中古車購入チェックポイント
更新日:2019.06.07 / 掲載日:2018.08.10

日産 エクストレイル【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2018年8月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2018年7月調べ。


国産ミドルクラスSUVの中でも存在感が強いエクストレイル。今回は3代目をメインに、その人気の理由と秘密に迫ってみよう。

2013年 日産 エクストレイル 20X(CVT) 全長×全幅×全高:4640×1820×1715mm ●ホイールベース:2705mm ●トレッド前/後:1575/1575mm ●車両重量:1440kg ●総排気量:1997cc ●エンジン:直4DOHC ●最高出力:147ps/6000rpm ●最大トルク:21.1kgm/4400rpm ●サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前後:225/65R17 ●中古車参考価格帯:140万円~300万円(13年~18年 ※全グレード)

使い倒すニーズに最適 レジャーに便利なSUV

 初代から受け継がれるエクストレイルの特徴は、ウインタースポーツやマリンスポーツ、そしてキャンプなどのアウトドアレジャーを楽しむひとに便利な機能を満載していることだ。たとえばシートは撥水だから濡れたままの水着やウェットスーツ、スキーウェア、それから屋外で遊んでいるときの突然の雨によって濡れた服で乗り込んでもまったく気にならない。汚れたら水拭きで掃除できるから、汚れることを気にしなくていいのも大きなポイントである。
 シートだけでなく床も一般的なカーペットではなく防水の素材が張ってあるから、掃除が簡単で汚れたら水拭きできる。つまり、泥や砂のついた靴のままでも躊躇なく乗り込める。そのうえ荷室の内張りも撥水素材として、濡れたり汚れたりした荷物も気兼ねなく積めるように工夫しているのだ。
 国産のミドルサイズSUVは何車種もあるが、ここまでアウトドアユーザーを意識したSUVは、エクストレイルのほかに見当たらない。
 パッケージングも、車体サイズの割に荷室が広く、2列シート車に加え3列シート車も用意するなど、非常に実用的なのだ。

【EXTERIOR】3代目は流麗なデザイン

2代目に比べると全長は10cm長い。2列シート車と3列シート車が存在するが、車体は同じで見た目に違いはない。

 四角いデザインで武骨なタフギア感を強調していた初代や2代目に対し、2013年12月から販売が始まった3代目は流麗なデザインを採用。デビューからしばらくの間は「エクストレイルらしくない」という声も多かったが、見慣れた今ではすっかりエクストレイルのスタイルとして定着している。

上級仕様には、明るく消費電力の少ないLEDヘッドランプを採用。LEDポジションランプも全車に搭載される。

【INTERIOR】多人数乗車にも対応する

※写真は20X エクストリーマーX エマージェンシーブレーキパッケージ(2013年)

 5人乗りの2列シートに加え、初代や2代目にはなかった7人乗りの3列シートも設定。「普段は3列目を必要としないが、いざというときにひとを乗せたい」というニーズに対応する。快適装備も多く備えていて、前席と2列目左右席にはシートヒーターをオプション設定。寒い日の移動が快適になる。

前席のドリンクホルダーは空調で飲み物を保冷可能。コンソールボックスは深く、シートバックポケットはネット式だ。

後期型はさらにスタイリッシュに

 2017年6月以降、「Vモーション」と呼ばれる「V」のような文字を大きくして強調したフロントグリルで精悍さを増している。バンパーも直線的でシャープな造形となり、前期型に比べると引き締まった印象を受けるのが後期型のデザインだ。フォグランプは全車とも角形に変更された。




【UTILITY】防水のインテリアに加えて広い荷室に使い倒し派も満足

 シートやフロアが防水仕様になっていることはもちろん(一部仕様を除く)、シート表皮はセルクロスと呼ぶ、単に防水なだけでなく透湿性がありムレを防ぐ素材を使っている。たくさんの荷物を持って遊びに出かけるユーザーを意識し、荷室容量も565L(2列シート、ガソリン)とクラストップレベルを確保。

防水のインテリアは汚れても簡単に掃除ができるのも大きなメリット。ハイブリッドを除き荷室は床下まで活用できる。

後期型はバンパーの下で足を動かすことでテールゲートを電動開閉できる機構を設定。前期型は手をかざして開ける。

【MECHANISM】先進の安全システムやハイブリッドも設定

 ハイブリッドやプロパイロットなど先進的なメカニズムを積極的に採用しているのもエクストレイルの特徴。4WDは走行状況に応じて前後の駆動力配分を電子制御で変化させるシステムを搭載し、旋回時はドライバーのイメージどおりに気持ちよく曲がる制御も取り入れている。

セーフティ

前後左右の4つのカメラで車両のまわり360度を画面上に映す「アラウンドビューモニター」は、車庫入れがしやすくなるほか安全にも貢献。駐車時のハンドル操作をアシストする「パーキングアシスト」も設定している。

ハイブリッド

2015年4月から加わったハイブリッドは、リチウムイオンバッテリーと高出力モーターを採用。必要に応じてエンジンと駆動系を切り離し、エンジンを止めてモーターだけでの走行もできる。バッテリーは荷室床下に搭載する。

今さら聞けない! 「プロパイロット」って何?

