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更新日:2020.04.21 / 掲載日:2017.11.30
TMSで見た注目モデル
TOYOTA 新型センチュリープロトタイプ

なぜか惹かれるその姿は我が物造り大国の象徴
展示されたモデルは市販仕様そのものと考えていい。驚くほど平滑に仕上げられた塗装もショー用の化粧ではなく、次期センチュリーの「ふつう」なのだ。ちなみに外板塗装は7層コートで3回の水研ぎを行っている。さらに最終組み立て工程は4~5人の匠達によって行われ、生産台数は最大で2台/日。ラインを1年間稼働させても730台以下の計算だ。よくセンチュリーを「クルマというより伝統工芸品」と評していたが、FMCしてもそれは変わらない。
パワートレーンがV12から先代LSに搭載されていたV8ハイブリッドのFR仕様に変更されたのは特別仕立ての要素減でちょっと寂しいが、最新を使わず実績のあるパワートレーンを選択するのはセンチュリーらしい信頼の証だ。
フォーマルな3BOXスタイルも後席乗員の居心地を大切にしたセダンセオリーそのもの。時流に乗ったり、際どい個性を演出するようなケレン味は一切なく、ひたすら「ザ・セダン」である。
気になる価格は「税金で買う方(官公庁)もおられるので、現行車とかけ離れた価格にはできません」とのこと。個人的には3000万円でも不思議ではないのだが、儲からないのも先代と一緒か。
ドライバーの立場で見れば新型LSのほうが魅力が大きい。そう作られているのだから当然。だがクルマとしてはセンチュリーに惹かれてしまう。物造り大国の証明であり、連綿と受け継がれてきた匠の技と自負心への感動は格別だ。
全長やホイールベース、トレッドを拡大。ホイールベース延長分は後席スペース拡大に充てた。フロアの低段差化などで乗降性も向上。
V8の5.0L、2UR-FSE+THS2で滑らかさを求め2段変速式リダクション機構を搭載。トランクルームもしっかりと確保した、ザ・セダンだ。
シートは100%ウールのファブリック仕様と、柔らかな最高級表皮を採用した本革仕様を用意。助手席を格納し後席足元を広げる機能もある模様。
ライバルは… LEXUS LS
TOYOTA Tjクルーザー

やけにリアルなインテリアを持つバン×SUVクロスオーバー
はたらくクルマ、でもあるオフローダーを趣味性高く昇華させたのがFJクルーザー。Tjクルーザーもその路線にあるのは間違いないが、大きなキャビンにリヤスライドドア、ダイビングスーツのまま乗り込めそうなシートや床面設計など、かなり実践的アウトドアレジャー&スポーツ向けの設えになっている。しかも、外観はともかく、インテリアは妙にリアリティがある。デリカシリーズのデリカD:5の4WD車とも被るコンセプトだが、こちらは2列シート設計で全長は4.3m。全幅は1.8m弱。2.0L級エンジンのハイブリッドを搭載して、駆動方式はFFと4WD。スペシャリティに先鋭化したクロスオーバー、C-HRと対極をなすレジャー特化型の新趣向クロスオーバーSUVとも考えられる。
使い倒せるTOOL-BOXのT、様々な場所に出かける楽しさ、Joyのjが車名の由来。バンとSUVのクロスオーバーだ。ケアフリー素材(強化塗装)を採用。
約3mの長尺物が積載できるなど使い勝手の良い室内。プロボックス/サクシードのハイリフト車をたまに見かけるが、市販されれば人気になるかも!?
ライバルは…TOYOTA FJクルーザーMITSUBISHI デリカD:5
NISSAN セレナe-POWERハイウェイスター

2018年春の登場で2.0L級ミニバンHV戦争勃発!?
ステップワゴンにもハイブリッド車が加わって、2.0L級1BOX型ミニバンはハイブリッド熱が急上昇。セレナにも近々本格ハイブリッド車が追加されることになった。システム概要は未発表だが、ノートと同じく「e-POWER」と呼ばれていることから、エンジンで発電して電動モーターで駆動するシリーズ方式なのだろう。ヴォクシー系のTHS2も高速域での燃費低下がウイークポイントだが、シリーズ方式ではその傾向がさらに強まる。そのためシリーズ方式をベースにするステップワゴンでは高速燃費改善のため高速専用にエンジン直動機構を備えている。セレナも高速燃費対策が採用されていれば、実燃費でもライバルを上回る可能性が高い。このクラスの今後が楽しみだ。
内装は確認できなかったが、空力を考慮した専用アルミホイール、専用LEDテールランプなどを採用。2018年の春に登場する予定だ。
ブルーのアクセントが入ったフロントグリル、リヤにはe-POWERエンブレムが。インテリアにもブルーアクセントが施されるとのこと。
ライバルは…TOYOTA ヴォクシー/ノア/エスクァイアハイブリッド
NISSAN リーフNISMOコンセプト

