故障・修理
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2020.01.08
クルマを真っ直ぐ心地よく走らせる基礎メカニズム Part.2-4
トータルのコンディションで考える!
直進時の左流れが気になる プジョー508(2012年 走行3万km)
新車購入。高速道路でのドライブが多い。納車当初からステアリングの左流れがあり、リヤブレーキの発熱も多かった。ディーラーで数回の点検、ブレーキキャリパー交換などを実施し、緩和はされているものの、完治には至らず。
電動パーキング内蔵のリヤブレーキに問題あり?
このプジョー508は、1.6Lの直噴ターボエンジンを搭載したモデル。駆動方式はFFである。新車時から直進時にステアリングが左に流れていく現象があり、ディーラーに何度か入庫してアライメントの測定や調整、部品交換を行っている。特に気になるのがリヤブレーキの引きずり現象である。欧州車はブレーキダストの量が多く、ホイールが汚れやすいものだが、それを加味してもリヤホイールの汚れが目立っていた。そこで、高速道路のパーキングエリアに止めた時に、ホイールを触ってみると、手で触れないほど加熱しているのだ。サイドブレーキの戻し忘れ?と思いたくなるが、電動パーキングブレーキを内蔵したキャリパーを搭載しているので、ドライバーの操作でどうにかなるものではないのだ。
リヤキャリパーを新品に交換してからは、左流れの現象は緩和されているものの、完全に消えたわけではないし、ブレーキダストによるホイール汚れも未だに多いと思われる。しかし、ディーラーではこれ以上手を下せないようである。
今回の講師である、(株)バンザイの成田さんはホイールアライメントの測定をするため、ホイールにターゲットを装着しデータを出しているが、リフトアップしてアンダーフロアを念入りに点検。タイヤ摩耗もチェックしているが、目立った異常はない。また、オーナーがローテーションを行っているので、完全な履歴は見ることができない状態だ。
片効きの疑いのあるリヤブレーキだが、ローターの摩耗が左右で違っている。この辺でまず左右差があるようだ。
講師 株式会社バンザイ 営業情報企画部営業推進課 副参事 成田康晴さん
今回のサンプル車の診断に協力していただいた(株)バンザイの成田さん。アライメントやタイヤサービスなど各種整備機器の開発や人員教育に携わっている。クルマのトータルアライメントの重要性を説く。
使用したアライメントテスター ホフマン ジオライナー680
光学式アライメントテスターの最高峰。ホイールに3Dターゲットを装着し、正面のメガピクセルカメラで正確な3D測定を行う。測定時間は5分とスピーディ。
●直進時に手離しした時の挙動を確認
〆ステアリングが転舵しないで偏行する
ステアリングが転舵しながら偏行する
●これまでの対策
・アライメント診断、調整
・リヤブレーキキャリパー交換
ホイールアライメントテスターはセットしたが、まずは丹念な目視
フロントトー調整部の左右バランス
フロントサスペンションはストラット式。アライメントはトー調整のみのようだ。タイロッドのネジ山の露出部分の数を左右で比較する。
リヤトー調整部の左右バランス
リヤサスペンションはマルチリンク。内側に多く倒れた独特のショックアブソーバーのレイアウト。トー調整はターンバックル式でアーム長を変える。