 高速道路で前後方向(速度)の自動制御に加えて、左右方向(ハンドル)も車線を維持するようにアシストしてくれる仕掛け。ドライバーはハンドルに手を添え、クルマが対応できない状況だけ運転操作をすればいいから運転の疲労が軽減。




MODEL HISTORY

  • 2013年12月:エクストレイルを発表
    3代目のエクストレイルとしてデビュー。スタイルは丸みを帯びたデザインに大きく生まれかわったが、アウトドアに便利な機能は先代から継続された。

  • 2014年6月:ハイブリッドを追加
    2Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドモデルを追加。低燃費とモーターのアシストによる力強い加速が特徴。2列シート車のみの設定。

  • 2015年7月:モードプレミアを追加
    専用デザインのバンパーなど上質さを強調したデザインを採用し、インテリアは本革シートを選べるのが特徴。ガソリン車だけでなくハイブリッドモデルも選べる。

  • 2015年12月:一部改良
    自動ブレーキ(エマージェンシーブレーキ)を全グレードに標準装備。割安な価格の特別仕様車「20Xt エマージェンシーブレーキパッケージ」も追加された。

  • 2017年6月:マイナーチェンジ
    外装デザインをリフレッシュするほか、「プロパイロット」と呼ぶ高速道路同一車線自動運転技術を設定。高速道路では渋滞でも車速調整や停止を自動で行ってくれる。

【先代モデル】 四角いデザインが魅力でディーゼルも選べる

 初代エクストレイルのイメージを受け継いだ先代(2代目)モデルは、武骨なデザインが魅力。ガソリンエンジンは2Lと2.5Lを用意している。新型には用意されていないディーゼルエンジン搭載車が選べるのもトピックだ。3代目と違い全車とも2列シート。

中古車参考価格帯:60万円~220万円(07年~13年 ※全グレード)

もちろん自慢の防水のインテリアは先代にも採用されている。下部が引き出しになったラゲッジルームも個性的だ。

200万円以内で買えるSUVの有力候補

 ミッドサイズSUVはどのメーカーも人気が高く、現行モデルは中古車相場も高め。しかし、エクストレイルは前期型にかぎれば100万円台の物件も増えており、身近な存在となった。低走行車が目立ち、物件数もかなり豊富。グレードに偏りはあるが、お買い得感が増した。

  • 年式
    もっとも豊富なのが、マイナーチェンジが行われた2017年式。登録済み未使用車が豊富に流通しているのが特徴。次いで2015年も多くの割合を占めている。

  • 走行距離
    後期型の登録済み未使用車が多いため、低走行の物件がかなり豊富に存在する。前期型の物件も低走行車両が目立ち、全体のコンディションは良好。

  • グレード
    豊富なグレード構成のエクストレイルだが、中古車市場では大きな偏りがある。物件の大半は20X系で、ほかのモデルは少なめ。なおHV車は全体の3割程度。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「日産 エクストレイルのGOODとBAD」

【GOOD】防水仕様のインテリアだけで買いたくなる レジャーだけでなく子育て層や愛犬家にも

 ライバルにはないエクストレイルの魅力は、実用性。なんといってもアウトドアレジャーに適した機能が満載なことだ。シートや床、そして荷室まで防水にしたインテリアだけで、エクストレイルを選ぶ価値がある。そんな室内の仕立ては、小さな子供のいるファミリー(子供が車内を汚しがち)や愛犬家(普通のクルマだと毛の掃除がわずらわしい)とのマッチングもいい。


【BAD】丸みを帯びたデザインは好み次第!? ハイブリッドは選べるがディーゼルは選べない

 外観のデザインは、初代や2代目の武骨なスタイルが好きだった人にとっては馴染みにくいかもしれない。また、長距離移動が多いユーザーにとっては3代目ではディーゼルエンジンが選べなくなったのも残念なところだ。クルマは実用面が重視されていて4WDシステムの走破性も平均以上だが、走り好きのドライバーにとっては運転する爽快感がいまひとつと感じるかもしれない。

編集部イチオシ!

買いのグレードは「20X」

エクストレイルの中古車は、物件数の偏りがあるので思いのほか選択肢は狭い。中堅グレード「20X」がメインとなるが、できればこれのHV仕様を選ぶのがベターだ。




ユーザー口コミレビュー

  • 総合評価:4.4/5.0
    ドライバー歴:16年
     グレード:20X


    これが初めてのSUV。エルグランド級の全長なので若干心配していましたが、すごく運転しやすい。バックモニターのおかげで駐車は完璧。ただし燃費はあまりよくありませんでした。

  • 総合評価:3.4/5.0
    ドライバー歴:14年
    グレード:20X エクストリーマーX


    車両重量が1.6トンを切るのでキビキビ走る。足まわりもしっかりしていて、乗り心地が良かったです。車体サイズのわりに、値段が安いのも魅力。ただ荷室は思ったより狭く感じます。

  • 総合評価:3.6/5.0
    ドライバー歴:20年
     グレード:20X ブラックエクストリーマーX


    街中でも似合う外観ですが、中身は本格的な4WD機能を備えてます。内装はラグジュアリーで、装備や安全面も充実しているのが嬉しい。シートのホールド性がいまいちでした。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