中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.28 / 掲載日:2011.01.14
スズキ ワゴンR RR(2006年~)中古車購入チェックポイント
スズキ ワゴンR RR(2006年~)中古車購入チェックポイント
CBA-MH21S
参考車両 : RR-DI (2006年12月)
■全体のチェックポイント
クルマ好きが“ワゴンR MH21S RR”とも呼ぶ、3代目ワゴンRのスポーティ&プレミアムタイプ。ワゴンRとしては、新車販売台数ナンバー1だけあって、中古車物件数は非常に多いが、RRになると極端に少ない。しっかりチェックして、良質車両をゲットしたい。注意ポイントは、整備状態。エンジンやトランスミッションなどのコンディションを必ず確認しよう。車検時以外に点検整備らしきことをやったことがなといった車両も多い。定期点検整備記録簿をチェックし、わからないことは販売店に聞いてみる。納車整備や販売店保証の有無なども確かめよう。
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
RR は、なんといってもスポーティスタイルが大切。まず、少し離れたやや遠目から、車体の全体を見て、違和感や不自然に見える部分などがないか調べよう。
前面は、バンパー/グリル/ボンネット/ヘッドライト/フェンダーなどが並んでいるバランスをチェック。左右ライトの片方だけが新しい場合(交換)は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの変形や修正跡なども、車体部の修理を疑ってみる。バンパーの角や下の傷や破損などにも注意。細部では、バンパーやボンネット、フロントガラスの飛び石による打ち傷などにも注意。
2.後部のチェックポイント
2.後部のチェックポイント
前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。部分的に隙間がずれていれば、その部分の車体部を修理/交換していると考えられる。
後部ナンバープレートは、封印の傷(ナンバープレートを外した形跡)が修理/交換を推測するヒントになる。
3.隙間の幅と色調を比べる
3.隙間の幅と色調を比べる
外装部品の立て付けは、例えば車体前部側面では、バンパー、ヘッドライト、ボンネット、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを負っているか、修理/交換している可能性がある。バンパーが押されてずれている例もあるので、注意してチェックしよう。
隙間を境に、隣り合う外板パネルの色艶も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、色調が微妙に違って見えることがある。
4.角度を変えると見える
4.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、微妙な立て付けの狂いなども確認しやすい。
表面を斜めから透かして見ると、浅くて広い凹みや波打ち(しわ)なども見落とすことがない。
しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡。塗装面の艶が違うとか肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
5.整備状態を確かめる
5.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、消耗部品を中心にエンジンと周辺をチェック。オイルの滲みや汚れ(オイル漏れの兆候)などがないかも確認。ターボ車は、特にオイル管理の状況に注意したい。
周囲と比べて新しく見える、交換している部品があれば、消耗品か、不具合があったか、それとも事故などでダメージを受けたのか、整備記録も探ってみよう。
6.車体内側の鉄板を調べる
エンジンルーム内のパネルやフレーム、メンバー(補強部材)など、車体内側の鉄板をチェックしよう。ダメージを負うと走行に支障が生じる重要な部分を修理している車両は、修復歴があることを明示しているはずだが、念のために、歪みや修理/交換跡などがないか確認。カバーや機器類があるので細部まで調べるのは難しいが、隅まで慎重にチェックしたい。
7.取り付け状態を確認
7.取り付け状態を確認
フロントフェンダーは、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡などがないかチェック。固定ネジを回した形跡がないかもチェック。ブラケット(フェンダーを支えている金具)の状態も確認。
フロントフェンダーは、車体構成上の重要な車体補強部材とはなっていないので、外傷を修理した程度では修復歴にはならない。しかし、外して修理、あるいは交換していれば、車体内側の骨格部にダメージが及んでいないかを確かめる必要がある。
8.前部の必須チェックポイント
