中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2015.07.17
ホンダ CR-Z 中古車購入チェックポイント
ホンダ CR-Z(2013年10月~) 中古車購入チェックポイント
参考車両:α・マスターレーベル 6MT(DAA-ZF2)
初度登録:2013年10月
追加装備:〈メーカーオプション〉2トーンカラースタイル(専用色プレミアムイエローパールII×ブラック)、ホンダインターナビ+リンクアップフリー〈ディーラーオプション〉ETC車載器、フロアカーペットマット
■全体のチェックポイント
2012年9月のマイナーチェンジでZF1型からZF2型に替わった後、2013年10月に一部改良した時期のモデル。車両のチェックでは、車体まわり・室内・装備の状態を慎重に調べるのはもちろんだが、“コンパクトハイブリッドスポーツカー”としての走行機能にも注目。ハイブリッドシステムや走行制御機構なども、性能が充分に発揮できる状態か確認したい。
関連部や走行機能にもダメージがないか調べる
1.外見の様子から探っていく
1.外見の様子から探っていく
まずは、外装に異常がないか観察する。前面は、バンパー、ボンネット、ヘッドライト、フェンダーなどの状態をチェック。細部では、先端部やフロントガラスの飛び石傷などにも注意したい。
2.隣接部も同時にチェック
2.隣接部も同時にチェック
バンパーは、角や下部、グリル、ロアダクト(フォグランプカバー)などに損傷がないか見て、立て付けも調べる。下側にあるスポイラーやストレイキ(タイヤの前にある整流板)の破損などにも注意。ヘッドランプやボンネットもチェック。フェンダーは、ホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)の縁、奥のタイヤハウス内、内側のライナー(泥よけ)などもチェック。
3.周辺部の損傷にも注意
3.周辺部の損傷にも注意
ドアは、外面だけでなく、内側も修理跡などがないかチェック。ドアを外して修理/交換していないか、ヒンジ部もチェック。同時に、車体側のピラー(柱)やサイドシル(梁)など関連部も調べる。
4.車体の内側も調べる
ボンネットは、内側やヒンジ部もチェック。フェンダーも、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡がないか見て、固定ネジやブラケット(支え金具)などもチェック。同時に、車体パネルもチェック。最前部で車体の左右に繋がっているバルクヘッド(ラジエターサポート)も、必ずチェックする。
5.後部のチェック
後面も、バンパー、テールゲート、コンビネーションランプ、フェンダーなどに異常がないかチェック。
樹脂バンパーは、歪みにも注意。外見はきれいに修理していても、内部の車体パネルなどに衝突痕が残っていることもあるので注意したい。
テールゲートは、開閉具合とロッドダンパーの効き具合をチェックし、内側やヒンジ部も調べる。開口部も、溶接やシーラーなどの状態に注意しながらチェック。テールゲート開口部材と繋がっているルーフなども、ダメージが及んでいないかチェック。
6.下側に要チェックポイント
車体側面下部は、サイドシルガーニッシュに損傷や修理跡などがないかチェックし、取り付け状態も調べる。サイドシルガーニッシュで覆われているサイドシル(車体の梁)も、損傷、腐食、修理/交換跡などがないかチェック。同様に、ステップ部(サイドシルの上側)周辺もチェックする。
7.損傷の程度もチェック
リアフェンダーもフロントと同様にチェックするが、ドア開口部は乗り降りによる傷や簡易補修跡などがないか見る。マスキング跡があれば、周辺を詳しく調べて、損傷の程度と範囲を確かめる。
