中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2014.10.24
MAZDA DEMIO マツダイズム全開なアクティブコンパクト

「魂動」というデザインテーマを掲げた最近のマツダは、ここ最近ニューモデルラッシュが続いている。そしてこの秋、全面改良を受けた新型デミオが登場。その強烈なルックスと走りはクラスレスの魅力を見せる。今回はデミオのヒストリーを振り返り、歴代デミオの解説と中古車相場をじっくりと見ていこう。
マツダ デミオはこんなクルマ!

新車価格帯 135万~213万8400円(※全グレード)
「フルスカイアクティブ」導入で大きな進化を具現化したマツダが、満を持して投入したコンパクトモデルが新型デミオだ。1.5Lの小排気量クリーンディーゼルの投入は、とくに大きなトピックと言える。
リッター30.0kmを実現するスカイアクティブDを搭載
大好評の2.2Lに続いて投入されたクリーンディーゼルは、6速MTで30.0km/Lのモード燃費を達成した1.5L版。トルクはガソリン2.3~2.5L並みだ。
クラスを超えたハイクオリティのインテリア
内装は欧州のプレミアムBセグ車と肩を並べる高品質さ。上級のアクセラのパーツも採用し、オフホワイトのクロス/レザーシートまでを設定する。
充実した安全装備で重大事故を未然に防止
横滑り防止装置のDSCを全車に標準化し、自動ブレーキのSCBSを13S以上のグレードに標準装備。車線逸脱警報などもオプションとして用意する。
走りをさらに磨いて商品力を大幅アップ
海外で「マツダ2」と名乗るデミオは、先代時にコンセプトチェンジ。スポーティかつスタイリッシュなフォルムと、キビキビとスポーティな走りを個性とする、アクティブコンパクトへと生まれ変わった。
で、ついにリリースされた4代目は、CX-5からスタートした「フルスカイアクティブ・テクノロジー」と「魂動(こどう)デザイン」を投入することで、存在感を一段と際立たせた。日本のコンパクトカーのイメージを変えるエモーショナルなスタイルと上質な仕立てのインテリアを見ただけで、「今度のデミオは違う」と感じた人が多いことと思う。
でも、デミオの革新はそこにとどまらない。トルクフルな1.5Lクリーンディーゼルが生む頼もしい走りや、スカイアクティブ・シャシー&ボディがもたらすファンなハンドリングと質の高い乗り心地も、大きなセールスポイントとなっている。
なら、パッケージは?4mを超える全長を考えれば、後席足元の余裕は少ない。だが、それには理由があるのだ。開発陣が優先したのは正しいドラポジで、ホイールハウスとの干渉をなくしてペダルをドライバーと正対する位置に置く。「運転姿勢が理想的」、「運転しやすい」、「長時間運転していても疲れない」と感じるのはそのため。室内長を稼ぐためにペダルを左にオフセットさせたモデルとの違いは明らかなものだ。
そこに見えるのは「運転」に対するマツダのこだわり。新型デミオの自慢は、艶っぽいスタイルやプレミアム感あるインテリアだけではない。
RIVAL ライバル
トヨタ ヴィッツ

新車価格帯 115万5600~199万4073円(※全グレード)
マイナーチェンジでさらに魅力をアップ
トヨタのBセグ・コンパクト。国内ではハイブリッドのアクアの陰に隠れがちだが、14年春にフェイスリフトを実施して再アピール!エンジンを改良し、操縦安定性と乗り心地のレベル向上も図った。豊富なボディ色も自慢だ。
日産 マーチ

新車価格帯 113万7240~182万880円(※全グレード)
シンプルな佇まいと使い勝手のよい室内
デビューは82年で、現行モデルは4代目にあたる。扱いやすいコンパクトボディとキュートなスタイルを特徴とし、女性層の支持を得ている。現行型は心臓を3気筒1.2Lに変更し、生産をタイに移管。高いバリュー度を追求する。
ホンダ フィット

新車価格帯 130万1142~217万9543円(※全グレード)
低床パッケージのスペースコンパクト
アクアと国内コンパクト市場の覇権を争う存在で、13年秋投入の現行3代目は1.3L、1.5L、1.5Lハイブリッドの幅広いモデルを揃える。独自のセンタータンクレイアウトが生む、広いキャビンと大きな荷室が何よりのウリだ。
HISTORY ヒストリー
マツダFFコンパクトの歴史は・・・86年のフォード・フェスティバに始まる。「使えるコンパクト」のコンセプトは、初代&2代目デミオに継承された。だが、3代目で方向転換。現在はスポーティ&上質路線で勝負!
平成8年 初代デミオを発売
平成14年 2代目デミオを発売
平成19年 3代目デミオを発売
平成26年 4代目デミオを発売
世代別中古車物件比率

