中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.28 / 掲載日:2010.10.22
マツダ プレマシー 中古車購入チェックポイント
マツダ プレマシー 中古車購入チェックポイント
DBA-CREW
参考車両:20C
初年度登録:2005年5月
■全体のチェックポイント
参考車両は、2代目の初期モデルで、仕様グレードは標準的な“C”グレード。中古車物件数はスポーティタイプの“S”のほうが多いが、いわゆる“普通に乗っている”荒れていない車両を見つけよう。使い勝手を考えれば、オプションの電動両側スライドドアが付いている車両が狙い目だろう。内外装に傷みがないことも大切だが、注意ポイントは整備状態。低年式や走行距離が多い場合は車両価格が安くなっているが、“乗りっぱなし”にしている車両ではなく、きちんと点検整備を受けている車両を選びたい。
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
やや離れた遠目から、車両の様子を観察しよう。車体の全体を見て、外装や塗装の状態に違和感や不自然に見える部分などがないかチェック。
前面は、バンパー/グリル/ボンネット/ヘッドライト/フェンダーなどのバランスをチェック。前から見ると左右対称になっていることもポイントだ。
左右ライトの片方だけが新しい場合(交換)は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの傷や変形なども、車体部の修理を疑ってみる。バンパーの角や下部の損傷や破損などにも注意。
2.後部のチェックポイント
2.後部のチェックポイント
前面と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。後部ナンバープレートは、封印の傷(ナンバープレートを外した形跡)が車体後部を修理/交換しているヒントになる。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。部分的に隙間が狂っている箇所があれば、その部分の車体部を修理している可能性が高い。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、消耗部品の状態を中心にエンジン周辺をチェック。オイルの滲みや汚れ(漏れの兆候)などにも注意。できれば、点検整備項目をひととおり確認したい。
新しい部品が付いていれば、消耗部品を交換したのか、故障など不具合が起こったのか、それとも事故などでダメージを負ったのか、整備記録も探ってみよう。
4.車体内側の鉄板部を確認
左右フェンダー側や室内側のパネルなど、エンジンルーム内各部の鉄板を調べよう。カバーや部品類などに隠れて見えない部分もあるが、歪みや修理/交換の形跡などがないかチェック。
ダメージを負うと、走行機能面に支障が生じる重要な部分を修理している車両は、修復歴車であることを明示しているはずだが、念のために確認しよう。
5.取り付け状態を調べる
5.取り付け状態を調べる
フロントフェンダーは、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡などがないかチェック。外して修理、あるいは交換する可能性も考えられるので、取り付けネジを回した形跡がないかもチェック。
フロントフェンダーは、車体構成上の重要な車体補強部材とはなっていないので、外傷などを修理しても修復歴にはならないが、大きな衝撃を受けて修理/交換していれば、車体内側の骨格部にダメージが及んでいないかを確認する必要がある。
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルームの前部にある、車体の左右に繋がってラジエターサポートは、車体に大きな衝撃を受けると影響が及びやすい。修理/交換の形跡などがないか調べよう。左右フェンダー側との接続部、ヘッドライトやフロントグリルなど関連部品、バンパーやフェンダーなど周辺部も慎重にチェック。樹脂製部品は、修理するよりも交換してしまうことが多いので注意しよう。
7.ボンネットのチェック
7.ボンネットのチェック
外面だけでなく、裏面側に修理跡などがないかもチェック。特にシーラーやスポット溶接に注意しよう。
交換することもあるので、ヒンジ部のネジもチェック。ヒンジを修正/交換していないかも注意。
ボンネットを修理/交換していれば、ボンネット単独の損傷なども考えられるが、他の部分を修理/交換していないか慎重に調べる必要がある。
8.角度を変えると見える
8.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、立て付けの微妙な狂いなども判断しやすい。表面を斜め方向から透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹み、あるいは波打ち(しわ)なども確認できる。
しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡。部分的に色艶が違っているとか、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
9.隙間の幅と色調を比べる
9.隙間の幅と色調を比べる
外装部品の立て付けを見る時は、例えば車体前部側面では、バンパー、ヘッドライト、ボンネット、フェンダー、ドア、ピラー(フロントウインドウ部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けてずれているか、修理/交換している可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネルの色艶も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがある。
10.縁と奥もチェック
10.縁と奥もチェック
フェンダーは、ホイールアーチ部(タイヤを囲っている部分)を傷付けることも多い。損傷や補修跡などがないかチェック。傷があれば、フェンダーに歪みが生じていないかも確認しよう。
鉄板を内側に折り込んでいる部分に修理跡などがないかもチェック。さらに奥を覗いて、タイヤハウス内の状態も確認。フェンダーライナー(内側に設置している泥よけ)の状態にも注意。
11.周辺も調べて判断する
