中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.28 / 掲載日:2016.08.19
トヨタ ノア(2014年1月~2016年1月)中古車購入チェックポイント
トヨタ ノア (2014年1月~2016年1月) 中古車購入チェックポイント
参考車両:X “V パッケージ”7人乗り2WD[DBA-ZRR80G]
初度登録:2014年1月
追加装備:〈メーカーオプション〉ワンタッチスイッチ付左側パワースライドドア〈ディーラーオプション〉オーディオレスカバー、専用フロアマット
■全体のチェックポイント
関連部や走行機能のダメージにも注意してチェック
1.外見の様子から探っていく
1.外見の様子から探っていく
まずは、外装の歪みや塗装の異常、車両の傾きなどにも注意しながら車体まわりを観察する。前面は、バンパー、グリル、ボンネット、ヘッドランプ、フェンダーなどの状態をチェック。細部では、フロントガラスの飛び石傷などにも注意。
2.隣接部も同時にチェック
2.隣接部も同時にチェック
バンパーは、角や下部、グリル、フォグランプカバー、下側のエアスパッツ(空気整流板)などに損傷がないか見て、立て付けも調べる。同時に、ヘッドライトやボンネットもチェック。フェンダーは、ホイールアーチの縁、奥のタイヤハウス内、内側のフェンダーライナー(泥よけカバー)などもチェックする。
3.関連部の状態もチェック
3.関連部の状態もチェック
ドアは、外面だけでなく、縁のパネル接合部に注意して、内側も修理跡などがないかチェック。ドアを外して修理/交換していないか、ヒンジ部もチェック。同時に、ドアキャッチ(ロックの受け金具)やピラー(柱)など、車体側も異常がないかチェックする。
4.車体の内側もチェック
ボンネットは、内側やヒンジ部もチェック。フェンダーも、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡などがないか見て、固定ネジやブラケット(支え金具)をチェック。同時に、車体パネルもチェック。最前部で左右に繋がっているラジエターサポートおよび関連部品なども、異常がないか必ずチェック。
5.後部のチェック
後面も、バンパー、バックドア、コンビネーションランプ、フェンダー、ピラー、ルーフなどをチェック。
バックドアは、ガーニッシュやナンバープレートなど付加部品もチェック。開閉具合とロッドダンパーの効き具合をチェック。内側やヒンジ部周辺もチェック。開口部も、溶接やシーラーの異常に注意しながら修理/交換跡などがないかチェック。
フェンダーは、スライドドアのレールや左側のフューエルリッドおよび給油口周辺なども調べる。
6.スライド動作もチェック
スライドドアは、スライド具合や閉めた時の合わせ具合をチェック。ブラケット(支え金具)やローラー、レール(車体側にあるスライド溝金具)などもチェック。パワースライドドアは、電動開閉機構ののほか、ワンタッチスイッチ、イージークローザー、挟み込み防止機能の作動具合などもチェック。
7.下側に要チェックポイント
車体側面下部は、サイドマッドガードに損傷や修理跡などがないかチェック。それよりも重要なのは、覆われているサイドシル(車体の梁)のほうだ。床下側も覗いて、腐食、損傷、修理/交換跡などがないかチェック。同様に、ステップ部(サイドシルの上側)周辺も慎重にチェックする。
8.タイヤとホイールをチェック
8.タイヤとホイールをチェック
「X」は、195/65Rタイヤ&樹脂フルキャップ付15x6Jスチールホイール。タイヤは、残り溝の深さを点検し、傷や亀裂などがないかチェック。異常摩耗を起こしていれば、サスペンション不良のほか、車体の歪みなどにも要注意。