新型が登場して全部で4世代のデミオが存在するが、中古車市場に最新モデルは流通していない。中心となるのは先代で、およそ7割を占めている。先々代デミオも3割もまだ買える。初代は安いが、ほとんど流通していない。
※すべての価格は参考価格です

3rd 販売期間:平成19年~平成26年
ガソリンエンジンの効率をさらに高めてHV勢を迎え撃つ
エコカー全盛期、ライバルは続々とハイブリッドを投入するなか、デミオはあえてガソリンエンジンのまま勝負。マイナーチェンジでスカイアクティブテクノロジーを投入し、JC08モードで25.0km/Lという低燃費を実現した。
中古車参考価格帯 40万~150万円 (平成19年~平成26年式 ※全グレード)
マツダ デミオ 13スカイアクティブ(CVT)
主要諸元
平成23年式
全長×全幅×全高:3900×1695×1475mm
車両重量:1010kg
排気量:1298cc
エンジン:直4DOHC
最高出力/最大トルク:84ps/11.4kgm
燃費:25.0km/L(JC08モード)
燃費:30.0km/L(10・15モード)
サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後:Vディスク/ドラム
タイヤ前後:175/65R14
ヨーロピアンな外観とさらに洗練された走り
マツダらしさとは何か?それを真剣に考えた結果、デミオは「ユーティリティ系」から「スポーティ系」への方向転換を実践した。3代目が登場したのは、マツダが「Zoom-Zoom」の旗印を掲げてエモーショナルな走りを訴求していた時代なのだから、納得できる。
そして後期型では、ミラーサイクルの13C-Vを大きく発展させた13スカイアクティブを投入!エコ性能においても、ハイブリッド勢に対抗した。10・15モードで30.0km/Lの燃費値は、当時としては大きなインパクトがあった。同時にシャシー改革も進め、「統一感」のあるハンドリング追求により、走りの完成度をさらに高めた。
INTERIOR インテリア


クールな雰囲気でまとめたインテリア
モダンな造形のコクピットは、スポーティムードを特徴とする。「広い」とまでは言えないが、キャビンは大人4人でドライブを楽しめる空間を確保。荷室容量は250Lで、Bセグメントの水準を満たす。13スカイアクティブは専用メーターを採用。
MECHANISM メカニズム
大幅な軽量化で走りと燃費を向上
小型・軽量化の方向から、効率(燃費)を高め、走りの楽しさを追求したのがこの3代目。剛性や安全性を高めながら、ボディの軽量化も達成した。もうひとつの注目は、高膨張比のミラーサイクルを採用する1.3Lの心臓で、のちにスカイアクティブGへと発展した。
スカイアクティブG
スカイアクティブG
圧縮比14.0は、直噴採用のガソリンエンジンの中でも極めて高い数値。ミラーサイクルやクールドEGRを組み合わせ、抜群の高効率を達成した。
サスペンション
サスペンション
サスは前ストラット/後トーションビーム式。11年6月投入の後期型ではシャシー設定を見直し、よりリニアでつながり感のある挙動を実現した。
エアロダイナミクス
エアロダイナミクス
Cd=0.32と元来空力は優秀だが、燃費改善のため13スカイアクティブはさらに対策を強化。フロア下の整流などを徹底し、Cd値0.29を達成した。
インテリジェント ドライブマスター(i-DM)
インテリジェント ドライブマスター(i-DM)
滑らかでムダのない運転は「楽しさ」や「気持ちよさ」に結びつくだけでなく、燃費を改善するのにも有効。その助言と評価をするのがi-DMだ。
DEMIO SPORT

