中古車購入チェックポイント
更新日:2015.08.22 / 掲載日:2008.11.05
日産 マーチ 12SR 中古車購入チェックポイント
日産 マーチ 12SR 中古車購入チェックポイント
参考車両:12SR
初年度登録:2008年5月
■全体のチェックポイント
特別仕様のスポーティタイプというカスタムモデル。マニュアルトランスミッションで車両価格も高めということもあって、普通のマーチとはユーザー層が異なっている。基本チェックポイントをしっかり確認するのはもちろんだが、事故によるダメージやエンジンおよび走行機能系のトラブルにも注意。ハードな走りをしていると、車体の疲労や劣化で走りが不安定になることもある。負担をかけて消耗を早めている可能性もあると考えて、各部を慎重にチェックしよう。
1.全体の様子を観察する
1.全体の様子を観察する
やや離れた位置から、外装部品の立て付けや塗装など、外観に違和感などはないか見てみよう。
前面は、バンパー/ボンネット/グリル/ヘッドライトなどが並んでいるバランスと、左右対称になっているかどうかをチェック。
ヘッドライトが片方だけ新しい場合は、ライトの交換しだけか、車体部も修理していないか、周辺を調べて確かめる必要がある。
細部では、バンパーやフロントグリル周辺、ボンネット先端部、フロントガラスなどの飛び石による小さな傷にも注意しよう。
2.角度を変えると見える
2.角度を変えると見える
車体まわりは、正面からだけでなく、見る角度を変えながらチェックしよう。
プレスラインのずれや歪みを確認しやすく、車体表面の浅くて広い凹みや波打(しわ)なども見つけることができる。
しわが寄っているのは、衝撃痕か板金修理跡だ。また、部分的な色艶の違いや肌荒れ状態など、塗装の異常箇所も、補修程度の場合もあるが、修理跡の可能性がある。
3.整備状態をチェック
3.整備状態をチェック
定期点検整備記録簿とつき合わせて、消耗部品を中心にエンジンと周辺の部品を確認。冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。オイル漏れなどにも注意。
周囲と比べて新しく見える部品は、交換が疑える。消耗(定期交換)部品か、故障などの不具合か、それとも事故などでダメージを受けたのか、点検整備記録も探って交換した理由を確かめよう。
4.鉄板部の状態を調べる
左右フェンダー側のインナーパネル、室内側のダッシュパネルなど、エンジンルーム内各部の鉄板部をチェックしよう。ダメージを負うと走行に支障をきたす、車体の骨格ともなっている部分だ。溶接やシーラー、塗装の状態などに注意しながら、修理/交換跡などがないか念入りに調べよう。
マーチのエンジンルーム内の塗色は外板とは異なるが、新車時からなので気にする必要はない。
5.前部の要チェックポイント
5.前部の要チェックポイント
エンジンルームの最前部で車体の左右に繋がっているラジエターサポートを調べよう。車体前部に大きな衝撃を受けると修理/交換する確率が高い。外観をきれいに直しても、ここを見れば車体にダメージを受けたことがわかる。
左右車体部との接続部周辺をはじめ、ヘッドライトやグリル/バンパーなど、関連部品や周辺部品などの取り付け状態などにも注意しよう。
6.ボンネットのチェック
6.ボンネットのチェック
外面の傷をチェックする以外に、裏側に修理跡などがないかも確認しよう。アウター(外)とインナー(内)のパネル2 枚を貼り合わせている接合部(特にシーラーの状態)に注意。
ヒンジ部のネジもチェックしよう。ネジを脱着した形跡があれば、ボンネットを外して修理/交換している可能性がある。修理/交換していれば、車体前部一帯の他のダメージも疑う必要がある。
7.取り付け状態を確かめる
7.取り付け状態を確かめる
フロントフェンダーに大きなダメージを負うと、外して修理したり、あるいは交換することもある。取り付けネジを脱着している形跡がないかチェックしよう。
フロントフェンダーは重要な車体補強部材ではないので、修理しても修復歴にはならないが、外して修理/交換しているとなれば、大きな衝撃を受けていると考えられる。インナーパネルなどの車体骨格部にダメージを受けていないかを確かめる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
外装部品の立て付けは、例えば車体前部側面では、フェンダー、ドア、ピラー(フロントウインドウの柱の部分)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けて部品がずれている、あるいは修理/交換している(組み付け時に位置が狂う)可能性がある。
また、修理や交換で塗装すると、仕上がった色が微妙に違うことがある。隙間を境に、隣り合うパネルの色調にも注意しよう。
9.縁の部分も覗いて確認