ホイールは、ホイールキャップの破損や緩み、ホイール自体の錆や歪み、リム(タイヤと接している部分)の損傷などにも注意しながらチェックする。
タイヤ/ホイールの状態によっては、直進性や操縦性に支障をきたすだけでなく、車両安定制御などが正常に作動しなくなることにも注意したい。
9.床下も覗いてチェック
9.床下も覗いてチェック
車体パネルや補強部材、カバーなど車体部品。マフラーやサスペンションなどの部品類も、傷、歪み、破損、修理/交換跡などがないかチェック。オイルやグリスなどの漏れ、樹脂やゴム部品の劣化・破損などにも注意。錆があれば、広がり範囲と腐食の進行状態を調べる。
★損傷と修理/交換歴の有無を確認する
「ノア」の作りは、3列シート・7/8人乗り・両側リアスライドドア・箱型(1.5ボックス)ミニバン。標準スタイルの「X/G」は5ナンバーサイズで、エアロスタイルの「Si」は3ナンバーサイズ。アッパー/ロア一体大型フロントグリル+ノア“N”エンブレム、LEDロービームヘッドランプ・オートレベリング機能付+LEDクリアランスランプ、LEDサイドターンランプ付オート電動格納式ドアミラー(助手席側非球面ミラー付)、左側パワースライドドア(ワンタッチスイッチ・デュアルイージークローザー・挟み込み防止機能付)などを標準装備。
「X」に設定している“V パッケージ”は、ハロゲンヘッドランプ・ロービームマニュアルレベリング機能付+LEDクリアランスランプを装着し、左側パワースライドドアは手動式を装備するが、参考車両はメーカーオプションの左側パワースライドドアを追加している。
車体の衝撃吸収構造やエアバッグシステムなども注意ポイントといえるのだが、車体構造はともかく、外装だけでなく、走行機能にもダメージがないか確認したい。車体の骨格部を事故修理しているのは修復歴車だが、たとえ修復歴に該当しなくても、損傷や修理/交換している箇所がないか販売店に聞いてみよう。
室内の状態と装備機器類の機能をチェックする
1.隅まで細かくチェック
室内は、汚れや傷、損壊などがないかチェック。ボックスやポケットなどは、内部も見る。シート表皮の染み、破れ。内装パネル類の割れ、浮き。ボックスリッドやエアコン吹き出し口などの可動部破損にも注意しながらチェック。
前席周辺だけでなく、2列目席の縦/横スライド・リクライニング、3列目席の背もたれ前倒し・サイド収納など、シートアレンジなども試しながら後室まわりをチェック。ラゲッジスペース周辺やデッキボード下ラゲッジボックスなどの状態もチェックする。
2.追加装備の機能も確認
ヘッドランプ、ウインカー、ワイパー、ドアミラー、テール/ブレーキ/バックランプなど保安装置。パワーウインドウ、ドアロック、室内ランプなど基本的な装備機器。リモコンキーの機能と各ドアの解錠・施錠具合などもチェック。
オートエアコン+リアクーラーは、特に冷房の効きに注意して、自動調整機能や各種調整・設定機能の具合をチェック。アイドリングストップの作動とも関わっていることにも注意する。
ステアリングスイッチを全車標準装備しているが、ナビ・オーディオなどを追加装備しない場合は、マルチインフォメーションディスプレイ操作のみ対応。
“V パッケージ”は、エアコンに蓄冷機能がない。左側パワースライドドアも省略されるが、参考車両はメーカーオプションで装備している。といったところにも注意したい。
★細部は販売店で調べてもらう