ピリ辛なルックスと走りのデミオスポルトも設定
113馬力/14.2kgmの1.5Lユニットを搭載し、専用チューンドサスと16インチ45タイヤを標準採用するスポルトは、キレのいいハンドリングを持ち味とする硬派なモデル。でも、ハード過ぎないのがいいところ。日常ユースにも無理なく適合する。5速MTとCVTの2本立てだ。
MARKET REPORT 市場レポート
物件数が非常に豊富で価格もお値ごろ。いまが買い時!
グレード×年式別相場
平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
13C/13C-V | 51万円 | 55万円 | 60万円 | 63万円 | 75万円 | 80万円 | 83万円 | 84万円 |
13Cスカイアクティブ | ー | ー | ー | ー | 90万円 | 100万円 | 112万円 | 121万円 |
15C | 53万円 | 56万円 | 56万円 | 59万円 | ー | ー | ー | ー |
スポルト | 68万円 | 76万円 | 79万円 | 85万円 | 99万円 | 85万円 | 127万円 | ー |
新型が登場したこともあり、先代モデルの中古車はこれから旬を迎えることになる。相場を見ると、マイナーチェンジ前のモデルは50万~60万円というリーズナブルな価格の車両が多い。一方、スカイアクティブ搭載車はまだ高めである。低走行な車両も多く、予算に応じて自分好みの年式、グレードを選べる状況にある。
走行距離×年式別相場
平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1万km未満 | 66万円 | 63万円 | 72万円 | 77万円 | 84万円 | 94万円 | 113万円 | 121万円 |
1万~3万km | 61万円 | 64万円 | 71万円 | 76万円 | 84万円 | 89万円 | 106万円 | ー |
3万~5万km | 59万円 | 63万円 | 63万円 | 73万円 | 81万円 | 86万円 | ー | ー |
5万km以上 | 52万円 | 53万円 | 55万円 | 59万円 | 73万円 | 76万円 | ー | ー |
平成19年式の「13C」や「13C-V」は51万円とかなり安くなっている一方、平成23年に登場したスカイアクティブ搭載車は、平成23年式で75万円が相場。また、低走行車も目立ち、5年落ち・1万km未満で相場は72万円とリーズナブル。かなり選びやすい状況である。
年式
デビュー年の平成19年から最終の平成26年まで、ほぼまんべんなく物件が存在している。これは安定した新車販売が行われてきた証拠である。予算に合わせたクルマ選びができそうだ。走行距離
つい先日まで新車販売されていたモデルゆえ、1万km未満の低走行車は2割弱も存在する。しかし市場のメインとなるのは1~3万km。5万km以上の車両は安いものの、数は少なめだ。

グレード
デビュー時の標準モデルは「13C」とミラーサイクルエンジン搭載の「13CV」で、これらが市場の大半を占める。話題のスカイアクティブは25%。1.5L車は市場にあまり流通していない。
2nd 販売期間:平成14年~平成19年
小型ハッチバック路線を明確化走りの性能も一段と高めた2代目
荷物をたくさん積める小型のレクリエーションビークル・・・そんなコンセプトの初代から一転し、
2代目は正統派ハッチバックに進化。激化するコンパクトカー市場でも競争力の高い品質と走りを身につけた。
中古車参考価格帯 10万~60万円 (平成14年~平成19年式 ※全グレード)
マツダ デミオ カジュアル(4速AT)
主要諸元
平成17年式
全長×全幅×全高:3925×1680×1530mm
車両重量:1100kg
排気量:1498cc
エンジン:直4DOHC
最高出力/最大トルク:113ps/14.3kgm
燃費:18. 2km/L(10・15 モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
ブレーキ前/後:Vディスク/ドラム
タイヤ前後:175/65R14
スタイリッシュなコンパクトに転身
平成13年にフィットが登場するまでは、デミオがユーティリティ系コンパクトの代表選手だった。人気のカギは立体式駐車場対応の全高をキープしながら、「ミニワゴン」とも呼べる高い実用性を実現した点。ホイールベースを100mm拡大するなど、全体にグレードアップを図った2代目も好評を博した。
そして、2代目のもうひとつの大きな魅力は、フットワークのよさ。高速道路を飛ばしても高い安心感を保ち、峠道でスポーティな走りが楽しめるほどの実力を備えていた。だが、燃費改善のためにパワステを油圧式から電動式に変更した後期型は、操舵フィールの手ごたえ感やインフォメーションが失われ、せっかくの好バランスな走りが崩れてしまった。デミオに限らず、当時の電動パワステは出来が悪かった。
INTERIOR インテリア