9.縁の部分も覗いて確認
フェンダーは、ホイールアーチ(タイヤを囲んでいる部分)の鉄板を折り込んでいる部分に修理跡などがないかもチェック。
修理の形跡があれば、傷や凹みの補修か、板金修理か。損傷の程度を探ろう。スポット溶接に乱れがあれば、フェンダー交換を伴う大がかりな修理も考えられる。
フェンダー奥のタイヤハウス内の部品などに付着した塗装の飛沫も修理のヒントだ。
10.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を受けると、外して修理したり、交換することもある。ドアの取り付けネジを脱着していないかチェックしよう。
ただし、新車の組み立て時やドアの立て付け調整でネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけではドアを外しているとはいえない。ドア自体に修理の形跡はないか、ドアヒンジやピラー(柱)部などに修理跡はないか。周辺の状態も調べて判断する必要がある。
11.内部のダメージに注意
11.内部のダメージに注意
車体側面下部にはサイドシルガーニッシュ(サイドスカート)を装着している。損傷や破損の有無をチェック。交換していないか、取り付け状態も確認しよう。
前後ドアを開けて、開口部下部のサイドシル(車体前後方向に通っている梁)部分に修理跡などがないかもチェック。さらに、下からサイドスカートの裏奥を覗いてサイドシルの下部に損傷や修理跡などがないかも確かめよう。
12.リアフェンダーのチェック
12.リアフェンダーのチェック
後部ドアを開けて、開口部を見てみよう。乗り降りによって傷を付けることも多い。段差になっている部分の凹みなどにも注意。
リアフェンダー周辺を補修、あるいは修理している車両にはマスキング跡が残っていることもある。
下部にあるサイドシルとの接合部にも注意。溶接やシーラーの状態が不自然ならリアフェンダーを交換している疑いがある。
13.テールゲートをチェック
後部も前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。ルーフやバンパーに装着しているエアロパーツにも注意。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートのずれか、あるいは車体の歪みも考えられる。左右片方だけの隙間に異常があれば、その側の車体部を修理していると判断できる。
また、後部ナンバープレートに封印を剥がした形跡があれば、ドアの修理/交換を伴う後部修理の可能性が高いと考えられる。
14.開口部の状態を調べる
テールゲートを開閉してみよう。スムーズに閉まらない場合は、テールゲートがずれているか、車体が歪んでいる疑いもある。
テールゲートは、修理跡などがないかチェックすると同時に、交換の形跡がないかも確認しよう。
開口部左右の柱を見ると、鉄板の接合部がある。溶接(特にスポット溶接)やシーラー、塗装の状態などから修理/交換の形跡がないか調べよう。不自然な箇所があれば、左右を比べてみると異常を確認しやすい。
コンビネーションランプやバンパーの交換などにも注意しよう。
15.床下もチェック
15.床下もチェック
フレーム(骨格部)やメンバー(補強材)などの鉄板部の損傷や歪み、支え金具類の曲がり、マフラーなどの部品類の損傷や交換の形跡など、床下に異常はないかチェックしよう。
オイルやグリスなどによる油汚れや滲み(漏れの兆候)にも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度ならそれほど心配はないが、拡がり範囲と腐食状態を見定める必要がある。
16.減り具合と減り方を点検
16.減り具合と減り方を点検
タイヤは、スリップサインを目安に残り溝の深さをまず点検。傷や異物に刺さり、ひび割れなどの有無もチェック。
減り方を見てみよう。接地面の外側だけとか、内側だけなど、一部が極端に減っている「偏摩耗」を見つけたら、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけか、あるいは車体が歪んでいるのか、原因を確かめる必要がある。偏摩耗は、車体前部インナーパネルの変形などで起こることもある、要注意症状だ。
17.エンジンをかけてみる
17.エンジンをかけてみる
始動時の様子やエンジン回転などをチェック。エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く踏んで、滑らかに回転が上下するかどうかも試してみよう。
容易にエンジンがかからないのは、バッテリーが弱っている場合もあるが、他に問題があることも考えられる。異音や大きな振動が出ているようなら、なんらかのトラブルを抱えている。排気ガスが白(水蒸気なら問題ない)や黒い煙なら、不具合が起きている可能性がある。販売店のスタッフに確認してもらおう。
