車検・点検・メンテナンス
更新日:2026.01.23 / 掲載日:2026.01.23

FF車とは?メリット・デメリットとFR車との違い

車のカタログや販売サイトなどをチェックすると、「FF」「FR」といった用語を目にします。これらはどれも、車の駆動方式(車のエンジンの位置、タイヤの駆動する位置)を表しています。車の駆動方式のうち、多くの車が「FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車」に該当します。

この記事では、このFF車とはどのような特徴があるのかを、メリット・デメリットや他の駆動方式との違いと合わせて解説します。

1. FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車とは?

自動車は、エンジンが生み出した力をタイヤに伝えて走行します。この動力を伝える仕組みを「駆動方式」と呼び、その配置によってさまざまなタイプに分けられます。特に日本国内で最も多く見られるのが、FF車(フロントエンジン・フロントドライブ)です。

FF車とは、その名の通り「フロント(前)」に「エンジン」を搭載し、その動力を「フロント(前)」のタイヤに伝えて走行する自動車のことを指します。一般的には「前輪駆動車」や「FWD車」とも呼ばれます。

一方、同じく前にエンジンを積みながら「後輪」に動力を伝える「FR(フロントエンジン・リアドライブ)」という方式もあります。ほかにも、4輪すべてを駆動させる「4WD(AWD)」や、エンジンを車体の中央や後方に配置する「MR」「RR」といった種類が存在します。

2. FF車のメリット

FF車はその設計上の特徴から、多くのメリットがあります。

(1) 室内空間が広い

FF車は、他の駆動方式に比べて広々とした室内を確保しやすいのが大きな特徴です。

多くのFF車はエンジンを「横置き」にし、変速機と駆動ギアを一体化した「トランスアクスル」を採用しています。これによりエンジンルームを極限までコンパクトにし、その分を人の乗るスペースに割り当てています。

また、後輪へ動力を伝える「プロペラシャフト」などの部品が不要なため、室内の床を平らにしたり、後部座席にゆとりを作ったりできるのもFF車のメリットです。車体後部の構造がシンプルになることで、トランクを広く深く確保できる点もこの駆動方式ならではといえます。

(2) 車両価格が比較的安い

FF車は車両本体価格が比較的安いことも大きなメリットです。その理由として、他の駆動方式と比べて必要な部品が少なく、製造コストがかかりにくいことが挙げられます。

また、世界中の多くの車種で採用されているため、部品の共通化によって量産効果が上がりやすいのも、本体価格が下がりやすい理由のひとつです。

(3) 雪道や悪路での走行の安定性が高い

FF車の特徴として、雪道や雨などの滑りやすい路面に強い点も挙げられます。

FF車は、重量のあるエンジンやトランスミッションが、駆動輪(前輪)の真上に配置されています。その重みでタイヤが路面に強く押し付けられるため、高いグリップ力を発揮し、空回りを防ぐことができます。

さらに、前輪が車体を「引っ張る」形で進むため、直進の安定性に優れており悪条件の道でも挙動が安定します。

(4) 燃費性能が高い

FF車は駆動系の部品点数が少なく構成がシンプルであるため、車体全体の重量を軽く抑えることができます。さらに、FF車はエンジンと駆動輪(前輪)がすぐ近くにあることで、動力を運ぶ距離が短くなります。こうした構造上の特徴によって、発進や加速に必要なエネルギーが少なくて済み、結果として燃料消費を抑えられます。

3.FF車のデメリット

多くのメリットがあるFF車ですが、その構造上いくつかデメリットも存在します。

(1) コーナリング時のステアリングが弱い

FF車は、カーブを曲がる際にハンドルを切った角度よりも車が外側へ行こうとする「アンダーステア」という現象が起きやすい傾向があります。

FF車の前輪は、「車を前に進める」役割と「曲がる方向を決める」役割の両方を同時に担っています。カーブの途中でアクセルを踏み込むと、タイヤのグリップ力が「曲がること」よりも「進むこと」に使われるため、車が外側へと膨らみやすくなります。