左側パワースライドドア、5:5分割サードシート・サイド収納、オーディオレス・カバーレス、ステアリングスイッチ・オーディオ+マルチインフォメーションディスプレイなどを全車標準装備。参考車両は、「X 7人乗り“V パッケージ”」。Xは、ワイヤレスドアロックリモコン、ウレタンステアリングホイール、フロントオートエアコン・蓄冷エバポレーター付+リアクーラー、ファブリックシート表皮、4スピーカーなどを標準装備。7人乗りのセカンドシートは、左右キャプテンシート・ロングスライド+リクライニング+横スライド+両側アームレスト付。V パッケージは、エアコンは蓄冷エバポレーター非搭載で、ワンタッチスイッチ付左側パワースライドドアや後席用サンシェードなどを省略。参考車両は、メーカーオプションの左側パワースライドドアを追加装備し、ディーラーオプションのオーディオレスカバーと専用フロアマットも付いている。
いずれにしても、車両をチェックする際は、現車の仕様や装備内容、追加装備の有無などを販売店でまず確認する。装備機器類は、とりあえずわかるところだけでもチェックして、細部は販売店で点検してもらおう。特に電装機器に異常がないか確認したい。
走行関連機能の具合と整備状況を必ず確認する
1.エンジンを始動してみる
1.エンジンを始動してみる
エンジンをかけて、始動具合、アイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。始動時には、イグニッションスイッチの機能も確認。表示灯・警告灯、メーター・ディスプレイの表示なども見る。わからないことや疑問は、販売店スタッフに聞いてみよう。
2.運転支援機能もチェック
7速マニュアルモード付CVTは、[P・R・N・D-M・+・ー]各ポジションへのシフト操作具合をチェック。可能なら、走行時の自動無段変速動作、Mモード+・ーシフトと変速段制御、坂道発進補助、急発進抑制などの機能動作をチェック。アイドリングストップ(V パッケージ車は非装備)のエンジン自動停止・再始動やエコドライブモードの具合もチェック。
ブレーキ、ステアリング、サスペンションなど各走行装置のほか、制動力配分EBD付ABSや車両安定制御S-VSCなどの作動や制御も、異常がないか確認したい。
とはいっても、機能が正常かどうか判断するのは非常に難しい。販売店で厳密に点検してもらおう。
★点検整備状況を確認する

ガソリン車は、2.0L[3ZR-FAE]エンジン+ 7速マニュアルモード付CVT、アイドリングストップ(トヨタ ストップ&スタートシステム)・[A OFF]スイッチ、エコドライブモード・[ECO MODE]スイッチ、エコドライブインジケーター(ランプ+ゾーン表示機能付)、ドライブスタートコントロール(急発進抑制)、ヒルスタートアシストコントロール(坂道発進補助)、車速感応型電動パワーステアリング、EBD 付ABS +ブレーキアシスト、車両安定制御S-VSC(横滑り防止VSC/駆動輪空転防止TRC)・[TRC/VSC OFF]スイッチ、S-VSC+電子制御駆動力配分(4WD車)、フロントベンチレーテッドディスクブレーキ+リアドラムブレーキ(2WD車)・リアディスクブレーキ(4WD車)などを搭載。参考車両は“V パッケージ”仕様車なので、アイドリングストップは装備しておらず、[A OFF]スイッチも付いていない。
各機構の話はさておき、それぞれの機能に異常がないか確認したい。できれば点検整備記録も探ってみたいが、いちおうエンジンルーム内だけでも見て、走行関連各部の具合は販売店に聞いてみる。車両を購入するなら、すべての機能をきちんと点検・整備してもらうようにしよう。
★最初に車両の現状を確かめる
中古車両をチェックする際は、現物を見て「年式(登録年月日)・仕様・グレード」を確認。標準装備のほかに、メーカー/ディーラーオプション、市販機器、カスタムパーツなどを追加していないか確認。走行機構の整備状態も含めた現状を販売店で確認しよう。
目利きはココを見る!
