故障・修理
更新日:2020.07.28 / 掲載日:2020.07.28

クルマとカビとネズミと……。再生公道復帰プロジェクト SUBARU REX編

お不動様プロジェクト開始第1回はSUBARU REXから着手。令和元年に平成元年のクルマを動かすという、そのスタートはカビとの戦いから始まった。とにかく車内に蔓延していて、室内にいたら病気になると思うほど。そしてオーナーが見つけ出したマニュアルとパーツリストで希少車のメンテがいくらかラクになったのは不幸中の幸いというところなのだが。

風呂洗いよりも厳しいカビとり次亜塩素酸塩の臭気と格闘 見た目には塗装もマトモで(凹み多数)すぐにでも動きそうなレックスちゃんだが、前号の概要でもお知らせした通り、室内は恐ろしいほどのカビ臭で、シートバックは真っ白なカビちゃんが同居なさってます。晴れていればクルマのドアやゲートを解放して、とにかく空気を流すようにして、重曹でカビ退治!と思ったが、そんな生易しいもんじゃなかった。 台風一過でようやくシートを室内から取り出し(ボルト4本外すのだけで病気になりそうだった)て、室内に空気流してみたら、驚くほどカビ臭は消えてくれたので、諸悪の原因はシートにあると判断。 幸いにもカビの発生場所はシートバックのビニールレザーの部分に集中していたので、お風呂洗いのカビ除去剤を使用してみることに。ファブリックに液がかからないようにしながらカビ取り剤をスプレーして、ティッシュを当てて液をなるべく保持できるようにしてみて忍耐の小一時間。外で作業しているものの、カビ取り剤から発生する臭気はなかなかのもの。まるでプールで泳いでいるかのような雰囲気に。 そろそろかなとティッシュを剥がしてみたら、白カビさん居座ってます!カビを薄めて蔓延させた感じで、軽く水で流してみたら「綺麗になってるかも!」と思うのもつかの間。表皮が乾燥してきたら何も変わっちゃいなかった。カビは頑固。 次なる作戦はカビ取り剤をスプレーと歯ブラシで生地の目にまで浸透するようにブラッシング。水拭きした後の乾燥後にも綺麗に落ちていた。なもんでブラシ作戦開始で、タワシと歯ブラシ併用でゴシゴシ。 入念なブラッシングで全体を仕上げて水拭きしたらピカピカになって喜んでいたんだが、完全乾燥すると生地の目にまだポツポツと斑点のようにカビの元が残っている様子。あとは縫い目の裏側とかにもかなりカビははびこっていて、できるだけ丁寧にカビ取り剤と格闘してみた。 元の状態を100カビとすれば10カビくらいまでは処理できたかと。カビ発生の原因は溜まった湿気なんだけど、育つための餌はどうやら皮脂のようで、よく触る部分が白くなっていると。 マイカーはたまにアルコール洗浄した方がいいかもという結果に。

お風呂洗いではありません!

決死の思いでシートを取り外し、大掃除を兼ねて購入したカビキラーの出撃となった。水洗いしようがなにしようが白いカビは落ちることがないので、マスクと手袋で次亜塩素酸塩をじっくりべったり塗り込んで撃退開始だ!

次亜塩素酸塩は手袋必須!

原液ダイレクト ティッシュ貼り付け原液保持

カビの一番酷い部分に直接原液をスプレーして様子を見たが、タレが酷いのと白カビが流れる気配は一向になかった。こりゃ保持作戦だ。

ダイレクトに全面にスプレーして、その上にティッシュを貼り付けて、さらにスプレーして液をとどまらせておく……。

保持の間にヘッドレスト後面をカビキラーでゴシゴシこすってみると、軽微な部分はかなり綺麗にカビ退治成功!ただ匂いはキツイ!

小一時間放置水洗い液保持は小一時間放置で水洗いすると、シート色が蘇り一見綺麗になったように感じてこれは大成功!も束の間だった(T . T)。

ほとんど効果なし(涙)

シートバックが乾いてくると、白い部分が薄くなって広がっただけ。カビはしつこくとどまって、白い面積が広くなったような気が。

歯ブラシゴシゴシ!なにか手はないものかと、歯ブラシで原液つけてゴシゴシと一部分だけ擦ってみた。泡立ちがあって原液が垂れてこないのも好都合。

おおお!ゴシゴシこすった後、時間をあけずに水で流したら、びっくりするほど綺麗にシート目地に入り込んだものまで落ちていた。感動!

