中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.20 / 掲載日:2006.10.20
トヨタ ラクティス(2005年10月~)中古車購入チェックポイント
トヨタ ラクティス(2005年10月~) 中古車購入チェックポイント
参考車両:ラクティス 1.3 X
初年度登録:2005年10月
■全体のチェックポイント
ファミリーを中心に、ユーザー層は広い。不慣れな運転や不注意に扱っていた車両も少なくないので、外装の細かい傷が目に付くかもしれないが、見かけよりも、走行に影響を及ぼすダメージや修理跡などがないか、しっかりチェックしよう。また、子供を乗せていることも多いので、内装の汚れや染み、臭いにも注意が必要だ。中には、手入れや点検整備に無頓着な「乗りっぱなし」の車両もあるので、オイル交換も含めて、メンテナンスの履歴と現状を確かめよう。
1.全体の雰囲気から探る
1.全体の雰囲気から探る
やや離れた位置から、全体の様子を観察しよう。外板パネルの隙間(立て付け)、塗装面の光沢や色むら、車両の傾きなど、外観に異常はないか、チェック。
前面は、バンパー(グリルと一体)/ボンネット/ヘッドライトの横線が並行に揃って、左右対称になっているか、確認する。ナンバープレートにも気を付けよう。
左右ヘッドライトを見比べて、片方だけ新しく感じたら、その側が補修されている可能性もある。不審な箇所があれば、近寄って、詳しく調べると同時に、周辺の状態も確かめよう。
2.角度を変えながら観察
2.角度を変えながら観察
車体表面の傷や凹み、塗装の異常などを探る時は、角度を変えて見てみよう。
斜めから透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹み、あるいは波打ち(しわ)など、微妙な異常も確かめることができる。
しわが寄っているのは、衝撃を受けているか、板金修理跡だ。
また、塗装表面が周囲と違っている箇所(部分的な変色や色むら)も、修理跡の疑いがある。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
エンジンと周辺の部品を、まずチェック。ゴムホースやベルトの劣化など、消耗部品を調べると同時に、エンジンオイルのにじみや汚れ(オイル漏れの兆候)にも注意。できれば、冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。
周囲と比べて新しく見える部品は、交換していることが疑える。故障や不良によって交換したのか、それとも、車体部の修理に伴う交換なのか、調べよう。
4.鉄板部分をチェックする
インナーパネル(エンジンルームを囲んでいる車体内側の鉄板)を見てみよう。
大きなダメージを受けると、走行機能面に不具合が生じるので、修理跡(溶接、シーラー、塗装の異常)はないか、歪みやしわなどはないか、しっかりチェック。
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートにも注意。車体前部に衝撃を受けると、修正あるいは交換修理する確率が高い。
5.取り付け状態を調べる
5.取り付け状態を調べる
フロントフェンダーは、固定しているネジを確かめよう。脱着した形跡があれば、修理のために交換している可能性がある。
傷や凹みの補修、あるいは損傷を受けて修理しても、きれいに直していれば修復歴車にはならないが、交換している場合は、車体の前部を広範囲に修理しているかもしれない。インナーパネルをはじめ、周辺を再チェックする必要がある。
6.隙間の狂いと色の違い
6.隙間の狂いと色の違い
車体前部から側面にかけては、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス左右にある柱)、ボンネットなどが、隣合わせになっている。
隙間の幅を見てみよう。均等になっていなければ、パネルがずれている。ダメージを受けてるか、修理している可能性も高い。
また、外板パネルの隙間を境に、隣り合う塗装の色調も比べてみよう。修理や交換をすると、色艶が違って見えることがある。周辺も探って、判断しよう。
7.ネジを回した理由を推察
側面に大きな損傷を受けると、ドアを交換することも多い。ヒンジ(ドアを支えている金具)の固定ネジをチェックしよう。
前後左右のドアを見て、特定のネジだけに脱着した形跡があれば、修理するために外したか、あるいは交換していることが考えられる。
ただし、ドアの立て付け調整のためにネジを回すことがあるので、周囲の状態も含めて判断する必要がある。ドアキャッチ(ロックする部分)も、調べてみよう。