また、FF車はエンジンやトランスミッションなど、重い部品がすべて車の前方に集まっています。車体の前側が重い(フロントヘビー)場合、ハンドルを切ると重いフロント部分が外へと引っ張られ、アンダーステアが起きやすくなります。

(2) 急加速に弱い

FF車は、アクセルを強く踏み込んで急加速しようとすると、構造的に力が地面に伝わりにくいという弱点があります。車は急加速すると荷重が後ろへ移動します。FF車は前輪が駆動輪です。加速によってフロントが浮き上がると前輪を地面に押し付ける力(接地荷重)が減ってしまうため、エンジンのパワーを十分に路面に伝えきれなくなります。

また、FF車では「トルクステア」が起きやすいとされています。これは、アクセルを強く踏んだときに、ハンドルが左右どちらかに勝手に取られてしまう現象です。FF車は左右のドライブシャフトの長さや角度が、構造上均等でないことが多いため、トルクステアによって直進の安定性が乱れやすいのです。

4. FF車の代表的車種

燃費性能が高く価格も安いFF車は、幅広い層に支持されており、多くの人気車種が存在します。ここでは、代表的なFF車をいくつかご紹介します。

(1) プリウス|トヨタ

トヨタの「プリウス」は、世界で初めて量産されたハイブリッド専用車として、FF車の代表格と言える存在です。FFレイアウトによって広々とした室内空間を確保し、後席の足元空間も十分に取られています。家族での利用や長距離移動でも快適なドライブが可能です。

(2) フィット|ホンダ

ホンダの「フィット」は、「数値では表せない心地よさ」を徹底的に追求したコンパクトカーです。極限まで細くしたフロントピラーによる圧倒的な視界の良さと、長時間座っても疲れにくい新設計シートの採用など、乗る人がリラックスできる空間づくりにこだわっています。

走りにおいては、2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」がもたらす滑らかな加速と優れた燃費性能を両立しています。

日常使いにおいて、安心と快適さを高いレベルでサポートしている車種です。

(3) N-BOX|ホンダ

ホンダの「N-BOX」は、日本で最も売れているスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車です。「人のためのスペースは最大限に」という思想を体現したこのモデルは、ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」技術によって広々とした室内空間を実現しています。

床が低く天井が高いため、大人が4人乗っても十分なスペースがあり、子供の着替えや大きな荷物の積み込みもスムーズに行えます。

運転のしやすさも大きな魅力で、免許を取った人の最初の1台としておすすめです。

(4) スイフト|スズキ

スズキの「スイフト」は、コンパクトカーでありながら「走りの良さ」を追求し、世界中で評価されているモデルです。5代目からは新開発の3気筒エンジンとマイルドハイブリッドシステムを搭載し、燃費性能を飛躍的に向上させています。

取り回しの良さとブレーキ性能の高さで、運転する楽しさをドライバーに提供します。

(5) MAZDA2|マツダ

マツダの「MAZDA2」は、「質感の高さ」と「運転する歓び」を徹底的に追求したコンパクトカーです。上品なスタイリングは都会の風景にもなじみ、インテリアも水平基調の落ち着いたデザインや、ドライバーが自然な姿勢で操作できる理想的なペダルレイアウトなど、運転に集中できる快適な空間が広がっています。

走行性能も高く、車を操る楽しさを存分に味わえる「大人のためのコンパクトカー」といえるモデルです。

5. FF車とFR(フロントエンジン・リアドライブ)車の違いを比較

自動車にはFF車以外にもさまざまな駆動方式が採用されています。その中で、特にFF車と大きな違いを持つのがFR(フロントエンジン・リアドライブ)車です。2つの駆動方式が持つ性能の違いを、さまざまなポイントから解説します。

(1) 駆動輪とエンジンの位置の違い

FF車とFR車では、エンジンの配置と駆動輪の仕組みに根本的な違いがあります。FF車はエンジンが車両の前方に配置されており、エンジンからの動力が前輪に伝えられ、前輪が車を前に進める役割を担います。

