トヨタ ヴォクシー（2014年1月～2016年1月）中古車購入チェックポイント

2014年1月から発売している“80系”ガソリン車。フロントまわりが“ちょい悪”な「ヴォクシー」は、車体構成や走行性能などが同一の兄弟車「ノア」に比べると、ユーザーは比較的若い層。中古車物件数は多いので、現車の状態や整備状況を確認しながら、できるだけ複数の車両を比較チェックしてみたい。

　ボンネットは、内側やヒンジ部もチェック。フェンダーも、エンジンルーム側に腐食（錆）や修理跡などがないかチェックし、ブラケット（支え金具）も見て、取り付け状態を調べる。同時に、車体パネルもチェック。最前部で左右に繋がっているラジエターサポートおよび関連部品なども、要チェック。

　後面も、バンパー、バックドア、コンビネーションランプ、フェンダーなどをチェック。
　バックドアは、開閉の動きとロッドダンパーの効き具合をチェック。バックドアの内側やヒンジ部もチェック。パネル接合部の溶接やシーラーの状態に注意しながら開口部もチェック。フェンダー、レールカバーおよびレール、ピラー、ルーフなど関連部も、歪みや修理／交換跡などがないか見る。

　開閉時のスライド動作をチェック。閉めた時の合わせ具合も確認。上・下・側部にあるブラケット（支え金具）とローラー、車体側のレール（スライド溝金具）なども異常がないかチェック。

　「ヴォクシー」は、両側リアスライドドア（左側ワンタッチスイッチ付パワースライドドアを標準装備）を備えた箱形ミニバン。中央に“ネッツ”エンブレムを置き、フロントアッパーグリルのグリルカバーとLEDクリアランスランプ一体LED（プロジェクター式）ヘッドランプのヘッドランプカバーで上下2段に分けた面構えが特徴。サイドターンランプ付オート電動格納式ドアミラー、エアロスタビライジングフィン（渦発生フィン）付フロントクォーターガラス（三角窓）、サイドマッドガード、側面部エアロスタビライジングフィン付縦長リアコンビネーションランプ、フロント／リアエアスパッツ（タイヤの前にある空気整流板）などを装備。「X」「V」は5ナンバー（小型乗用車）だが、全長と全幅が拡がったエアロ仕様「ZS」は3ナンバー（普通乗用車）となっている。参考車両「X」は、樹脂フルキャップ付15インチスチールホイールが標準装備。メーカーオプションのSDナビシステムを装備しているので、リアナンバープレート上側にバックカメラ（インテリジェントパーキングアシスト）が付いている。
　衝撃吸収構造なども注意ポイントといえるが、車体構造はともかく、外装だけでなく、走行機能のダメージにも注意したい。車体の骨格部を事故修理しているのは修復歴車だが、たとえ修復歴に該当しなくても、損傷や修理／交換している箇所がないか販売店に聞いてみよう。

　前席周辺だけでなく、2列目席6:4分割可倒式セカンドシートのスライド・リクライニング・フラット、3列目席5:5分割ワンタッチスペースアップサードシートのサイド収納なども試しながら、シートからドア、床、天井まわりまで丹念にチェック。後部ラゲッジスペースも、傷みなどがないかチェック。

　ヘッドライトやウインカー、ワイパー、ミラー、ブレーキ／バック／テールランプなど保安装置。パワーウインドウやドアロック、室内ランプなど基本的な装備。リモコンキーの機能およびドア解錠・施錠などの作動具合をチェック。
　オートエアコンは、特に冷房の効きに注意して、自動調整や各種調整・設定機能をチェック。エコドライブモードやアイドリングストップ時のエアコン制御にも注意。

　メーカー装着オプションのナビ＋オーディオ装備車は、ナビ、AV、通信、接続、バックガイドモニター、ステアリングスイッチなど、付随・連携する機能がすべて正常か確認したい。

　「X」は、フロント左右独立温度調整オートエアコン・蓄冷エバポレーター付＋リアクーラー、ワイヤレスドアロックリモコン（アンサーバック機能付）、左側ワンタッチスイッチ付パワースライドドア・イージークローザー＋挟み込み防止機能付、ウレタンステアリングホイール、オーディオレス（カバーレス）・4スピーカー、ステアリングスイッチ・オーディオ＋マルチインフォメーションディスプレイ、5:5分割ワンタッチスペースアップサードシートなどを標準装備。8人乗りは、セカンドシートが6:4分割チップアップシート・ロングスライド・リクライニング・格納式センターボックス付。参考車両は、メーカーオプションのTコネクトSDナビゲーションシステム＋ヴォクシーパノラミックライブサウンドシステム〔タッチ式8型ワイドディスプレイ・Tコネクト（トヨタ通信サービス機能）、DVD／CD・SD・AM／FM・TV、USB／AUX入力端子、8スピーカー、Bluetooth、音声認識・ハンズフリー通話ステアリングスイッチ、ETCユニット、インテリジェントパーキングアシスト・広角カラーバックガイドモニター＋イージーセット機能付〕も追加装備している。
　いずれにしても、車両をチェックする際は、現車の仕様グレードや装備内容をまず確認する。装備機器類は、とりあえずわかるところだけでもチェックし、どこかに異常がないかは販売店で点検してもらおう。特に電装機器の作動具合に注意したい。