8.前部の必須チェックポイント
エンジンルームの最前部で車体の左右に繋がっているラジエターサポートは、車体部に大きな衝撃を受けると影響が及びやすく、修理/交換する確率が高い。前部はフロントグリルでカバーされているが、左右フェンダー側に伸びている部分も含めて、歪みや修正跡、修理/交換の形跡などがないかチェック。フロントグリルやヘッドライトなど関連部品の取り付け状態、バンパーやフェンダーなど周辺部の状態にも注意しよう。
9.ボンネットの裏も見る
9.ボンネットの裏も見る
外面をチェックしたら、裏面側に修理跡などがないかもチェック。特に、シーラーやスポット溶接に異常がないか注意しよう。
外して修理、あるいは交換することもあるので、ヒンジ部のネジをチェック。ヒンジを修正したり、交換していないかも確認。
ボンネットを修理/交換していれば、ボンネット単独の損傷なども考えられるが、車体部を修理/交換していないかもより慎重に調べる必要がある。
10.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理することがあり、交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部のネジをチェックしよう。ただし、立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジを見ただけでドアを修理/交換していると決めつけるわけにはいかない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシル(梁)など、周辺も詳しく調べて判断する必要がある。
11.縁と奥も覗いてチェック
フェンダーは、膨らんでいるホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)を傷付けることも多い。傷があれば、凹みを伴っていないか、フェンダーに歪みがないか確認。
内側に折り込んでいる角の部分に修理跡などないかもチェック。さらに奥を覗いて、タイヤハウスの状態もチェック。フロントフェンダーは、内側に設置しているライナー(泥よけ)の状態をチェック。
同様に、フェンダーと繋がっているバンパー側の状態も見てみよう。
12.下側に注意ポイント
車体側面は、下部に設置しているサイドアンダースポイラーに傷や破損、修理跡などがないかチェック。取り付け状態も確認。
重要なのはスポイラーで覆われているサイドシル(車体前後方向に通っている梁)のほうだ。床下側を覗いて、下に出ている部分に損傷や腐食、修理跡などがないか必ずチェック。ドアを開けて、ステップ部の状態も調べよう。
13.リアフェンダーのチェック
リアドアを開けて、開口部を調べよう。後席への乗り降りなどで傷付けることも多い。擦り傷、引っ掻き傷、打ち傷などのほか、簡易補修跡などがないかチェック。修理跡などがないかも確認しよう。
開口部にマスキング跡があれば、リアフェンダーを補修、あるいは修理している。周辺を詳しく調べよう。
車体左側は、フューエルリッドを開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェック。リッドの交換にも注意。
14.テールゲートのチェック
14.テールゲートのチェック
解錠/施錠の具合をまずチェック。テールゲートを開閉して、上げ下げの動きがスムーズかどうかチェック。上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉める時にカチッと収まらないなど、閉まり具合がよくない場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいることも考えられる。ずれているだけなら調整で直ることもあるが、車体が歪んでいる車両には要注意。
テールゲートもサイドドアと同様に、外面だけでなく、内側に修理跡がないかチェック。ヒンジ部のネジもチェック。ヒンジおよびルーフ側のヒンジ固定部周辺に歪みや修理跡などがないかも調べよう。
15.開口部を慎重にチェック
15.開口部を慎重にチェック
開口部の左右を見ると、鉄板の接合部がある。溶接、シーラー、塗装の状態に注意して、修理/交換の形跡などがないかチェック。開口部の下半分は鉄板部が見えないが、コンビネーションランプやバンパーなどの取り付け状態(交換)に注意しよう。
後方から強い衝撃を受けると、広範囲に波及することがある。修理/交換の形跡があれば、ルーフやキャビン(室内)、フェンダー、ピラーなど、関連部や周辺だけでなく、ダメージが及んだ範囲を広く探る必要がある。
16.床の中も調べる
16.床の中も調べる
ラゲッジフロアを開けて、スペアタイヤ収納部周辺を見てみよう。しわや歪み、修理跡などがないかチェック。底に貼ってある防振シートの切り接ぎや貼り直した形跡にも注意。塗装跡があれば、錆などの補修か、修理跡か確認。水溜まりや水溜まり跡にも注意。
17.タイヤとホイールのチェック