一方、FR車はエンジンがFF車と同様に車両の前方に配置されていますが、動力は後輪に伝えられ、後輪が車を前に進めます。エンジンが前方に、駆動輪が後方にあるため、動力伝達のために長いドライブシャフトが必要となります。

(2) 走行特性(コーナリング、加速、減速時の挙動)の違い

FF車とFR車では、駆動輪とエンジンの配置が異なるため、走行特性にも違いが現れます。

項目FF車FR車
コーナリングアクセルを踏み込むとアンダーステア(曲がりきれず外側に膨らむ現象)が出やすい傾向があるアクセルを踏み込むとオーバーステア(リアが滑り、内側に巻き込む現象)が出やすい傾向がある
加速駆動輪に荷重がかかりにくいため、急加速時に駆動輪が空転しやすい場合がある駆動輪に荷重がかかりやすいため、比較的スムーズな加速が期待できる
減速エンジンブレーキの効果が駆動輪にかかるため、減速時に安定しやすい傾向がある駆動輪へのブレーキ負荷が大きくなるため、急減速時にリアが滑りやすい場合がある

これ以外にも、FF車は雨天時や雪道などの滑りやすい路面でのコーナリングにおいて、アンダーステアを意識した運転が求められます。一方、FR車は、その特性を活かしたダイナミックな走りが可能ですが、運転にはより高度な技術が要求されることがあります。

(3) 車両設計の自由度と室内空間の違い

FF車はエンジンと駆動輪が車両の前方に集中しているため、後部を自由に設計しやすいという特徴があります。FR車の場合、後輪を駆動するためにプロペラシャフトが車両中央を横切る必要があります。これにより、床面をフラットにしにくく、後席の足元空間などに影響を与えることがあります。

そのため、FF車は同クラスのFR車と比較して、より広く快適な室内空間を実現しやすいのが特徴です。このFF車のメリットは、ハッチバック(跳ね上げ式のバックドアを持つ車)やミニバンなど、居住性や積載性を重視する車種の空間確保に生かされています。

(4) 車両価格と維持費の違い

FF車は駆動系部品の点数が少なく、製造コストがかかりにくい構造です。そのため、新車購入時の車両価格がFR車よりも手頃な傾向があります。さらに、FF車は軽量で燃費性能も高いことが多いため、ランニングコスト全体で見てもFF車のほうが経済的です。

6. その他の駆動方式を紹介

FF車やFR車以外にも、自動車にはさまざまな駆動方式が存在します。

(1) 4WD(四輪駆動)

4WD車は、エンジンの動力を四つのタイヤすべてに伝える駆動方式です。これにより、雪道や未舗装路など、グリップ力が低下しやすい状況でも安定した走行が可能です。ぬかるみや急勾配など、困難な路面状況でも進みやすいというのも大きな特徴です。また、駆動力が四輪に分散されるため、空転しにくく力強い加速を実現します。

一方で、4WDは構造が複雑になるため、車両価格が高くなる傾向があります。一般的にFF車やFR車と比較すると、燃費性能はやや劣ることが多いですが、近年は前輪駆動と四輪駆動を自動で切り替えるシステムなどの開発で、燃費の改善も見られます。

(2) MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)

MR車は、エンジンを車両の中心付近(主に運転席と助手席の後ろ)に配置し、後輪を駆動する方式です。この構造は車体中央に重量物が集中するため、理想的な前後重量配分を実現しやすく、優れたコーナリング性能を発揮します。その高い走行性能から、MR車はスポーツカーやスーパーカーに多く採用されています。

一方で、エンジンが車体中央にあるため室内空間が狭くなりやすく、整備も複雑になるというデメリットがあります。

(3) RR(リアエンジン・リアドライブ)

RR車はエンジンと駆動輪が車両の後方に配置されています。この構造は加速時に駆動輪への荷重がかかりやすく、前方への推進性能が非常に高いというメリットがあります。また駆動系がコンパクトになるため、キャビンや荷室のスペースを広く確保できる点も魅力です。

一方、車体後方に重量物が集中するため、操縦安定性に癖が出やすいというデメリットがあります。コーナリング時にはリアが滑りやすい傾向が強いほか、エンジンが後方にあるため点検や整備も複雑です。