左リアフェンダーは、フューエルリッドや給油口周辺も修理跡などがないかチェック。
8.タイヤとホイールをチェック
8.タイヤとホイールをチェック
タイヤは、残り溝の深さを点検し、傷、亀裂、欠けなどがないかチェック。異常摩耗を起こしていれば、サスペンション不良や車体の歪みなどにも要注意。アルミホイールは、塗装の傷み、リムの縁(タイヤと接している部分)の欠損や曲がり、過度な衝撃による歪みや割れなどにも注意してチェック。
9.床下の様子もチェック
9.床下の様子もチェック
車体パネルや補強部材、アンダーカバーなど車体部品。マフラーやサスペンションなどの部品類も、傷、歪み、破損、修理/交換跡などがないかチェック。オイルやグリスなどの漏れ、樹脂やゴム部品の劣化・破損などにも注意。錆があれば、範囲と腐食の状態を調べる。
★損傷や修理/交換の有無を確認する
「CR-Z」は、ショートホイールベース・ワイドトレッド・2ドア2+2シート・コンパクトハイブリッドスポーツカー。エンジンルームに1.5Lエンジン+モーター+トランスミッション、荷室下後輪中央あたりにパワーコントロールユニット+144Vリチウムイオン電池、後席床下に燃料タンク、床下には高電圧ケーブルも通っている。車体の基本構成は3ドアハッチバッククーペだが、センターピラーから後部の補強処理が少し特殊。外装は、フロントピラーのガーニッシュ、車体サイズの割りには大きいリアフェンダー、エキゾーストパイプがディフューザーで隠れて見えない、といったところも特徴といえる。
メーカーオプションの「2トーンカラースタイル」は、ルーフ/ドアミラー/テールゲート/シャークフィンアンテナがブラック塗装。「インターナビ+リンクアップフリー」装備車には、リアバンパーにカメラが付いている。
車体まわりのチェックでは、走行機能にもダメージがないか注意したい。車体の骨格部を事故修理しているのは修復歴車だが、たとえ修復歴に該当しなくても、修理や交換している箇所がないか販売店に聞いてみよう。
★足まわりの状態もチェック
「α・マスターレーベル」は、205/45Rタイヤ&17インチアルミホイール+専用ダンパーを装着。タイヤの状態によっては、車両安定制御機構VSAなどが正常に作動しなくなることにも注意。タイヤ&ホイールと関連するサスペンション、ブレーキ、ステアリングなどの状態および制御系統なども異常がないか確認したい。
室内の状態と装備機器類の機能をチェックする
1.隅まで細かくチェック
1.隅まで細かくチェック
室内は、内装材に汚れや傷、破損などがないかチェック。ボックスやトレー、ポケットなどは内部も見る。シート表皮の染み、擦れ、破れ。装飾パネルの割れや浮き。ボックスリッドやエアコン吹き出し口などは、可動部の破損などにも注意しながらチェックする。
2.後部まで慎重にチェック
“+2シート”の後席も、乗り込んでチェック。可倒式リアシートの前倒しなども試しながら、周辺をチェック。後部ラゲッジスペースも、傷みなどがないかチェック。カーゴリッド(フロアボード)を上げて、下にあるカーゴフロアボックス周辺の状態も見てみる。
3.装備機器の作動を確認
ヘッドライト、ウインカー、ワイパー、ミラー、ブレーキランプなど保安装置。パワーウインドウやドアロック、室内ランプなど基本的な装備機器。スマートキーの機能とドアの解錠・施錠具合もチェック。オートエアコンは、自動調整機能や調整・設定具合をチェックするが、アイドリングストップなどでも制御されることに注意したい。
4.追加装備の機能も確認
「ホンダ インターナビ」装備車は、ナビ、AV、USB・Bluetooth接続、通信などのほか、ECO情報表示、リアカメラ、ステアリングスイッチなど、付随・連携する機能がすべて正常か確認したい。