17.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、スリップサインを目安に、残り溝の深さを点検。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかもチェック。
摩耗状態も調べよう。接地面の外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減る偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っている場合もあるが、車体の歪みも疑える。偏摩耗は、なんらかの問題がある注意サインだ。
ホイールは、傷や錆などがないかチェック。リム部(タイヤと接している縁の部分)に曲がりがないかも確認。アルミホイールは、過度の衝撃による変形や割れなどにも注意。
18.床下を覗いて確認
18.床下を覗いて確認
フレームやメンバー(補強部材)など鉄板部。マフラーやサスペンションなど部品類。ブラケットなど支え金具類も、損傷、曲がり、歪み、修理/交換の形跡などがないかチェック。前後バンパーの裏側や、左右サイドシル側からも、できるだけ奥まで覗いて、ダメージ痕を見逃さないようにしよう。
水漏れ、油汚れ(オイルやグリスなどの漏れ)、ゴム部品の劣化(割れ)などにも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないといえるが、広がり範囲と腐食の進行状態に注意しよう。
19.不具合の兆候を探る
19.不具合の兆候を探る
エンジンをかけて、始動具合やアイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。始動時には表示/警告灯類の点灯などにも注意
容易にエンジンがかからなければ、始動困難に陥った原因を調べる必要がある。不安定なアイドリング回転、異音や大きな振動、白煙(水蒸気なら問題ない)や黒煙の排気ガスなどが出ていれば、なんらかのトラブルを抱えていると考えられる。
異常を判断するのは難しい部分もあるので、購入時の最終的な点検と確認は販売店でやってもらうようにしよう。
20.オートマチックのチェック
20.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、セレクトレバーを各ポジションに切り替えて、緩みや引っかかりなどがないか、操作具合をチェック。できれば試乗して、走行時のオートマチックの動作を確認したい。大きな変速ショックや滑っている感じがするようなら不具合が起きている。異音にも注意。しかし、正常かどうかを判断するのは、固有の車種を扱い慣れていないと難しい。ここも、販売店でチェックしてもらうほうがいい。
21.装備機器類の機能を確認
21.装備機器類の機能を確認
ヘッドライト、ウインカー、テール/ブレーキランプなど、保安装置類の作動状態をまずチェック。エアコンは冷暖房とも効き具合を確認するなど、電装機器や電動機構は、調整操作して機能と動作を確かめる。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、エントリーキーなども忘れずにチェックすること。
標準装備のほか、サイドエアバッグ仕様やオーディオレス仕様の違い。メーカーオプションやアクセサリー、社外製品など、追加装備の有無は、現車を見て、販売店に聞いて確かめよう。
22.室内の隅まで細かくチェック
22.室内の隅まで細かくチェック
シートや内装材などに汚れや傷、染み、穴などがないか。運転席周辺だけでなく、助手席、後席、ラゲッジスペースも、慎重にチェック。床や天井の状態も確認。ボックスやポケットなどは、内部もチェック。ボックスの蓋やエアコンの吹き出し口など、可動部の破損にも注意。シートのスライドや折り畳みなども試してみよう。
■車両の情報をチェック

備え付けの書類は、「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で保証内容や期限を確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションなど追加
装備の説明書が揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容を調べよう。車両がどのように使われ、どのように扱われてきたかがわかる。定期点検や消耗部品交換などの実施時期とその時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合は、周辺の状態を慎重にチェック。エンジンルームやスペアタイヤ収納部などは、新車時から外装とは塗色が異なってることがある。
●ドアの開口部など、外から見えない部分にマスキング(塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするためのカバーを粘着テープなどで留める)した跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような“直線状の段差”があれば、何らかの理由で塗装している。
