中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.04 / 掲載日:2009.04.21
トヨタ ヴェルファイア 中古車購入チェックポイント
トヨタ ヴェルファイア 中古車購入チェックポイント
DBA-ANH20W
参考車両:2.4Z 8人乗り
初年度登録:2008年5月
■全体のチェックポイント
1.全体の雰囲気から探る
1.全体の雰囲気から探る
車両から少し離れて、やや遠目から、全体の様子を見てみよう。外装部品の立て付けや塗装の光沢などに注意して、違和感のある部分がないかチェック。
前面は、ボンネット/グリル/ヘッドライト/バンパーなどが並んでいるバランスを見る。左右対称になっていることもポイントだ。
ヘッドライトの片方だけが新しい場合(交換の疑い)は、その側を修理している可能性がある。ナンバープレートの傷や変形、修整の形跡なども、車体前部の修理を推察するヒントだ。
2.各部のずれや歪みに注意
2.各部のずれや歪みに注意
後部も前部と同様に、ルーフスポイラー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/バンパーなどのバランスをチェック。ピラー(ウインドウ部の柱)やフェンダーなど、側部の状態にも注意しよう。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体の歪みも疑える。左右の片側だけに隙間の異常箇所があれば、その部分を修理している。後部ナンバープレートは、封印を剥がした傷跡(ナンバープレートを外した形跡)が修理/交換を見つける手がかりになる。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、消耗部品を中心にエンジンと周辺をチェック。エンジンオイルの滲みや汚れ(オイル漏れの兆候)にも注意。ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。
周囲と比べて新しく見える部品(交換の疑い)があれば、消耗部品か、故障などの不具合か、それとも事故などでダメージを受けたのか、点検整備記録も探って、交換した理由を確かめよう。
4.内側の鉄板部をチェック
左右フェンダー側のインナーパネル、室内側のダッシュパネルなど、エンジンルーム内各部の鉄板を調べよう。大きなダメージを受けると走行機能面に不具合が生じることもある、車体の重要な部分だ。歪みやしわ、修理跡(溶接、シーラー、塗装の異常)などはないか、慎重にチェック。
部品やネジなどに塗装の飛沫が付着している場合は、周辺に修理跡がないか探ってみよう。
5.取り付け状態を確認
5.取り付け状態を確認
フロントフェンダーの固定ネジを調べよう。ネジを脱着していれば、外して修理、あるいは交換している可能性がある。フロントフェンダーは、修理しても修復歴にはならないが、外して修理/交換していれば、大きな衝撃でインナーパネルなどにダメージが及んでいることも考えられる。土台のブラケット(支え金具)やサイドフレームなどの状態にも注意しよう。
6.ボンネットのチェック
裏面に修理跡などがないか確認。表と裏のパネルを貼り合わせている接合部が注意ポイントだ。
大きな損傷を負うと、交換することも少なくない。ヒンジ部の取り付けネジもチェックしよう。
ボンネットを修理/交換していれば、車体部にも修理跡などがないか、前部一帯を詳しく調べる必要がある。
7.前部の必須チェック
7.前部の必須チェック
エンジンルーム内のいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートは、車体前部に強い衝撃を受けると、ダメージを負う確率が高い。修理/交換などの形跡がないか確かめよう。
上部にはカバーがあるので、後ろ側から覗いて見る。左右接続部はもとより、ヘッドライトやフロントグリルなど、周辺の状態や関連部品なども含めてチェックしよう。
8.隙間の幅と色調を見る
8.隙間の幅と色調を見る
車体前部から側面にかけては、バンパー、ヘッドライト、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、どれかがずれているか、修理/交換している可能性が高い。
隙間を境に、隣り合うパネルの塗装の色調も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、色艶が違って見えることがある。
9.角度を変えると見える
9.角度を変えると見える
車体まわりをチェックする時は、見る角度を変えてみよう。プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなど、微妙な異常も確かめやすい。斜めから透かして見ると、浅くて広い凹みや波打ち(しわ)なども見落とすことがない。しわが寄っているのは板金修理跡。塗装面の色艶が違う部分や肌荒れ状態になっている箇所も、修理跡の疑いがある。
10.飾り部品の交換に注意
10.飾り部品の交換に注意
「Z」グレードは、サイドクラディングパネル(覆い板)を標準装備。損傷や破損などがないかチェック。取り付け状態も確認。交換していれば、車体側のダメージにも注意する必要がある。
