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更新日:2019.06.07 / 掲載日:2018.09.10

トヨタ クラウン(14代目)【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2018年9月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2018年8月調べ。


トヨタ最上級のオーナーカーとして長い歴史を持つクラウン。2012年に登場した14代目は、伝統と格式を重んじつつも新時代に向けて進化した。

2015年 トヨタ クラウン アスリート S-T(8速AT) 全長×全幅×全高:4895×1800×1450mm ●ホイールベース:2850mm ●トレッド前/後:1545/1545mm ●車両重量:1610kg ●総排気量:1998cc ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:235ps/5200-5800rpm ●最大トルク:35.7kgm/1650-4400rpm ●サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:215/55R17 ●中古車参考価格帯:180万円~500万円(13年~18年 ※全グレード)

パワートレーンに起きたふたつの大きな革命

 1955年に発売された初代クラウンは、初めて日本の技術だけで作られた乗用車だ。そこから半世紀以上フルモデルチェンジを繰り返しながら生産が続いているクラウンの歴史は、国産セダンの歴史そのものといっていい。
 今回取り上げるのは、そんなクラウンの14代目として2012年から2018年5月まで販売されていたモデルだ。保守的なモデルと思われがちなクラウンにとって、14代目は大きな革新をもたらしたモデルといえる。ひとつは、ハイブリッド車がバリエーションのメインとなったこと。ハイブリッド車は13代目から用意されていたが、そのときはV型6気筒で排気量3.5Lの高出力エンジンにモーターを組み合わせたハイスペック仕様で価格も高く設定されていた。そのため一般的なグレードとは言えなかった。
 一方で14代目は、「ロイヤル」や「アスリート」に直列4気筒の排気量2.5Lエンジンでハイブリッドを展開。価格帯も低くなり一気に普及したのだ。
 もうひとつの特徴は、4気筒エンジンの復権。長きにわたりクラウンといえばガソリンは6気筒だけの設定だったが、2015年の改良で排気量2Lの4気筒ターボエンジンを搭載。時代に合わせダウンサイジングしたのだ。

【VARIATION】3つのラインでニーズごとに作り分ける

icon ATHLETE(アスリート)

走りを楽しめるスポーツセダン
 スポーティバージョンとして開発された、運転好きのオーナードライバーに向けた仕様だ。基本的な装備内容はロイヤルサルーン系に近いが、ひとまわり大きなサイズのタイヤを専用サスペンションとあわせて装着。ドライバーの運転操作に対して機敏に反応する。

icon ROYAL(ロイヤル)

幅広いニーズに対応する本流
 クラウンのバリエーションにおいてもっとも伝統があり、メインストリームといえるのが「ロイヤル」。自分で運転するオーナードライバーにも、運転手付きで後席移動するニーズにも対応する仕様となっている。そのためフロントグリルはもっとも端正なデザインだ。

「ロイヤル」シリーズの上級モデルが「ロイヤルサルーン」で、その最上級仕様「ロイヤルサルーンG」では後席リクライニングも採用。

icon MAJESTA(マジェスタ)

後席居住性がもっとも優れる
 マジェスタの最大の特徴は、全長が伸びたボディ。「ロイヤル」や「アスリート」に比べてホイールベースが75mmも長く、その延長分はすべて後席足元スペースの拡大に使われている。後席空間にゆとりを追加した、後席に座る人のためのクラウンだ。

パワートレインはハイブリッドのみ。エンジンは当初3.5LのV6だけだったが、2014年に追加された4WD車は2.5Lの直4を積む。

【INTERIOR】ドライバー重視のフロントシート後席はくつろぎ空間

※写真はアスリート。

 クラウンのニーズはオーナーカーとしてドライバーが運転を楽しむ使われ方と、運転手付きの移動車として主人が後席に座る状況の2パターンがある。そのためインテリアはどちらの使い方でも満足できるように配慮。後席は広くて、シートの座り心地も良好。

運転を楽しむアイテムとして「アスリート」の一部仕様にパドルシフトを採用。一方「ロイヤルサルーン」や「マジェスタ」には電動式の後席リクライニングも用意されている。

【MECHANISM】先進的な技術を積極採用

 クラウンといえば保守的なイメージが強いが、トヨタのフラッグシップセダンという立ち位置ゆえに歴代モデルとも先進的なメカニズムが積極的に搭載されている。14代目には新開発のハイブリッドシステムやダウンサイジングの4気筒ターボエンジンを組み込んだのが大きなトピックだ。

icon ハイブリッド

「ロイヤル」と「アスリート」、そして「マジェスタ」の4WD車には4気筒2Lエンジンを組み合わせた燃費重視のハイブリッドを搭載。「マジェスタ」のFRモデルは6気筒の3.5Lエンジンを積む高出力型システムだ。

icon エンジン

ハイブリッドモデルをのぞき主力は6気筒エンジンで、排気量は2.5Lと3.5L。2015年10月の改良で2Lの4気筒ターボエンジンを追加した。優れた燃費に加えて自動車税の安さなどユーザーメリットも多い。

icon サスペンション

シャシーの基本は13代目から継続採用だが、補強を増やして安定性や操縦性が向上している。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンでリヤがマルチリンク式。新設計で滑らかに動くように工夫している。

15代目の販売がスタート。新型の見どころは何?

 スタイリングが流行のクーペ風となるなど、見た目も中身も大幅に変化した最新モデル。ハイブリッド車も含めてエンジンは4気筒が主力となり、しかもラインアップのメインをハイブリッド車としたことも注目だ。さらに磨かれた運動性能も特筆すべきポイント。

初代クラウンはどんなクルマだったの?

