中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.24 / 掲載日:2009.03.18
トヨタ アリスト(1998年1月~) 中古車購入チェックポイント
トヨタ アリスト (1998年1月~) 中古車購入チェックポイント
E-JZS160
参考車両:アリスト S300 ベルテックスエディション
初年度登録:1998年1月
■全体のチェックポイント
アリストは高額車なので丁寧に扱われていることが多いが、中には走行性能に惹かれたクルマ好きが改造している車両もあることから、場合によっては細心の注意を払ってチェックする必要があるかもしれない。また、中古車市場での人気が高く、相場も高めなので、大きなダメージを負っていても修理して販売していることもあるので、しっかり推察する必要がある。できれば試乗して、エンジンやサスペンションなど、走行機能系の動きまで確かめたい。特に、走行中に出る異音や不具合に注意しよう。
1.外観の様子を観察する
傷や凹みは、外板パネル全体を調べるが、特に車体前面は、バンパーやフロントグリル周辺、ボンネット先端部などの飛び石などによる小さな打ち傷に注意。フロントガラスも調べてみよう。
車体に映る周囲の景色も見てみよう。歪みや凹み、あるいは波打っているのを見つけることもある。塗装表面が肌荒れ状態になっている場合も、修理跡かもしれない。斜めから角度を変えながら観察すると見つけやすい。
ヘッドライトやフォグランプ、テールランプなどが、片方だけ新しい場合は、ライトが破損して交換したのか、事故の修理に付随して交換したのか、周辺を詳しく調べて、確かめる必要がある。
2.隙間の幅と色を見る
2.隙間の幅と色を見る
各部の立て付けをチェックしよう。例えば、車体前部では、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラスを挟んだ左右の柱)、ボンネットなど、それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、前部を修理している可能性が高い。
車体の左右同じ場所のを見比べるのもチェックのコツだ。
また、外板(車体の外側のパネル)を修理したり、交換する場合は、パネルを塗装することになるが、色を合わせる作業は難しいので、仕上がった色が微妙に違うことがある。
色調が合っていないのは、外板の隙間(チリと呼ぶ)を境に隣り合うパネルを比べて見れば判断しやすい。
3.エンジンまわりを点検
3.エンジンまわりを点検
エンジンの管理状態を探ってみよう。
ゴムホースやベルトの劣化など、消耗部品を中心にエンジンと周辺の部品をチェック。オイルのにじみや汚れにも注意しよう。
周囲と比べて新しく見える部品は、交換していることが疑える。記録簿を見れば、トラブルが発生した箇所や修理の経緯、部品の交換などがわかるはずだ。
できれば点検整備記録とつき合わせて、冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキ、パワーステアリまた、部品やネジなどに塗装の飛沫が付いている場合は、修理の跡がないか探してみよう。
4.修理する確率が高い部品
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターコアサポートと呼ぶ鉄板を観察してみよう。
事故などで車体前部をぶつけると、修正あるいは交換修理する確率が高い。歪みや手を加えた痕跡がないかチェックしよう。
ネジを脱着した形跡をはじめ、左右フェンダーとの接合部なども、不自然なところはないか点検しよう。
5.内側のパネルをチェックする
5.内側のパネルをチェックする
インナーパネル(内側の鉄板)を観察してみよう。歪みが残っていたり、不自然な塗装や溶接、シーラーの異常などがあれば、車体内部にまで及ぶ大きなダメージを受けて修理している。
サスペンションのマウント部(上部の取り付け部)も見てみよう。マウントラバーが新しい場合は、足まわりを損傷して修理している疑いがある。
6.取り外していれば周囲も探る
6.取り外していれば周囲も探る
ボンネットにダメージを負うと、交換することも少なくない。ボンネットを支えている金具(ヒンジ)の固定ネジを見てみよう。
脱着した形跡があれば、交換した可能性が高い。車体前部を詳しく調べよう。
まれにエンジンの修理などで外すことがあるので、整備記録も調べてみよう。
7.フェンダーを調べる
7.フェンダーを調べる
傷や凹みなどをチェックすると同時に、エンジンルーム内の固定ネジも調べてみよう。
フェンダーを固定しているネジの頭の塗装に傷が付いているなど、工具を使ってネジを脱着した形跡があれば、フェンダーを交換している可能性がある。
傷や凹みをきれいに直すなどでフェンダーに手を加えても事故車(修復歴車)の扱いにはならないが、フェンダーに異常がなければ大きな事故は起こしていないと判断できる。
8.改造の程度を把握する
参考車両は、前後バンパーとサイドステップの他、エンジン系などにも改造箇所がある。
改造は、部品の取り付け状態や、電装品は配線の取り回しなどまでチェックする必要がある。一般には改造の程度や効果を知ることは難しいので、専門家に相談するほうが賢明だろう。
法定基準を超えた過度の改造には十分に注意しよう。
9.ドアを交換した形跡
車体側面に大きな損傷を受けると、ドアを交換することも多い。ドアを支えている金具(ヒンジ)の固定ネジをチェックしよう。
前後左右ドアヒンジ部のネジを見て、脱着した形跡があれば、ドアを交換している疑いがある。
10.塗装表面にヒントがある
10.塗装表面にヒントがある
リアドアを開けて開口部を観察してみよう。リアフェンダー周辺を修理した車両には、マスキングした跡が残っていることもある。
また、タイヤハウス内を覗いて、塗料が付着していないか、さらに、アーチ(タイヤハウスの角)の折り曲げ部に修理した形跡がないかも探ってみよう。
11.トランクを開けてみる
11.トランクを開けてみる
トランクリッド(蓋)を開閉して、スムーズにロックできない場合は、ずれているか、あるいは車体が歪んでいることも考えられる。
閉めた状態の立て付けを見て、全体に隙間が違っていれば、ずれか、車体の歪みを疑ってみる。右または左だけ、片側の立て付けに異常があれば、フェンダー部を修理していると判断できる。
12.開口部の状態をチェック
12.開口部の状態をチェック