「車両の情報」を見る
●「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限や内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、追加装備などの使用説明書が揃っていることも確認。●「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両の状態を探る参考になる。
「立て付け」を見る
●外板パネルは、合わせ(隙間)が均等でなかったり、位置がずれていれば、ダメージを受けているか修理/交換している可能性がある。●プレスライン(外板パネルを折り曲げている角)やモール(飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。●外装は、見る角度を変えながらチェックすれば、プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなども判断しやすい。パネル表面を斜め方向から透かして見るようにすると、小さな凹みや浅くて広い凹み、波打ち(しわ)なども見つけやすい。しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡だ。
「塗装の状態」を見る
●部分的に色艶が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所は、修理跡の疑いがある。●新しい塗装跡は、錆などの補修か、損傷を負って修理したのか、詳しく調べる。●修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがあるので、隣接しているパネルの色艶も比べてみる。●塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があるのはマスキング(周辺に塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするカバーを粘着テープなどで留める)跡。ドア開口部などにマスキング跡があれば、なんらかの理由で塗装しているので、周辺を詳しく調べる。●エンジンルーム内やスペアタイヤ収納部などは、外装色とは違っていることもあるので注意する。
「取り付け状態」を見る
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体部品を外す時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ボンネット、フロントフェンダー、ドア、テールゲート(またはトランクリッド)などは、外して修理、あるいは交換することがあるので、ネジを見て、ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺も修理跡などがないか調べる。
「接合部」を見る
●車体部品を交換する際に溶接部分を外すことがあるので、鉄板接合部を調べる。●スポット溶接(接合部にある丸い窪み)を打ち直している場合は、直径が小さい、窪みが深い、ずれている(2度打ちした)など、新車組み立て時の状態とは異なる特徴があるので注意する。●接合部に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理や交換で塗り直していると不自然に見える。●爪で押して、プチッと表面が割れる(表面が硬くても内部が柔らかい)ようなら新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、接合状態や塗布する方法によって形状が違っていることにも注意する。
■今回の車両のプロフィール
●フルモデルチェンジして2014年1月に発売した“80系”「ヴォクシー/ノア」。基本的なメカニズムや仕様装備は、両車共通。2.0Lガソリンエンジン+ 7速マニュアルモード付CVTを搭載し、2WD(FF)・4WD、7人乗り・8人乗り、標準5ナンバー・エアロ仕様3ナンバーサイズを設定。同年2月には、「ハイブリッド」を発売している。「ノア」ガソリン車は、アイドリングストップ、LEDヘッドランプ+LED クリアランスランプ、左側パワースライドドア、フロントオートエアコン+リアクーラー、オーディオレス、ステアリングスイッチ、5:5分割ワンタッチスペースアップサードシートなどを全車標準装備。セカンドシートは、「7人乗り」はキャプテンシート、「8人乗り」は6:4分割チップアップシートを装備。
「X」は、ワイヤレスドアロックリモコン、ウレタンステアリングホイール、樹脂フルキャップ付15インチスチールホイールなどを標準装備したベーシックタイプ。“V パッケージ”は、ハロゲンヘッドランプを装着し、アイドリングストップ、後席用サンシェード、左側パワースライドドアなどを省略。“サイドリフトアップシート装着車”は、7人乗りセカンドシート左席を昇降パワーシートに替えるほか、リアオートエアコンを装備する。
「G」は、スマートエントリー+プッシュスタート+盗難防止システム、本革巻ステアリングホイール&シフトノブ、ナノイー機能付オートエアコン、ハイグレードファブリックシート表皮、クルーズコントロール、フロントフォグランプ、16インチアルミホイールなどを装備した上級タイプ。
「Si」は、専用エアロパーツや専用ファブリックシート表皮などを装着したエアロ仕様車。Gとほぼ同等の装備を標準装備している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 定員 | 型式 | シフト | 駆動 |
X * | 7・8 | DBA-ZRR80G | CVT-7M | FF |
* | 7・8 | DBA-ZRR85G | CVT-7M | 4WD |
G | 7・8 | DBA-ZRR80G | CVT-7M | FF |
G | 7・8 | DBA-ZRR85G | CVT-7M | 4WD |
Si | 7・8 | DBA-ZRR80W | CVT-7M | FF |
Si | 7・8 | DBA-ZRR85W | CVT-7M | 4WD |
*:7人乗り/8人乗りに“V パッケージ”、7人乗りに“サイドリフトアップシート装着車” を設定。
●その後、2016年1月に「ヴォクシー/ノア」を一部改良し、仕様装備設定を一部変更している。