中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.21 / 掲載日:2014.03.14
トヨタ 86(ハチロク)(2012年4月~)中古車購入チェックポイント
トヨタ 86(ハチロク)(2012年4月~)中古車購入チェックポイント
参考車両:GT・6AT-M (DBA-ZN6)
初年度登録:2012年4月
追加装備:<メーカーオプション>車体色・サテンホワイトパール
<ディーラーオプション>オーディオレスカバー(2012年4月)
全体のチェックポイント
2012年4月に発売した“FRの運転を楽しむ”小型スポーツモデル。参考車両は、トルセンLSDなども標準装備している上級タイプのAT車。車体まわりは、外装の小傷よりも車体骨格のダメージに注意。エンジンから足まわりまで整備状況も必ず確認。走り機能のセッティングも大切だ。無闇にいじった改造車に注意する必要があるかもしれない。ユーザー歴や使用歴を聞いてみるのもいいだろう。
走りに支障が生じる車体骨格のダメージに注意
1.車体のバランスを見る
1.車体のバランスを見る
まずは、車両の周囲をひと巡りして、外観に異常がないか探ってみる。車両の姿勢(傾き)にも注意。
前面は、バンパー、ボンネット、グリル、ヘッドライト、フェンダーなどの状態をチェック。細部では、ボンネットやフロントガラスの飛び石傷などにも注意したい。
2.ドアと開口部をチェック
2.ドアと開口部をチェック
ドアは、外板パネルだけでなく、内側も修理跡などがないかチェック。ドアを外して修理/交換していないか、ヒンジ部もチェック。同時に、ピラー(柱)やサイドシル(梁)など、関連部や周辺も異常がないかチェックする。
3.縁と奥も覗いてチェック
3.縁と奥も覗いてチェック
フロントバンパーは、角や下部に損傷がないかチェックし、立て付けも確認。フォグランプやウインカー、バンパー下カバーなども異常がないかチェック。フェンダーは、86エンブレム付フェンダーモールディングやホイールアーチあたりも損傷や修理跡などがないかチェック。奥を覗いて、タイヤハウス内およびフェンダーライナー(泥よけカバー)もチェック。
4.車体の内側もチェック
車体前部は、アルミ製ボンネットも損傷がないかチェックし、修理や交換していないか確認。フェンダーは、エンジンルーム側をチェックし、取り付け状態も調べる。同時に、フレームなど車体パネルも、歪みや修理跡などがないかチェック。エンジンルーム最前部で車体の左右に繋がっているラジエターサポートおよびヘッドランプなど関連部もチェックする。
5.下側に要チェックポイント
車体側面下部は、サイドシル(車体の梁)を慎重に調べる。床下側も覗いて、傷、凹み、腐食(錆)、修理跡などがないかチェック。
判断は難しいかもしれないが、パネル接合部の溶接状態に注意して、交換した形跡がないかチェック。フレーム修正機にかけたクランプ(爪)跡にも注意したい。
同様に、ドア開口部のステップ部(サイドシルの上側)周辺もチェックする。
6.給油口周辺もチェック
6.給油口周辺もチェック
リアフェンダーは、ドア開口部周辺も、修理跡やマスキング跡がないかチェック。車体右側は、フューエルリッドとフェンダーの色調が違っていないか見る。フューエルリッドを開けて、給油口周辺に修理跡がないかチェック。
7.ダメージのヒントを探る
7.ダメージのヒントを探る
後部も、バンパー、トランクリッド、コンビネーションランプ、フェンダーなどの状態をチェック。
細部では、ナンバープレートの損傷や封印を剥がした形跡(トランクリッド修理/交換の疑い)。マフラーエンドの損傷や位置ずれなどにも注意したい。
8.関連部も慎重にチェックする
トランクリッドは、開閉の動きとダンパーの効き具合をチェック。トランクリッド内側をチェックし、ヒンジおよびヒンジ固定部周辺も調べる。開口部も、パネル接合部に注意しながら修理/交換跡がないかチェック。できればラゲッジボードを上げて、トランクフロアパネル周辺に歪みや修理跡などがないかチェック。さらに、後突の衝撃が波及することがあるピラーやルーフなどもチェックする。
9.床下も覗いてチェック

フレームやメンバー(補強部材)など車体骨格部のほか、アンダーカバー、マフラー、サスペンション、ブラケットなど部品類も、傷、曲がり、破損、修理/交換の形跡などがないかチェック。
オイルやグリスなどの漏れ、樹脂やゴム部品の破損などにも注意。錆があれば、浮き錆程度なら心配ないといえるが、広がり範囲と腐食の進行状態をチェック。
★損傷箇所や修理歴を確認
「86」は、空力ボディも売りだが、フロントアンダーカバー、アルミエンジンアンダーカバー&プロテクター、トランスミッションプロテクター、エアスパッツ(タイヤ前方にある空気整流板)、クォーターストーンプロテクター(リアホイールアーチ前部周辺への飛び石傷を防ぐ透明な保護フィルム)なども装着している。車体まわりの付加パーツも損傷などがないかチェックしたい。