7. FF車が向いている人と向いていない人

FF車は近年主流の駆動方式ということもあり、多くの人におすすめできます。それを踏まえつつ、FF車の構造上の特徴をもとに、「FF車が向いている人」と「FF車が向いていない人」をまとめました。

(1) FF車が向いている人の特徴

日常使いで経済性を重視する方には、FF車が最適です。車両価格が比較的安価な傾向にあることに加え、軽量な車体や駆動方式による燃費の良さから、維持費を抑えたい人にとって大きなメリットとなります。

次に、雪道や雨天時など、滑りやすい路面での走行が多い方にもFF車はおすすめです。駆動輪にエンジン重量がかかるため、トラクション性能が高く、発進時や低速走行時に安定した走行が期待できます。雪国に住む人や冬場にスキー場などへ出かける機会が多い人は、その恩恵をより強く感じられるでしょう。

また、限られたスペースでも広々とした室内空間を求める方にもFF車は魅力的です。エンジンや駆動系が車両前方に集約されているため、後部座席や荷室のスペースを広く確保しやすい設計が可能となっています。家族での利用や、趣味の道具を積む機会が多い人におすすめです。

(2) FF車が向いていない人の特徴

FF車は多くのメリットを持つ一方で、特定の運転スタイルや重視する点によっては、その特性がデメリットとなる場合があります。特にFF車以外がおすすめなのは、走行性能を最優先する人です。

FF車はコーナリング時にアンダーステアが出やすい傾向があるため、FR車や他の駆動方式がおすすめです。また、FF車は加速時に駆動輪への荷重が不足しやすく、スポーティな走りを求める人は物足りなさを感じるかもしれません。

8. FF車に関してよくある質問

(1) FF車とFR車は結局どっちがいいですか?

FF車とFR車、どちらが良いかは、ドライバーの好みや重視する点によって異なります。それぞれの特徴を理解し、ご自身のカーライフに合った方を選ぶことが大切です。

一般的に、FF車は室内空間の広さや経済性、雪道での走行安定性に優れているため、日常使いやファミリーカーとして人気があります。一方、FR車は、よりダイレクトな操縦性やスポーティな走行フィールを求めるドライバーに適しています。この点を踏まえつつ、実際に試乗してみて自分のフィーリングに合う車を選んでみてください。

(2) 雪道ではFF車とFR車はどっちが優れていますか?

雪道や悪路での走行安定性においては、FF車はトラクション性能に優れているとされています。これは、エンジンの重量が駆動輪である前輪にかかるため、タイヤが地面をしっかりと捉えやすく、発進や登坂時に有利に働くからです。FR車は後輪駆動のため、雪道では駆動輪が空転しやすく、発進時や急な坂道ではFF車に比べて不利になることがあります。

(3) 最近FF車のほうが主流なのはなぜですか?

近年、乗用車の多くがFF方式を採用しているのには、いくつかの理由があります。

まず、車内のスペースを最大限に広く取れる点が挙げられます。エンジンや駆動部品をすべて前方にまとめて配置できるため、人が乗るスペースや荷室を無駄なく確保できます。これにより、室内を広く取って荷物もたくさん積みたいという、現代の乗用車に求められる条件を満たしています。

また、構造がシンプルなおかげで車両価格が抑えられるだけでなく、部品が少ないぶんメンテナンスなどの維持費も安く済みます。そのおかげで、手頃な価格で乗れる車の選択肢がたくさんあります。

このように、FF車は多くのユーザーのニーズに応えていることから、乗用車市場で主流の駆動方式となっているのです。

9. FF車の修理・点検、カスタマイズを検討している人はグーネットピットをご活用ください。

これからマイカーを選ぶ人は、今回の内容を参考にして、自分に合った駆動方式の車を選んでみてください。

購入した愛車の修理・点検やカスタマイズをしたくなったら、ぜひ「グーネットピット」からプロの業者を探してみてください。全国の整備工場やカーショップの中から、レビュー評価を参考にしながら業者を探すことが可能です。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

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車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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