中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.19 / 掲載日:2018.02.27

最近、各メーカーが急にアピールしだしたサポカー。なんの意味?

 昨年の秋ごろから、急に耳にするようになった「サポカー」。これは経済産業省と国土交通省の旗振りによって生まれた「安全運転サポート車」の愛称だ。「サポカー」は略称で、正式には「セーフティ・サポートカー(サポカー)」と「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」の二つがある。
 その狙いは、交通事故の予防および、被害軽減だ。経済産業省と国土交通省は、自動ブレーキなどの先進運転支援システムの普及が交通事故の予防・被害軽減につながるとして、そうした先進運転支援システムを装備したクルマに名称を与えて、普及を進めようというのだ。そうして生まれたのが「安全運転サポート車」=「サポカー」であったのだ。
 では、突然のようにこうした動きが生まれたのにはどのような理由があったのだろうか。それは社会問題化しつつある、高齢者による事故の増加だ。実のところ、2017年の交通事故死亡者数は3694人で、記録のある1948年以降の過去最低であった。死亡事故が減ったのは喜ばしいのだが、その中で悪目立ちしているものがある。それが高齢者の事故。特に問題なのが「ペダルの踏み間違い事故」だ。イタルダ(交通事故総合分析センター)の2004年~2013年の交通事故データの調査によると、「ペダル踏み間違い事故」は、75歳以上に特に多く、他の年齢層の2~5倍にもなるという。ブレーキのつもりで、強くアクセルを踏み込み、クルマが急加速。驚いて、さらに強くブレーキのつもりで、アクセルを踏み込むものだから、さらにクルマは暴走する。「ペダル踏み間違い事故」は、まさに負のスパイラルのような事故なのだ。
 そうした事故を防ぐのに、先進運転支援システムである自動ブレーキはうってつけ。スバルの先進運転支援システムであるアイサイトを例に挙げると、装備のあるなしの差で、車両同士の追突事故が約8割も軽減する。対歩行者の事故も半減。全体としての交通事故は約6割減になる。誤発進抑制機能があればペダルの踏み間違い事故対策に効果絶大というわけだ。
 そこに目を付けた経済産業省と国土交通省が、先進運転支援システムの普及を進めようと考えた。ただし、「安全運転サポート車」では硬すぎる。そこで愛称として「サポカー」が生まれた。また、先進運転支援システムは、高齢者向けだけではなく、すべての年齢層のドライバーにも貢献する。そのために2つの「サポカー」を用意した。一般向けが「サポカー」で、特に高齢者におすすめするのが「サポカーS」となる。
 「サポカー」と「サポカーS」の内容は具体的に決められている。「サポカー」は、衝突被害軽減の自動ブレーキを装備しているのが条件。「サポカーS」は、それにプラスして、ペダル踏み間違いの事故を予防する機能(ペダル踏み間違い時加速抑制装置)を備えることが条件となる。また、「サポカーS」には、さらに「ベーシック」「ベーシック+」「ワイド」という3つの区分がある。名称のとおりに、「ベーシック」から「ワイド」に向かって搭載装備が増えている。細かく言えば「ベーシック」は、時速30km以下の低速自動ブレーキ(対車両)とペダル踏み間違い時加速抑制装置。「ベーシック+」は、速度制限のない自動ブレーキ(対車両)とペダル踏み間違い時加速抑制装置。「ワイド」は、対歩行者の自動ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置、それに車線逸脱警報と先進ライトも備わっていることが条件となる。先進ライトとは、自動切替型ヘッドライトや自動眩惑型ヘッドライト、配光可変型ヘッドライトのこと。対向車がくると自動でハイからローに切り替えるオート・ハイビームなどの機能のことだ。
 ただし、気を付けてほしいのは、こうした区分は、あくまでも装備のあるなしの違いを示すだけという点。搭載する装置が、どれだけ働くのかどうかは見ていない。性能の優劣を知りたいというのであれば、第三者機関がテストする自動車アセスメント(J-NCAP)をチェックしてほしい。そちらでは車種ごとの自動ブレーキなどの先進運転支援システムの性能評価レポートを見ることができるのだ。
 ちなみに、最近になってやたらと「サポカー」の言葉が目に付くのは、その普及率の高さにも理由があるだろう。なんと、2015年の時点でさえ、自動ブレーキの装着率は45%を超えている。つまり、該当車種が多いから、よけいに「サポカー」をアピールする声が大きく聞こえるのだろう。
 また「サポカー」「サポカーS」には、交通事故防止以外のメリットもある。それは任意自動車保険の割引も2018年1月よりスタート。なんと9%ほども割引になる。安全なだけでなく、維持費も安くなる。「サポカー」と「サポカーS」のムーブメントは、意外と悪くはないのだ。ぜひとも、新車購入の際は、検討することをお勧めしたい。

サポカーは自動ブレーキが付いていれば名乗ることができる。サポカーSベーシックとともに作動速度域が時速30km/h以下のものと規定されている。

  • サポカーSベーシックは、ペダル踏み間違い時加速抑制装置が装備されている車種が名乗ることができる。

  • サポカーSベーシック+の自動ブレーキは、作動速度域が時速30km以上も含まれなくてはならない。

  • サポカーSワイドは、車線逸脱警報も含まれなくてはならないが、最新モデルでは車線逸脱警報だけでなく、車線維持操作支援も含まれることが多い。

マツダは他社にさきがけ、コンパクトのデミオからアクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5、CX-8と幅広い車種に先進ライトを含めサポカーSワイドに該当する安全装備を全グレードで標準装備としている。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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