中古車購入チェックポイント
更新日:2019.06.07 / 掲載日:2019.01.10

日産 リーフ(先代)【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2019年1月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2018年12月調べ。


専用ボディを持つ大量生産の電気自動車として、世界のどの自動車メーカーよりも早く日産が発売したリーフ。クルマの未来が詰まった注目モデルだ。

●全長×全幅×全高:4445×1770×1550mm ●ホイールベース:2700mm ●トレッド前/後:1530/1525mm ●車両重量:1480kg ●駆動用バッテリー総電力量:30kWh ●一充電走行距離(JC08モード):280km ●最高出力:109ps ●最大トルク:25.9kgm ●サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前後:215/50R17 ●中古車参考価格帯:50万円~280万円(11年~17年 ※全グレード)

量産電気自動車の未来を切り開いた

 昨今の自動車業界を賑わせた言葉のひとつである「電動化」。電動化とはモーターを動力として組み込んだ車両全般を表していて、エンジンを併用するハイブリッドカーなども含まれるが、その代表格といえばやはり電気自動車(EV)である。
 そんな電気自動車を代表するモデルといえば、日産リーフだ。商品としてのリーフの凄さはいくつかあるが、まずは世界初となる専用設計のボディを持った電気自動車というのがトピック。リーフより前にも市販電気自動車は存在したが、少量生産車がほとんどで、量産車も販売されていたがガソリン車用に開発された車体を用いた車種だった。しかし日産はリーフを発売するにあたり、電気自動車専用にデザインした車体を開発し、世界中の自動車メーカーに先駆けて大量生産したのである。
 もうひとつの凄さは、世界でもっとも売れている電気自動車だということ。日本のみならず北米や欧州、そしてアジアなど世界60カ国以上で販売され、2018年はじめには累計販売台数30万台を超えている。
 そんなリーフは手ごろなサイズの5ドアハッチバックで、日常的にも扱いやすいボディサイズ。後席や荷室も広く、ファミリーユースでも安心して使える。航続距離の制約などエンジン付きのクルマとは異なる特性もあるが、新しい時代の扉を開く体験ができる1台だ。

[モデルヒストリー]

2010年12月:リーフを発表
世界初の電気自動車専用ボディを採用した電気自動車としてデビュー。グレードはベーシックな「X」と上級グレードの「G」があり、後者はナビや非接触式キーを搭載。
バッテリー総電力量:24kWh/一充電走行距(JC08モード):200km

2012年11月:マイナーチェンジ
リーフの進化の歴史は、航続距離の拡大の歴史でもあり、最初の改良では航続距離が1割以上アップ。加速感や操縦性も向上し、荷室容量も増すなど全面進化した。
バッテリー総電力量:24kWh/一充電走行距(JC08モード):228km

2015年11月:マイナーチェンジ
バッテリー容量の従来の24kWhに対して25%も増やし30kWhとした仕様を追加。航続距離が大幅に増えた。自動ブレーキなど先進安全装備も新たに搭載。
バッテリー総電力量:24kWh/30kWh/一充電走行距(JC08モード):228km/280km

2017年9月:フルモデルチェンジ
全面改良して2代目へ進化。バッテリーの大型化もあり、航続距離400kmを実現。高速道路では車線に合わせてステアリング操作を補助する技術も採用した。
バッテリー総電力量:40kWh/一充電走行距(JC08モード):400km

【INTERIOR】実用性に優れ開放感あふれる室内

※写真は2017年モデル

 電気自動車としてみた場合、リーフの素晴らしいところは「電気自動車だから」という言い訳が一切ないことだ。室内は広くて後席にもゆったり座れるから快適で、荷室も広く確保されている。荷室は、デビュー当時は床面に大きな段差があったのが残念だったが、2012年11月の改良で大幅変更。床面がフラットになり実用性は大きく高まった。運転席周辺は先進性を感じるデザインだ。

※写真は2017年モデル

メーターは未来的なフルデジタル式で上部に配置した速度計などはハンドルに遮られることなく確認できる工夫が。シフトセレクターは電気式で上級仕様には走行可能範囲を示したり充電スポットを検索できるナビを搭載。