11.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理することがあり、交換することも多い。ヒンジ部のネジをチェックしよう。ただし、ドアの立て付け調整でネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけでは断定できない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシルなど、周辺の状態も確かめて判断する必要がある。
12.縁の部分も確かめる
フェンダーは、ホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)の縁に修理跡などがないかもチェック。修理の疑いがあれば、傷や凹みの補修か、板金修理か。修理範囲と受けたダメージの程度を調べよう。
シーラーを盛り直していれば、フェンダーを交換している可能性もある。
下部にある関連部品の取り付け状態にも注意しよう。
13.リアフェンダーのチェック
傷や凹み、歪み、修理跡などがないかチェック。リアドアを開けて、柱の部分に修理跡やマスキング跡などがないかも調べよう。
車体左側は、フューエルリッド(給油口のカバー)を開けて、内部に修理跡やマスキング跡などがないか確認。リッドを付け直していたり、色調が違っている場合も、リアフェンダーの修理を疑おう。
14.スライドドアのチェック
14.スライドドアのチェック
開閉の具合を試してみよう。重すぎるとか、引っかかりがあるなど、スライドの動きに注意。スムーズに開け閉めできることも確認。
パワースライドドアのイージクローザーや挟み込み防止機能の作動も試してみよう。「Z」は助手席側だけだが、グレードによっては左右両側ドアともチェックする必要がある。
運転席側の開閉スイッチ操作で動作確認することも忘れずに。
15.ドアの構成部品を調べる
スライドドアに大きなダメージを受けると、外して修理したり、交換することもある。外見の立て付けをチェックしたら、開閉してスライドの動きを確認。次に、スライドドアを構成する部品と周辺を調べよう。
ドアを支えている金具に歪みや修理/交換の形跡などがないかチェック。車体側のレール(スライドさせる溝)や開口部に修理跡などがないかも確認しよう。
16.テールゲートのチェック
16.テールゲートのチェック
テールゲートを開閉してみよう。スムーズに上下して、いちばん上に跳ね上げた時にしっかり止まっていることを確認。
閉まり具合もチェックしよう。カチッと閉まらない場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる可能性もある。ずれているだけなら調整で直ることもあるが、車体が歪んでいる車両を選んではいけない。販売店でチェックしてもらおう。
17.取り付け部を調べる
テールゲートは、裏面に修理跡などがないかチェック。ヒンジ部も見て、交換している形跡がないかも確かめよう。ヒンジやヒンジが固定されている車体部周辺に歪みや修理跡などがないかも調べよう。
18.左右を比べながらチェック
18.左右を比べながらチェック
テールゲートを開けて開口部を見ると、鉄板の接合部がある。溶接やシーラー、塗装などの状態をチェック。修理/交換跡などがないか調べよう。不自然に感じる部分があれば、左右を比べてみると異常を判断しやすい。
後方から強い衝撃を受けると、広く波及することがある。開口部に修理跡があれば、テールゲートはもちろん、リアフェンダーやルーフ、キャビン(室内)など、他部位に及んだダメージを広範囲に探る必要がある。
19.関連部品の状態も確認
開口部下部は、コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態をチェック。修理/交換の形跡に注意しよう。バンパーの裏側も覗いて、車体部にダメージを負っていないか確かめよう。
20.床下を覗いてチェック
フレーム(骨格部)やメンバー(補強部材)など、鉄板部にダメージ痕はないか、修理跡などはないかチェック。前後バンパーの奥にあるメンバー、左右ドア下にあるサイドシル(体前後方向に通っている梁)に歪みや修理/交換の形跡などがないか注意しよう。
マフラーやサスペンションなど、床下の部品類に損傷や修理/交換の形跡などがないかも調べよう。オイル漏れやゴム部品の劣化、錆などにも注意したい。
21.タイヤとホイールを点検
21.タイヤとホイールを点検
タイヤは、減り具合(残り溝の深さ)をまずチェック。傷やひび割れなどがないかも調べよう。
溝が十分に残っていても、減り方(摩耗状態)も見てみよう。接地面の外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減っている偏摩耗が生じていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているか、あるいは車体が歪んでいるのか、確かめる必要がある。
ホイールは、リム(外周部)を傷付けやすい。傷があれば、凹みや歪みを伴っていないか確認。最悪は、ホイールの変形に注意。
22.不具合の兆候を探る
22.不具合の兆候を探る
エンジンをかけて、始動具合やアイドリング回転などをチェック。エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く踏んで、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
エンジンがかかりにくい場合は、バッテリーが弱っている可能性もあるが、他の不具合も考えられる。エンジン回転中に異音や大きな振動が発生していれば、トラブルを抱えている。なんらかの異常を感じたら、販売店にチェックしてもおう。
23.オートマチックのチェック
