中古車購入チェックポイント
更新日:2020.12.10 / 掲載日:2020.12.10

トヨタ ヴェルファイア/2015年~

Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、トヨタ
(掲載されている内容はグー本誌 2020年12月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年11月調べ。


今回注目するのは、アルファードの兄弟車であり、トヨタの最上級ミニバンとして君臨しているヴェルファイア。広い室内とともに注目したいのは豪華な仕立てだ。

2017年式 トヨタ ヴェルファイア 3.5エグゼクティブラウンジ(6AT) ●全長×全幅×全高:4930×1850×1935mm ●ホイールベース:3000mm ●トレッド前/後:1600/1605mm ●車両重量:2100kg ●排気量:3456cc ●エンジン:V6DOHC ●最高出力:280ps/6200rpm ●最大トルク:35.1kgm/4700rpm ●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前後:225/60R17 ●中古車参考価格帯:210万円~660万円(15年~20年 ※全グレード)

その立ち位置はミニバン界のクラウン

編集部●ヴェルファイアは2008年に「アルファード」の兄弟車としてデビュー。今回取り上げるのは、2015年にフルモデルチェンジで生まれ変わった2代目です。
工藤●それにしても広い。2列目はもちろん、3列目でもゆったりとしている。この広い室内がアルファードやヴェルファイアの人気の大きな理由であることは間違いない。
編集部●そして上質感のある内外装で、快適装備が充実の上級ミニバンというのがポイントですね。
工藤●トヨタのミニバンのなかで、アルファードとヴェルファイアは最も大きなサイズ。いわばミニバン界の「クラウン」だ。だから装備も至れり尽くせりだし、見た目だってとにかく立派。そして快適。
編集部●ミニバン界のクラウンというのはわかりやすい表現ですね。クラウンとはトヨタの最上級セダンだから、立ち位置として納得です。
工藤●特に今回の撮影車両のグレードは「エグゼクティブラウンジ」で、2列目シートは見た目が立派なだけでなく、リクライニングやオットマンが電動調整式。飛行機のビジネスクラスみたいだ。
編集部●ほかでは味わえない雰囲気ですよね。もし電動調整まではいらないという人でも、この立派な見た目のシートは欲しくなるのではないでしょうか。ところで、パワートレインは3タイプあるんでしたっけ?
工藤●ガソリンエンジンが直列4気筒の2.5LとV型6気筒の3.5L。そして4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドだね。快適なのはハイブリッド。低速域ではエンジンを止めてモーターだけで走るからエンジンの振動もなく、滑らかさが違うから同乗者が本当に快適だ。

ヴェルファイアとアルファードの違いは?

 基本的には外観デザインのみ。フロントは上下に分かれたヘッドライトが特徴(アルファードは上の写真のように上下に分かれていない)で、高級感を追求したアルファードよりもアグレッシブな雰囲気。リアはフロントほど大胆ではないが、テールランプはガーニッシュで上下2分割される。
●中古車参考価格帯:210万円~680万円(15年~20年 ※全グレード)

[モデルヒストリー]

2015年1月:フルモデルチェンジ

 フルモデルチェンジで2代目がデビュー。刷新されたプラットフォームは床が低く設計され、乗降性を高めるとともに走行安定性向上にも貢献する。先代に対して全長は80mm伸びて室内空間が拡大。

2017年12月:マイナーチェンジ

 先進安全装備が進化。レーダーに加えて単眼カメラが装着され、夜間の歩行者や自転車も検知できるようになった。またクルーズコントロールにはハンドル操舵をアシストし車線を維持する機能も追加。

2018年10月:一部改良

 従来はグレードにより標準もしくはオプションだったインテリジェントクリアランスソナーを全車標準装備化。駐車時などに障害物を検知し警告。衝突を避けられない場合は車両がブレーキをかける。

2019年12月:一部改良

 「エグゼクティブラウンジ」と「エグゼクティブラウンジZ」以外に、9インチのディスプレイオーディオを標準装備。また、後席用画面のサイズを大型化。3眼LEDヘッドライトも採用を拡大した。

2020年4月:特別仕様車「ゴールデンアイズ」

 2016年7月に登場した特別仕様車が一部仕様を変えて再登場した。ヘッドランプにゴールドの加飾を行い、フロントグリルなどを漆黒メッキとしている。シート表皮はウルトラスエードを採用。

[インテリア]トヨタの上級ミニバンにふさわしいプレミアム感

ミニバンとしてはめずらしく大型のセンターコンソールを採用する仕様もあり、その運転席の感覚はセダンに近い雰囲気だ。

 木目調の加飾をふんだんに使った上級グレードはもちろんのこと、ベーシックグレードでも味わえるラグジュアリーな雰囲気はさすがトヨタの最上級ミニバン。価格に見合う満足感を得られる2列目シートは7人乗りのセパレートシートと8人乗りのベンチシートが選べ、さらにセパレートは3タイプの形状がある。
工藤’sコメント「高級な雰囲気が高い満足感を与えてくれる」