開口部は左右とも鉄板が横から回り込んで溶接で固定されている。特にテールランプの上部付近をチェック。
追突などで後部が変形するようなダメージを受けて修理した車両は、溶接やシーラーの形状が左右で同形式の車両があれば、比較するとさらに確認しやすい。
13.床下を覗いてみる
13.床下を覗いてみる
鉄板部に傷や凹みはないか、各部支え金具類に歪みや変形などはないかチェックしよう。
さらに、マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかも探ってみよう。
外観はきれいに修理しても、走行に影響がない見えない部分はそのままにしておく(補修や修理をしない)ことがあるので、事故などで受けたダメージの痕跡を見つけることがある。
14.スペアタイヤの下も探る
14.スペアタイヤの下も探る
スペアタイヤを外してみよう。大きなダメージを受けてできた歪みなどが床部に残っているのを見つけ錆や泥の付着、水溜まりの跡などがあれば、水が浸入した原因を突きとめる必要がある。また、塗装している形跡は、錆などの塗装修理か、板金修理あるいはパネル交換修理によるものなのか、周辺のネジや溶接の状態まで詳しく調べて判断する。
15.トラブルを察知する
15.トラブルを察知する
キーを捻って、スターターモーターの勢いが弱かったり、始動がもたつく場合は、バッテリーが弱っていたり、エンジンの調整が必要かもしれない。
エンジンの異音が聞こえり、大きな振動が出ていれば、トラブルを抱えている可能性がある。
実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽ってみて、スムーズにエンジン回転が上下するかどうかも試してみよう。
16.操作できる機器類はすべて動かしてみる
トランスミッションは、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などはないか、レバーの動きを確かめよう。
できれば試走して、ギヤが切り替わる時のショックが激しくないかもチェックしたい。
アクセルを踏んで動き出す時や加速する時のタイミングが異常に長い場合は、機構不良の疑いがあるので要注意。
また、ターンシグナル(ウインカー)やライト類、ワイパーなどはもちろん、オーディオシステムなどの装備機器をチェック。運転席まわりだけでなく、パワーウインドウの開閉や後部座席のランプの点灯なども確かめよう。
アリストはオートエアコンが標準装備だが、温度調節や風量を試そう。寒い日でも、必ず冷房の効き具合を確認する。
電装品は、もれなく「機能を操作してみる」ことがポイントだ。
標準装備類はもちろん、純正オプションや後付けの社外製品でも、取扱(使用)説明書が揃っていることも確かめよう。
17.タイヤとホイールから探る
17.タイヤとホイールから探る
タイヤ外周の接地面を見て、一部が極端に減っている偏摩耗を見つけたら、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいはダメージを受けて車体が歪んでいるのかを確かめる必要がある。
タイヤの角が削れていたり、側面まですり減っていたら、激しい走り方をしていたと推察できる。その場合は、車体やエンジン、サスペンションなど、各部に負担をかけていると判断できるし、走行に関わる部品などの消耗も進んでいるはずだ。
また、推奨サイズ以外の太いホイールとタイヤ(フロントドア開口部に貼っている「タイヤ空気圧」を見れば指定サイズがわかる)、あるいはサスペンションを交換している(たいていは色が付いた目立つ部品が付いている)などの改造車両は、専門家に相談したほうがいいだろう。
18.傷や破損は周辺も調べる
18.傷や破損は周辺も調べる
傷や凹みは、大きさや深さを調べて、程度によっては周辺に異常がないか探る必要がある。
参考車両のように、ドア下端の小さな損傷なども、念のために、ドアやサイドシル(ドア下の梁の部分)まで調べてみよう。
目利きはココを見る!
点検整備記録に目を通す
●点検記録(整備手帳など)の内容を、車両をチェックする前に確認しておこう。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておくと、各部の状態を探る参考になる。
●記録簿以外にも、ガソリンスタンドやカー用品ショップでオイル交換などをすると、記録シールを貼ったり、カードなどを記録簿にはさむこともある。車体や車検証ケース内も探ってみよう。
●詳細な記録が残っている車両は、走行距離が伸びていても走行機能部分には大きな問題を抱えていないと推察できる。
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。タイヤハウス内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接されている(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性が高い。
●バンパーなどは、押されてずれることがある。たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●アリストは、1991年10月~2004年12月に販売された高級スポーツセダン。スポーツカーに勝る走行性能を秘めていることからクルマ好きに注目され、愛好者は97年8月のモデルチェンジ以前を「14」、以降を「16」と型式からとった愛称で呼んでいる。
エンジンは3.0リッターで、230馬力(S300)とツインターボ280馬力(V300)の2タイプ。仕様グレードの「ベルテックスエディション」は、リアスポイラーや光り輝くバフ研磨のアルミホイール、ブラックインテリアなどを装備している。
1999年8月には一部改良/変更されている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定(2005.09)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
V300 ベルテックスエディション | E-JZS161 | 4AT | FR |
V300 | E-JZS161 | 4AT | FR |
S300 ベルテックスエディション | E-JZS160 | 4AT | FR |
S300 | E-JZS160 | 4AT | FR |