★細部は販売店で点検してもらう
「2トーンカラースタイル」は、前席プライムスムース(合成皮革)×ラックススエード(人工皮革)コンビシート、ブラックドアライニング、パンチングレザーステアリングホイール、ピアノブラック調パネル、シルバーステッチなどで仕立てた内装。「ホンダインターナビ」装備車は、7インチワイドディスプレイ、TV、DVD/CD、AM/FM、USB、AV入力端子、オーディオリモコン+音声認識(ナビ/オーディオ/エアコン)、Bluetooth対応ハンズフリーテレホン機能、ECO情報表示機能、リンクアップフリー、6スピーカー、リアカメラシステムが組み込まれている。参考車両には、ETC車載器も付いている。いずれにしても、車両をチェックする際は、販売店で仕様や装備内容をまず確認。装備機器は、とりあえずわかるところだけでもチェックして、どこかに異常がないかは販売店で調べてもらおう。特に電装機器の機能と作動状態に注意したい。
ハイブリッドと走行機能の制御・動作を確認する
1.エンジンをかけてみる
始動時には、スマートキーとエンジンスイッチの機能を確認。スターターの勢い(補機用12Vバッテリー)などにも注意しながら始動具合をチェック。表示灯・警告灯類、メーター・インジケーター・ディスプレイなどの表示も見る。わからないことや疑問は、販売店スタッフに聞いてみよう。
2.運転支援機能もチェック
2.運転支援機能もチェック
MTは、各ギヤへシフト操作しながら緩みや引っかかりなどがないかチェック。合わせて、クラッチの具合もチェック。
可能なら、ハイブリッド制御[発進加速・クルーズ・加速・減速・アイドリングストップ]、3モードドライブシステムの[SPORT・NORMAL・ECON]スイッチ、プラススポーツ[S+]などの機能動作と制御具合をチェック。VSAの作動と[VSA OFF]、クルーズコントロール[CRUISE]、ヒルスタートアシストなども正常かチェック。ブレーキやサスペンション、ステアリングなどの具合も確認したい。
とはいっても、正常かどうかを判断するのはまず無理。販売店で厳密に点検してもらおう。
★正しく点検・整備してもらう
★正しく点検・整備してもらう
「CR-Z」は、1.5L高回転型i-VTECエンジンとIPU(PCU+リチウムイオン電池)を組み合わせたホンダIMAハイブリッド(パラレル方式)を搭載。停車前アイドリングストップ、減速エネルギー回生、走行特性を選べる3モード[SPORT・NORMAL・ECON]ドライブシステム、車速30km/h以上で走行中に加速性能を高めるプラススポーツ[S+]システム、VSA(ABS+TCS+横滑り抑制)、EPS、EBD付ABS+ブレーキアシスト、ヒルスタートアシスト、クルーズコントロールなどを装備。MT車は、クラッチスタートシステムのほか、[SPORT]モード時の特性やアイドリングストップ中のエアコン制御などに、CVT車とは若干機能異なる部分もある。
各機構の構造などはともかく、それぞれの機能が正常か確認したい。とりあえずエンジンルーム内の様子だけでも見て、走行系各部の詳しい整備状況は販売店に聞いて確認。車両の購入を決めるなら、基本的な走行機構各部のほか、ハイブリッド制御や運転補助機能などもすべてきちんと点検・整備してもらうようにしよう。
■最初に車両の現状を確かめる
中古車両をチェックする際は、現物を見て、年式(登録年月日)・仕様・グレードを確認。標準装備のほかに、メーカーオプションや販売店オプション、市販機器、カスタムパーツなどを追加していないか確認。整備状態も含めた現状を販売店で確認しよう。
目利きはココを見る!