　スターターモーターの勢いなどにも注意しながら始動具合をチェック。容易に始動しない場合は、なんらかのトラブルを抱えている可能性があるので注意したい。
　表示灯・警告灯、メーター・ディスプレイの表示なども見る。できれば、アイドリング回転や排気ガスの色などもチェックしたい。わからないことや疑問は、販売店スタッフに聞いてみよう。

　7速マニュアルモード付CVTは、各レンジへのシフト操作具合をチェック。可能なら、走行中の自動無段変速やマニュアルモードシフトアップ・ダウンなどの制御機能をチェック。停車時アイドリングストップ、急発進抑制、坂道発進補助などの機能動作もチェック。
　ブレーキ、ステアリング、サスペンションなど、走行系各部の状態のほか、横滑り抑制VSC・駆動輪空転抑制TRCの作動など、各機構との連携制御機能なども、異常がないか確認したい。
　とはいっても、正常かどうか判断するのは非常に難しいので、販売店で厳密に点検してもらおう。

　中古車両をチェックする際は、現物を見て「年式（登録年月日）・仕様・グレード」を確認。標準装備のほかに、メーカーオプションや販売店オプション、市販機器、カスタムパーツなどを追加していないか確認。整備状態も含めた現状を販売店で確認しよう。

「塗装の状態」を見る
●部分的に色艶が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所は、修理跡の疑いがある。●新しい塗装跡は、錆などの補修か、損傷を負って修理したのか、詳しく調べる。●修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがあるので、隣接しているパネルの色艶も比べてみる。●塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があるのはマスキング（周辺に塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするカバーを粘着テープなどで留める）跡。ドア開口部などにマスキング跡があれば、なんらかの理由で塗装しているので、周辺を詳しく調べる。●エンジンルーム内やスペアタイヤ収納部などは、外装色とは違っていることもあるので注意する。

●フルモデルチェンジして2014年1月に発売した「ヴォクシー（ネッツ店）」「ノア（トヨタカローラ店）」。2.0Lガソリンエンジン＋7速マニュアルモード付CVT（無段変速機）を搭載し、2WD（FF前輪駆動）・4WD、7人乗り・8人乗り、5ナンバー車・エアロ仕様3ナンバー車を設定した。
「ヴォクシー」は、“ネッツ”エンブレムを装着し、上下2段構えのグリルとヘッドランプを特徴としたクールな印象のフロントデザインを採用。アイドリングストップ、左側パワースライドドア、フロントオートエアコン、オーディオレス、5:5分割ワンタッチスペースアップサードシートなどを全車に装備。セカンドシートは、7人乗りはキャプテンシート、8人乗りは6:4分割チップアップシートを装着。
「X」は、ウレタンステアリングホイール、リアクーラー、ワイヤレスドアロックリモコンなどが標準装備のスタンダードタイプ。Xに設定したセットオプション“Cパッケージ”は、ハロゲンヘッドランプを標準装備し、アイドリングストップ、左側パワースライドドア、ワイヤレスドアロックリモコンなどを省略。“サイドリフトアップシート装着車”は、X 7人乗りのセカンドシート左席に昇降パワーシートを装着し、リアオートエアコンを標準装備。
「V」は、15インチアルミホイール、クルーズコントロール、オートマチックハイビーム、ナノイー（空気清浄機能）付エアコンなどを装着し、フロントフォグランプ、本革巻ステアリングホイール＆シフトノブ、スマートエントリー＋プッシュスタートシステムなどを標準装備した上級タイプ。
「ZS」は、専用の前後バンパー＋フロントフェンダー＋サイドマッドガード＋リアスポイラー、16インチアルミホイールなどを装着したエアロ仕様。フロントフォグランプ、本革巻ステアリングホイール＆シフトノブ、スマートエントリー＋プッシュスタートシステムなどを標準装備している。

グレード	型式	シフト	駆動	定員
X ＊	DBA-ZRR80G	CVT-7M	FF	7・8
	DBA-ZRR85G	CVT-7M	4WD	7・8
V	DBA-ZRR80G	CVT-7M	FF	7・8
	DBA-ZRR85G	CVT-7M	4WD	7・8
ZS	DBA-ZRR80W	CVT-7M	FF	7・8
	DBA-ZRR85W	CVT-7M	4WD	7・8

＊：“C パッケージ”、“サイドリフトアップシート装着車（7人乗り）”を設定。
●2014年2月にハイブリッド車を追加。2014年11月にヴォクシー特別仕様車“ZS 煌（きらめき）”を設定。2016年1月に装備設定を一部変更。ハイブリッド車にエアロ仕様を追加している。