8.リアフェンダーのポイント
リアドアを開けて、開口部の塗装面を見てみよう。マスキング跡があれば、リアフェンダーを補修、あるいは板金修理している可能性がある。
また、修理状態によっては、外板とドア開口部の塗装表面の色調が異なるケースもある。
フューエルリッド(給油口の蓋)もチェックポイント。開けて、シーラーの乱れやマスキング跡がないか、調べよう。フューエルリッドを外したり、交換している様子がある場合も、リアフェンダー周辺を修理していることが疑える。
9.車体後部のチェック
後面も、前部と同様に、少し離れたところから、バンパー/リアゲート/コンビネーションランプ(テールライト)の立て付けを観察し、横(水平)線と左右(対称)の隙間のバランスをチェック。ナンバープレートは、封印を外した傷がないかどうかも、調べよう。
また、リアゲートを閉めた時の立て付けを見て、全体に狂っていれば、ゲートのずれか、車体の歪みが疑える。右左の片方だけに異常があれば、その側の車体部を修理していると判断できる。
そして、リアゲートを開閉してみよう。しっかり閉まらない(スムーズにロックできない)場合は、ゲートがずれているか、あるいは車体のほうが歪んでいることも考えられる。
10.疑いがあれば周辺も探る
10.疑いがあれば周辺も探る
後部に大きなダメージを受けると、リアゲートを交換することもある。固定ネジに手を加えた痕跡がないか、見てみよう。交換した疑いがあれば、ルーフ部などに修理跡はないかも確認しよう。
11.鉄板の接合部にヒント
11.鉄板の接合部にヒント
リアゲートを開けると、左右両側共に、鉄板が横から回り込んで接合されている鉄板の継ぎ目が見える。
溶接やシーラー、塗装状態などを調べてみよう。異常があれば、修理していると考えられる。
疑わしい場合は、車体の左右同じ場所を見比べると、判断しやすい。特に、シーラーとスポット溶接の状態を調べよう。
テールライトの交換にも注意。
12.スペアタイヤ周辺も観察
12.スペアタイヤ周辺も観察
ラゲッジスペースの床を開けて、スペアタイヤハウス内も忘れずに、凹み、波打ち、板金修理跡、交換跡などはないか、チェック。
さらに、スペアタイヤを外して、シート状の防振材を見てみよう。切り接ぎ、張り替えた形跡などが、修理を推察する目安になる。
塗装跡は、錆の補修も考えられる。錆や泥の付着、水溜まりの跡などがあれば、水が浸入した原因を突きとめる必要がある。
13.床下を覗いてチェック
下まわりは、前後左右あらゆる角度から覗き込んで、鉄板部の変形や凹み、支え金具類の歪み、修理した痕跡などはないか、見てみよう。意外なところにダメージを受けているのを発見することがある。車体側面では、サイドシル(ドアの下にある車体前後方向に通っている梁の部分)の下部には特に注意。塗装、シーラー、溶接などから、鉄板の接合状態を確かめることがポイントになるが、波状になっているので、判断が難しいかもしれない。修理している疑いがあれば、車体左右の同じ場所を比べてみよう。また、マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかどうかも探ろう。オイル類や冷却水などの液体、グリスなどの油脂類などが漏れていないかも、チェックしよう。
14.バンパーの裏を確かめる
14.バンパーの裏を確かめる
バンパーは、車体に伸びているステーに歪みや割れがないか、チェック。固定部に手を加えた形跡がないかも調べて、修理や交換していないか、確かめよう。
さらに、バンパーの奥にある鉄板部に変形や凹み、修理した痕跡などはないか、チェック。車体を構成する重要な部分なので、修理や交換していれば、その車両は修復歴車と明記されているはずだ。
15.不調や不具合を察知する
15.不調や不具合を察知する
エンジンは、かかり具合、アイドリング、異音、回転の上下、排気ガスの色などをチェック。
実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽ってみて、スムーズに回転が上下するかどうかも、試してみよう。
容易にエンジンがかからない場合は、バッテリーが弱っていたり、エンジンの調整が必要かもしれない。異音や大きな振動が出ているようなら、トラブルを抱えている可能性がある。
16.操作して機能を確かめる
保安関係(ヘッドライト、テールランプ、ブレーキ、ウインカー)などの作動状態を、まず確認。
さらに、電装機器や電動機構などは、正常に機能しているか、確かめよう。
エアコンは、温度調節や風量を試してみる。オーディオは、ラジオだけでなくCDも聴いてみるなど、スイッチを入れるだけでなく操作してみる。パワーウインドウの開閉や後部座席ランプの点灯なども、忘れずにチェックしよう。