「車両の情報」を見る
●「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限や内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、追加装備などの使用説明書が揃っていることも確認。●「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両の状態を探る参考になる。
「立て付け」を見る
●外板パネルは、合わせ(隙間)が均等でなかったり、位置がずれていれば、ダメージを受けているか修理/交換している可能性がある。●プレスライン(外板パネルを折り曲げている角)やモール(飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。●外装は、見る角度を変えながらチェックすれば、プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなども判断しやすい。パネル表面を斜め方向から透かして見るようにすると、小さな凹みや浅くて広い凹み、波打ち(しわ)なども見つけやすい。しわが寄っているのは、ダメージ痕か板金修理跡だ。
「塗装の状態」を見る
●部分的に色艶が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所は、修理跡の疑いがある。●新しい塗装跡は、錆などの補修か、損傷を負って修理したのか、詳しく調べる。●修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがあるので、隣接しているパネルの色艶も比べてみる。●塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があるのはマスキング(周辺に塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするカバーを粘着テープなどで留める)跡。ドア開口部などにマスキング跡があれば、なんらかの理由で塗装しているので、周辺を詳しく調べる。●エンジンルーム内やスペアタイヤ収納部などは、外装色とは違っていることもあるので注意する。
「取り付け状態」を見る
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体部品を外す時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ボンネット、フロントフェンダー、ドア、テールゲート(またはトランクリッド)などは、外して修理、あるいは交換することがあるので、ネジを見て、ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺も修理跡などがないか調べる。
「接合部」を見る
●車体部品を交換する際に溶接部分を外すことがあるので、パネル接合部を慎重に調べる。●スポット溶接(接合部にある丸い窪み)を打ち直している場合は、直径が小さい、窪みが深い、ずれている(2度打ちした)など、新車組み立て時の状態とは異なる特徴があるので注意する。●接合部に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理や交換で塗り直していると不自然に見える。●爪で押して、プチッと表面が割れる(表面が硬くても内部が柔らかい)ようなら新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、接合状態や塗布する方法によって形状が違っていることにも注意する。
■今回の車両のプロフィール
●2010年2月に新発売した“コンパクトハイブリッドスポーツカー”「CR-Z」。全車FF(前輪駆動)で、7速マニュアルモード付CVT(無段変速機)+パドルシフトと6速MTを設定。グレードには、スタンダード「α」とベーシック「β」を設定。◇2011年1月:特別仕様車「日本カーオブザイヤー受賞記念車」を期間限定発売。◇2011年8月:新タイプ「α・ブラックレーベル)」を設定。◇2012年1月:特別仕様車「α・ドレストレーベル」を期間限定発売。●2012年9月にマイナーモデルチェンジ。外装・内装を一部変更。従来のニッケル水素バッテリーをリチウムイオンバッテリーに変更。エンジン/モーターの出力特性および制御を変更するとともに[PLUS SPORT]システムを採用。DAA-ZF1からDAA-ZF2に型式変更。装備設定を一部変更し、「α・マスターレーベル」を設定。◇2013年4月:期間限定受注特別仕様車「α・ドレストレーベル2」を設定。
●2013年10月に一部改良し、装備設定を一部変更。α・マスターレーベルのメーカーオプションに「2トーンカラースタイル」を追加している。「β」は、ハロゲンヘッドライト、電波式キーレスエントリーシステム、16インチスチールホイールなどを標準装備したベーシックタイプ。
「α」は、ディスチャージヘッドライト、フロントフォグランプ、スマートキーシステム、本革巻ステアリングホイール、16インチアルミホイールなどを装備したスタンダードタイプ。
「α・マスターレーベル」は、αに、ブラック&レッドの前席合成皮革×ファブリックコンビシート&インテリア、ダークシルバー加飾、高輝度メタルインテリアガーニッシュ、17インチアルミホイールなどを装着。
「2トーンカラースタイル」は、ブラックルーフ/シャークフィンアンテナ/テールゲート/ドアミラー)、合成皮革×人工皮革コンビシート(前席)、ブラックドアライニング、パンチングレザーステアリングホイール、ピアノブラック調装飾パネルなどの専用装備で内外装を仕立てる。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
β | DAA-ZF2 | CVT-7M | FF |
DAA-ZF2 | 6MT | FF | |
α | DAA-ZF2 | CVT-7M | FF |
DAA-ZF2 | 6MT | FF | |
α・マスターレーベル | DAA-ZF2 | CVT-7M | FF |
DAA-ZF2 | 6MT | FF |