプションとして他のコーディネートを楽しめる「インテリアパック」などを設定。メーカーオプションの選択肢が広くなり、仕様の自由度がアップ。
2019年10月:「GRスポーツ」を追加

トヨタ自動車とのコラボで、同社のスポーツブランドである「GR」に仕立てたモデルを設定。専用エクステリアのほか、サスペンションの仕立てやパワーステアリング制御なども独自のチューニングを実施。
2021年4月:一部改良

新たな法規への対応のためにドアミラーを大型化し、義務付けとなったオートライトも全車に標準装備している。トヨタで販売される「コペンGRスポーツ」に関しても同様の変更を受けた。
[インテリア]広くはないけれど楽しさが詰まっている!

身体をしっかり支持できるように立体的な形状のシート。着座位置を低くしているのも、スポーツカーらしい運転感覚をねらっているから。開けた屋根を収めるスペースを兼ねた荷室は、深さこそないものの前後左右に広いのが特徴。機内持ち込みサイズのスーツケースであれば積載できる。ただし、屋根を格納する際は容量が1/5程に制限される。
インテリアもワゴンタイプの軽自動車とはまったく異なる。たとえばダッシュボードは、軽自動車の主流が左右の移動を容易にする形状なのに対し、コペンは運転席と助手席を隔てるセンターコンソールを設置。そこへシフトレバーやパーキングブレーキレバーを置いている。その理由は、走りを楽しむのに最適なレイアウトとしているからだ。

変速機はCVTと5速MTが選択可能。操作する楽しみを堪能したい人はMTがベストだが、気軽にドライブを楽しむならCVTもアリだ。ルーフを電動開閉するスイッチはサイドブレーキレバー脇に用意。ハンドルは上下調整可能だ。
[メカニズム]オープンエアと爽快な走りを楽しむために
コペンは電動オープントップを備える唯一の軽自動車。スイッチ操作だけで気軽にルーフを開閉できること、そして現行車種のオープンモデルのなかでは最も開口面積が広いのが魅力である。そしてルーフは幌ではなく硬い素材(樹脂)でできているから、閉じてしまえば通常のクルマと変わらない快適性を実現。劣化が気になる幌と違って、屋根のない駐車場でも不安が少ない。
ACTIVE TOP

ルーフはふたつに折れ曲がり、トランク内へ格納される。その際はトランクリッドが通常と逆方向(前方が上がる)に開く。ちなみにリッドは電動クロージャー付き。
D-FRAME

オープンカーだけに、ボディは強固に作られている。特徴のひとつが、ボディ外板に剛性を受け持たせないため、骨格に高剛性を持たせている。
ENGINE

エンジンは全車ともターボ付き。初代モデルは4気筒だったが、2代目は3気筒としている。低回転域から太いトルクを発生し、軽快な走りを実現。
DRESS-FORMATION/購入後も着せ替え可能なエクステリアが特徴

これまで聞いたこともない、コペンだけの画期的なチャレンジがクルマの外板を脱着して取り換えられる構造だ。前後バンパーをはじめボンネット、前後フェンダー、トランクリッドなどは樹脂製で、ライトも含めドア以外は外して交換できる。
趣味性の高さゆえに中古車相場は高め
工藤●軽く歴史を振り返ってみると、初代がデビューしたのは2002年で約10年間生産された。そして約2年のお休みのあと、2014年には今回紹介する2代目がデビュー。「ローブ」「エクスプレイ」「セロ」、そしてローブをベースにした「GR」と4タイプのデザインを展開して、好みに応じて選べるのも特徴だ。
編集部●「GR」はトヨタとの共同開発で、このグレードだけはトヨタ販売店でも売っているんですよね。
工藤●そうそう。トヨタとダイハツでは別々に認証を受けているから車検証を見ると型式が違って……なんてマニアな話はとりあえず置いといて、中古車市場はどんな状況?
編集部●グーネットで調べると、2014年以降のモデルで掲載台数は500台ほど。多くはないけれど、少ないと言うほどでもなく、価格帯も100万円~250万円程度と割と幅広いですね。ただ……。
工藤●新車時の価格は200万円を切るグレードも多く、高額なタイプでも240万円ということを考えると……相場は高め?
編集部●ですね。こういう趣味性の高いクルマによくありがちな傾向です。S660もそうですし。
工藤●とはいえ、こういう車種はなかなか相場が下がらないから、待つのは得策ではないかも。
編集部●欲しくなった時が買い時、ということですね!
[ライバル]ホンダ S660と走りの違いは?

HONDA S660
S660はいかにもスポーツカーらしい、キレッキレのシャープなハンドリングが魅力。なかでもグッと曲がり込む感覚はタイトな峠道でのファン度が高い。それに対してコペンは、刺激という意味ではS660に届かないが、過剰な反応のない挙動など全体のバランスのよさが光る。
[インプレッション]人生が楽しくなる軽自動車、それがコペンというクルマ
コペンの最大の魅力は、身構えることなくユルく付き合えるオープンスポーツカーだということ。2シーターのスポーツカーでしかもオープンカーと言うと、ちょっと特別な乗り物のように感じる。でもコペンは、屋根を閉じれば普通のクルマと同様に使えるし、屋根の開閉は電動だから気軽。そのうえトランクスペースも広く確保されているから、使い勝手もいいのだ。スポーツカーとして考えると本格的なのはS660だけど、そこまでストイックな存在ではなく、我慢を強いないフレンドリーさがいい。
[マーケットデータ]

年式
最も豊富な年式はデビュー翌年の2015年式。高年式になるほど物件数が少ないが、低年式でも状態がよい傾向だ。グレード
4つの仕様が存在するが、最も物件豊富なのが最初に設定されたローブ。次に丸目ヘッドライトのセロが多い。走行距離
登場から6年以上が経過するが、走行距離1万km以下の低走行な個体が多い。そのため全体的に相場が高め。
工藤貴宏が注目するコペンの「ココが○」
その1:スイッチ操作で気軽にオープンを楽しめる電動ルーフ
その2:2人乗りスポーツカーながらトランクが広く実用的
その3:好みに合わせて4タイプから選べるエクステリア