車体の骨格部を修理している車両は修復歴車だが、たとえ修復歴に該当しなくても、損傷を負っていたり修理や交換している部分がないか販売店に聞いてみよう。
走行機能のコンディションと整備状況を確認する
1.走行制御動作をチェック
1.走行制御動作をチェック
マニュアルモード付6速ATは、シフトレバーの操作具合をチェック。可能なら試乗して、[D]レンジでの自動制御(AI-SHIFT)動作をチェック。[M]レンジでマニュアル[+・-]シフト操作と変速動作をチェック。「GT」は、パドルシフトの具合もチェック。
走行制御モード[NORMAL・SNOW・SPORT]スイッチの各機能も、走行時にチェックしたい。
2.エンジンをかけてみる
エンジンをかけてもらい、始動具合、アイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。できれば自分でエンジンをかけて、始動時には、表示灯/警告灯類、メーターやディスプレイの表示なども注意して見る。「GT」は、スマートエントリー&スタートシステムおよび[ENGINE START STOP]スイッチのモード切り換えなどの具合も確認。わからないことや疑問は、販売店スタッフに聞いてみよう。
3.運転支援機能も確認
[TRC OFF]で機能停止。[VSCSPORT]のモードオン・ノーマル。
[VSC OFF]でTRCとVSCを停止。スイッチ各機能を組み合わせた時の制御具合も確認したい。
しかし、異常を判断するのは難しい。エンジンやATを含めた走行関連機能に不具合がないかは販売店で点検、確認してもらおう。
4.タイヤとホイールをチェック
4.タイヤとホイールをチェック
タイヤは、残り溝の深さを点検し、傷やひび割れなどがないかチェック。偏摩耗など異常摩耗を起こしていれば、不適切なエア圧やアライメント(ホイール取り付け角)の狂いなども考えられるが、車体が歪んでいる可能性もあるので要注意。
アルミホイールは、傷や腐食、破損などがないかチェック。リムの縁(タイヤと接している部分)の欠損や曲がりに注意。過度な衝撃を受けると生じることがある歪み(変形)や割れなどにも注意したい。
★正しく点検・整備しているか必ず確認する
★正しく点検・整備しているか必ず確認する
「86」は、ツインインジェクターを制御する【TOYOTAD-4S】と【SUBARU BOXER】を組み合わせた2.0L水平対向4気筒直噴エンジン。ATは、2~6速のロックアップクラッチを直結する【6速SPDS(スポーツダイレクトシフト)】。タイヤロック抑制ABS、空転抑制TRC+ブレーキLSD、電動パワーステアリングEPSおよびブレーキとエンジン出力を制御する車両安定・横滑り制御【VSC】を装備。「GT」のAT車は、パドルシフトスイッチやトルセンLSDを標準装備している。
とりあえずはオイル漏れなどにも注意ながらエンジンルーム内をチェックするが、詳しい整備状況は販売店に聞いて確認する。特に「水平対向・D-4S」は、正しく点検・整備できるかどうか必ず確認したいところだ。
★足まわりの具合を確認
「GT」は、17x7Jアルミホイール+215/45R17タイヤ、フロント/リアベンチレーテッドディスクが標準装備。
タイヤは、サイズやタイプによってはVSCやTSCなどが正常に作動しない、といった点にも注意したい。
ブレーキは、パッドやブレーキ液など点検整備状況と制動具合を確認。
サスペンションも、ダンパーの劣化やオイル漏れなどに注意し、サスペンション機能が正常か確認したい。
室内・装備の状態と装備機器の機能をチェック
1.隅まで細かくチェック
1.隅まで細かくチェック
室内は、内装材に汚れ、染み、傷、破損などがないかチェック。ボックスやカップホルダー、トレイなど収納装備もチェック。ボックスリッドやエアコンルーバーなどは、可動部の破損にも注意。
シートは、サポート部の傷みやステッチのほころび。ステアリングホイールやシフトノブなどのレザーは、擦れにも注意。
前席の前倒しストラップを試しながら後席へ乗り込んで、後席周辺も丹念にチェックする。
2.装備機器類の作動を確認
ヘッドランプ、ウインカー、ブレーキランプなど保安装置。パワーウインドウやドアロック、室内ランプなど基本的な装備機器の作動状態をチェック。
「GT」は、スマートキーの機能と各部の作動具合をチェック。フルオートエアコンは、特に冷房の効き具合に注意して、調整・設定機能をチェックする。
参考車両は、オーディオレスカバーを付けているが、他にも追加した装備がないか聞いてみよう。
★販売店で点検してもらう
内装・装備に問題がないかは、とりあえずわかるところだけでもチェックし、細部は販売店で確認。特に電装機器の異常や不具合に注意したい。
最初に車両の現状を確かめる
中古車両をチェックする際は、現物を見て、年式(登録年月日)・仕様・グレードを確認。標準装備のほかに、メーカーオプションやディーラーオプション、社外パーツなどを追加していないか確認。整備状態も含めた現状を販売店で確認しよう。
目利きはココを見る!