シンプルだけど使い勝手のいい室内
背高パッケージを活かして、ルーミーなキャビンと使い勝手抜群のラゲッジを実現したのが見どころ。アレンジ多彩な後席も自慢で、ミニワゴンとしての役割も十分に果たす。初代&2代目が、ファミリー層に支持された大きな理由がそこにある。
MECHANISM メカニズム

心臓は「MZRユニット」と呼ばれた1.3L&1.5Lの4気筒DOHC。吸気可変バルタイ機構を採用していた。サスは当時から定番の前ストラット/後トーションビーム式。
エンジンとシャシーを一新して走りは洗練
フォードとの蜜月時代に開発されたのが2代目で、車台の基本設計を欧州フォードのフィエスタと共用していた。ちなみに、当時から海外名は「マツダ2」。スペイン工場での現地生産も行っていた。つまり、走りのよさは欧州仕込み、というわけ。
開放感あるドライブが楽しめるキャンバストップ

フルオープンに迫る開放感と爽快感をもたらす電動キャンバストップは、ルーツと言えるフェスティバの時代からウリとしてきた魅力のあるアイテム。現代の流行はパノラミックガラスルーフだが、光を直に感じ、風を肌で感じられる点が大きく違う。
1st 初代デミオってどんなクルマ?

中古車参考価格帯 10万~30万円(平成8年~平成14年式 ※全グレード)
ミニバンブームに敏感に反応し、実用派コンパクトという新ジャンルに切り込んだ。車台はオートザム・レビューの流用。
MARKET REPORT 市場レポート
価格はかなり安いが物件が少しずつ減少中
グレード×年式別相場
平成14年 | 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
カジュアル | 19万円 | 20万円 | 26万円 | 31万円 | 33万円 | 42万円 |
コージー | 17万円 | 20万円 | 22万円 | 31万円 | ー | ー |
スポルト | 18万円 | 24万円 | 31万円 | 38万円 | 44万円 | 51万円 |
デビューから12年が経過して、市場に流通する中古車も走行距離が伸びた物件が目立ってきた。しかし、そのほとんどが50万円以下で手に入るのが美点。程度良好な1台を買い、日々の足としてガンガン使い倒すのにうってつけ。アンダー50万円で買える国産中古車の大きな選択肢となるだろう。
走行距離×年式別相場
平成14年 | 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
3万km未満 | 33万円 | 30万円 | 27万円 | 36万円 | 42万円 | 50万円 |
3万~5万km | 16万円 | 24万円 | 32万円 | 37万円 | 39万円 | 48万円 |
5万~8万km | 22万円 | 21万円 | 26万円 | 32万円 | 31万円 | 39万円 |
8万km以上 | 15万円 | 17万円 | 20万円 | 22万円 | 28万円 | 28万円 |
先代のグレード構成は、仕様によって3タイプに分かれている。スポルト以外のグレードでは1.3Lと1.5Lから選べるのも特徴だが、中古車相場での価格差はあまり大きくない。しかし、スポルトはそれよりも5万~10万円ほど相場が高め。価格は全体的にかなり安い。

IMPRESSION
森野恭行の歴代モデルインプレッション
2nd(先々代)
バランスのよさがすべてに感じられる
背高のハコ型パッケージから連想するのは鈍重な走りだが、2代目デミオはいい意味で意外性に富んでいた。とくにバランスがいいのは油圧式パワステの前期型で、操舵に対してリニアにクルマが反応。高速安定性も優秀なレベルにあり、スポーティな走りも楽しめる1台に仕上がっていた。1.5Lモデルは加速性能も活発。
3rd(先代)
元気な走りと低燃費をハイレベルで融合
小さく、軽くなったボディから期待するとおりに、3代目はキビキビと軽快な走りを持ち味とする。でも、スポルトを除く前期型は、やや軽薄な印象もあり、乗り心地にも荒さが残る。走りの質感にこだわるなら、新たなコンセプトによりシャシーセットを見直した後期型をオススメする。13スカイアクティブは燃費も優秀だ。
4th(現行)

トータルクオリティがアップした力作
一段とリニアになったハンドリングと、落ち着きと上質感を高めた乗り心地が、デミオの進化を物語る。フットワークの素直さに注目するなら、ノーズの軽い1.3Lガソリン車がねらいめ。加速の力感や高速クルーズのゆとりを求めるなら、トルクフルな1.5Lクリーンディーゼル搭載のXDがいい。走りのよさは期待どおり。
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データは、Goo-net 2014年9月調べ