11.周辺も調べて判断する
ドアに大きなダメージを負うと、外して修理することがあり、交換してしまうことも多い。ヒンジ部のネジをチェックしよう。ただし、ドアの立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジを見ただけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシル(梁)など、周辺にダメージや修理跡などがないかも調べて判断する必要がある。
12.金具類の状態も確認する
フロントドアと同様にチェックするが、スライドドアは注意ポイントが多い。ドアを支えている金具類のほかに、レール(開口部の上下と車体側面にある溝金具)もチェック。ネジや金具類の状態も確認。ドアを交換していないか注意しよう。
13.スライドドアのチェック
13.スライドドアのチェック
傷や凹みなどがないかチェック。修理跡がないかもチェック。立て付け状態も確認しよう。
開閉して、スライドの動作をチェック。動きが鈍いとか、引っかかりがあるなどの症状に注意。電動開閉式の場合は、電動による操作と動作を確認しよう。
14.下側に注意ポイント
車体側面で忘れずにチェックしたいのは、ドアの下にあるサイドシル(車体前後方向に通っている梁)の部分。特に、下に出っ張っている外側と床側とのパネルを接合している部分が注意ポイント。仕上げが粗く、汚れていることも多いので判断は難しいかもしれないが、損傷や歪み、修理/交換の形跡などがないか調べよう。
15.リアフェンダーのチェック
損傷や歪み、修理/交換跡などがないかチェック。バンパーやスライドドアなど、周辺部も含めて、立て付けをチェック。スライドドアを開けて、開口部に修理/交換跡などがないかも確認。
車体右側は、フューエルリッドを開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェック。リッドの交換にも注意。
リアフェンダーを修理していれば、リアバンパーの修理/交換も疑ってみる。
16.テールゲートのチェック
16.テールゲートのチェック
解錠/施錠の具合をチェック。開閉して、上げ下げがスムーズにできるかどうか、動作をチェック。上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉める時にカチッと収まらない場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。ずれているだけなら調整で直ることもあるが、車体が歪んでいる車両には要注意。
17.床の中もチェック
17.床の中もチェック
ラゲッジフロアの床を開けて、スペアタイヤ収納部に歪みや修理跡などがないか調べよう。水溜まりや水溜まり跡、錆や錆の補修にも注意してチェックしよう。
18.修理/交換の形跡に注意
テールゲートは、内側に修理跡などがないかチェック。ヒンジ部のネジを見て、取り付け状態をチェック。ヒンジおよびヒンジ固定部の状態もチェックしよう。
19.鉄板の接合部を調べる
19.鉄板の接合部を調べる
開口部の左右を見ると、鉄板の接合部がある。修理/交換跡がないか、溶接、シーラー、塗装の状態をチェック。コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態にも注意。後方から強い衝撃を受けると広範囲に波及する可能性があるので、慎重にチェックしよう。
20.タイヤとホイールのチェック
20.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、スリップサイン(使用摩耗限界)を目安に、残り溝の深さをチェック。傷、異物の刺さり、ひび割れなどがないかもチェック。
摩耗状態も調べよう。接地面の外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減る偏摩耗が起きていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)の狂い、あるいは車体が歪んでいる疑いもあるので要注意。
スチールホイールは、ホイールキャップの損傷や破損などのほか、ホイールのリム部(タイヤと接している外周部)に曲がりなどがないかチェック。アルミホイールは、変形や割れなどにも注意しよう。
21.床下を覗いて確認
21.床下を覗いて確認
フレームやメンバー(補強部材)など鉄板部に損傷や修理/交換の形跡などがないかチェック。マフラーやサスペンション、ブラケットなど、部品や金具類に損傷や曲がり、歪み、修理/交換の形跡などがないかもチェック。前後左右から覗いてチェックしよう。
油脂汚れ(オイルやグリスなどの漏れの兆候)やゴム部品の劣化(ひび割れ)などにも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないといえるが、範囲と腐食の進行に注意したい。
22.エンジンをかけてみる
22.エンジンをかけてみる
始動具合やアイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。
スムーズに始動しない場合は、始動困難に陥った原因を突きとめる必要がある。不安定なアイドリング回転、異音や大きな振動、白煙(水蒸気なら問題ない)や黒煙の排気ガスなどが出ていれば、なんらかのトラブルを抱えている。
始動時には、メーター部にある表示/警告灯類の点灯にも注意。異常を感じたり、疑問があれば、販売店に聞いてみよう。
23.オートマチックのチェック
23.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだままセレクトレバーを操作して、各ポジションにスムーズに切り替えできるかどうかチェック。
できれば試走して、走行中のオートマチック動作を確認。アクセル操作と自動変速の連動に注意。マニュアルモードも、操作具合と動作を走行時に調べたい。不具合の判断が難しい部分もあるので、販売店で点検してもらうようにしよう。
24.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、ブレーキランプなど、保安装置類が正常に作動することをチェック。エアコンやオーディオなど、電装機器や電動機構は、スイッチを入れてみるだけでなく、調整操作して機能を確認。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、リモコンキーなども、忘れずにチェックすること。