「車両の情報」を見る
●「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限や内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、追加装備などの使用説明書が揃っていることも確認。●「定期点検整備記録簿」は、記載内容を確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両の状態を探る参考になる。
「立て付け」を見る
●外板パネルは、合わせ(隙間)が均等でなかったり、位置がずれていれば、ダメージを受けているか修理/交換している可能性がある。●プレスライン(外板パネルを折り曲げている角)やモール(飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。●外装は、見る角度を変えながらチェックすれば、プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなども判断しやすい。パネル表面を斜め方向から透かして見るようにすると、小さな凹みや浅くて広い凹み、波打ち(しわ)なども見つけやすい。しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡だ。
「塗装の状態」を見る
●部分的に色艶が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所は、修理跡の疑いがある。●新しい塗装跡は、錆などの補修か、損傷を負って修理したのか、詳しく調べる。●修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがあるので、隣接しているパネルの色艶も比べてみる。●塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があるのはマスキング(周辺に塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするカバーを粘着テープなどで留める)跡。ドア開口部などにマスキング跡があれば、なんらかの理由で塗装しているので、周辺を詳しく調べる。●エンジンルーム内やスペアタイヤ収納部などは、外装色とは違っていることもあるので注意する。
「取り付け状態」を見る
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体部品を外す時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ボンネット、フロントフェンダー、ドア、テールゲート(またはトランクリッド)などは、外して修理、あるいは交換することがあるので、ネジを見て、ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺も修理跡などがないか調べる。
「接合部」を見る
●車体部品を交換する際に溶接部分を外すことがあるので、鉄板接合部を調べる。●スポット溶接(接合部にある丸い窪み)を打ち直している場合は、直径が小さい、窪みが深い、ずれている(2度打ちした)など、新車組み立て時の状態とは異なる特徴があるので注意する。●接合部に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理や交換で塗り直していると不自然に見える。●爪で押して、プチッと表面が割れる(表面が硬くても内部が柔らかい)ようなら新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、接合状態や塗布する方法によって形状が違っていることにも注意する。
今回の車両のプロフィール
●2012年4月に新発売した「86」は、トヨタとスバルが共同開発し、スバルの工場で生産する小型FR(フロントエンジン・リアドライブ)スポーツモデル。トヨタは、比較的安価な“最後のFRスポーツ”として支持された往年の「カローラレビン/スプリンタートレノ(1983年5月~1987年5月)」の通称“ハチロク(AE86)”からとった車名で発売。兄弟車となるスバル「BRZ」のほうは、2012年3月に発売している。
新型「ハチロク」は、トヨタとスバルの技術を合わせた水平対向4気筒直噴DOHC2.0Lエンジン・低重心FRパッケージを採用し、6速MTとマニュアルモード付6速ATを設定。
仕様グレードの「G」は、ブラック86エンブレム、16インチアルミホイール、前ベンチレーテッド/後ソリッドディスク、ハロゲンヘッドランプ、黒文字盤タコメーター、マニュアルエアコン、オーディオレス・2スピーカー、ウレタンステアリングホイールなどが標準装備のスタンダードタイプ。
上級タイプの「GT」は、レッド86エンブレム、17インチアルミホイール、前後ベンチレーテッドディスク、トルセンLSD、LEDクリアランス付ディスチャージヘッドランプ、フロントフォグランプ、白文字盤タコメーター・デジタルスピードメーター・REVインジケーター、フルオートエアコン、オーディオレス・6スピーカー、本革巻きステアリングホイール、カーボン調加飾、アルミペダル、スマートエントリー&スタートシステムなどを標準装備。GTに設定した「リミテッド」は、スポーツブレーキパッド、リアスポイラー、リアフォグランプ、フロア下/タンク下フロアアンダーカバー、ダブルレッドステッチ付本革×アルカンターラシート表皮、運転席/助手席シートヒーターなどを追加する。「RC」は、チューニングを前提としたレースベース車。16インチスチールホイール、素地(未塗装)フロント&リアバンパー/ドアミラー/ドアハンドル、カバーレスインストパネル、ヒーター(エアコンレス)、オーディオレス・スピーカーレスが標準装備で、マフラーカッター、インテークマニホールドカバー、フロアサイレンサー、フロントカップホルダー、ラゲージルームランプなどを省略している。
参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
RC | DBA-ZN6 | 6MT | FR |
G | DBA-ZN6 | 6MT・6AT-M | FR |
GT | DBA-ZN6 | 6MT・6AT-M | FR |
GT リミテッド | DBA-ZN6 | 6MT・6AT-M | FR |