カーナビを装備していれば、地図の発行時期も、調べよう。
また、後部シートからラゲッジスペースまで、念入りに調べよう。汚れや染み、傷の付き方などから、小さな子供が乗っていたとか、頻繁に荷物を出し入れしていたなど、使い方が推察ができる
17.ATの作動を試してみる
17.ATの作動を試してみる
セレクトレバーを操作して、トランスミッションの状態をチェック。
エンジンをかけて、ブレーキを踏んだまま、PからDへ、NからRへなど、各ポジションにレバーを動かして、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などはないか、切り替え時にショックがあるなどの異常がないか、試してみる。CVT(FF車)は、走行中に変速ショックがあるのは異常だ。できれば試走して、確かめたい。
18.減り具合と減り方を点検
18.減り具合と減り方を点検
タイヤは、溝の深さ(1.6mm以上が目安)を、まずチェック。
溝が十分に残っていても、減り方を調べよう。接地面を見て、一部が極端に減っている「偏摩耗」を見つけたら、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいは車体が歪んでいるのかを確かめる必要がある。
偏摩耗は、車体前部のインナーパネルが変形して生じることもある。走行中にハンドルが片方に取られる場合も、要注意だ。
書類の内容も調べる
点検整備記録(メンテナンスノート)は、必ず記載内容を調べよう。
定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておくと、車両各部の状態を探る参考になる。
また、車両や標準装備類はもちろん、純正オプションや後付けの社外製品が付いている場合も、それぞれの取扱(使用)説明書が揃っていることを確かめよう。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接されている(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性が高い。
●バンパーなどは、押されてずれることがある。たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●2005年10月からファンカーゴの後継車として販売されている、ヴィッツをベースにした実用的な背高コンパクトカー。広いラゲッジスペースに加えて、後席の居住性を高めているのが特徴といえる。
エンジンは、1.3と1.5リッターがあり、FFとCVTの組み合わせが基本だが、1.5には4WD+4速ATも設定されている。
仕様グレードは、ベーシックな「X」とリアルーフスポイラーや前後調整機能付きの本革巻きステアリングを備えた「G」が基本。
パッケージとして、スマートエントリー、オートエアコン、オーディオなどを備えた「Lパッケージ」を両グレードに設定。
「G」には、アルミホイールやエアロパーツを組み込んだ「Sパッケージ」の設定もある。「パノラマパッケージ」と「Lパノラマパッケージ」には、ガラス製のルーフも装着。
その他に、ウェルキャブ(車いす仕様車、助手席リフトアップシート車、助手席回転スライドシート車、手動運転補助装置フレンドマチック取付専用車)なども、販売されている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
1.3 (1296cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
X | DBA-SCP100 | CVT | FF |
X Lパッケージ | DBA-SCP100 | CVT | FF |
1.5 (1496cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
G | DBA-NCP100 | CVT | FF |
CBA-NCP105 | 4AT | 4WD | |
G Lパッケージ | DBA-NCP100 | CVT | FF |
CBA-NCP105 | 4AT | 4WD | |
G Sパッケージ | DBA-NCP100 | CVT | FF |
CBA-NCP105 | 4AT | 4WD | |
G パノラマパッケージ | DBA-NCP100 | CVT | FF |
G Lパノラマパッケージ | DBA-NCP100 | CVT | FF |
X | CBA-NCP105 | 4AT | 4WD |
X Lパッケージ | CBA-NCP105 | 4AT | 4WD |