18.装備機器類の機能を確認
18.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、ブレーキランプなど、保安機器類が正常に作動することをまず確認。さらに、オーディオやエアコンなど、電装機器や調整機構のある装備類は、機能を確かめよう。特にエアコンは、冷房の効きに注意。パワーウインドウの開閉や室内灯の点灯、ステアリングハンドルのオーディオコントロール、リモコンキーによるドアロックの作動なども忘れずにチェックしよう。カーナビは、地図の発行時期(最新版が欲しい)も確かめたい。
19.不具合の兆候を探る
19.不具合の兆候を探る
参考車両の12SRは、マニュアルトランスミッション。シフトレバーを操作して、緩みや(ぐらつき)や引っかかりなどがないかチェック。エンジンをかけて、クラッチの切れ具合も調べよう。
できれば試走して、スムーズにギヤチェンジできるかどうか確認。同時に、クラッチ断続の状態も確かめたい。
20.隅まで細かくチェック
20.隅まで細かくチェック
室内は、シートや内装材に、汚れや染み、傷、穴などがないかチェック。運転席周辺だけでなく、後席やラゲッジスペースも、床から天井まで念入りに調べよう。
12SRは身体を保持するサポートの張り出しが大きめのシートを備えているが、特に運転席のドア側が乗り降りによって傷みやすい注意ポイント。
補修が難しい樹脂部品の傷や破損などにも注意しよう。
車両の情報を確かめる
「定期点検整備記録簿」は、記載記録内容を必ずチェック。新車からどのように使用され、整備されているかが記録されている。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
備え付けの書類に「車検証(自動車検査証)」、「保証書」、「車両取扱説明書」、他にオプション装備などの使用説明書が揃っていることも確かめよう。
フロントウインドウには車検日。リアウインドウには排気ガス基準適合。ドアの柱に貼ってある「タイヤ空気圧」ラベルなど、車体各部に貼ってある表示ステッカーなども車両の情報源だ。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●2002年3月にフルモデルチェンジした3代目。参考車両は、2004年4月~2005年8月~2007年6月のマイナーチェンジを経て、2008年5月に仕様装備変更した時のモデル。ボディカラーに「アメジストグレー」を採用。「12S」と「12S FOUR」の後席に分割可倒式シートを採用。e-4WD車に寒冷地仕様を標準化。
仕様変更とあわせて、12S/12S FOUR をベースにリアシート分割機能とオーディオを省いて価格を下げた「コレット」と、12E/12E FOURにHDDナビを追加装備した「プラスナビHDD SP」を設定し、期間限定車として2008年9月末日まで販売している。
「12SR」は、オーテックジャパンが製作する特別仕様車。通常のマーチよりも強度を高めた車体に、最高出力をアップした1.2エンジン、5速MTを組み合わせたカスタムモデルで、サスペンションもスポーツ走行用にハードなセッティングになっている。1.5エンジンの「15SR-A」は、車体やサスペンションなどの仕様は同じだが、トランスミッションにはCVTを組み込んでいる。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
12B | DBA-AK12 | 4AT | FF |
12S | DBA-AK12 | 5MT | FF |
12S | DBA-AK12 | 4AT | FF |
12E | DBA-AK12 | 4AT | FF |
14S FOUR | DBA-BNK12 | 4AT | e-4WD |
14E FOUR | DBA-BNK12 | 4AT | e-4WD |
14G FOUR | DBA-BNK12 | 4AT | e-4WD |
15E | DBA-YK12 | CVT | FF |
15G | DBA-YK12 | CVT | FF |
期間限定車(2008年9月末日まで販売) | |||
12S コレット | DBA-AK12 | 4AT | FF |
14S FOUR コレット | DBA-BNK12 | 4AT | e-4WD |
12E プラスナビHDD SP | DBA-AK12 | 4AT | FF |
14E FOUR プラスナビHDD SP | DBA-BNK12 | 4AT | e-4WD |
オーテックジャパン特装車 | |||
12SR | DBA-AK12 | 5MT | FF |
15SR-A | DBA-YK12 | CVT | FF |