メーカーオプション(新車時注文装備)のカーナビなどを付けている車両も多い。仕様グレードで異なる標準装備や追加装備の有無など、車両の装備は販売店に聞いて確かめよう。
25.隅まで細かくチェック
25.隅まで細かくチェック
室内は、シートや内装材などに汚れや染み、傷、穴などがないかチェック。前席周辺だけでなく、後席からラゲッジスペースまで念入りに調べよう。床や天井の状態も確認。ボックスやポケットなどは内部も確認。エアコンの吹き出し口やボックスの蓋などは、可動部の破損にも注意。できれば、シートのアレンジも試して、“カラクリシート”の状態も確かめておきたい。
26.車両の情報をチェック
26.車両の情報をチェック
備え付けの書類は、「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限と内容などを確認。「車両取扱説明書」の有無も確認。オプションや後付け装備などの使用説明書類が揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。点検整備や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合は、周辺の状態を慎重にチェック。エンジンルームやスペアタイヤ収納部などは、新車時から外装とは塗色が異なってることがある。●ドアの開口部など、外から見えない部分にマスキング(塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするためのカバーを粘着テープなどで留める)した跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような“直線状の段差”があれば、何らかの理由で塗装している。●部品などに塗料が付着している場合も、周辺を詳しく調べる必要がある。●車種によっては、スペアタイヤ収納部などに、塗装の飛沫が付着しているように見える、新車時から仕上げが荒くなっている部分もある。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ネジの頭が塗装されていれば比較的容易に確認できるが、無塗装ネジの場合は判断しにくい。傷や錆に注意して、関連する近隣のネジや、車体左右の同じ部品のネジと見比べる。
溶接とシーラー
●修理/交換で溶接している(熱を加えた)部分は、錆が発生しやすくなっている。特に床下は、溶接部の塗装の剥がれや浮きに注意する。●鉄板の接合部分に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理/交換で再溶接すると塗り直すので、不自然に見える。●爪で押して、表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べてみる。●スポット溶接(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)は、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理/交換すると、組み付ける際に誤差が出ることがある。隣接するパネルの隙間(チリと呼ぶ)の幅が均等になっていなければ、修理/交換している可能性がある。●バンパーなどは、ぶつけたり、押されてずれることもある。たとえ修理/交換していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。●プレスライン(外板パネルが折れ曲がっている角の線)や、モール類(ドアなどに付いている飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。
■今回の車両のプロフィール
●エンジンは、2L(1998cc)と2.3L(2260cc)の2種。全車とも、トランスミッションは4速AT、駆動方式はFF(前輪駆動)。仕様グレードは、「20F」はエアコンがマニュアルで2列目シートの「カラクリ収納ボックス」などを備えていないスタンダードタイプ。
「20C」は、フルオートエアコン、AM/FMラジオ、CDプレイヤー、プライバシーガラスを備えた快適装備タイプ。「20S」と「23S」は、外装にフロント/リア/サイドスポイラー、ルーフスポイラーを装着したスポーティタイプ。20Sは、キセノンヘッドランプ、盗難防止システム、15インチアルミホイールを装備。23Sでは、さらに、フロントフォグランプ、本革巻きステアリング、サイドエアバックが加わり、16インチアルミホイールを標準装備。他の装備としては、アドバンストキーレスシステムは、23S/20Sは標準、20Cにメーカーオプション設定。20Fを除く全車には、メーカーオプションとして、電動両側スライドドア、運転支援システム、SRSカーテン&フロントサイドエアバッグなどを設定している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定(2005.02)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
2.0(1998cc) | |||
20F | DBA-CREW | 4AT | FF |
20C | DBA-CREW | 4AT | FF |
20S | DBA-CREW | 4AT | FF |
2.3(2260cc) | |||
23S | DBA-CR3W | 4AT | FF |
●2代目プレマシーの主な変更とモデルタイプ
◇2005年2月:フルモデルチェンジ。2代目発売。◇2005年6月:特別仕様車「20C リミテッド」を発売。◇2005年8月:4WD車を追加。◇2006年1月:新タイプ「20CS」を追加。◇2006年1月:特別仕様車「20S ブライトスタイリッシュ」を発売◇2007年1月:一部改良。2WD車に2.0L直噴ガソリンエンジンDISI(ディジー)と5速ATを採用。「20Z(ニーマルズィー)」を新設定。◇2007年9月:マイナーモデルチェンジ。◇2009年7月:一部改良。仕様装備設定を変更。2.3L車を廃止。◇2009年12月:特別仕様車「20CS スマートエディション」を発売。
◇2010年7月:フルモデルチェンジ。3代目発売。