23.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、セレクトレバーを操作して、引っかかりや緩み(ぐらつき)などはないかチェック。各ポジションにスムーズに切り替えできることを確かめよう。できれば試走して、ATはギヤが切り替わる時に大きなショックや滑っている感じなどがないことを確かめたい。CVTは連続的に変速するので、変速ショックのような感じがあれば、不具合が起きている。
24.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、ブレーキランプなど、保安機器類が正常に作動することをまず確認。
電装機器や電動機構などは、調整操作して機能を確かめよう。エアコンは、必ず冷房の効きを確認。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、エントリーキーシステムなども忘れずにチェックしよう。
グレードによる標準装備の違いやオプションの追加など、車両の装備は事前に確かめておこう。
25.隅まで細かくチェック
室内は、シートや内装材などに汚れや染み、傷、穴などがないかチェック。運転席の周囲だけでなく、2列目、3列目、ラゲッジスペースまで、フロアマットの裏や天井なども調べよう。
各部にある樹脂部品の傷や破損などにも注意。ボックス類は、蓋の開閉と内部の状態を確認。シートの折り畳みなど、可動部の動きと固定状態も確かめよう。
26.車両の情報をチェック
26.車両の情報をチェック
「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容をチェックしよう。車両が新車からどのように使用され、整備されているかが記録されている。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
また、備え付けの書類は、「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月や型式などを確認。「保証書」で保証期間と保証内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションなどの後付け装備の使用説明書が揃っていることも確かめよう。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●2008年5月の「アルファード」フルモデルチェンジと同時に新発売したビッグサイズのミニバン。アルファードはトヨペット店、兄弟車の「ヴェルファイア」はネッツ店で販売している。外観は、アルファードの保守的なデザインに対して、迫力や勢いのあるスタイリング。装備は、グレード名は異なっているが、設定や価格構成などは共通となっている。
エンジンは直列4気筒の「2.4」とV型6気筒の「3.5」の2種。2.4はCVT(無段変速機)、3.5には6速ATを組み合わせている。シートの設定による「8人乗り」と「7人乗り」があり、7人乗りにはグレードによって2タイプの専用シートがある。
グレード構成は、「X」がベーシックタイプで、「V」はバックドアイージークローザーや本革巻+木目調ステアリングホイール、助手席オットマンなどを備えた上級仕様。「Z」は前後バンパーやサイドパネル、マフラーカッター、18インチホイールなどの外装とブラック内装を組み合わせているエアロ仕様。
「Gエディション」は、赤木目調トリムとファブリック織物シートのインテリア。「Lエディション」は、ツインムーンルーフや本革シートなどを装備。どちらも2列目シートにエグゼクティブキャプテンシートや木目調サイドテーブルなどを備えた豪華仕様。
2008年8月には、2.4に4WDを追加発売している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 定員 | 型式 | シフト | 駆動 |
2.4(2362cc) | ||||
2.4X | 8 | DBA-ANH20W | CVT | FF |
2.4X* | 7 | DBA-ANH20W | CVT | FF |
2.4Z | 8/7 | DBA-ANH20W | CVT | FF |
2.4V | 8/7 | DBA-ANH20W | CVT | FF |
3.5(3456cc) | ||||
3.5X | 8 | DBA-GGH20W | 6AT | FF |
8 | DBA-GGH25W | 6AT | 4WD |
3.5Z | 8/7 | DBA-GGH20W | 6AT | FF |
8/7 | DBA-GGH25W | 6AT | 4WD | |
3.5Z* | 7 | DBA-GGH20W | 6AT | FF |
7 | DBA-GGH25W | 6AT | 4WD | |
3.5Z Gエディション | 7 | DBA-GGH25W | 6AT | 4WD |
7 | DBA-GGH20W | 6AT | FF |
3.5V | 8/7 | DBA-GGH20W | 6AT | FF |
8/7 | DBA-GGH25W | 6AT | 4WD | |
3.5V* | 7 | DBA-GGH20W | 6AT | FF |
7 | DBA-GGH25W | 6AT | 4WD | |
3.5V Lエディション | 7 | DBA-GGH20W | 6AT | FF |
7 | DBA-GGH25W | 6AT | 4WD |
*:サイドリフトアップシート装着車