 乗用車は海外のメーカーと提携し、その技術を使って作るのが当然だった時代に、初代クラウンは純国産設計で開発。車体は全長4.3mと小さく、後席の乗り降りがしやすい観音開きのドアも特徴。デビュー時のエンジンは1453ccの4気筒でわずか48馬力だった。

個性的なボディカラーが豊富だった14代目クラウン

 クラウンのイメージを変える個性的なボディカラーが用意されたのも先代クラウンの大きなトピック。大きな話題になった「ピンク」のほか「空色(青)」「若草色(緑)」なども限定生産された。後期型は「天空(ピュアブルー)」「茜(オレンジ)」などを設定。

MODEL HISTORY

  • 2012年12月:フルモデルチェンジ
    「ロイヤル」シリーズと「アスリート」シリーズの2柱構成で登場。先代では「ハイブリッド」シリーズとして独立していたハイブリッド車は価格を下げられ、「ロイヤル」と「アスリート」に吸収された。

  • 2013年9月:クラウンマジェスタを発売
    ロングボディを備えた最上級ポジションの「マジェスタ」。従来はV8エンジンを積んでいたが、新型は全車ハイブリッドとなっており、6気筒エンジンにモーターを組み合わせたシステムを搭載する。

  • 2014年7月:ハイブリッドに4WDを追加
    「ロイヤル」「アスリート」、そして「マジェスタ」とすべてのシリーズにハイブリッド4WDモデルを追加。4WDはトルセンLSDを組み合わせたフルタイム式で、「マジェスタ」も含めてエンジンはすべて2.5Lの4気筒だ。

  • 2015年10月:マイナーチェンジ
    マイナーチェンジを実施し「アスリート」シリーズはフロントデザインを変更。全車ともスポット追加などでボディを強靭にしたほか、クラウンの純ガソリン車としては45年ぶりとなる4気筒復活もトピックだ。

【13代目】クラウン史上初のハイブリッドが登場

クラウン史上初のハイブリッドが登場

 外観デザインがグッとスポーティになり、「アスリート」シリーズの存在感が強くなった13代目クラウン。大きなターニングポイントは初のハイブリッド車が用意されたことで、ハイパワーな6気筒エンジンを組み合わせてシリーズ中最速の加速性能を備えた最上級仕様だった。

タッチパネルディスプレイを中央に置いた、安定感あふれるインパネデザイン。ハイブリッド車には世界初の全面液晶パネルのメーターが組み込まれている。身体を包み込むような形状のシートも、従来のクラウンとの違いだ。

【MARKET DATA】前期型なら200万円台の予算でOK

 先日モデルチェンジを受けたが、現段階では相場に大きな動きはない。しかし200万円台の物件が増えているのも事実。豊富なグレードがあるが、エンジン別に見るとハイブリッドの割合が多い。前期と後期の相場に差があり、後期型はまだまだ高い印象だ。前期型のハイブリッドがねらい目。

  • 年式
    2015年に外観の変更を伴うマイナーチェンジが行われたが、この改良以降の物件はかなり少なく、多くは前期型。とくに2013年式が半数を占める。

  • 走行距離
    実用セダンゆえ、走行距離がそれなりに伸びた物件も目立つ。しかし3万km未満が4割ほど流通するから、低走行をねらって買うこともできる。

  • グレード
    非常に仕様が多い先代クラウンだが、もっとも多いのはアスリートハイブリッドで、全体の半数を占める。後期型の2Lターボはやや探しにくい。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「トヨタ クラウンのGOODとBAD」

【GOOD】格調高い雰囲気とアスリートの走りのよさ

 伝統的なグッドポイントは、格調の高さ。冠婚葬祭といったフォーマルなシーンで存在感を示せる立派さはしっかり受け継がれている。一方で新しさの「いいね!」は、走りが洗練されたこと。なかでもアスリートの気持ちいい走りは、従来の「乗り心地はいいけど運転が楽しくない」というクラウンの伝統が過去のものになったことを理解できる。


【BAD】クルマとしての欠点は見当たらないが……

 完成度は高く、機械として見た場合に大きな欠点は見当たらない。ただし乗用車全体として見たときに感じるのは、ミニバンの車内の広さを知ってしまうといくら快適とはいえクラウンの後席では居住性で勝ち目がないということ。そんな背景があるから、いま爆発的に売れているトヨタの高級車が「アルファード」や「ヴェルファイア」なのだろう。

編集部イチオシ!

買いのグレードは「アスリート ハイブリッド」

先代クラウンを買うなら、積極的にハイブリッドを探したい。燃費などランニングコストが有利で、走りも鋭い。なかでもスポーティなアスリートが物件豊富で買いやすい。


ユーザー口コミレビュー

  • 総合評価:4.4/5.0
    ドライバー歴:不明 
    グレード:アスリートG


    パワーがあるのに静かだし、装備がたくさん付いている。どれも感動するし感心します。とくに気に入ってるのはハイブリッド由来のパワーとしっかりとした足まわり。やっぱりクラウン!

  • 総合評価:5.0/5.0
    ドライバー歴:不明 
    グレード:アスリートG


    つくりのよさは流石トヨタだと感じます。塗装や内装の質感が高く、満足しています。とくにブラックインテリアで落ち着きのある車内がよく、本革シートとマッチしていて飽きがこない。

  • 総合評価:4.4/5.0
    ドライバー歴:不明
    グレード:ロイヤルサルーンG


    ドアを閉めたら別世界のような空間がたまりません。とても静かで新車の匂いもいい感じです。快適装備がいろいろあって嬉しくなりますね。メモリー機能付きシートもありがたいです。

※口コミレビューは、グーネットに投稿されたものを一部抜粋・改変して記載しています。総合評価は5点満点。

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グーネットマガジン編集部

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