●部品などに塗料が付着している場合も、周辺を詳しく調べる必要がある。
●車種によっては、スペアタイヤ収納部などに、塗装の飛沫が付着しているように見える、新車時から仕上げが荒くなっている部分もある。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。
●ネジの頭が塗装されていれば比較的容易に確認できるが、無塗装ネジの場合は判断しにくい。傷や錆に注意して、関連する近隣のネジや、車体左右の同じ部品のネジと見比べる。
溶接とシーラー
●修理/交換で溶接している(熱を加えた)部分は、錆が発生しやすくなっている。特に床下は、溶接部の塗装の剥がれや浮きに注意する。
●鉄板の接合部分に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理/交換で再溶接すると塗り直すので、不自然に見える。
●爪で押して、表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べてみる。
●スポット溶接(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)は、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理/交換すると、組み付ける際に誤差が出ることがある。隣接するパネルの隙間(チリと呼ぶ)の幅が均等になっていなければ、修理/交換している可能性がある。
●バンパーなどは、ぶつけたり、押されてずれることもある。たとえ修理/交換していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●プレスライン(外板パネルが折れ曲がっている角の線)や、モール類(ドアなどに付いている飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。
■今回の車両のプロフィール
●1993年9月に新発売したワゴンRは、もともと若い男性をターゲットにしていたが、高さがあって居住空間が広い“軽トールワゴン”が高い年齢層や主婦をはじめとする女性にも受け入れられ、ユーザー層が幅広い人気モデルとなった。そこで、当初想定していた若い男性に的を絞ったスポーティモデルとして、1998年10月発売の2代目ワゴンRで「ワゴンR RR」をタイプ設定に加えた。(特別仕様車として1998年1月に「RR」、同年5月に「RR-F」を発売していた)2003年9月にフルモデルチェンジした3代目ワゴンRでは、Sターボの「RR」と直噴(DI)ターボの「RRDI」を設定。2005年9月の一部改良でワゴンRのグレード設定が見直され、RRモデルはRR-DIだけになる。2006年9月には、Mターボエンジンを搭載した特別仕様車「RR-Sリミテッド」を発売。2007年5月の一部改良でRR-Sリミテッドがグレードに追加され、RR-DIとあわせてRRモデルは2タイプとなる。そして、2008年9月にフルモデルチェンジした4代目ワゴンRでRRは廃止された。
●参考車両は、2代目ワゴンRが2005年9月に一部改良し、2006年9月に特別仕様車「RR-Sリミテッド」が発売された頃の「RR-DI」。660(658cc)エンジンは、シリンダー内に直接燃料を噴射する「直噴(DI)」ターボ。トランスミッションはコラムシフト4速AT。外装には、丸形フォグランプ内蔵フロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプ、サイドアンダースポイラー、ハイマウントストップランプ内蔵ルーフエンドスポイラー、マフラーカッター、専用リアコンビネーションランプを装着。内装には、本革巻きステアリングホイール、シルバードアアームレスト、ドアトリムクロスを備える。165/55Rタイヤ&14インチアルミホイールも、RR専用。標準RR-DIに設定されていた「サイドエアバッグ装着車」は、フロントシートサイドエアバッグとHi/Low切り替え式ディスチャージヘッドランプを装備。「オーディオレス仕様車」には、インパネボックスが付く。特別仕様車「RR-Sリミテッド」は、実用域で扱いやすいMターボエンジンを搭載し、ブルーリフレクタータイプのマルチリフレクターハロゲンヘッドランプ、ターンランプ付ドアミラーカバー、リミテッド専用リアバンパーを装備。テールゲートにある「WAGON R RR」の下に「LIMITED」エンブレムを貼っている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定(2006.09)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
RR-DI | CBA-MH21S | 4AT | FF |
CBA-MH21S | 4AT | 4WD |