フロントシートはサイドサポートが大きくて峠道などを走っても姿勢が乱れにくい。助手席は主要グレードにオットマンが組み込まれ、ロングスライド機構を備えるモデルも存在する。

[メカニズム]パワートレインは3タイプ設定

ハイブリッドは全仕様が4WD。その後輪は機械的にエンジンとつながっておらず、モーターで駆動する電気式4WD。

 直列4気筒で排気量2.5L、V型6気筒3.5L、そして直列4気筒2.5Lにモーターを加えたハイブリッドと3タイプあるパワートレイン。その選ぶポイントを簡潔に言うと、価格重視なら(ハイブリッドではない)4気筒、ドライバーの楽しさ重視なら6気筒、そして快適性や燃費重視ならハイブリッドだ。
工藤’sコメント「ハイブリッドは燃費がいいだけでなく静粛性が高くて快適」

ハイブリッドに搭載するエンジンは、専用に最適化したもの。アトキンソンサイクルという燃焼方式を採用する。

相場は高値安定状態の良い車両が多い

編集部●直4エンジンとV6エンジンの違いはどうでしょう?
工藤●車両価格、そして燃費や自動車税を気にしないのであればV6のほうが断然いい。ドライバーにとってはエンジンの吹け上りの爽快感やエンジン音が快音……なんていう喜びが感じられる。振動が少ないから同乗者にも優しいし。
編集部●直4エンジンは?
工藤●パワー不足を感じることはないけれど、V6エンジンに比べるとアイドリング時などの振動が気になるのがウイークポイントかな。でも、価格が安めなのは大きな魅力だ。
編集部●価格といえば、ヴェルファイアは中古車も高めの相場ですね。工藤●人気が高いからね。グーネットを見ると、2015年式以降のモデルだけで約2000台もあるから選択肢は多いんだけど、安い車両でも200万円を少し割り込む程度。人気の高さの証明ともいえるけれど、割安とはいえない相場感だ。いくら新車価格が安くないとはいっても。
編集部●中古車を買うと決めたなら、高くても買うしかない……と。
工藤●そうだね。そこは覚悟を決めて。ただ、新しめのヴェルファイアの場合は丁寧に乗られた車両が多いのは事実。もちろんすべての個体がそうとは言い切れないから、実車チェックは必ずしたいけれどね。

[インプレッション]高級セダンではなくコッチというのも、乗れば納得

2列目シート:快適なのは全グレード共通だけど、「エグゼクティブラウンジ」のシートの豪華さは別格。シートヒーターや送風機構も搭載。

 何度乗り込んでも驚くのが圧倒的な広さ。国産ミニバンはもちろん、輸入ミニバンでも全長5m級のモデルでヴェルファイア(と基本設計を共用するアルファード)以上に室内の広い車種はないと断言できる。最近は政治家や企業の偉い人の移動車として、高級セダンではなくアルファードやヴェルファイアが選ばれることが増えているというけれど、この広くて豪華な2列目に座ってみるとそれも納得だ。室内が広いから気分的にもゆったりできる。
工藤’sコメント「快適すぎる2列目に座ると、思わず寝てしまいそうになる」

3列目シート:3列目でも無理なく座れる居住性を備えている。3列目シートの形状はすべてのグレードで共通で、違いは表皮の素材だけだ。

「エグゼクティブラウンジ」は、ボディ後部に専用エンブレムが装着される。積極的に選びたいグレードのひとつである。

[マーケットデータ]

  • 年式
    市場にある物件の多くは初期型。特にデビュー年の2015年式が多く、全体の26%を占めている。

  • グレード
    グレードは非常に多岐にわたるが、中古車市場では偏りがある。最も多いのが2.5Lの「2.5Z」だ。

  • 走行距離
    登場から5年が経ち、走行距離が伸びた物件も目立つように。低価格ゾーンは10万km以上が中心。

工藤貴宏が注目するヴェルファイアの「ココが○」

その1:他車を圧倒するとにかく広い室内
その2:上級グレードの豪華な内装の仕立て
その3:手放すときの高いリセールバリュー

取材協力:(株)フェニックス スズキ二子玉川店

国産車から輸入車まで幅広く取り扱う個性派ショップ
国産車、輸入車を問わず幅広い車種を取り扱うのが(株)フェニックス スズキ二子玉川店である。「他の店では扱っていないようなめずらしいクルマ」がコンセプトで、展示車両には日産 パオやトヨタ オリジンといったレア車やスポーツカーが多数!
住所:東京都世田谷区鎌田4-16-18 TEL:0066-9700-8887 定休日:水曜日(祝・祭日は営業)

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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