大人味に仕立てるだろうが加速は強烈で刺激的!?
タウンカーのノートをツーリング&スポーツ向けに仕立て直したのがノートNISMOである。あざとい演出を控えて、見た目も走りも大人味というのが特徴で、カスタマイズカーの中では幅広い嗜好のユーザーに受けている。リーフNISMOコンセプトも、プロパイロット等のベース車の基本機能も長所のひとつとして挙げていることから、ノートe-POWER NISMO同様に「大人味のツーリング&スポーツ」に仕上げられていると思われる。ただし、動的性能はノートを上回る可能性が高い。e-POWERが強烈な加速を示すのは蓄電量に余裕がある時限定。リーフは瞬発鋭く伸びやかな電動パワーを走行中維持できる。航続距離を無視すれば、よりスポーティな走りが楽しめるだろう。
標準よりもアグレッシブなエクステリアに。装備面ではチューニングされた専用サスペンション、高性能タイヤなどを採用している。
ブラック+レッドアクセントで「NISMO」らしい走りを想起させるインテリアに。専用チューニングコンピューター(VCM)も搭載しているという。
ライバルは…NISSAN ノートe-POWER NISMO
HONDA 新型CR-V

ホンダセンシングも搭載して狙う「レジャーワゴン」市場ど真ん中
ホイールベースとトレッドを広げることで、SUVとしての車格感を強調するスタイリングとしながら、室内効率を徹底的に追求した。
素材や造形にこだわり、質感の高い空間を実現。同時に、フラットで使いやすい荷室やガソリン車に新たに3列目シートを設定し使い勝手も◎。
ライバルは…NISSAN エクストレイル
SUBARU スバル・ヴィジヴ・パフォーマンス・コンセプト

現行ラインナップとも通じるデザインテイストのコンセプト
デザインスタディモデルにしては妙に生々しい。で、色々考えて思ったのはフェンダー周りの造形。オーバーフェンダーが付いている。クロスオーバー系ならともかく、ハード志向スポーツのコンセプトカーに後付け感のあるオーバーフェンダーは「?」である。ベース車から特別な高性能を求めて発展した、言わばカスタマイズ系のテイストを盛り込んだわけで、スポーツモデル市場の嗜好性を考えれば納得。そういった演出を除けばフェンダーの張り出しは大きいが、現行のインプレッサセダンやWRXと共通したデザインテイストである。次期WRXも現行車と同じ路線を踏襲するということか、あるいは現行スバル車の象徴としてもデザインされたかが興味深いところだ。
水平対向エンジンとシンメトリカルAWDによりハイパフォーマンスを実現するとともに、高性能アイサイトによる自動運転技術を搭載。
今回のヴィジヴはSUBARUのハイパフォーマンスカーの将来像を示すコンセプトモデルだ。写真はヴィジヴとSUBARUの吉永社長。
ライバルは…SUBARU WRX STI
SUZUKI スペーシアコンセプト

おそらくほぼ市販版の姿でモーターショーに出現
工場試作をショー用に仕上げ直したような「リアル」な出来。スーパーハイトに広々視界のウインドウ、スライドドア、キャビンユーティリティ等々の基本構成は現行車を踏襲しているが、ちょっとタフな、あるいは機能性を印象付けるサイドパネルデザインなど、プラスαの楽しさ演出が特徴。標準系にはルーフレール装着デモカーも。後席用サーキュレーターやHUDの採用など室内機能の向上も図られた。性能面ではターボ車も含めてマイルドハイブリッドの採用が見所だ。ライバルとなるだろうN-BOXはスペーシアほどの遊び心は感じられないが、走りと安全&運転支援装備がスペーシアにとって大きな壁。ACC採用でクラス超えができるかどうかが要点のひとつだ。
スーツケースがモチーフというボディデザイン。こちらはカスタム。メッキの大開口グリルにより迫力のあるフロントフェイスに。
おしゃれなインパネ、リヤサーキュレーター、カラーヘッドアップディスプレイなどほぼこのまま市販されそうな仕上がりのコンセプト。
ライバルは…HONDA N-BOX
提供元:月刊自家用車