【MECHANISM】ガソリン車とは大きく異なる、先進システム

 一般的なクルマとの大きな違いは、エンジンが搭載されていないこと。多段式トランスミッションも組み込まれていない。一方で電動車ならではのアイテムとして、モーターやバッテリーを組み合わせている。バッテリーは大型で、居住空間の床下に搭載。これは邪魔になりにくいだけでなく、低重心化にも貢献したレイアウトだ。

  • バッテリーモジュール

  • バッテリーパック

  • インバーター

  • モーター

リチウムイオンバッテリーのモジュールを複数組み合わせてバッテリーパックとして床下へ搭載。衝突や水没しても危険がないように設計されている。インバーターはモーターを制御する役割を持っている。

電気自動車の充電ってやり方は複雑なの?

 充電はゆっくりと電気を送る普通充電と、短時間で大電流を流す急速充電がある。単に充電するだけであれば複雑なことは一切なく、充電ケーブルをクルマにつなぐだけだ。急速充電機であれば充電開始操作が必要だが、それもわずらわしいというほどではない。

【特別仕様車】個性あふれる特別仕様車もラインアップ

 2014年1月に加わったエアロスタイルは専用デザインのフロントエアロバンパー、サイドシルプロテクター、リヤアンダープロテクターや専用の17インチホイールを装備。専用デザインのエアロパーツをキット化した「NISMOエアロパッケージ」は、スポーツサスペンションや専用の制御コントローラーを加えたパッケージも選べる。

  • エアロスタイル

  • NISMOエアロパッケージ

災害時でも安心! 家庭用蓄電池として使える

※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

 リーフに搭載しているバッテリーを活用し、停電時などに自動車から家庭へ電気を供給する仕掛けも用意されている。「LEAF to HOME」というコンセプトで、専用のユニットを設置する必要があるが、電力需要のピーク時に社会インフラの電力ではなくリーフの電力を家庭の電源として使うことで、社会全体のエネルギーの安全供給に貢献できるなど、メリットは多い。

【MARKET DATA】価格は安いがクルマ選びに要注意

 表からもわかるとおり、先代リーフは非常に安く買えるようになった。しかし、バッテリーの劣化(いわゆるセグ欠け)などの車両はできるだけ避けたい。メーター横の容量メモリで劣化度合いがわかるので、ここを必ずチェック。販売店にもしっかり問い合わせよう。

  • グレード
    大きく分けるとスタンダードな「X」と上級仕様「G」から選択でき、後者には17インチアルミなどを採用。中古車は「X」のほうが多い。

  • 年式
    どの年式もそれなりの中古車が流通するが、30kWh仕様が追加された2015年式も多く、この年式を中心に探したい。

  • 走行距離
    全体的に多走行の車両は少なめ。3万km未満は全体の半数近くを占めている。購入の際は、バッテリーの劣化を必ず確認しよう。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「日産 リーフのGOODとBAD」

【GOOD】先進性を味わえ爽快な加速も楽しい

 リーフに乗るもっとも大きな喜びは、先進的なカーライフを送れるという精神的な満足感かもしれない。しかし、実際に乗ってみるとそれ以外にも多くの魅力があることに気づく。たとえばアクセルを踏み込んだ際のシャープで伸びやかな加速はガソリン車では味わえないし、エンジンの音や振動がないから快適。ガソリンスタンドに行く必要がないのも、じつは便利だ。


【BAD】使い勝手や心理面で内燃機関車と異なる

 最大のウイークポイントは、やはり航続距離の不安だ。カタログスペックで200km以上走れるし、急速充電器が各地に用意されているとはいえ、やはりガソリン車やディーゼル車と同じ感覚というわけにはいかず、遠くまで出かける際の心理的な感覚は違う。また乗り続けているうちにバッテリーが劣化して後続距離が短くなってしまうのも心配なことのひとつ。

編集部イチオシ!

買いのグレードは「G(30kWh)」

装備内容によってスタンダードな「X」と上級仕様「G」が区別されるが、中古車ならば後者がオススメ。それよりもバッテリー容量のほうが重要で、2015年以降の30kWh仕様をチョイスしておきたい。


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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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