見違えるよう!なフリ柄付きタワシと歯ブラシを併用して、ひたすらゴシゴシと水洗いを3回ほど繰り返したら綺麗さっぱりで白い模様が完全に消えた。

ポツポツと白い斑点だが、細部までよくみると、白い斑点が小さく(誌面では見えないだろう)残っているのを確認。ゴシゴシはどこまでも続く…。

新品パーツはもう出ないので 再利用で通電確認もトラブル判明

ガソリンタンクにどのくらい燃料が残っているかを確認しようと思ったら、なんとバッテリー端子の直後で配線が、たぶんネズミに食われたであろう状態で断線。基本的な通電確認ができない状態だった。もしや!と思い新品が…残念ながら廃盤。カプラーは現行品と交換する前提で、通電確認だけのために配線を作る手段に。 カプラーに仕込まれている端子は端子抜きやマイナスドライバーで端子の爪を押し込めば簡単に抜けるはずだが、こいつはどうやっても抜けない。爪のサイズに樹脂を切り込み切開して強引に爪を押し込むことにしたが、端子は真鍮でできていて、緑青(ロクショウ)が発生するのだ。緑青は酸化物で、樹脂には害はないと思っていたが、金属が腐食して太り、金属が分解して樹脂を攻撃。端子の爪が全く動かなくなっていたのだ。切開部分から無理矢理爪を押し込み、強引に抜いた感じだ。 どうにか端子を引きずり出してみたが、全体に酸化して黒緑色に変化。メーカー基準で作られたものは電線のカシメ部分が爪ではなく袋状で、劣化した銅線は抜けるどころかブチブチ切れてしまう。この辺りの耐久性はメーカー基準が厳しいと判明。 端子は磨き、接触抵抗を減らして2sqの電線をハンダ付けで端子はすべてオリジナルを使って完成。バッテリーを繋いで灯火類やらを確認したらすべてOK。イグニッションONしたら燃料ポンプの音も聞こえ、燃料計も半分以上に上がったので、セルを回してみたい。プラグを抜き、プラグホールから少量のエンジンオイルを垂らし、セルを回してみると、わりと簡単にキュルルル。ハイテンションコードの先にプラグを繋ぎ、火花が飛ぶかと確認してみたら、全くパチパチいわない!EMPIでECU制御されているので、配線は追えないが、イグニッションコイルに12Vはきているので、点火信号がきていないと。クランクセンサーが怪しいのではないかというところで、今号は終わるつもりだったが、パーツリストやら整備書やらが入手できた!ちょっとだけ嬉しい。お不動様に変わりはないが…。

本来はこれで抜けるネズミさんに食われちゃった電線を交換しようとカプラーの凹みにマイナスドライバーを突っ込んでみたが、全く動く気配はない。

緑青で樹脂侵蝕片側を爪の押し部分を穴を開けて強引に端子を引きずり出すと緑青がコネクタ内部で増殖していて、樹脂と端子がほぼ一体化。

切開して強引に端子の爪の一部分ではなく全体に押し込めるようにカッターで四角く穴を開けてちぎれる電線と格闘してようやく抜けてきた。

端子研磨この平形端子はサイズが現規格にないので、新しいコネクタを使うことを前提として、通電確認のためにひたすら研磨して金属らしく。

電線以外再利用

袋状になっている端子の挟み込みは行わず、ハンダ付けで新しい電線を組み込んで熱収縮チューブで絶縁して製作。このままでもOKか。

JOMOですと!もう知らない人もいるブランドで1993年から使われた名称。今はENEOSに統合。バッテリーは復活できないだろう。

管理がしっかりしていたであろうバッテリー下のプレートにはほとんど錆が発生していない。これは磨いて再塗装で十分いける。

クランキングに欲が出て、フロントグリルを外して、プラグの状態を確認してみる。2気筒しかないのでエンジンは非常にコンパクト。

格納時のプラグの状態は非常によく、きちんと回されていて綺麗な焼け具合だった。これはエンジン本体に期待が持てるという証だ。

コネクタを使わず、端子だけをダイレクトに接続。テスト用のバッテリーは1kgもないSHORAIのレーシングバッテリー。

クランキングするためにイグニッションコイルのカプラーは外しておき、ハイテンションコードに高圧が発生しないようにしておく。

ブラブラ!節度なし!バッテリーを繋いで灯火類を確認しようとしたら、ウインカーレバーのHi-Lo間はブラブラだ。これは要修理か、解体パーツ探しの旅。

IG-ON!まずはオン状態でインパネの警告灯や燃料残量、灯火類の確認を順番に行っていく。エンジン不動状態での通電確認はすべてOKだった。

燃料計が落ち着くのを待って確認したら半分以上タンクにはあるということが確認できた。たぶん錆の発生は少ないと思われる。

火花は飛ばない(涙)IGコイルのコネクタを戻し、プラグホールから少量のオイルを入れクランキングしてみたが、火花が飛ばない(T . T)。原因はどこ??

IGコイルのカプラーを外して通電確認。ちゃんと12Vは来ているので、コイル死か、クランクセンサー死か、ECUか。地味な追及は続く。

朗報でオーナーさんが探してくれたマニュアル類。ボデー編と電気配線図が86年のもので、残念ながらこのクルマのことは書かれていないのが残念。エンジン・ミッション編をどうにかして発掘したい。

EGIトラブルシューティングマニュアルが手に入ったので、火花の飛ばない原因を探っていくことができる。配線も分かるのが嬉しい。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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